2021年10月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

最近のトラックバック

フリージャズギター

2016年4月24日 (日)

David Fiuczynski / Flam! Blam! Pan-Asian Micro-Jam!(2016年)

Flamblam_600600_72
Musician●David Fiuczynski(fletless guitars)
Title●Flam! Blam! Pan-Asian Micro-Jam!(2016年)
■HMVより購入


フレットレスギターの怪人David Fiuczynskiの新譜が出たので早速入手しました。自身名義としては「Planet Microjam」(2012年)以来ですから、この手のジャンルとしては異例のハイペースでのリリースですね。前作同様「Rare Noise」より。

David Fiuczynski / fletless guitars,programming,sonic-piano,percussions
Helen Sherrah-Davies / viollin on #1-#7
Yazhi Guo / oboe,chinese percussions on #1-#7,#9
Utar Artun / microtonal keyboards on #1-#3,#5-#8,#10
Jake Sherman / microtonal keyboards on #1-#3,#5-#7,#10
Justin Schornstein / fletless bass
Alex "BisQuiT"Balley / drums,bells,percussions

Special Guest
Rudresh Mahanthappa / alto sax on #8-#10

全曲がFiuczynskiオリジナル。「Planet Microjam」ではジャズと中東圏、アジア圏の土着音楽との融合を試みていましたが、本作はその延長線上にあります。前作よりも中東よりアジア圏に近づいてきているようで、その象徴と言えるのが#6「Gagaku Chord Of Candy」で、何と雅楽にまで触手を伸ばしてきました。いやー、ここまで来るともう誰もついてこれないというか、相当にマニアックな領域にまで突入してしまった感が。「Planet Microjam」でも追究されていた彼独自の音楽理論「microtonal」の実践は、そもそも西洋的な音階からの離脱、西洋音楽=ジャズの否定から入っていると思いましたが、すでにジャズ的な要素は皆無になってしまい、完全にアヴァンギャルド化してしまったようです。

このアルバム、若手有望株Rudresh Mahanthappaのゲスト参加が一つの目玉だと思いますが、案の定、Fiuczynskiが発散する毒気にすっかりあてられてしまい、存在感を示すことすらできない状態。確かにいまのFiuczynskiは前人未踏の領域をひた走っている状態で、下手にFiuczynskiの近くに寄ると大火傷してしまいそうです。

●Musicians
David Fiuczynski / fletless guitars,programming,sonic-piano,percussions
Helen Sherrah-Davies / viollin on #1-#7
Yazhi Guo / oboe,chinese percussions on #1-#7,#9
Utar Artun / microtonal keyboards on #1-#3,#5-#8,#10
Jake Sherman / microtonal keyboards on #1-#3,#5-#7,#10
Justin Schornstein / fletless bass
Alex "BisQuiT"Balley / drums,bells,percussions

Special Guest
Rudresh Mahanthappa / alto sax on #8-#10

●Numbers
1.  Loon-Y Tunes
2.  Dance Of The UiraPuru
3.  Flam
4.  Q & A Solitaire
5.  Oisequx JDillique
6.  Gagaku Chord Of Candy
7.  Waldstimmen
8.  Uira Happy Jam
9.  Organ Wren
10. Loon-Ly Solitaire

2016年3月27日 (日)

Marc Ducret / Le Sens De La Marche(2007年)

Image_b
Musician●Marc Ducret(guitar)
Title●Le Sens de la Marche(2007年)
■Amazon Franceより購入


久々にMarc Ducret物件です。2007年11月アヴィニョンと2003年4月26日「Auditorium du Thor」のライブ(#4)を集めた代物です。このアルバムも結構早くに入手して聴いていたのですがいざレヴューにあたってはかなりの難敵でして、いままで放置しておりました。

