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フリージャズ

2016年7月31日 (日)

The Spontaneous Music Ensemble / Karyobin(1968年)

Index
Musician●The Spontaneous Music Ensemble
Title●Karyobin(1968年)
■Amazonより購入


英国のフリー系打楽器奏者、John Stevensが中心となって結成された「The Spontaneous Music Ensemle」(SME)による2枚目のアルバム「Karyobin」が国内初CD化ということで入手しました。1968年リリース。確かアナログ盤を所有していたと思うのですが、例によって行方不明。「SME」関連はほかに「Withdrawal」を所有していますが、まだ十分に聴き込んでいない状態です。ご存じの通り一筋縄では語れない曲者集団。「SME」はJohn Stenensが1994年に亡くなるまで継続していたようですが、晩年期のJohn Stevens名義のアルバムにはAllan HoldsworthやGordon Beckを招聘するなど、常に英国ジャズの親分として君臨していました。

John Stevens / drums
Evan Parker / soprano sax
Kenny Wheeler / flugelhorn,trumpet
Dennis Balley / guitar
Dave Holland / bass

クレジットではDennis BalleyとなっていますがDerek Balleyです。Kenny Wheelerはカナダ出身ですがいずれも英国フリージャズ界を語るうえでは欠かせない重要人物ばかり。68年という時期なのでDave Hollandはマイルス楽団との掛け持ち参加ですね。

英国ジャズと一口に言っても一括りで語ることは不可ですが、ちょうど同時期に頭角を現したJohn Surmanあたりが「動」ならば、SMEは「静」のイメージが強いですね。勢いで押し倒すというよりも、知性でじんわりと攻め立てるという感じでしょうか(自分でも何が言いたいのかよくわかりません)。評価が非常に難しい作品であり、聴くものを選んでしまうことは確かですが、資料的な意味合いからやはり聴いておきたい盤です。個人的にはペコペコと鳴るBalleyのギターが何だかな~と思いながら聴いています。

●Musicians
John Stevens / drums
Evan Parker / soprano sax
Kenny Wheeler / flugelhorn,trumpet
Dennis Balley / guitar
Dave Holland / bass

●Numbers
1.  Part1
2.  Part2

2016年3月26日 (土)

Schnellertollermeier / X(2015年)

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Musician●Schnellertollermeier
Title●X(2015年)
■iTunesより購入


スイス出身のハードコア系フリージャズバンドSchnellertollermeierによる3枚目のアルバムです。フリー系専門レーベル「CUNEIFORM」より2015年リリース。ディスクユニオンのレコメン情報を頼りに入手しました。どうやらこれが世界的なデビュー作のようです。

Andi Schnellmann / ass
Manuel Troller / guitar
David Meier / drums

という3人組のバンドなんですが動画を見るかぎり皆さんまだ若手という感じですね。すでに欧州では知る人ぞ知るという存在のようで大規模なフェスでも結構な動員数を誇るとか。バンド名はメンバーのファミリーネームを連結したものだと思われます。

バンドインフォメーションによれば、ロック、ジャズ、プログレ、パンクなどの要素を取り入れたフリー系を得意とするようで、確かに聴いてみると圧倒的なテクニックと尋常でないハイテンションでガンガン疾走するパワータイプ。類型を探すのは結構難しいのですが、あえて言えば爆裂的な破壊力という意味では「Scorch Trio」に近いかな、という印象です。もっともこの手のフリー系バンドに対して類型を求めること自体が無意味なのかもしれません。個人的にはミニマル的なリフが麻薬的な魅力を放つ#1「X」がベスト。

実は2ndアルバム「Zorn einen ehmer uttert stem!!」(2010年)もiTunesで入手できます。こちらはまだガムシャラに音を詰め込んだという感じで、完成度としてはいまひとつです。


●Musicians
Andi Schnellmann / bass
Manuel Troller / guitar
David Meier / drums

●Numbers
1.  X
2.  Backyard Lipstick
3.  Riot
4.  Sing For Me
5.  Massage Du Printemps
6.  ///\\\///

2014年11月 2日 (日)

フリー系サックス奏者Francois Corneloup「Pidgin」にMarc Ducretが参加

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Musician●Francois Corneloup(baritone sax)
Title●Pidgin(2004年)
■Amazon Franceより購入


