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2016年1月

2016年1月31日 (日)

JOE FARRELL / JOE FARRELL QUARTET(1970年)

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Musician●Joe Farrell(soprano sax,tennor sax,flute,oboe)
Title●Joe Farrell Quartet(1970年)
■Amazonより購入


アメリカ出身のサックス奏者、Joe FarrellがCTIからリリースした初リーダー作です。と言ってもあまりピンとこないかも知れませんが、初期「Return To Forever」の諸作品やPat Martinoの「Strings!」などでのサイドメンとしての活躍のほうが目立っていたようで、自身のリーダー作はあまり知られていないようです。残念ながらご本人は1986年に48歳でこの世を去っています。

参加メンバーがスゴいですよ。
Joe Farrell / soprano sax,tennor sax,flute,oboe
Chick Corea / piano
Dave Holland / bass
Jack DeJohnette / drums
John McLaughlin / guitar

なんと電化マイルス楽団のメンバーがそっくりそのまま参加しています。本作は1970年7月1日、2日にレコーディングされていますので、Chick Coreaはまだ在籍中か脱退かという微妙な時期ですね。McLaughlinは渡米直後でしょうか。長らくCD化が待たれていましたが、2013年にCD化、復刻されています。当欄はアナログでは聴いていましたが、やはりCDでも持っていたいよね、という案配で購入。

さて拝聴です。サウンドとしてはまさに70年代ジャズロックの典型という感じで、まぁCTIでこの面子であれば間違いなくガチンコのジャズロックに仕上がるのは当然と言えば当然なのですが。Joe Farrellのプレイからは若干スピリッチュアルな感じを受けるのは、時代だからなのでしょう。

もう一人のお目当てであるMcLaughlinは2曲に参加。#1「Follow Your Heart」と#7「Motion」なんですが、特に#1などはマイルスの「ビッチェズ・ブリュー」の世界そのもの。全体としてはゆったりと流れる曲調なので、問題児McLaughlinもゆったりとしたソロを展開しています。#3「Circle In The Square」のようなドがつくフリージャズもあれば、60年代のチャールズ・ロイドを彷彿とさせる#4「Molten Glass」もあるなど、内容的にはバラエティに富んでいて飽きさせません。#6「Song Of The Wind」あたりもチャールズ・ロイドっぽいですね。Chick Coreaもたとえ客演作であっても我先に目立とうといういつもの悪癖を出すことなく、サイドメンに徹しているの点に好感をもてます(笑)。

でもってラスト#7「Motion」はアップテンポなフリージャズ。曲というよりもセッションっぽいです。McLaughlinもソロを弾くわけでもなく、何となくギターで遊んでみました的な感じ。表現はなんですが、これはちょっと蛇足のように思えます。

●Musicians
Joe Farrell / soprano sax,tennor sax,flute,oboe
Chick Corea / piano
Dave Holland / bass
Jack DeJohnette / drums
John McLaughlin / guitar on #1,#7

●Numbers
1.  Follow Your Heart
2.  Collage For Polly
3.  Circle In The Square
4.  Molten Glass
5.  After Ego
6.  Song Of The Wind
7.  Motion

2016年1月30日 (土)

KURT ROSENWINKEL / STAR OF JUPITER(2012年)

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Musician●Kurt Rosenwinkel(guitar,voice)
Title●Star Of Jupiter(2012年)
■ディスクユニオンお茶の水ジャズ館で購入


Kurt Rosenwinkelの現時点では最新作になる「Star Of Jupiter」を遅ればせながらセコハンで購入しました。2012年、Song X Jazzというレーベルからリリース。Rosenwinkelって気がつけば“現代ジャズギターの帝王”と呼ばれているようでちょっと驚いている次第ですが、1970年生まれの当年46歳に対してはちょっと重たすぎる称号ではないかと思ったりもします。まだまだたくさんの師匠格がご健在なわけですし。ただコンテンポラリー系ジャズを牽引する中心人物ということには違いないですよね。