Marc Ducret / guitar
Bruno Chevillon / bass,electric bass
Eric Echampard / drums
Antonin Rayon / piano,electric piano,clavinet
Paul Brousseau / keyboards,samplers
Tom Gareil / vibraphone,marimba
Matthieu Metzger / alto,soprano sax
Hugues Mayot / tenor,baritone sax
Yann Lecollaire / clarinets,flute,ophone
Pascal Gachet / trumpet,fluegelhorn,bass trumpet
Jean Lucas / trombone

ベースのBruno ChevillonとドラムのEric EchampardはDucretと旧知の仲の強力リズム隊ですね。いまのDucretにとっては10名以上の大コンボというか管楽器を多数擁した編成は珍しくありませんが、おそらくこのライブが初めてのケースではないでしょうか。いろんな意味で実験的ですし、チャレンジフルなライブであることには違いありません。そんなことのあって、これは迂闊に下手なことを書けないな、という思いがあったりしたわけです。その間、例の「Tower」シリーズで管楽器入りの大編成ライブに対して免疫力もついてきたところで、再聴。

そもそもすべてのメンバーの演奏力が完璧すぎるので曲間の拍手で初めてライブ音源だと気がつくほどなのですが、それにしても凄まじいを通り越しているライブです。曲はあくまでもシリアスでダーク。大編成だからといって途中でダレることがなく、すべてのパートが一糸乱れずに完璧にコントロールされています。Ducretの統率力なのか、メンバーの技量がDucretと同等なのか。私などは#1で展開される圧倒的なポリリズムだけで卒倒しかけました。聴く者をかなり選ぶ音源であることは確かですが、いったん魅力にハマってしまうと二度と抜け出すことができない恐ろしいライブです。

●Musicians
Marc Ducret / guitar
Bruno Chevillon / bass,electric bass
Eric Echampard / drums
Antonin Rayon / piano,electric piano,clavinet
Paul Brousseau / keyboards,samplers
Tom Gareil / vibraphone,marimba
Matthieu Metzger / alto,soprano sax
Hugues Mayot / tenor,baritone sax
Yann Lecollaire / clarinets,flute,ophone
Pascal Gachet / trumpet,fluegelhorn,bass trumpet
Jean Lucas / trombone

●Numbers
1.  Total Machine
2.  Tapage
3.  Le Menteur Dans L'Annexe
4.  Aquatique
5.  Nouvelles Nouvelles Du Front

2015年11月28日 (土)

KRAKATAU / ALIVE(1989年)

R0013990_1024x768
Musician●Krakatau
Title●Alive(1989年)
■Gemm.comより購入


「Scorch Trio」などでの活動で知られるフィンランド出身のフリー&爆裂系ギタリスト、Raoul Bjorkenheim率いる「Krakatau」によるスタジオライブ音源です。CD化されておらずアナログ盤でのみの発売。1989年11月14日、15日、ヘルシンキにあるスタジオで収録。スタジオライブということですが、観客を入れているようです。

Raoul Bjorkenheim / guitar
Sampo Lassila / bass
Michel Lambert / drums

というトリオ構成ですが、通常「Krakatau」は大編成で臨むケースが多いのでこれはレアではないでしょうか。いや、Krakatauのライブ音源自体がレアなんですが。確かMichel Lambertのリーダー作にBjorkenheimが客演していたかと思います。

完全フリーのインプロの応酬なのですが、強力すぎるリズム隊が生み出す独特なポリリズムに身を任せていると妙なトランス状態に陥りそうです。Bjorkenheimの奔放すぎるギタープレイですが、実は念入りなリハーサルのもと計算し尽くしたものではないかと思われるほど、バンドとして一体感が完璧で、一切の破綻なく細部にわたってコントロールされたプレイにただただ圧倒されます。もちろん聴く人間をかなり選ぶことは間違いありません。途中、韓国宮廷音楽を意識したと思われる東洋風の旋律が聴かれます。

●Muusicians
Raoul Bjorkenheim / guitar
Sampo Lassila / bass
Michel Lambert / drums