ブログの更新が滞ってしまっています。8月以降、家族の手術、入院、転院などがたて続きに発生し、そのたびに仕事を休まなければならずということで、てんてこ舞いの日々です。保険や行政サービスなど、普段は無意識だったことにも直面し、確かに勉強にはなるものの、やはり無縁のままでいるほうがいいと言えばいいですよね。当面、入院は続きそうなので、私自身が倒れたりしないように気をつけないと…。というわけで、当欄の更新もしばらくの期間は不定期になりそうです。

と言っても音楽は聴き続けています。いや、ちょっと辛いときこそ音楽で癒されることのほうが多いような気がします。まったく音楽を聴かない人もなかにはいますが、精神力が強いのか、あまり辛いことに直面していないのか。これはわかりません。

あだしごとはさておき。

久々にフランスが生んだフリージャズギターの奇才Marc Ducret(マルク・デュクレ)関連音源です。今回は同じフランス出身のフリー系サックス奏者Francois Corneloupの作品「Pidgin」にゲスト参加したもの。Francois Corneloupはもう1作リーダーアルバムを出していますが、これにもDucretが参加しています。

というわけで参加メンバーのご紹介。
Francois Corneloup / baritone sax
Yves Robert / trombone
Marc Ducret / guitar
Eric Echampard / drums

まずはベースレスでバリトンとトロンボーン2本という何とも重厚な構成に若干引いてしまいますね(笑)。トロンボーンのYves RobertとドラムのEric EchampardはDucret周辺人物としてはお馴染みの面子という意味で、抜群の安定感が感じられます。サウンド面でベース不在はバリトンがカバーする発想なのでしょうか。

さて、拝聴。サックス奏者とDucretとの組み合わせといえば、Tim Bernneが有名ですが、このFrancois Corneloupとの共演もなかなかの素晴らしい出来映えです。全曲が完全フリーなのでかなり聴く人を選んでしまう作品ですが、これはDucretファンにとって必聴かも。例によって縦横無尽、自由奔放、アイディア満載のギターソロを堪能でき、決して冗漫にならず漏れなく楽しめます。Eric EchampardとYves Robertの好サポートも光りますね。

●Musicians
Francois Corneloup / baritone sax
Yves Robert / trombone
Marc Ducret / guitar
Eric Echampard / drums

●Numbers
1.  Introduction Bruges
2.  Pidgin
3.  La Maison Dort
4.  Tell
5.  Ophelie Nage

2014年4月11日 (金)

ECMの超問題作。Michael Mantler「The Jazz Composers Orchestra」

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Musician●Michael Mantler(composer,conductor)
Title●The Jazz Composers Orchestra(1968年)
■ディスクユニオンお茶の水Jazz館で購入


ECM初期の問題作、Michael Mantler(マイケル・マントラー)による「The Jazz Composers Orchestra」です。1968年リリース。いまでこそリリスズム溢れる諸作品を送り出すブランドイメージが定着していますが、レーベル発足当初は、かなり意欲的かつ実験的でアグレッシヴな作品をリリースしていました。この「The Jazz Composers Orchestra」のその中の一つで、マイケル・マントラーが指揮するところの大オーケストラとソロイストがガチンコ勝負を展開するというもの。1968年1月24日、5月8日、6月20日、6月21日の4日間にわたって録音されています。

ソロイストを務めるミュージシャンは曲順に、
Don Cherry(cornet)
Gato Barbieri(tenor sax)
Larry Coryell(guitar)
Roswell Rudd (trombone)
Steve Swallow(bass)
Pharoah Sanders(tenor sax)
Cecil Taylor(piano)
というメンツ。
特に#2「Communications #9」で聴かれるLarry Coryellの奇っ怪なギターと、#6「Communications #11-Part 2」でのCecil Taylorの鬼神のようなピアノソロが大変印象的です。いわゆるバックに回った形のミュージシャンを見ても、Randy Brecker、Steve Lacy、Steve Marcus、Carla Bley、Ron Carter、Charlie Haden、Eddie Gomezなどの後に大物へと大成した人たちの名前がずらり。Ron Carterを除けばまだまだ新進気鋭の若手ミュージシャンだったわけで、逸材を発掘し育てる育成型レーベルの原型を見ることができます。


