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2016年8月 7日 (日)

Allan Holdsworth / Tales From The Vault Part Ⅱ(2016年)

Allanholdsworthtales_450x446
Musician●Allan Holdsworth / guitar
Title●Tales From The Vault PartⅡ(2016年)
■Pledge Musicよりダウンロード


希代のテクニカル系ギタリストAllan Holdsworthがクラウドファンディングサイト「Pledge Music」で新作「Tales From The Vault」制作に向けてキャンペーンを開始してはや1年数ヶ月が経とうとしています。当初は2015年秋には新作がリリースされると聞きましたが、やはりというか案の定というか作業は遅々として進んでいないようです。昨年新曲「Earth」がお試し的に配信されたものの、作品の全貌はまだ見えてきません。「いい加減に出す出す詐欺をやめないと、世間からそっぽ向かれまっせ!」と痺れを切らしていたところ、御大からの言い訳じみた長文解説と2曲の新曲とともに“発掘音源”が届きました。

御大の説明にはこうしたクラウドファンディングサイトを通じた音源制作は生まれて初めてのことで、大変なプレッシャーになっていて云々という趣旨の言い訳が延々と綴られています。いい歳してそんなことは事前に想定できただろうと思うのですが、ここまで来たら乗りかかった船。最期までつき合いますって。今回リリースされた“New Dawn”と“Poochini”の2曲。ほか9曲はBruford時代と「I.O.U.」「Road Games」からのアウトテイクです。つまりは新作のみではとても間に合わないということでデッドストックでお茶を濁そうというわけです。

#1「The Abingdon Chasp」はBrufordのアルバム「One Of A Kind」収録曲。オリジナルではJeff Berlinのベースがテーマを奏でましたが、ここではRay Warlieghのサックスが先導。御大のギターもオリジナルと異なります。ほかGongのFrancis Mose(bass)、Jeff Young(keyboards)が参加。御大の説明によれば、Ray Warlieghはすでに鬼籍に入られたとか。ところがドラムのクレジットはありません。はたしてBill Brufordに対する許諾はどうなっているんでしょうか。

#2と#3はアルバム「Road Games」でバッキングボーカルを務めたJoe TuranoによるアウトテイクとオリジナルのJack BruceバージョンのMark Pinskによるリミックス音源。

#6「Road Games」はJoe Turanoによるアウトテイク。#7と#8はMark Pinskiによるリミックスなのですが一聴してオリジナルとの相違はわかりません。#9「Was There」は再びJoe Turanoによるアウトテイクなのですが、肝心の御大のギターソロがオミットされてしまうという中途半端な出来になってしまっています。

#10と#11「Water On The Brain」はオリジナルはボーカル抜きでしたが、それぞれJoe TuranoとPaul Williamsのボーカル入りです。#10ではJeff Berlinのベースソロが入っていますがかなりラフな印象を受けます。#11は昨年Gary Husbandがネットで公開したバージョンと同一です。個人的にはこのバージョンでの御大のソロは実に素晴らしいと思います。Gary Husband(drums)、Paul Carmichael(bass)という「I.O.U.」メンバー。Gary Husbandによれば1980年にロンドンのスタジオで収録されたものだとか。

さて肝心の新曲2曲は#4「New Dawn」と#5「Poochini」。ともにシンタックスによる内省的な曲です。「New Dawn」は御大の古い友人、Pat Smythe作。御大の心境なのか単なる老境なのか、特に盛り上がることもなく淡々と進行します。ちょうど「Flat Tire」を連想しました。何だかな~。

というわけで変なオチがついてしまった新譜ですが、新曲2曲の出来映えを聴くかぎりでは、おそらくこれ以上これ以下の新曲を作り出すことは無理なのではないかと思ったりもします。御大もその点は自覚しているからこそ、手持ちの古い音源をリリースすることでお茶を濁したのでしょう。正直言って晩節を汚した感は否めなく、仮にまた新作を出すと言い出しても賛同者はおそらく現れないと思います。実際、今回のプロジェクトで間に入ったプロデューサーは相当苦労したようですし。このあたりはいろいろな意見が分かれるところだと思います。

御大の言い訳じみた解説には「Road Games」制作時におけるワーナー・ブラザーズと当時のプロデューサーTed Templemanに対する恨み辛みが延々と書かれているのですが、自分の非は棚上げしていったい何年前の話をしているのだかと思うとともに、相変わらずの“変人ぶり”をいかんなく発揮しているわけで、妙に安心したりもしました。

●Numbers
1.  The Abingdon Chasp
2.  Material Real Outtake
3.  Material Real Pinski Mix   
4.  New Dawn
5.  Poochini
6.  Road Games Outtake
7.  Tree Sheets Pinski Mix
8.  Tokyo Dream Pinski Mix
9.  Was There Outtake
10. Water On The Brain Outtake
11. Water On The Brain with Paul Williams

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