個人的にはRosenwinkelの作品はちょっと食わず嫌いの部分があって、特に初期の作風がどこか肌に合わなくてやや敬遠していたところもあります。この人は立ち位置的にギターを弾きたい人なのか、ちょっとコンテンポラリー的な音楽を演りたい人なのかが、私にとってよく分からなかったからです。ところどころで入ってくるVoiceも私には耳障りでしたし。一体どっちなんだよ、というもどかしさのようなものを感じてしまうのです。ところが騙されたつもりで聴いたヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ音源「The Remedy」(2008年)で見直したというか、聴き直した次第です。

アダシゴトはさておいて、メンバー紹介を。
Kurt Rosenwinlel / guitar,voice
Aaron Parks / piano,organ
Eric Revis / bass
Justin Faulkner / drums

というカルテット構成です。おお!いまをトキメくAaron Parks全面参加となれば期待値も否応なしに上昇します。ドラムのJustin Faulknerはなんと弱冠20歳の若者だとか!

相変わらず(私にとっては耳障りとしか思えない)Voice入りですが、これは完全にジャズギター作品として成立していますね。2枚組という大作という点にギタリストとしてのソングライターとしての並々ならぬ意気込みを感じますし、実際、これは名作だと思います。ブルックリン派特有というか、この人が確立させた例の浮遊感あふれるソロワークは健在ですし、何よりもギターをきちんと弾いている点が良いです。Aaron Parksの好サポートも光ります。なんだ、こんなに素晴らしいのならもっと早く聴いておけばよかった。

●Musicians
Kurt Rosenwinlel / guitar,voice
Aaron Parks / piano,organ,
Eric Revis / bass
Justin Faulkner / drums

●Numbers
[Disc 1]
1.  Gamma Band    
2.  Welcome Home    
3.  Something, Sometime    
4.  Mr.Hope    
5.  Heavenly Bodies    
6.  Homage A'Mitch    
[Disc 2]
1.  Spirit Kiss    
2.  Kurt 1    
3.  Under It All    
4.  A Shifting Design    
5.  Deja Vu    
6.  Star Of Jupiter    

2016年1月24日 (日)

LARRY CORYELL & BRIAN KEANE / JUST LIKE BEING BORN(1983年)

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Musician●Larry Coryell,Brian Keane(guitar)
Title●Just Like Being Born(1983年)
■Amazonより購入


Larry Coryellがアコギ路線に邁進していた時期に制作されたギターデュオアルバムです。相方はCoryellのお弟子さんBrian Keane(ブライアン・キーン)です。CoryellのギターデュオアルバムといえばSteve Khanとの「Two For The Road」(1978年)が有名ですが、この作品も隠れた名盤と言えそうです。

全11曲中、Coryell作が4曲、Keane作が6曲、共作が1曲。Keaneの重用がCoryellのお弟子さんに対する信頼度を裏付けています。スタジオ録音とライブ録音が混在しているのですが、#6などは録音状態からして自宅録音の可能性もあります。左がCoryell、右がKeane。終始リラックスした雰囲気で進行しますが、よくよく聴いてみるとKeaneの小技が随所で効いていて結構楽しめるデュオアルバムに仕上がっています。かなりのテクニシャンなのですが、師匠の陰を三歩下がって踏まず、を忠実に実行しているので聴いていて邪魔になりません。クラシック臭は希薄でその代わりにややブラジリアンテイストが漂う心地良い音源です。

このアルバム、アナログではよく見かけるのですが、CDは結構希少かも。見かけたら即買いが正解だと思われます。

●Musicians
Brian Keane / acoustic guitar,electric guitar,twelve-string guitar
Larry Coryell / acoustic guitar,twelve-string guitar

●Numbers
1.  Brazilia
2.  La Pluie
3.  Armando's Cadenza Concerto
4.  A Piece For Larry
5.  At The Airport
6.  Waltz No.6
7.  Just Like Being Born
8.  Logical Solution
9.  Warm Weather
10. Patty's Song
11. Lines

2016年1月23日 (土)

LARRY CORYELL & STEVE KHAN / TWO FOR THE ROAD(1978年)

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Musician●Larry Coryell,Steve Khan(guiter)
Title●Two For The Road(1978年)
■ディスクユニオンで購入