●Numbers
[Side A]
1.  Sornu
2.  I'm Told
3.  Blood Hot

[Side B]
1.  Hiccup Pig
2.  Ancient Dust
3.  Surge
4.  Moter Oil

2015年10月11日 (日)

SCORCH TRIO WITH MARS WILLIAMS / MADE IN NORWAY(2011年)

R0013991_1024x768
Musician●Scorch Trio
Title●Made In Noway(2011年)
■メーカーサイトより購入


フィンランド出身のフリー&爆裂系ギタリスト、Raoul Bjorkenheim率いる「Scorch Trio」のライブ音源です。アナログ盤のみの販売で限定500枚という当欄好みのレア物件。ちなみに私のシリアルナンバーは500枚宙74番です。2011年5月23日、オスロにあるカフェ(!)および2011年5月25日、Bergenという場所でのライブ音源です。それぞれ1枚ずつ収められており、この手のフリー系ミュージシャンとしては破格のアナログ2枚という圧倒的な物量です。

Raoul Bjorkenheim / guitar
Mars Williams / tenor,alto,soprano sax,flute,toys
Ingebrigt Haker Flaten / bass
Frank Rosaly / drums

という面子。ノルウェー出身のダブルベース奏者で「Atomic」のメンバーIngebrigt Haker Flatenは、「Scorch Trio」のレコーディングにも参加歴があります。Frank Rosalyはアメリカ出身の若手ドラム奏者のようですが、Ingebrigt Haker Flatenとの交流から今回のライブに参加した模様です。Scorch Trioに招かれた形になっているサックス奏者、Mars Williamsは今年御歳60歳というベテランで、NYCを拠点に活躍するフリー系ミュージシャンで、位置どりとしてはJohn Zorn関連人脈にあたるようです。どっちにしてもかなりのアンダーグラウンドぶりが感じられる人選です。

「Scorch Trio」のライブ音源は今回が初めてですが、スタジオにおいても編集作業無しの即興演奏が主体なので、彼らの意識としてはスタジオと会場との違いでしかないのでしょう。いきなりBjorkenheimのギターが火を吹くような雄叫びをあげ、リズム隊が稼働し始めるとあとはもうカオスの世界。この3人だけでも迫力満点なのですが、Mars Williamsによるフリーキーなブロウが加わることによって、さらに混迷の度を深める形に。

全曲が完全フリーなのでかなり聴く者を選ぶ作品であることは間違いないのですが、決して冗漫になることなく異常なまでのハイテンションで最後まで疾走する圧巻のプレイからは、むしろある種の爽快感さえ感じさせるから不思議です。一聴するとハチャメチャなようでいて、実は細部の部分にまで完璧にコントロールされたインプロの嵐は、相当なインテリジェンスを備えていないとできるものではありません。北欧フリーファンは必聴といえるかも。

●Musicians
Raoul Bjorkenheim / guitar
Mars Williams / tenor,alto,soprano sax,flute,toys
Ingebrigt Haker Flaten / bass
Frank Rosaly / drums

●Numbers
[Side A]
1.  Sloo
2.  Cosl

[Side B]
1.  Loos
2.  Oslo

[Side C]
1.  Genber
2.  Enberg

[Side D]
1.  Bergen

2015年5月16日 (土)

RAOUL BJORKENHEIM / ECSTASY(2014年)

R0013859_1024x768
Musician●Raoul Bjorkenheim(guitar)
Tile●Ecstasy(2014年)
■Amazon USAより購入


フィンランド出身のフリー&爆裂系ギタリスト、Raoul Bjorkenheim(ラオル・ビョーケンヘイム)による久々の新作です。2014年、「Cuneiform Records」というレーベルからリリース。このレーベルはお初にお目にかかります。レコーディング自体は2012年12月11日~13日にかけてヘルシンキで行われています。久々の新作と書きましたが、近年では「Scorch Trio」や「Krakatau」などのユニット名でリリースされることが多かったのでBjorkenheim名義としては久しぶりだはないかと思います。相変わらずリリース情報が乏しいうえに国内ではほぼ入手不可能なことが多く、米Amazonから個人輸入を敢行しました。iTunesでは配信されているようです。