●Musicians
Michael Mantler / composer,conductor
Don Cherry / cornet on #1
Lloyd Michels / fluegelhorn
Randy Brecker / fluegelhorn
Stephen Furtado / fluegelhorn
Bob Northern / fluegelhorn
Julius Watkins / fluegelhorn
Jimmy Knepper / trombone
Roswell Rudd / trombone on #3
Jack Jeffers / bass trombone
Howard Johnson / tuba
Steve Lacy / soprano sax
Al Gibbons / soprano sax
Steve Marcus / soprano sax
Gene Hull / alto sax
Bob Donvan / alto sax
Frank Wess / alto sax
Bob Donovan / alto sax
Jimmy Lyons / alto sax
Gato Barbieri / tenor sax on #1
Lew Tabackin / tenor sax
George Barrow / tenor sax
Pharoah Sanders / tenor sax on #4
Charles Davis / baritone sax
Larry Coryell / guitar on #2
Carla Bley / piano
Cecil Taylor / piano on #6
Kent Carter / bass
Ron Carter / bass
Richard Davis / bass
Charlie Haden / bass
Reggie Workman / bass
Eddie Gomez / bass
Steve Swallow / bass on #3
Bob Cunningham / bass
Reggie Johnson / bass
Alan Silva / bass
Andrew Cyrille / drums
Beaver Harris / drums

●Numbers
1.  Communications #8
2.  Communications #9
3.  Communications #10
4.  Preview
5.  Communications #11-Part 1
6.  Communications #11-Part 2

2013年8月24日 (土)

新鋭トロンボーン奏者Samuel Blaser「As The Sea」にMarc Ducretが参加

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Musician●Samuel Blaser(trombone)
Title●As The Sea(2012年)
■Amazonより購入


Samuel Blaser(サミュエル・ブラッサー)はスイス出身の新進気鋭のトロンボーン奏者です。前作「Boundless」(2011年)に続くフランスの奇才Marc Ducret(マルク・デュクレ)が参加しているということで漁盤しました。2011年11月5日、6日にかけてベルギーで行われたライブ音源になります。参加メンバーはMarc Ducret(guitar)に加えてBaenz Oester( bass)、Gerald Cleaver(drums)と前作とまったく同じ構成です。Gerald CleaverはRaoul Bjorkenheim(guitar)のアルバムに参加するなど、最近個人的に注目しているミュージシャンです。引き続きフリー系としては知る人ぞ知るスイスのレーベル「Hat Hut」からリリース。

内容はというと前作と同様、完全な欧州系フリージャズ。一応、曲タイトルとしては4編から構成される組曲の形をとってはいますが、これも前作と同じようにBlaserとDucret両者によるインタープレイの連続です。こうしたフリーインプロの場合、メンバーの誰かが緊張感に欠いたり、誰かが極端に場を乱すような行動に出てしまうと、途端に冗漫でつまらない作品になってしまうように思えます。かといって、逆に調和を重視してしまうとフリーとは言い難くなるという、実にややこしい二律背反性を秘めています。ぎりぎりのラインで成立させてしまう力技と高度なインテリジェンスにはひたすら感心してしまいます。耳はどうして主役級の二人に傾いてしまいますが、リズム隊の活躍ぶりにも注目です。

●Musicians
Samuel Blaser / trombone
Marc Ducret / guitar
Baenz Oester / bass
Gerald Cleaver / drums

●Numbers
1.  As The Sea Part 1
2.  As The Sea Part 2
3.  As The Sea Part 3
4.  As The Sea Part 4

2013年6月 9日 (日)

英国フリージャズを代表する打楽器奏者Tony Oxleyの「The Baptised Traveller」

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Musician●Tony Oxley(drums)
Title●The Baptisesed Traveller(1970年)
■Amazonより購入


英国を代表する打楽器奏者Tony Oxley(トニー・オクスリー)は1960年代後半から頭角を現したフリー系ミュージシャンです。おもにJohn SurmanやDerek Baileyあたりと活動することが多く、この時期におけるジャズロックの重要作品では欠くことのできない重要人物でした。Oxleyの「4 Compositions For Sextet」と並ぶ代表作がこの「The Baptisesed Traveller」です。1970年リリース。参加メンバーがとにかく豪華です。Evan Parker (tenor sax)、Kenny Wheeler (trumpet)、Derek Bailey (guitar)、Jeff Cline (bass)と当時の英国ジャズロック界の重要人物ばかり。Kenny Wheelerはカナダ人ですが、当時英国を拠点に活動していました。