あまりにメジャーすぎて取り上げること自体がはばかれるのがこの盤かもしれません。とは言っても過去(1989年)に一度CD化されただけで、なぜかフュージョンギター界から冷遇されているのがこの盤ですね。アナログ盤もあまり見かけなくなってきました。70~80年代フュージョンを代表する2大ギタリスト、Larry CoryellとSteve Khanによるアコギのみのデュオアルバム「Two For The Road」です。1978年リリース。

Larry Coryellは同時期に「The Eleventh House」というゴリゴリのジャズロックユニットを率いていましたが、70年代後半からアコギ路線を邁進することになります。どうやらこのSteve Khanとの共作が路線変更の契機となったようです。この2人の出会いは1975年にCoryell宅で行われたたった1回のリハーサルがもとになったとのこと。それだけで2人でツアーを始めてしまうこと自体が驚きですね。このアルバムは同年夏のMontreux Jazz Festivalでのライブ音源を収めたもの。左チャンネルがCoryell、右がKhanです。これに味をしめたCoryellは、以降、フィリップ・カテリーンとのアコギデュオや、アコギのみの「Standing Ovation」(1978年)、80年代に入ってからは「ボレロ」などを生み出していきます。

2人の共作#3以外はChick Corea、Bobby Hutcherson、Wayne Shorter、Steve Swallowのカバーですが、やはり注目は#1「Spain」でしょうね。いまでこそこの曲を取り上げるギタリストは珍しくありませんが、当時はアコギ、しかもデュオという形態は珍しかったと思われます。大げさに言えば、この演奏がなかったら後の「スーパーギタートリオ」も結成されなかったのではないかと思われます。ちなみにCoryellのみの#5、#8、#9、#10は1978年のMontreux Jazz Festivalのライブ音源です。

●Musicians
Larry Coryell / acoustic guitar)
Steve Khan / acoustic guitar exc.#8-#10

●Numbers
1.  Spain
2.  Boopuet
3.  Son of Stiff Neck
4.  Ju Ju
5.  St.Gallen
6.  Footprints
7.  General Mojo's Well Laid Plan
8.  Toronto under the Sign of Capricorn
9.  For Philip and Django
10. Rodorigo Reflections

2016年1月17日 (日)

ROBIN TROWER / BEYOND THE MIST(1985年)

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Musician●Robin Trower(guitar)
Title●Beyond The Mist(1985年)
■Amazon USAより購入


連日のRobin Trowerネタです。1985年にリリースされた「Beyond The Mist」がいつの間にかCD化されていたのでやっと入手しました。このアルバム、なかなか地味な存在でファンの間でもついつい忘れ去られているかもしれませんね。私も発売当時、アナログを入手しましたが、やはり忘れていました。

参加メンバーは以下の通り。
Robin Trower / guitar
Dave Bronze / bass,vocal
Martin Clapson / drums

長年連れ添ってきた盟友、James Dewerの名前はなく、個人的には“迷走期”と呼んでいる時期のメンバー構成です。セールス的な売れ線を狙ったのでしょうか、Trowerは80年代に入って本来のブリティッシュロック路線からアメリカ寄りのサウンドへと大きく舵を取りましたが、これがそもそもの迷走の原因。アイデンティティを見失ってしまったどころか、盟友Dewerをも失ってしまいます。このアルバムもそんな中途半端な狙いが完全に裏目に出てしまっています。

#1と#2はスタジオ録音、残りは1985年4月のライブ録音(場所などは不明)という変則構成ですが、おそらく2曲のスタジオ音源を世に送り出すためのカップリングだったのではないでしょうか。いずれにしろ、ベース兼ボーカルのDave Bronze氏による非力すぎるボーカルには終始イライラとさせられます。こういう妙に優しげなボーカルが当時の流行だったのでしょうか。何だか違うように思えるのですが。

Trowerファンにとって唯一溜飲下がるのが、ラスト#7「Bridge Of Sighs」でのギター。往年の勢いこそ感じられませんが、やはりTrowerの本質はこの曲にあるように思います。

●Musicians
Robin Trower / guitar
Dave Bronze / bass,vocal
Martin Clapson / drums

●Numbers
1     The Last Time
2     Keeping A Secret
3     The Voice
4     Beyond The Mist
5    Time Is Short
6     Back It Up
7     Bridge Of Sighs

