ところがソロになってからはどうでしょう。再び伸びやかに歌う彼女が帰ってきました。若い頃のような尖った要素こそなくなりましたが、可憐な歌声は健在です。全体としてはエレクトロポップスのような楽曲が多く、個人的にはちょっと辛いところですが、何曲かはThe Gathering時代を彷彿とさせる曲もあり、それなりに楽しめます。 ●Musicians Anneke Van Giersbergen / vocal Daniel Cardoso / keyboards,guitar,bass Rob Snijders / drums Dannis Leeflang / drums Ruud Jolie / guitar Ferry Duijsens / guitar Joost Van Haaren / bass Rene Merkelbach / keyboards Camilla Van Der Kooij / violin
●Numbers 1. Feel Alive 2. You Want To Be Free 3. Everything Is Changing 4, Take Me Home 5. I Wake Up 6. Circles 7. My Boy 8. Stay 9. Hope, Pray, Dance, Play 10. Slow Me Down 11. Too Late 12. 1000 Miles Away From You
Meshuggahがそれらしく仕上がっていくのは2nd「Destroy Erase Improve」(1995年)以降だと思うのですが、ここで聴かれるのは一言でいうと「ガチャガチャしたテクニカル系スラッシュメタル」。変拍子の多用や目まぐるしく変化する複雑な楽曲構成は、1stの時点ですでに持ち芸として確立しています。バンドのフロントマンFredrik Thodendal(フレドリック・トーデンダル)の変態ギターもすでに完成の域に達しています。#5「Qualms of Reality」や#6「We'll Never See the Day」、#8「Choirs of Devastation」でのプレイは一聴の価値ありです。
ところで肝心のリマスター効果ですが、元々オリジナル盤の音質があまり良好とはいえなかったこともあり、劇的に改善されたとは言い難いです。相変わらず耳にツンツンと響きます。「それがいいんじゃない」というご指摘を受けそうですが、初老の耳にはちとキツい感じです。これから本格化する真夏、あえて納涼気分で(?)聴いてみるのも一興かと。 ●Musicians Jens Kidman / vocal,guitar Fredrik Thordendal / guitar Martin Hagstrom / guitar Thomas Haake / drums Peter Nordin / bass
●Numbers 1. Paralyzing Ignorance 2. Erroneous Manipulation 3. Abnegating Cecity 4. Internal Evidence 5. Qualms of Reality 6. We'll Never See the Day 7. Greed 8. Choirs of Devastation 9. Cadaverous Mastication
[Bonus Track] 10. Humiliative - Originally released on the None EP 11. Sickening - Originally released on the None EP 12. Ritual - Originally released on the None EP 13. Gods Of Rapture - Originally released on the None EP
さて、このバンド、アラビア風の旋律を軸にブルータルなメタルサウンドをお届けするという特異な立ち位置が持ち味なのですが、7作目にあたるこの音源ではかなりの方向転換をしたように感じられます。もちろん十八番のアラビア風旋律はふんだんに盛り込まれてはいるのですが、何となく消化不良というか楽曲としてこなれていないように思います。何となくやっつけ感というか、これまで彼らが築いてきた荘厳な変態世界と比較すると、深みのようなものがあまり感じられません。ところどころで「あれま、普通のデスメタルバンドになってしまった」と感じられるだけに、いささか残念な作品になってしまっています。 ●Numbers Karl Sanders / vocals,bass.keybords Dallas Toler-Wade / guitar,vocal,bass George Kollias / drums
●Numbers 1. Enduring The Eternal Molestation Of Flame 2. The Fiends Who Come To Steal The Magick Of The Deceased 3. The Inevitable Degradation Of Flesh 4. When My Wrath Is Done 5. Slaves Of Xul 6. The Gods Who Light Up The Sky At The Gate Of Sethu 7. Natural Liberation Of Fear Through The Ritual Deception Of Death 8. Ethno-Musicological Cannibalisms 9. Tribunal Of The Dead 10. Supreme Humanism Of Megalomania 11. The Chaining Of The Iniquitous 12. Enduring The Eternal Molestation Of Flame (bonus track) 13. The Inevitable Degradation Of Flesh (bonus track)
●Numbers 1. Blow Your Trumpets Gabriel 2. Furor Divinus 3. Messe Noire 4. Ora Pro Nobis Lucifer 5. Amen 6. The Satanist 7. Ben Sahar 8. In The Absence Ov Light 9. O Father O Satan O Sun!
