久しぶりの更新がこのような記事になるとはまったく考えていませんでした。
私が住んでいる横浜南部は大震災の直接的な影響はほとんどありませんでした。自室のCDの山の一部が崩壊したことと数時間程度の停電ですから、まあ無事と言ってもいいでしょう。
地震が起きた午後2時46分は東京恵比寿にある会社にいました。ほとんどの人間が社内にいる状況で地震を体験したわけですが、
「これは横揺れだから大丈夫」
「直下型地震じゃないから」
「出入り口は開けておきましょう」
などとお互いに声を掛け合って冷静に対処できていたような記憶があります。しかし、想像を超えた未経験の強い揺れと、波状的に発生する余震から、これは「相当な被害が出るな」とおぼろげな予感だけはしていました。それでも、いまはネットという強力な情報源があります。どこかで「きちんと情報を把握していれば大丈夫」という安心感めいたものもあったことも事実です。実際、余震が収まったころを見計らって、外に食事に出る精神的な余裕までありました。
しかし、会社の外に出てその考えが甘いことに気がつきました。電車がすべて停まってしまっているので、幹線道路は徒歩で帰宅を始めた人たちですでに一杯という状況。携帯電話がまったく通じないので、ただでさえ台数が少ない公衆電話には長蛇の人の列。運悪く小雨まで降り出す始末です。あれれ、これは本当にまずい事態になりそうだと思いながら、社に戻ると、「いや、それでも夜には電車も動くでしょう」といま考えれば楽観的な考えの人がほとんどでした。
しかし、「JR東日本は本日中の運転をすべて中止」との知らせが入ってきて状況は一変しました。確かまだ早い夕方の時点だったと思います。この時点になってこれは大変な非常時だと認識できました。いわゆる「帰宅難民」になってしまったわけですから。それでも、職場から比較的近くに住んでいる人間は徒歩で帰れないわけではありません。できれば日のあるうちに帰ったほうがいいと思うのですが、誰一人動こうとしません。やはり歩いている間に余震が起きるのが怖いから会社にとどまると口をそろえます。
どちらにしても落ち着いて仕事ができる状況ではありません、ネットで情報を探ったり、別フロアにあるテレビで地震情報を見ながら時間を過ごしていました。どのみち私自身は帰宅不可能なのですから、できるだけ体力を温存しておいたほうが得策だと判断したわけです。
やがてネット上でもテレビの報道番組でも、被害の状況が明らかになり始めました。はじめはビルなどの倒壊や火災などが被害の中心だったと思います。しかし、時間が経つと今度は津波による被害が報道され始めました。もはや大震災です。そうこうしている間にも、強い地震が間断的に襲ってきます。「これは会社に残るといっても、寝ている場合ではないな」と考え始めていました。
ユーストリームでNHKが視聴可能になると、自分の机でも被害状況がリアルタイムで把握できるようになりました。一方で、営団地下鉄、都営地下鉄、一部私鉄が運転を再開しはじめました。時間的には夜10時30分頃だったと記憶しています。帰宅可能な人にとってはラストチャンスです。それでも、フロアの人間は積極的に動こうとしません。やはり、電車に乗っている間に余震が起きるのが怖いと口を揃えます。結局、徒歩で帰った人間1人をのぞき、ほぼ全員が会社で夜を明かすことになりました。
こんな状況でも健気に仕事に打ち込む人を尻目に、私は夜通しユーストリームでNHKの中継を見たり、Twitterで情報収集をしていました。とても仕事などができる精神状態ではなかったからです。多くの人が指摘しているように、このような非常時でもっとも役立ったのが、Twitterでした。列車の運行状況などはネットよりも迅速に把握できますし、テレビで聞き逃した情報も敷衍することができたからです。また、情報収集だけではなく同じ境遇のフォロワーさんとお互いに励ましあったり、西日本にお住まいのフォロワーさんから激励の言葉をいただいていました。この時ばかりはTwitterをやっていて良かったと心から思いました。
一方で、いまでも反省しているのが、ネットの報道番組で悲惨な被害状況を見続けてしまったために、やや精神的にダメージを受けてしまったことです。不意に涙が出てきたり、急にイライラと怒りっぽくなるという症状が最近まで感じられました。また「地震酔い」にも結構苦しんでいました。周囲にはいまだに不眠症に苦しんだり、めまいが止まらず帰省した人も知っています。とはいえ、今回、情報収集にあたってTwitterをはじめとしたネットの威力を痛感したことも事実なわけで、ネットとのつきあい方に関しては自分自身の課題としないといけないでしょう。
最後に。ご存じのように関東一円では東京23区をのぞく地区で「計画停電」が実施されています。ここにきて気温が上がっているために、実施されないでいます。私自身は横浜の郊外から都内へ通勤しているのですが、ストイックなまでに節電に努める郊外駅から都内駅にたどり着くと、いかにも無駄な照明が目についてしまいます。飲食店なども、「この照明は無駄じゃないの」と思ってしまうこともしばしば。もちろん照明やエアコンを落とせばいいという訳ではありませんが、小さな心がけというか意識のもちようではないかと思います。そんな意味では計画停電を経験した人間と未経験の人間とでは、節電に対する意識付けにもギャップを感じざるを得ません。計画停電になると、当然行動がかなり制限されるわけで、それまでに「やるべきこと」「どちらでもいいこと」などと自分自身の行動を再点検せざるを得ません。電気だけでなく時間に対する意識も変わります。自由に遅くまで残業ができ、いつでも物が買え、いつでもご飯が食べられ、いつでもお酒を飲んでカラオケが歌えるという「当たり前のこと」が当たり前ではなくなるのです。そういう状況に追い込まれると、どんなにマイペースな人でも変わらざるを得ないでしょう。
問題は「どれだけ節電するか」ではなく、「いかに自分が変わるか」なんだと思うようになりました。だから悪いこと言いません。23区もいまから意識的に計画停電を実施するべきです。そして自分のライフスタイルや働き方への意識を再点検するのです。そうでもしないと、最も電力を使用する夏場になって、本当に慌てることになります。いたずらに悲観的になる必要はありませんが、この最大のピンチをチャンスに変えるくらいの意識付けは、社会の成員として最低限もっていたいですね。そう考えたら少なくとも「どうせ、これくらいの電気を使っても大勢に影響しないでしょう…」などとは思わなくなるはずなんですが。実際、そんなことを口にする人もいますが、それは意識を変えようとしていないからだと思います。
というわけで(?)更新を休んでいました当欄ですが、やっと記事を書く気力が戻ってきました。また、気楽な音楽ネタを書いていくつもりです。どうか、懲りずにおつきあいください♪
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