2016年1月16日 (土)

ROBIN TROWER / ROCK GOES TO THE COLLEGE 1980(2015年)

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Musician●Robin Trower(guitar)
Title●Rock To The College 1980(2015年)
■Amazonより購入


ここにきてBBC関連の音源や映像が“発掘”されているようですね。名物番組「Rock To The College」は1970年代後半から80年代前半にかけて放送されていた番組で文字通り大学への出張ライブを収録し放送するという内容。過去にBrufordやRolly Gallagherなどのミュージシャンの映像作品が商品化されています。BBCにはRobin Trower関連の音源が結構あるのですが、今回は1980年2月25日、イギリスは「University of London Union」でのライブを収録したもの。DVDとCDという豪華な内容ですが、そもそもTrower関連の映像作品が世の中に出回るのは、例の還暦ライブ以来ではないかと思われます。

さて、参加メンバーをば。
Robin Trower / guitar
James Dewer / vocal,bass
Bill Lordan / drums

という不動のトリオです。ただし直にこの黄金トリオは崩壊してしまい、Trowerは長い迷走期に入ってしまいます。またアルバム「Victims Of The Fury」リリース直後ということで、そのプロモーションも兼ねていたのでしょうね。映像はリストア加工が施され、CDもリマスタリングされているということですが、テレビ素材がオリジナルなので、まぁそれなりの仕上がりです。何よりも「動くTrower」を観る機会は希少なのでファンだったら入手しても損はないかな、という表現で察してください。

演奏は収録が入っているということもあってか、かなりの熱演で聴き応えがあります。ライブアルバムとしての出来映えは名作「Robin Trower Live!」とまでもいかないまでも、個人的なランク付けではかなりの上位にあたると思います。全9曲中、新曲は3曲。やはり旧作のほうがこなれているというか、演奏としてもまとまっていますね。

●Musicians
Robin Trower / guitar
James Dewer / vocal,bass
Bill Lordan / drums

●Numbers
1.  Day Of The Eagle
2.  The Ring
3.  Bridge Of Sighs
4.  Too Rolling Stoned
5.  The Shout / Hannah
6.  Daydream
7.  Victims Of The Fury
8.  Little Bit Of Sympathy

2016年1月11日 (月)

SCOTT HENDERSON / WELL TO THE BONE(2002年)

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Musician●Scott Henderson(guitar)
Title●Well To The Bone(2002年)
■Amazonより購入


テクニカル系ギタリストScott Hendersonによる自身名義作「Well To The Bone」(2002年)です。盟友Gary Willisがアメリカを離れてしたため「Rocket Science」(2000年)を最後に事実上活動を停止してしまった「Tribal Tech」。だからというわけではないと思いますが、「Dog Party」「Tore Down House」に続く自身の音楽的ルーツであるブルースに特化したアルバムにあたります。何とあのShrapnel Recordsからリリース。当然Mike Varneyもエグゼティヴプロデューサーとして絡んでいます。

Scott Henderson / guitar
Kirk Covington / drums
John Humphrey / bass

Thelma Houston / vocal on #4,#5,#8,
Wade Durham / vocal #1,#3,#8
Scott Kinsey / percussions

スタジオエンジニアはまたもT.J.Helmerichが担当しています。基本的には前作、前々作と同じ路線で変態ブルース一色のアルバムなのですが、女性ボーカルThelma Houstonを迎えることで多少なりとも男臭さが薄まったかなという印象を受けます。その代わりという訳ではないのですが、何となく副業的に思えた前々作と比較すると、ブルースに対するスコヘンの本気度が高まっているように感じます。Kirk Covingtonにボーカルをとらせずに、2人のボーカルを迎えているのはその表れでは? 2人のボーカルが参加した#8「Dat's Da Way It Goes」あたりはかなりの聴きごたえです。また、ボーカル抜きの#9「That Hurts」、#10「Rituals」にも並々ならぬ決意めいたものが感じられるのは、やはり「Tribal Tech」の活動停止が影響しているのではないかと勝手に独り合点しております。#10「Rituals」は過去曲の焼き直しなんですが、ギタリストとしての真髄を聴かされたように思います。思わず正座したくなるほどの名演。