ところで、よく「世界で勝負できるミュージシャンがやっと登場!」的なレビューを見かけますが、テクニック面だけを言えば、世界レベルの日本人ミュージシャンなどたくさんいるはずです。問題はプログメタルというジャンルを育て上げる市場を確保できるのか、そしてプロモーション体制がどれだけ整っているかだと思います。そんなわけで、「世界で勝負できる」的な島国根性丸だしな表現はいい加減にやめにしませんか?少なくともISAO氏はプレイ的にも楽曲的にも世界レベルに達しています。 ●Musicins ISAO / guitar 大高清美 / organ Philip Bynoe / bass Thomas Lang / drums
guest Tony MacAlpine / guitar on #1 e-ZUKA / guitar on #6
●Numbers 1. Tri-Star 2. Cricket Chorus 3. Gain the Day 4. Cold Feet 5. Pudding Busters 6. Acon Spin 7. Zombies in a Dream 8. The Dancing Witch
Musician●Scorpions Title●Taken By Force(50th Band Anniversary Edition)(2015年) ■Amazonより購入
Scorpionsのバンド結成50周年記念してリリースされたリマスターシリーズ。1977年発売の「Taken By Force」はUlrich Jon Roth在籍時代のラスト盤になります。一般的には、Ulrich Jon Roth脱退の理由はバンドがメジャー志向になることでの音楽的方向性に相違云々と言われていますが、実際はモニカ・ダンネマンの意向も大きかったのではないかと推測しています。モニカ・ダンネマンといえば、言うまでもなくジミ・ヘンドリックスの最期を看取ったドイツ人女流画家で、実際はUlrich Jon Rothに接近したのは彼女のほうからという説があります。これは個人的な妄想ですが、「貴方にジミヘンの姿がかぶるの~」とか何とか言われてすっかり籠絡されたのではと。となると、まだ20歳そこそこで田舎の純朴な青年(?)だったUlrich Jon Roth。舞い上がって「ワシはジミヘンの後継者になるんじゃ!」と決心してしまうことは無理からぬことですし、責めたりできません。バンドがアメリカを市場として大きく転換を図る状況で、彼がそこにとどまる理由はないわけです。Ulrich Jon Rothがモニカと出会ったのが1976年。バンド脱退が78年ですから、時系列的にも合点がいきます。
そんなわけで「Taken By Force」です。このアルバムは何回かリマスター化されているので、特別な新鮮感はないのですが、最大の売りは6曲のボーナストラックでしょうね。ちなみに#8「Born to Touch Your Feelings」は以前のリマスター盤にも収録された日本人女性入りヴァージョンです。
#9 Suspender Love 「Tokyo Tapes」で披露されたアルバム未収録曲。ライブと違ってこちらは試作品臭が漂います。あまり乗り気でなかったのかも。
#11 Believe in Love これもデモ曲。完全に気が抜けた感じでKlaus Meineもまったく気合いが入っていません。
#12 Midnight Blues Jam これもデモ曲ですね。後半に聴かれるUlrich Jon Rothのソロはなかなかいいのですが…
#13 Blue Dream ボーカル抜きのインストナンバー。曲中盤からなぜか「Little Wing」的な展開になります。
#14 Born to Touch Your Feelings 元曲「Born to Touch Your Feelings」のデモ音源。もちろん気合いが入っていません。
というわけでボーナストラックに関しては、特筆するべき曲もなくあまり期待するとがっかりしてしまうのですが、既出音源のリマスター効果は抜群ですし、このアルバムを持っていない人は買っても損はしないと思われます。 ●Musicians Klaus Meine / vocal Ulrich Jon Roth / guitar,vocal Rudolf Schenker / rhythm guitar,vocal Francis Buchholz / bass Herman Rarebell / drums
●Numbers 1. Steamrock Fever 2. We'll Burn the Sky 3. I've Got to Be Free 4. The Riot of Your Time 5. The Sails of Charon 6. Your Light 7. He's a Woman - She's a Man 8. Born to Touch Your Feelings 9. Suspender Love 10. Busy Guys 11. Believe in Love 12. Midnight Blues Jam 13. Blue Dream 14. Born to Touch Your Feelings
今年2015年はドイツが誇るHMバンド「Scorpions」バンド結成50周年ということで廃盤扱いになっていたアルバムが続々とリマスター化されています。結成50年以上の現役ロックバンドというと、あとはRolling Stones(1962年結成)とThe Who(1964年結成)くらいしか思い浮かびませんね。まさに世界文化遺産的な存在なのです。それでもって、早くも結論から言ってしまうと、Ulrich Jon Roth脱退以降の「蠍団」にはまったく興味がない当欄にとっては、この「Tokyo Tapes」とUlrich Jon Roth在籍時の最後のスタジオ盤「Taken By Force」(1977年)以外は買わないですむので、金銭的には助かってはいますが。
Klaus Meine / vocal Ulrich Jon Roth / guitar,vocal Rudolf Schenker / rhythm guitar,vocal Francis Buchholz / bass Herman Rarebell / drums
