Jeff Beck / Loud Hailer(2016年)
Musician●Jeff Beck(guitar)
Title●Loud Hailer(2016年)
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ロックギター界の現人神Jeff Beckの新譜「Loud Hailer」が届いたので聴いています。5月中旬に新譜情報がリリースされはじめすかさず予約注文をかけて無事発売日に到着しました。当初はアルバムタイトルが未定でしたが、じきにタイトルとデザインが決定してホッと安堵していました。2016年7月15日リリース。なんと御歳72歳ですって!
Jeff Beck / guitar
Carmen Vandenberg / guitar
Rosie Bones / vocals
Davide Sollazzi / drums
Giovanni Pallotti / bass
女性ボーカルRosie Bonesと女性ギタリストのCarmen Vandenbergの2人は「BONES」というバンドを組んでいて、2人をJeff Beckがエレクトリック・レディ・スタジオに招いて録音したとのこと。90年代以降の「巨匠」のライブを含めた作品には常に女性ミュージシャンの陰がつきまとうのですが、今回はなんと2人もですか!なんですが、ファンにとっては想定の範囲内ではないでしょうか。
前作「Emotion & Commotion」(2010年)はストリングスを従えて究極のメロウな世界を表現していましたが、今回はラフでラウドなロックに挑戦です。こういうのをオルタナとかガレージロックというらしいのですが、初老ぶりにすっかり磨きがかかってきた私にとっては、何のことかはよくわかりません。しかし、これは素直に格好いいロックアルバムです。女性ボーカルの声質がどうのとか音質がどうのとかギターの露出が少ないとか、ネット上ではすでに賛否両論、さまざまな意見が飛び交っていますが、確かに前作と比較してしまうとそうした否定的な意見も無理からぬ面もあるでしょう。私も1曲目を聴いた瞬間、「失敗した!」と思ってしまいました。確かに女性ボーカルを受け入れるか否かによって、このアルバムへの評価も大きく分かれると思います。でも、気をとり直して聴きかえすと、全曲とも完全にロックしているわけです。なかでもジミヘンへのオマージュとも受け取れる(まるで「Little Wing」)#5「Scared for the Children」などは、圧倒的なパワーの前にただただひれ伏すのみです。ギタリストというよりもロッカーとしてのJeff Beckという前提で臨むとわかりやすいのかも。
だいたい72歳という年齢でいまだにロックギター界の頂点に君臨しているだけでも驚異なのに、この驚くべき振れ幅とど迫力、そして尖りっぷり。ジャンルは違いますが74歳のJohn McLaughlinとともに常に我々を驚かさせてくれますね。あとは8月に70歳を迎えるAllan Holdsworthの“復活”を願うばかりです。
●Musicians
Jeff Beck / guitar
Carmen Vandenberg / guitar
Rosie Bones / vocals
Davide Sollazzi / drums
Giovanni Pallotti / bass
●Numbers
1. The Revolution Will Be Televised
2. Live in the Dark
3. Pull It
4. Thugs Club
5. Scared for the Children
6. Right Now
7. Shame
8. Edna
9. The Ballad of the Jersey Wives
10. O.I.L.
11. Shrine
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初めてコメントさせていただきます。ジェフ・ベックの登場ということで・・・・(笑)
今回のアルバムは賛否両論で楽しいですね。そうです近年のジェフ・ベックがジェフ・ベックだと思うと抵抗があるでしょう。しかしこれは決してニュー・スタイルでなく、過去のジェフ・ベックを知っているものからは、「おお、お久しぶりと」嬉しくなるんです。抵抗者が出れば出るほど私は意地悪く快感です。
そうですね、ジェフ・ベックは女性を上手く使ってきていますね。ヴォーカルではJoss Stone、 iMogen Heap、Imelda May、そして今回はRosie Bonesとなかなかよいオジさんぶりを発揮して・・・・結構ですね。そもそもTal Wilkenfeldのベースの成功から、Rhonda Smith、さらにはVeronca Bellinoのドラムスと、女性群との共演がやっばり一つは若さの秘訣でしょうか(笑い)。今回のロックの原点回帰は、丁度ここらでよいタイミングと思っています。彼はロッカーなんですから。
投稿: 風呂井戸(photofloyd) | 2016年7月25日 (月) 13時11分
風呂井戸さん
TBありがとうございます。
ほんと賛否両論で面白いですよね。仰るとおりロッカーなのかギタリストあんおか、なんですがBeck師匠は自由自在に両者の間を行き来しているわけで、どちらかに決めつけること自体が無意味ではないかと、今回痛感しました。
というわけでTBお送りいたします。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2016年7月26日 (火) 22時01分
びっくりした~!!!凄すぎる!!!すべてが新しくて、パワフルさでも世界1になっちゃったアルバム!72才のベックに誰も付いてこれません。こんなアルバムどーして作れるんだろ!!サウンド、フレーズ、曲調など10年先行っちゃいました!!こんな感じのは過去だれもやってない。ここまで来ると、たぶん賛否の人いても不思議有りません。だって半分の人は10年経たないとわからんわ。こりゃ。凄いミュージシャンは、まあ、みんなが理解できる音楽はいまさら作らないでしょ?とにかくすべてが新しくて!なんでこんな音楽作れるのか、もう感動しか有りません!!!
投稿: tenmay | 2017年3月11日 (土) 02時13分
tenmayさま
コメントありがとうございます。Beck師匠との付き合いは40年以上になってしまいました。もちろん空振りもたくさんありましたが、それを含めての師匠だと思います。こんなギタリスト、もう二度と出てこないでしょうね。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2017年3月15日 (水) 00時14分