●Musicians
Scott Henderson / guitar
Kirk Covington / drums
John Humphrey / bass

Thelma Houston / vocal on #4,#5,#8
Wade Durham / vocal #1,#3,#8
Scott Kinsey / percussions

●Numbers
1.  Lady P
2.  Hillbilly In The band
3.  Devil Boy
4.  Lola Fay
5.  Well To The Bone
6.  Ashes
7.  Sultan's Boogie
8.  Dat's Da Way It Goes
9.  That Hurts
10. Rituals

2016年1月 5日 (火)

ATTILA ZOLLER / LASTING LOVE(1997年)

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Musician●Attila Zoller(guitar)
Title●Lasting Love(1997年)
■Amazonより購入


3日連続でAttila Zollerネタの投入です。Zollerが亡くなった1998年の1年前、1997年の作品です。今回はアコギ1本でのギターソロアルバム。

Zollerはハンガリー出身ということで勝手に“ジプシー系”と名づけていますが、戦火を逃れてドイツに移民し、そこでハンス・コラーなどと共演作を残します。60年代に入ってからは活動拠点をアメリカに移し、ドン・フリードマンらとの共演を通じて徐々にフリージャスへ傾倒していきます。流れ流れてという音楽的遍歴から、確かにジプシー的ではありますね。70年代に入ってからもフリー化への手綱を緩めることなく、歳とっても随分と尖ったギターを弾くおっちゃんだなという印象がありました。晩年になってからのZollerを聴く機会がなかったので、今回聴いてみようと思った次第です。どうやら80年代以降は盟友ハンス・コラーとジョージ・ムラツとのトリオアルバムを制作したりと、しっかり活動していたようです。

というわけで拝聴。往年のZollerファンはフリー化以降の作品に対して異を唱える人が多いように思いますが、最晩年になって原点回帰ということなのでしょうか。アコギ1本でかなりオーソドックスなジャズギターを聴かせてくれています。聴きようによっては渋いといえば渋い。確かに枯れているといえば枯れています。でもプレイ自体からはギターにかける情熱がほとばしっています。フレーズの端々にフリー時代に磨き上げたギミックを忍ばせるあたりに「まだまだ若い奴はワシのレベルまで到底及ばんじゃろう」という気骨をビシビシと感じさせます。これは最晩年のJim Hallにも共通するのではないかと思います。ちなみにPat Methenyが師と仰ぐJim HallをMethenyと引き合わせたのは、誰あろうZollerです。

●Musician
Attila Zoller / guitar

●Numbers
1.  About B.& B.
2.  Mean To Be
3.  When It's Time
4.  Stuwwelpeter
5.  A Thousand Dreams
6.  Lasting Love
7.  Waltz For Joy
8.  Alicia's Lullaby
9.  Kay Bee
10. Peace Tune
11. Samba Caribe

2016年1月 4日 (月)

ATTILA ZOLLER / CONJUNCTION(1979年)

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Musician●Attila Zoller(guitar)
Title●Conjunction(1979年)
■新星堂で購入


最近はジャズ関連の復刻盤がそこそこ廉価で再プレスされることが多く、一方で豪華ボックスセット攻勢で経済的に打撃を受けている中高年にとって、これは歓迎すべき流れではないでしょうか。

というわけで2日連続でAttila Zollerネタです。昨夏から当時の所属レーベル「ENJA」がイニシエの音源のCD化を始めていて、1000円+税というお財布に優しい価格設定はありがたい限りです。しかも、日本語ライナーがかなり充実しているのでありがたいことです。

そもそもAttila Zoller関連音源はわが国ではなかなかお目にかかることが少なく、60年代のフリージャズ時代、70年以降のENJA時代を通して廃盤扱いになってしまった音源ばかり。そもそもマイナーなうえに流通にすら乗ってこないという悲しい扱いを受けています。生前、自分の師匠Jim Hallとの交友からPat MethenyとHall爺さんを引き合わせたのはZollerですし、Methenyが師の一人と仰ぐ存在なのにあまりに過小評価されています。