ドイツのローカルバンドに過ぎなかった「蠍団」が一躍その名を知られるようになったのはアルバム「Virgin Killer」(1976年)あたりからだと思いますが、特に日本での人気が高かったようです。確かに当時の記憶を辿ると自分の周辺ではPurpleかZeppか、はたまた蠍団かとかなり人気を集めていましたし、実際に1978年4月の中野サンプラザに足を運んだ友人も。ギター小僧にとってはUlrich Jon Rothの神がかり的なプレイも憧れの的だったわけです。
というわけで「Tokyo Tapes」です。1978年4月24日、27日の中野サンプラザの音源が収録されています。[Disc 2]に未発表音源を収録。ライナーによればすでに脱退が決定していたUlrich Jon Rothは自身のバンド「Electric Sun」の準備を理由に来日を拒否したらしいのですが、時間をかけて何とか口説き落としたとか。そんなわけでUlrich Jon Rothは香港で休暇をとった後、来日します。あー、だから香港の風景をバックにした写真がジャケットに掲載されていたんですね。長年の謎がいまになって氷解。
[Disc 2]の「Robot Man」までが既出音源で、それ以降は未体験ゾーンに入ります。まぁ、正規盤に収録されなかった理由も実際に聴いてみるとわかります。どれもプレイ自体が結構ラフなので、これは厳しいかなというレベルです。「Hell Cat」なんかは途中から原曲から逸脱してUlrich Jon Rothのジミヘン風インプロの嵐になっていますし、「Kimi Ga Yo」(君が代)もこれだけデフォルメされてしまうと、右翼筋からの抗議を恐れるレコード会社としてはカットしてしまうかも。日本の唄は「荒城の月」もありますしね。4月24日収録の「Polar Nights」「He's a Woman,She's a Man」「Top of the Bill」は4月27日との比較になりますが、出来としては27日収録分に軍配が上がります。完成度という意味で。ただしラフな感じの「Polar Nights」も新鮮に聴こえますね。もっともUlrich Jon Roth自身は24日のほうが出来が良かったと発言しているようですが。「He's a Woman,She's a Man」ではRudolf Schenkerがミストーンの連続ですし、「Top of the Bill」は甲乙つけがたい出来ですが、これは好みの問題だと思います。とまれ熱心なファンならば即買いですね。
一方、既出音源のほうはリマスター効果抜群で、音質がクリアになって実に聴きやすくなっています。2001年リマスター盤と聴き比べても、雲泥の差です。既出盤をもっている人でも買って損はしないと思います。 [Disc 1] 1. All Night Long 2. Pictured Life 3. Backstage Queen 4. Polar Nights 5. In Trance 6. We'll Burn the Sky 7. Suspender Love 8. In Search of the Peace of Mind 9. Fly to the Rainbow 10. He's a Woman,She's a Man 11. Speedy's Coming 12. Top of the Bill 13. Hound Dog 14. Long Tall Sally 15. Steamrock Fever 16. Dark Lady 17. Kojo No Tsuki
[Disc 2] 1. Robot Man 2. Hellcat ※1 3. Catch Your Train ※1 4. Kimi Ga Yo ※2 5. Polar Nights ※2 6. He's a Woman,She's a Man ※2 7. Top of the Bill ※2 8. Robot Man ※1
相変わらずの変拍子の多用、複雑すぎる楽曲、デスとクリーンヴォイスとの巧みすぎる使い分け、そして爽やかとも思える疾走感。彼らの魅力は健在です。「Opeth」が脱メタル化を図り完全にプログレ路線へと転換したのと対照的に、メタル成分をしっかり残しつつ、テクニカルかつプログレ的要素を同時に成立させるワザは完璧といってもいいでしょう。特に#2などは「80年代YES」を思い起こしてしまいました。これはヘビロテ再生決定ですね。 ●Musicians Peter Espevoll / vocal David Husvik / drums,vocals Ole Borud / guitar,bass,voice,mellotoron
●Numbers 1. Betrayal 2. Open The Gates 3. Wastelands 4. A Gift Beyond Human Reach 5. Faltering Moves 6. Behold The Sun 7. Dawn Of Redemption 8. Ministers 9. Extol 10. Unveiling The Obscure
Musician●Andy James(guitar) Title●In The Wake Of Chaos(2007年) ■Lion Recordsより購入
英国出身のメタル寄りテクニカル系ギタリストAndy Jamesの2ndリーダー作「In The Wake Of Chaos」です。Andy Jamesはまだまだ知る人ぞ知ると感じの認知度ではないかと思われますが、「Secred Mother Tongue」というエクストリーム系メタルバンドでも活躍していますね。「Grooveyard Records」というアメリカのレーベルから2007年にリリースされています。1st「Machine」と同様にすべての楽器を自分でこなすという若手ミュージシャンならではの家内制手工業的な作品です。
いまや絶滅危惧種的な(?)扱いを受けているシュレッド系のギタリストなのですが、一時期あまた出現したネオクラシカル系とは一線も二線も画した個性を感じさせます。 ●Musician Andy James / all instruments
●Numbers 1. In the Wake of Chaos 2. Broken Ballerina 3. Shine On Through 4. Devils Day 5. Tapt 6. Revelation 7. Lost Without You 8. Octavia 9. Chaos Theory 10. Against the Gods 11. Gates of Heaven
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