先日、新アルバム「Tales From The Vault PartⅡ」をすったもんだの末リリースした巨匠Allan Holdsworthですが、同アルバムにも収録された発掘音源です。そもそもは1年ほど前にGary HusbandがTwitterで紹介していた音源が発端になります。Husbandの言葉をそのまま信用すると、アルバム「I.O.U.」(1982年)の制作過程でロンドンで行ったスタジオセッションでのアウトテイク音源(録音は1980年)だとか。
というわけで早速ダウンロードしてみました。曲は「Road Games」収録の「Water On The Brain Pt2」にPaul Willimsのボーカルが乗っているという代物。アウトテイクというふれこみですが、すでにブートレグで出回っている音源と同一です。オリジナルももちろん素晴らしいのですが、この別テイクもなかなかの出来映えです。ただ完成度やベースの貧弱さはデモ音源ということで大人の対応が必要です。
1980年録音というデータを信用すると、ベースはJeff BerlinではなくPaul Carmichael、ドラムはChad WackermanではなくGary Husband、そしてボーカルはPaul Williamsということで「I.O.U.」メンバーと一致します。「Water On The Brain Pt2」は当初ボーカル入りとして制作されたけれど、「I.O.U.」には収録されず、Jeff BerlinやChad Wackermanを迎えて再レコーディングしボーカルを抜いた状態で「Road Games」に収録という流れなのですね。しかし、Husbandはどんな了見でこの音源を発信したのでしょうね ●Musicians Allan Holdsworth / guitar Paul Carmichael / bass Gary Husband / drums Paul Williams / vocal
●Numbers 1. Addicted to Jazz 2. Mime #1 3. Elevation #21 4. Subscription 5. Rat race 6. No Crunch 7. 9.P.M.Cruise 8. Dig it 9. Addicted to Jazz (electric version) 10. Autumn Leaves
●Musicians Larry Coryell / guitar Randy Brecker / trumpet Mike Mandel / keyboards Danny Trifan / bass Alphonse Mouzon / drums
●Numbers 1. Introduction 2. Yin 3. Low-Lee-Tah 4. The Funky Waltz 5. Ism-Ejercicio 6. Gratitude "A So Low" 7. Band Introductions 8. Joy Ride 9. Drum Solo / Birdfingers
ルクセンブルグ公国出身でNYCを拠点に活動する鍵盤楽器奏者、Michel Reis(ミシェル・レイス)の2012年作です。何となく購入した最新作「Capturing This Moment」(2015年)が望外の出来映えだったので、時系列を遡って購入しました。どうやら最近来日していたようです。
Michel Reis / piano Stefan Karl Schmid / tenor sax,soprano sax,clarinet Robert Landfermann / bass Jonas Burgwinkel / drums
メンバーは「Capturing This Moment」と同じで、2012年6月19日、20日ドイツ・ケルンでレコーディングされています。
「Capturing This Moment」で強く感じられた欧州特有の憂いと湿気を帯びた現代ジャズという点では、まさに期待通りの内容に仕上がっています。アレンジとしては、随所に新たな試みが見られた「Capturing This Moment」よりはやや大人しめなので、その部分だけ面白味という意味では欠けるかもしれないですね。リリカルなMichel Reismのプレイを細部にわたって神経が研ぎ澄まされたリズム隊の好サポートが実に印象的。主役を立てつつしっかりと自己主張するStefan Karl Schmidのサックスにも好感がもてます。 ●Musicians Michel Reis / piano Stefan Karl Schmid / tenor sax,soprano sax,clarinet Robert Landfermann / bass Jonas Burgwinkel / drums
●Numbers 1. Repercussions 2. Prescience 3. Seduction 4. Hidden Meaning 5. Americana 6. Haunted House 7. Inside The Jewel Box 8. What Comes Later,I Can 9. Elegy 10. The Birdwatcher 11. Until The Next Time
「Future Instrumental」とは同会場で展開中の「Progressive Live 2016」の一環として結成されたユニットで、同ユニットとしてのライブは5回目でなんと14年ぶりだとか。メンバーは「Lu7」より梅垣ルナさん(keyboards)、栗原務さん(guitar)、お二人に加えてフレットレスベースの怪人・永井敏己さん(bass)、歌って踊れてMCもできる大菊勉さん(drums)、バークリー音楽大学卒の才媛・寺田典子さん(percussions)という特別ユニット。私のお目当ては「Lu7」でしたが、永井さんのベースにはかねてより興味ありましたし、これは見逃してはいけません。
1st Set 1. ミドル・ロングサーキット 2. Beirut(Step Ahead) 3. Play Of Colors(永井敏己) 4. Kesaran Patharan(Lu7) 5. 絡みゆく蔓(Lu7) 6. Echoes(CAMEL)
2nd Set 7. Presto Vivace~In The Dead Of Night(UK) 8. Secret Recipe(Lu7) 9. Bluetail Of Passage(Lu7) 10. Ben Ohgiku drum Solo 11. Involuntary Bliss(Alphonso Johnson) 12. Island Magic(Dave Weckl)