さて、やはりJim Hallの弟子筋であるJohn Abercrombieがこのアルバムをして、「最重要アヴァンギャルド・ギターアルバム」と評価したように、いわゆるミュージシャンズミュージシャンとしての圧倒的な存在感に満ちたギターソロアルバムに仕上がっています。しかも、当時流行っていたダイレクトカッティング方式、つまり一切の編集作業をすることなく生音をディスクに直接刻む録音方式をとっています。1979年10月11日録音。

60年代のフリー時代とはまた違った内省的なギターワークを披露しています。ジャズギターに興味がない人にとっては、一見冗漫な感じを受けるかもしれません。でもよく耳を澄ませばZollerによる魂の叫びが直に伝わってくるのです。

●Musicians
Attila Zoller / guitar

●Numbers
1.  Conjunction
2.  Hella
3.  Keserges For Albert
4.  Don Alabard

2016年1月 3日 (日)

ATTILA ZOLLER / WHEN IT'S TIME(1994年)

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Musician●Attila Zoller(guitar)
Title●When It's Time(1994年)
■Amazonより購入


Enjaレコードが放つ「ジャズ・マスターワークス」シリーズはなかなか渋めのところをついてきますよね。ハンガリー出身の孤高のギタリスト、Attila Zollerの復刻シリーズもその好例だと思います。ただでさえ入手困難なマイナーミュージシャンの傑作を惜しげもなく、しかも廉価で提供する懐の深さに感謝です。

本作は1994年リリース作で、Zollerが亡くなったのが1998年ですから晩年の作品ということになります。参加メンバーは、

Attila Zoller / guitar
Lee Konitz / alto sax
Larry Willis / piano
Santi Debriano / bass
Yoron Israel / drums

というカルテット構成。いうまでもなくもう一人の主役はLee Konitzなのですが、KonitzとZollerは1960年代後半から交流があり、トロンボーン奏者Albert Mangelsdorffとのトリオ作「Zo-KO-Ma」(1968年)というアルバムを残したほかドイツツアーを行ったという記録があります。

なんと言っても注目はZollerとKonitzの共演ですよね。フリージャズ寄りでどちらかと言えば聴く人を選ぶ傾向が強いZollerの作品の中にあって、この作品はかなり聴きやすいアルバムだと思います。曲もハードバップ的な内容が中心です。これはZollerの最晩年作という要素もあると思いますが、中和剤的な役割としてのとしてKonitzの存在は大きいと思います。加えてピアノ奏者のLarry Willisのプレイが実に煌びやかで素晴らしい!Zollerファンにとってはもちろん、純粋にギター入りジャズアルバムとしても十分に楽しめる傑作ではないかと。個人的にはZollerの最高傑作のうちの一つだと思います。ちょっと聴いただけではピンとこないかも知れませんが、聴けば聴くほど味が出てくる“するめいか的”作品の一つではかいかと。

Zollerリーダー作だけに、どう贔屓目に考えてもプレス数はそんなに多くはないと思われますし、うっかりするとすぐに廃盤になってしまうかと思います。廉価で入手できるいまのうちに手にされることをおすすめします。

●Musicians
Attila Zoller / guitar
Lee Konitz / alto sax
Larry Willis / piano
Santi Debriano / bass
Yoron Israel / drums

●Numbers
1.  Joy For Joy
2.  Lu And Shu
3.  After The Morning
4.  The Song Is You
5.  When It's Time
6.  Homage To O.P.
7.  Meant To Be
8.  Voyage

2016年1月 2日 (土)

JOHN McLAUGHLIN / MAHAVISHNU(1984年)

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Musician●John McLaughlin(guitar,guitar-synthesizer)
Title●Mahavishnu(1984年)
■Amazonより購入


1975年に解散した「Mahavishnu Orchestra」。その後、John McLaughlinはシャクティとしての活動に見られるようにインド思想へと傾倒していきますが、80年代に入って突如結成されたのがこの「Mahavishnu」です(ただし「Orchestra」が外されているのは、初期メンバーの諒解を得ることができなかったからなのかも)。なかなかCD化されない音源でしたが、最近になって廉価シリーズが出回っているので購入しました。1984年4月、5月、パリでレコーディング。