音のほうは完全にゴリゴリのジャズロックで、時としてフリージャズへと流れが変わるのはギターのDerek Baileyの存在が大きいように思われます。Wheelerものちの牧歌的な作風がまったく想像できないほどアグレッシブで、終始雄叫びを上げています。Evan Parkerとともに左右から波状攻撃的に襲ってくる音の洪水には悶絶必至です。個人的に注目したいのが#3「Stone Garden」でアルバム全体の混沌としたカオスの中、まるで讃美歌のような静寂さをたたえたもの悲しい楽曲です。かなり異質といえば異質な曲なのですが、英国ジャズロック界の底力を感じさせます。

●Musicians
Evan Parker / tenor sax
Kenny Wheeler / trumpet
Derek Bailey / guitar
Jeff Cline / bass
Tony Oxley / drums

●Numbers
1.  Crossing
2.  Arrival
3.  Stone Garden
4.  Preparation

2012年10月 6日 (土)

ECMの異色作品Krakatauの「Volition」

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Musician●Krakatau
Title●Volition(1991年)
■Amazon USAより購入

フィンランド出身のフリー系&爆裂系ギタリストRaoul Bjorkenheim(ラオル・ビョーケンヘイム)が率いるユニット「Krakatau」が1991年に発表した第1作です。ECMレーベルからリリース。ECMレーベルというと透明感とリリシズムあふれる作品群を思い起こす方がほとんどだと思いますが、この「Krakatau」の音楽性は対極の位置にあると思います。ここで聴かれる音はとんでもないカオスの世界であり、原始的な土着性であり、暴力性であったりします。ちなみに「Krakatau」はインドネシアの火山島の総称で、そういえば打楽器などは韓国風だったり東南アジア風だったりします。

BjorkenheimはMarc Ducretあたりに通じるフリー系ギタリストであり、当欄でもたびたび取り上げている「Scorch Trio」というやはり爆裂系のトリオで活動中です。ここでは北欧風の土着音楽と東南アジアの土着音楽の融合という前代未聞のことを試みています。その意味では、ECMの代名詞ともいえる「癒し系」の要素はまったくなく、そうした部分を期待してこの作品を聴くとトンでもないしっぺ返しに遭うと思います。

●Mucicians
Raoul Bjorkenheim / guitars,shekere
Jone Takamaki / tenor saxophone,krakaphone, toppophone,whirlpipe
Uffe Krokfors / acoustic bass
Alf Forsman / rums

●Numbers
1.  Brujo
2.  Volition
3.  Nai
4.  Bullroarer
5.  Changgo
6.  Little Big Horn
7.  Dalens Ande

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2012年9月15日 (土)

スイス出身の新鋭トロンボーン奏者Samuel Blaser「Boundless」にMarc Ducretがゲスト参加

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Musician●Samuel Blaser(trombone)
Title●Boundless(2011年)
■Amazonより購入


当欄が半ば意地になりながら音源蒐集をしているフランスの奇才Marc Ducret(マルク・デュクレ)ですが、そもそもアーティスト情報が少ないうえに神出鬼没的にほかのミュージシャンの作品に客演することが多く、その意味でも「追いかけがいのいある」ギタリストです。とはいえ、いまはネットという強力な武器があるので、大いに助かっているのですが。「病膏肓に入る」とはまさにこのことです。

そんなわけでネット情報を頼りに引っかけたのがこの音源です。主役のSamuel Blaser(サミュエル・ブラッサー)という人はまったくのお初ですが、スイス出身の気鋭のトロンボーン奏者で現在ベルリンを中心にアンダーグラウンドな活躍をしているとか。アングラと表現したのは、メジャーな存在ではないという意味で、フリー界では引く手あまたの期待の星だとか。年齢的に30歳前後ということですがすでにリーダー作を何枚かリリースしています。参加メンバーは例によってお目当てのMarc Ducret(guitar)、Baenz Oester(bass)、Gerald Cleaver(drums)といったベテランぞろい。

内容はというと完全な欧州系フリージャズ。Samuel Blaserは実年齢に似合わない重厚かつ老成したトロンボーンを聴かせてくれます。一応、曲タイトルとしては4編から構成される組曲の形をとってはいますが、完全にBlaserとDucret両者によるインタープレイの連続です。まさに丁々発止、息を飲む緊張感の連続が延々と続きます。特に#2「Boundless Suite Part II」での盛り上がりぶりには窒息寸前です。

しかして、音質にやや難があるなと思っていたら、ライブ音源だったのですね。当欄のスタイルをあえて崩してデータを最後に記します。2010年10月7日、8日、9日の間のライブ音源です。スイスのローザンヌ、チューリッヒ、バーゼルでの収録です。フリー系レーベルとしては知る人ぞ知るスイスのレーベル「Hat Hut」からリリースされています。