というわけで参加ミュージシャンのご紹介。
Raoul Bjorkenheim / guitar
Pauli Lyytinen / sax
Jori Huhtala / contrabass
Markku Ounaskari / drums

例によってメジャーな音楽とはまったく無縁の人たちが参加していますが、名前から判断して全員が北欧出身ではないかと推測されます。Bjorkenheimはハイパーなフリージャズの場合は「Scorch Trio」、北欧の土着音楽をはじめとして極東の民族音楽までをも視野に置いた実験音楽の場合は「Krakatau」というようにユニットを使い分けているのですが、本作「Ecstacy」はどちらかと言えば前者「Scorch Trio」に近い感じです。

Pauli Lyytinenというサックス奏者が大きく前面に押し出される形で、Bjorkenheimとの丁々発止のインプロ合戦が唯一にして最大の聴きどころ。相変わらずの爆裂フレーズを連発するBjorkenheimなのですが、テーマはサックスとユニゾンで流す場面が比較的多いので、彼の作品にしてはかなり常識にかかっています。リズム隊はどちらかというと「Scorch Trio」のパターンに近く、ドカドカとのたうち回っています。本作に限らずBjorkenheimは極めて聴く人を選ぶのですが、この作品は比較的とっつくやすいかも。それにしてもPauli Lyytinenというサックス奏者は、かなりの腕利きです。



●Musicians
Raoul Bjorkenheim / guitar
Pauli Lyytinen / sax
Jori Huhtala / contrabass
Markku Ounaskari / drums

●Numbers
1.  El Pueblo Unido
2.  SOS
3.  Deeper
4.  No Delay
5.  Through the Looking Glass
6.  As Luck Would Have It
7.  Subterranean Samba
8.  Threshold
9.  The Sky is Ruby

2015年4月 5日 (日)

MARC DUCRET / TOWER-BRIDGE(2014年)

R0013853_640x480
Musician●Marc Ducret(guitar)
Title●Tower-Bridge(2014年)
■Amazonより購入


フランスの奇才Marc Ducret(マルク・デュクレ)によるTowerシリーズの完結盤的な作品です。2014年リリース。アルバムインフォメーションがまるでないので、もしかしたらTowerシリーズの縮刷版的なものが届いたらどうしてくれようと若干不安があったのですが、届いたCDを聴いてそれは杞憂に終わりました。2012年11月15日と21日の2日間にわたるライブ録音。ほとんどの曲、参加メンバーがTowerシリーズとかぶっていますが、「Vol.3」が2012年12月17日~19日、「Vol.4」が2011年5月と2012年2月の録音ですから、まぁ“新作”と言ってもいいでしょう。そういえば当欄でVol.3を取り上げたとき、隠し玉があるのでは?と推測しましたが、案の定、隠してありましたね。

参加メンバーを整理しましょう。
Marc Ducret / guitar
Kasper Tranberg / trumpet
Dominique Pifarely / violin
Tim Bernne / alto sax
Fidel Fourneyron  / trombone
Matthias Mahler / trombone
Alexis Persigan / trombone
Fred Gastard / bass sax
Autonin Rayon / piano
Sylvain Lemetre / percussions
Peter Bruun / drums
Tom Rainey / drums

という案配です。懐かしのTim BernneとTom Raineyの名前が見られますね。Tim Bernne+Tom Raineyにヴァイオリン奏者を加えたVol.2と複数のトロンボーン奏者を配したVol.3とほぼ同じような構成になります。いわばメンバー的にはTowerシリーズオールスター大会です。