John McLaughlin / guitar,guitar-synthesizer
Mitchell Forman / synthesizers
Jonas Hellborg / bass
Bill Evans / tenor sax,soprano sax
Billy Cobham / drums

上記メンバーにダニー・ゴットリーブ (drums)やザキール・ハッサン(tabla)などが参加しています。「第1期Mahavishnu」からBilly Cobhamが参加していますが、ほかは当時の若手ミュージシャンが中心で、特に“スウェーデンの怪物”Jonas Hellborgの抜擢が目につきます。

「第1期Mahavishnu」での鬼気迫るプレイの印象をもったまま、このアルバムを聴くと、80年代のライトな感じのフュージョンという感じでやや肩すかしの感を受けてしまいます。当時としては今風の線を狙ったのかもしれませんが、「火の鳥」を聴いて強烈なインパクトを受けてしまった身としては、どうにも腑に落ちないのです。おそらくインド的、シャクティ的な要素と現代フュージョンとの融合を狙ったのだと思われますが、残念ながら空振りに終わっています。とまれ、McLaughlinの長い音楽キャリアの中には、こんな作品もあるということで勝手に納得しています。

このアルバムでのMcLaughlinはギターシンセ(シンクラヴィア)を積極的に導入しているのですが、どうもMitchell Formanの鍵盤と区別がつかなくなるというか、互いに共食い状態に陥ってしまっています。これってギターシンセの使い方でよくある失敗例ではないかと。やはり、ふつうにエレキをバリバリと弾いてほしかったな~。何だか文句ばかり書いていますが、#1「Radio-Activity」に最近の十八番「Raju」の原型を見つけたりと、意外な発見もあったりします。

●Musicians
John Mclaughlin / guitar,guitar-synthesizer
Mitchell Forman / synthesizers
Jonas Hellborg / bass
Bill Evans / tenor sax,soprano sax
Billy Cobham / drums

●Numbers
1.  Radio-Activity
2.  Nostalgia
3.  Nightriders
4.  East Side West Side
5.  Clarendon Hills
6.  Jazz
7.  The Unbeliever
8.  Pacific Express
9.  When Blue Turns Gold

2016年1月 1日 (金)

RANDY INRAM / Sky/Lift(2014年)

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Musician●Randy Ingram(piano)
Title●Sky/Lift(2014年)
■Amazonより購入


新年明けましておめでとうございます。本年も「奇天烈音楽館」をご贔屓にお願い申し上げます。というわけで、新年らしく爽やかな1枚を。アラスカ州アンカレッジ出身の鍵盤楽器奏者、Randy Ingramの2014年リーダー作です。Mike Moreno関連で引っかけた物件になります。2012年12月7日、NYCブルックリンにてレコーディング。

Randy Ingram / piano
Mike Moreno / guitar
Matt Clohesy / bass
Jochen Rueckert / drums

Mike MorenoとMatt Clohesyの参加、そしてエヴァンス作「Time Remembered」が取り上げられているあたりで、およその作風が想像できるわけですが、まさに期待を裏切らない内容に仕上がっています。つまりはエヴァンスフォロワーによる現代ジャス的解釈を具体化すると、間違いなくこのように仕上がるんだろうな、ということです。

冒頭の#1「Sky/Lift」からIngramとMorenoとの息の合ったプレイを聴かされて、いきなりノックアウト。これは、素晴らしいではないですか!変則リズムが心地よい#3「99」で聴かれるMorenoのソロもこれまた良し。キース・ジャレットのアメリカンカルテットを彷彿とさせる#5「St.Louis」も聴いていて面白いですね。

というわけで、エヴァンスファン(フォロワーも含めて)とMorenoファンには自信をもってお勧めしたい名盤です。


●Musicians
Randy Ingram / piano
Mike Moreno / guitar
Matt Clohesy / bass
Jochen Rueckert / drums

●Musicians
1.  Sky/Lift
2.  Silent Cinema
3.  99
4.  Time Remembered
5.  St.Louis
6.  The Sea
7.  Late Romantic
8.  Nicky

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