「Future Instrumental」恒例(?)のプログレカバーは「Echoes」と中年プログレ好きおやじの涙腺を漏れなく崩壊させる「Presto Vivace~In The Dead Of Night」。ボーカルは大菊さん担当でしたが、こんな難曲を叩くだけでも凄いのにボーカルまで!とはハードルが高すぎます。もしかしたらこれは梅垣さんの策略でしょうか。栗原さんのギターソロは完全にHoldsworthy化していましたね。途中のMCでは「Secret Recipe」は実は永井さんをイメージして作られたというエピソードが披露されたり、インフォメーションコーナーでは「Lu7」の次回ライブ「Lu7 秋の陣」が告知されました(正確には告知の予告)。物販コーナーでは「Lu7」の2ndが置かれていましたが、「かなり希少なのでここで買ってぜひヤフオクに」という栗原さんの鉄板ネタも披露。
こういう至福の時間はあっという間に過ぎてしまうのですが、ラストは梅垣さんがライブで演奏したかったというDave Wecleの「Island Magic」。寺田さんのダイナミックなパーカッションが実に効いていて、オリジナルを凌駕する可憐なラテンフレイヴァーが漂いました。そしてアンコールは永井さんの「Dance Of The Harlequin」。恥ずかしながらこの曲は存じ上げなかったのですが、生の演奏の魅力にすっかりやられた私は、帰りの車中、某巨大通販でしっかりとポチッたのでした。
Gust William Tsilisという初めてお耳にかかるヴィブラフォン&マリンバ奏者のリーダー作なのですが、お目当てのJohn Abercrombieをはじめ、かなりの豪華メンバーなのです。「Ken Music」というレーベルから1991年リリース。
Gust William Tsilis / vibes,marimba Arthur Blythe / alto sax Mark Feldman / violin John Abercrombie / guitar Anthony Cox / bass Terri Lynn Carrington / drums
当人のGust William Tsilisとサックス奏者のArthur Blytheを除けばかなりのビッグネームばかりではないですか。Mark Feldmanと言えばECM諸作品での共演が多数ですし、この厳つい面子のなかにTerri Lynn姉さんが入っていることも驚きです。
中身というと、ECMではあり得ないビバップ中心のストレートなジャズアルバムに仕上げっています。Gust Williams Tsilis自身はゲイリー・バートンの影響を受けているそうですが、そりゃヴィブラフォンに関わるミュージシャンは多かれ少なかれバートンは避けて通れませんよね。
お目当てのAbercrombieはECMの呪縛から逃れ、実に伸び伸びとしたジャズギターを披露しています。お得意のウネウネフレーズをほぼ封印し、ストレートなプレイに終始しています。「たまにはこういうギターも弾きたくなるんだよね」という心境なのでしょう。Mark Feldmanは#1「Fee-Fi-Fo-Fum」の1曲のみに参加。純正ジャズに果敢に挑んだTerri Lynn姉さんですが、手数の多さがちょっと浮き気味ですが頑張っています。 ●Musicians Gust William Tsilis / vibes,marimba Arthur Blythe / alto sax Mark Feldman / violin John Abercrombie / guitar Anthony Cox / bass Terri Lynn Carrington / drums
●Numbers 1. Fee-Fi-Fo-Fum 2. Sweet Dulcinea 3. Minor League 4. Where Are You? 5. Mr.Syms 6. Skylark 7. You Don't Know What Love Is 8. The Moon And You 9. Beautiful Love 10. Improvalostic
Musician●Allan Holdsworth / guitar Title●Tales From The Vault PartⅡ(2016年) ■Pledge Musicよりダウンロード
希代のテクニカル系ギタリストAllan Holdsworthがクラウドファンディングサイト「Pledge Music」で新作「Tales From The Vault」制作に向けてキャンペーンを開始してはや1年数ヶ月が経とうとしています。当初は2015年秋には新作がリリースされると聞きましたが、やはりというか案の定というか作業は遅々として進んでいないようです。昨年新曲「Earth」がお試し的に配信されたものの、作品の全貌はまだ見えてきません。「いい加減に出す出す詐欺をやめないと、世間からそっぽ向かれまっせ!」と痺れを切らしていたところ、御大からの言い訳じみた長文解説と2曲の新曲とともに“発掘音源”が届きました。
御大の言い訳じみた解説には「Road Games」制作時におけるワーナー・ブラザーズと当時のプロデューサーTed Templemanに対する恨み辛みが延々と書かれているのですが、自分の非は棚上げしていったい何年前の話をしているのだかと思うとともに、相変わらずの“変人ぶり”をいかんなく発揮しているわけで、妙に安心したりもしました。 ●Numbers 1. The Abingdon Chasp 2. Material Real Outtake 3. Material Real Pinski Mix 4. New Dawn 5. Poochini 6. Road Games Outtake 7. Tree Sheets Pinski Mix 8. Tokyo Dream Pinski Mix 9. Was There Outtake 10. Water On The Brain Outtake 11. Water On The Brain with Paul Williams
●Numbers 1. Throughout 2. Introduction To All The Things 3. All The Things You Are 4. Liebeslied 5. Minimal 6. Falling Grace 7. Zen 8. R.E.M. 9. Darn That Dream 10. Stella By Starlight
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