さて、拝聴です。メンバー的には本人も含めて総勢12人という大所帯になるのですが不思議と圧迫感というか暑苦しさを感じさせません。これはDucretがメンバーはもちろんのこと、曲の細部に至るまで完璧にコントロールしているからで、完全フリーの中での統合性という相矛盾する要素を同時にやってのけている点に驚きを感じます。しかもライブ録音という状況下で。Ducret関連の音源はかなり聴いてきたつもりですが、これほど完成度が高いライブ音源にはなかなか出会えません。フランスとポーランドのライブ盤「「Live 1」 「Live2」もかなりの傑作だと思いますが、このアルバムもそれに匹敵するのではないかと思います。

●Musicians
Marc Ducret / guitar
Kasper Tranberg / trumpet
Dominique Pifarely / violin
Tim Bernne / alto sax
Fidel Fourneyron  / trombone
Matthias Mahler / trombone
Alexis Persigan / trombone
Fred Gastard / bass sax
Autonin Rayon / piano
Sylvain Lemetre / percussions
Peter Bruun / drums
Tom Rainey / drums

●Numbers
[CD 1]
1.  Sur l'Electrcite
2.  Real Thing #1
3.  Real Thing #2

[CD 2]
1.  Real Thing #3
2.  Softly Her Tower Crumbled in the Sweet Sun
3.  L'Ombra di Verdi

2014年7月20日 (日)

「Screaming Headless Torsos」の「Live!!」を聴き直す

R0013682_1024x768
Musicin●Screaming Headless Torsos
Title●Live!!(1996年)
■Amazonより購入


変態系ギタリストの雄、David“FUZE”Fiucznski率いる変態ファンクユニット「Screaming Headless Torsos」が1996年9月8日と9日にNYCで行ったライブ音源です。もちろんかなり前に入手していたのですが、先日聴き直してみようとしたら悲しいことに音飛びという悲劇に。というわけで買い直した次第です。

さて、メンバー紹介を。
David “FUZE”Fiucznski / guitar
Dean Bowman / vox populi
Fima Ephron / bass
Daniel Sadownick / percussions
Gene Lake / drums

1996年当時の“FUZE”はまだまだNYC周辺でうろつくアンダーグラウンドで知る人ぞ知るという存在だったと思いますが、この「Screaming Headless Torsos」での圧倒的なパフォーマンスで知名度をグンと上げたような記憶があります。ユニットの表看板は“FUZE”と驚異のヨーデルヴォイスの使い手Dean Bowmanの2人ですが、バックを支えるリズム隊の凄さも半端ではないですね、いま聴き直しても。しかもライブ後の“後編集”は一切されていないということですから、ただただ驚くばかりです。

この音源を入手する人は漏れなくユニット名義の1st「1995」と合わせて聴いていると思いますが、スタジオ盤での高揚感を数倍増しにしたかのような異常なハイテンションにただ圧倒されます。ちなみにユニットの十八番#2「Smile in a Wave」はMiles Davisの「Jack Johnson」に対するオマージュ的な楽曲、#10「Dig a Pony」はご存じビートルズの「Let It Be」収録曲のカバーです。

●Musicians
David Fiucznski / guitar
Dean Bowman / vox populi
Fima Ephron / bass
Daniel Sadownick / percussions
Gene Lake / drums

●Numbers
1.  Just for Now
2.  Smile in a Wave
3.  Jazz Is the Teacher
4.  Blue in Green
5.  Word to Herb
6.  Hope
7.  Vinnie
8.  Darryl Dawkins'Sound of Love
9.  Kermes Macabre
10. Dig a Pony

2013年10月 4日 (金)

インド系ギタリストPrasannaの2nd「Be The Change」

R0012720
Musician●Prasanna(voice,guitar,alto-sax)
Title●Be The Change(2003年)
■Amazon USAより購入


インド出身で現在はアメリカに活動拠点を置くギタリスト、Prasanna(プラサンナ)による2枚目のリーダー作です。2003年リリース。近年ではSteve Smith率いる「Raga Bop Trio」での活動でも知られています。