●Musicians
Samuel Blaser / trombone
Marc Ducret / guitar
Baenz Oester / bass
Gerald Cleaver / drums

●Numbers
1.  Boundless Suite Part II
2.  Boundless Suite Part II
3.  Boundless Suite Part III
4.  Boundless Suite Part IV

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2012年7月 6日 (金)

混沌のデュオMarc Ducretの「Silent Vociferation」

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Musician●Marc Ducret(guitar)
Title●Silent Vociferation(2010年)
■Amazon Franceより購入


深刻な「円高ユーロ安」がまだまだ続いています。輸出産業にとって大きな痛手なわけですが、私のような個人輸入で漁盤している人間にとっては強烈な追い風でもあるのです。不謹慎を承知で言えば、この好機に乗じてふだんはなかなか手が出ない欧州盤チェックをする毎日です。欧州盤はたとえCD本体が安くても送料がバカにならないケースが多いのですが、比較的リーズナブルなお値段で貴重盤が入手できる状況は滅多にありません。

フランスのフリー系ギタリストMarc Ducret(マルク・デュクレ)は当欄でもすっかりお馴染み(?)になっていますが、やはり仏密林に貴重盤が転がっていることは言うまでもありません。で、見つけたのがこの音源です。お約束通り、クレジット情報などがまったく記載されていないのが、今回はデンマーク出身のLiudas Mockunasというサックス奏者とデュオ作品です。2009年リリース。Liudas MockunasとDucretとの接点はアルバム「Toxikum」での共演がきっかけだと推測されます。

今回、コンビを組むLiudas Mockunasというサックス奏者ですがこれまた勉強不足で存じ上げないのですが、聴くかぎりはフリー系のお方で、タイプとしてはDucretの相棒とも言えるTim Bernneをさらにフリー寄りにした感じです。2006年10月のリトアニア、2004年のデンマークでのライブ音源を収録したものです。

完全なるフリー系インプロの連続なので、かなり聴く人を選ぶことだけは確かです。両者の喜怒哀楽、息づかい、囁き、絶叫などあらゆる感情表現が楽器を通して切々と迫ってきます。だから聴く立場としても相応の覚悟と集中力が必要です。正直に言いましてDucretマニアに私にとってもかなり辛い音源です。

●Musicians
Marc Ducret / fretless guitar
Liudas Mockunas / soprano,baritone,tenor sax

●Numbers
1.  Struggle
2.  Frozen
3.  Nu Clear
4.  Alive
5.  End Of Poetry
6.  Freeze Up
7.  And

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2012年6月15日 (金)

フリー系サックス奏者Tim Berneの「Paraphrase Pre-Emptive Denial」

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Musician●Tim Berne(sax)
Title●Paraphrase Pre-Emptive Denial(2005年)
■ディスクユニオンで購入


フリー系サックス奏者Tim Berne(ティム・バーン)によるライブ盤を入手したのでご報告します。2005年5月に「David Potaux-Razel The Stone」という場所で行われたライブを収めたもので、かつてECMレーベルで活躍したギタリスト、David Tornがスタジオワークを担当しています。Tm BerneとTornはしばしば行動を共にしていますね。ライブ当日のメンバーはTom Rainey(drums)、Drew Gress(bass)というトリオ構成です。

いつもはフランス出身のフリー系ギタリストMarc Ducretが加わるカルテット構成が多いのですが、今回はギター抜きの三つ巴による完全ガチンコスタイル。おそらくBerne自身が描いたと思われる手書きのいジャケットには「このCDを4時間以上聴いてしまった人は、どうか主治医に診断を受けてもらってください」という人を喰ったようなコメントが書かれています。たしかに延々と繰り返される激しいインプロの応酬は聴き応えがあるというレベルを遙かに越えた「音圧の暴力」だといっても過言ではありません。体力、気力とも十二分に整えてから心して臨んでいただけたらと思います。しかし、後期コルトレーンの系譜を汲みとても商業ベースに乗るとは思えない「正統派フリーサックス」(言葉自体が矛盾していますが)は今となっては稀少な存在ですね。

●Musicians
Tim Berne / sax
Tom Rainey / drums
Drew Gress / bass

●Numbers
1.  Trading On All Fours
2.  We Born To Royalties

R0011252


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