初リーダー作「Electric Ganesha Land」(2006年)はほぼ全員がインド系ミュージシャンを従えた言わば習作的な要素が強く感じられたのですが、今回はAlphonso Johnson(bass)、Victor Wooten(bass)、Andy Suzuki(tenor-sax)といった腕利きミュージシャンを迎えた力作に仕上がっています。前作はジミヘンへのトリビュートアルバムという性格上、ロックタッチで暴力的な荒々しさが感じられたのですが、今作はジャズ、フュージョンの要素をふんだんに取り入れつつも、彼の出自であるインド民族音楽を絶妙な配合でブレンドすることで、良質なワールドミュージックへと昇華させています。何という長足の進歩なのでしょう!

音的には前作よりもかなり一般化されて聴きやすくなっているのですが、かといって凡庸な作品に陥ることなく面白い作品にきっちりと仕上げてしまうPrasannaの力量の高さにはただ驚くばかり。特にAlphonso Johnsonのフレットレスが唸る#4「Raga Bop」ではジャズ寄り超高速パッセージをアコギでもってこともなさげに弾きこなしています。最後の#10「Kalyani Connection」は同年に亡くなったShawn Laneに捧げた曲ですが、そういえばShawn Laneも晩年はインド志向を強めていました。インドつながりで思うところがあったのでしょうね。ジャズロック愛好家はもちろん、ワールドミュージック好きの人にも自信をもってお勧めします。


●Musicians
Prasanna / guitar,vocals,konnakol,tala
Alphonso Johnson / bass,fretless bass,acoustic bass on #3,#4,#6,#7,#10
Victor Wooten / bass on #1,#2 #5,#9
Shalini / vocals on #3,#9
Andy Suzuki / tenor sax,acoustic piano,clarinet,bass clarinet,alto flute,alto sax on #3,#6,#7,#9,#10
Jeff Coffin / tenor sax,flute,clarinet,soprano sax, bass clarinet,alto flute on #1,#2,#5
Ralph Humphrey / drums on #3,#4,#6,#7,#10
Derico Watson / drums on #1,#2,#5,#9

●Numbers
1.  Pangaea Rising
2.  Ta ka ta ki ta Blues
3.  Satyam
4.  Raga Bop
5.  The Grapevin
6.  Dharma becomes Alibama
7.  Uncensored
8.  Bliss Factor-Part I
9.  Bliss Factor-Part II
10. Kalyani Connection (dedicated to Shawn Lane)

2013年9月 1日 (日)

インド系フリーギタリストPrasannaが贈る変態世界「Electric Ganesha Land」

R0012639
Musician●Prasanna(guitar)
Title●Electric Ganesha Land(2006年)
■Amazonより購入


スーパードラマーSteve Smithが結成した「Raga Bop Trio」(2010年)で珍妙なギターとインド風ラップを披露していたインド出身のギタリスト、Prasanna(プラサンナ)によるリーダー作です。2006年リリース。タイトルはもちろんJimi Hendrixの名盤「Electric Lady Land」をオマージュしたもので、Prasanna自身もジミヘン信奉者であると同時に、アルバム自体もジミヘンへのトリビュートものとして謳われています。

Prasannaの芸風はギターでシタールのような珍妙なフレーズを凄まじいスピードで弾き倒すという特異なスタイル。そんな彼がジミヘンをどうやってトリビュートするのか大変興味深いところですが、期待に違わぬ珍妙なフレーズの連発を披露してくれています。注意深く聴いてみると、フレーズの端々にブルース、ハードロック、ジャズの要素をさりげなく取り入れつつ、自らのルーツであるインド民族音楽をしっかりと現代音楽へと昇華しています。ただ単純に「民族系ミュージシャン」としてカテゴライズするのは勿体ないほど、芸風に奥行きが感じられます。

さて、ふと我に返るとこのアルバムのどこがジミヘントリビュートなのだろうかと思ってしまいますが、ジミヘン的な要素から音楽的に自由になることで、自分のやりたい音楽を作り上げることに成功しているのではないでしょうか。


「Raga Bop Trio」も投入します♪

●Musicians
Prasanna / guitar,konnakol,bass
Haridwaramangalam A.K.Palanivel / thavil
B.S.Purushotham / kanjira,konnakol
Prapancham Ravindran / mridangam
S.Karthick / ghatamand konnakol

●Numbers
1.  Eruption in Bangalore
2.  Snakebanger's Ball
3.  4th stone from the Sun
4.  Dark Sundae in Triplicane
5.  Indra's necklace
6.  9th Stone from the Sum
7.  Iguana on a funky trail
8.  8th Avenue and East Mada street
9.  Pot Belly Blues
10. Sri Jimi
11. Bowling for Peace

2013年8月31日 (土)

北欧の爆裂系ギタリストRaoul Bjorkenheimの新ユニット「KALABALIK」

R0012638
Musician●Raoul Bjorkenheim(guitar)
Title●Kalabalik(2013年)
■Amazon USAより購入


フィンランド出身の爆裂&フリー系ギタリスト、Raoul Bjorkenheim(ラウル・ビョーケンヘイム)といえば「Scorch Trio」での活動が有名ですが、突如として別ユニットを立ち上げることでも知られています。ECMからリリースされている東洋音楽に強くインスパイアされた「Krakatau」などもその一つだと思われます。今回のユニット「KALABALIK」はトルコ語で「雑踏」という意味だそうです。ユニット名の珍妙さはともかく、ギター2本と打楽器奏者という変則編成にも驚かされます。Anders Nilsson(guitar)とGerald Cleaver(drums)というトリオなのですが、もう一人のギタリストAnders Nilssonは名前から判断してスウェーデン出身、打楽器奏者Gerald Cleaverはアフリカ系ミュージシャンです。最近ではトロンボーン奏者Samuel BlaserのアルバムでMarc Ducret(guitar)と共演しています。

このアルバムは2011年1月2日、NYCの「Downtown Music Gallery」でのライブ音源になります。数年前に同会場でのライブ音源がリリースされていますが、同じ流れというなるのでしょうか。リミックス作業はやはりNYCを拠点に活動するフリー系ギタリスト、Robert Mussoが担当しています。Anders NilssonはMarc RibotやElliot Sharpが一押しのギタリストということですから、その芸風たるや推して知るべし、という塩梅でしょうか。

ギタリスト2名と打楽器奏者という編成にかなりの戸惑いを感じてしまうのですが、Bjorkenheimは左サイド、Anders Nilssonは右サイドを担当。Bjorkenheimへ例によって例のごとく、凄まじい爆裂ソロをいきなり炸裂させていますが、Anders Nilssonも負けじと応戦。いきなりハイテンション極まりないギターバトルで始まり、これがなんと最後まで延々と続きます。これは楽曲というより完全フリーのインプロ合戦であり、聴く側にとっては相当な気力と体力が必要とされます。打楽器奏者Gerald Cleaverもこれまた重量感満載のど迫力で、2人のギタリストを熱血サポート。「Scorch Trio」もかなりのものでしたが、変態度とど迫力という点ではこの「KALABALIK」もかなりのものだと思います。とにもかくにも、かなり聴く人間を選ぶ作品であることは間違いありません。

●Musicians
Raoul Bjorkenheim / guitar
Anders Nilsson / guitar
Gerald Cleaver / drums

●Numbers
1.  Spiraling Skies
2.  Vortex
3.  Incarnation
4.  Robot Tango
5.  Saga Raga
6.  Descension

より以前の記事一覧

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

いろいろ検索

  • Tower Records検索
  • HMV検索
    HMV検索
    検索する
  • iTunes検索
無料ブログはココログ