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2015年12月

2015年12月31日 (木)

WADADA LEO SMITH / TABLIGH(2008年)

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Musician●Wadada Leo Smith(trumpet)
Title●Tabligh(2008年)
■Amazonより購入


ベテランフリー系トランペット奏者、Wadada Leo Smithによる2008年作です。Cuneiform Recordsよりリリース。Wadadaの名前は迂闊にも存じあげなかったのですが、シカゴAACMのメンバーだったのですね。

Wadada Leo Smith / trumpet
Vijay Iyer / piano,rhodes,synthesizers
John Lindberg / bass
Shannon Jackson / drums

いまをときめくVijay Iyerの参加もさることながら、Shannon Jacksonも大きなポイントですよね。

一聴して吃驚。これって60年代後半から70年代前半にかけて一世を風靡した電化マイルズの世界そのものではないですか。マイルスのイタコが憑依してWadada Leo Smithに乗り移ったかのごとく、フリージャズの混沌とした世界観を具現化しています。2曲目タイトルが「DeJohnette」だし。怪しい雰囲気を醸し出すVijay Iyerのエレピ、終始暴れっぱなしのShannon Jackson。いったいこの手の音楽のユーザーっているのだろうかと思いつつ、痛快なジャズロックアルバムってやはり好きだな~。

●Musicians
Wadada Leo Smith / trumpet
Vijay Iyer / piano,rhodes,synthesizers
John Lindberg / bass
Shannon Jackson / drums

●Numbers
1. Rose Parks
2. DeJohnette
3. Caracan Of Winter
4. Tabligh

2015年12月27日 (日)

SCORPIONS / TAKEN BY FORCE(50th Band Anniversary Edition)(2015年)

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Musician●Scorpions
Title●Taken By Force(50th Band Anniversary Edition)(2015年)
■Amazonより購入


Scorpionsのバンド結成50周年記念してリリースされたリマスターシリーズ。1977年発売の「Taken By Force」はUlrich Jon Roth在籍時代のラスト盤になります。一般的には、Ulrich Jon Roth脱退の理由はバンドがメジャー志向になることでの音楽的方向性に相違云々と言われていますが、実際はモニカ・ダンネマンの意向も大きかったのではないかと推測しています。モニカ・ダンネマンといえば、言うまでもなくジミ・ヘンドリックスの最期を看取ったドイツ人女流画家で、実際はUlrich Jon Rothに接近したのは彼女のほうからという説があります。これは個人的な妄想ですが、「貴方にジミヘンの姿がかぶるの~」とか何とか言われてすっかり籠絡されたのではと。となると、まだ20歳そこそこで田舎の純朴な青年(?)だったUlrich Jon Roth。舞い上がって「ワシはジミヘンの後継者になるんじゃ!」と決心してしまうことは無理からぬことですし、責めたりできません。バンドがアメリカを市場として大きく転換を図る状況で、彼がそこにとどまる理由はないわけです。Ulrich Jon Rothがモニカと出会ったのが1976年。バンド脱退が78年ですから、時系列的にも合点がいきます。

そんなわけで「Taken By Force」です。このアルバムは何回かリマスター化されているので、特別な新鮮感はないのですが、最大の売りは6曲のボーナストラックでしょうね。ちなみに#8「Born to Touch Your Feelings」は以前のリマスター盤にも収録された日本人女性入りヴァージョンです。

#9  Suspender Love
「Tokyo Tapes」で披露されたアルバム未収録曲。ライブと違ってこちらは試作品臭が漂います。あまり乗り気でなかったのかも。

#10 Busy Guys
こちらはデモ曲という感じ。歌詞も出来ていないのでKlaus Meineは適当にメロディーを歌っています。録音状態も今一つ。

#11 Believe in Love
これもデモ曲。完全に気が抜けた感じでKlaus Meineもまったく気合いが入っていません。

#12 Midnight Blues Jam
これもデモ曲ですね。後半に聴かれるUlrich Jon Rothのソロはなかなかいいのですが…

#13 Blue Dream
ボーカル抜きのインストナンバー。曲中盤からなぜか「Little Wing」的な展開になります。

#14 Born to Touch Your Feelings
元曲「Born to Touch Your Feelings」のデモ音源。もちろん気合いが入っていません。

というわけでボーナストラックに関しては、特筆するべき曲もなくあまり期待するとがっかりしてしまうのですが、既出音源のリマスター効果は抜群ですし、このアルバムを持っていない人は買っても損はしないと思われます。

●Musicians
Klaus Meine / vocal
Ulrich Jon Roth / guitar,vocal
Rudolf Schenker / rhythm guitar,vocal
Francis Buchholz / bass
Herman Rarebell / drums

●Numbers
1.  Steamrock Fever
2.  We'll Burn the Sky
3.  I've Got to Be Free
4.  The Riot of Your Time
5.  The Sails of Charon
6.  Your Light
7.  He's a Woman - She's a Man
8.  Born to Touch Your Feelings
9.  Suspender Love
10. Busy Guys
11. Believe in Love
12. Midnight Blues Jam
13. Blue Dream
14. Born to Touch Your Feelings

2015年12月26日 (土)

JIMI HENDRIX / FREEDOM ATLANTA POP FESTIVAL(2015年)

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Musician●Jimi Hendrix(guitar)
Title●Freedom Atlanta Pop Festival(2015年)
■Amazonより購入


Jimi Hendrixの晩年期、1970年7月4日ジョージア州バイロンで開催されたAtlanta Pop Festivalでのライブ音源が正式リリースされました。もちろん、Atlantaの音源はこれが初出ではなく、その昔「Stages」というライブ4枚組ボックスに一部が収録されていました。今回、「Stages」に収録されなかった「Red House」「Message To Love」「All Along The Watchtower」「Freedom」「Hey Joe」の5曲が追加され、リマスター。一応、これでAtlantaに関しては音源的に“コンプリート”ということになります。

音源にしろ映像にしろ、Atlanta関連作品はウッドストックやワイト島に比べると何となく雑な扱いを受けているように感じていましたが、それは自身の体調が不調で、パフォーマンス的にもやや難があったからだと理解していました。実際、[Disc 1]を聴く限り出来としては正直いまひとつなんですよね。気合いが乗っていないというか魂が抜けているというか。長くファンを続けているとそんなことは織り込み済みでいまさら驚くことではないのですが、ジミヘンを聴いたことがない人にはお勧めできないな、というのが正直なところです。ところが[Disc 2]に移ると俄然調子が上がってきたようで、「All Along the Watchtower」「Freedom」「Foxy Lady」あたりはかなり聴き応えがあります。つられてBilly Coxもなかなかファンキーなベースを奏でています。

正直、こうした“発掘音源商法”に対して辟易としているのですが、このAlantaライブはその中でも出来映えとしては上位に位置づけてもいいのではないかと思います。なにしろ音質がいいですからね。


●Musicians
Jimi Hendrix / guitar,vocal
Mitch Mitcell / drums
Billy Cox / bass

●Numbers
[Disc 1]
1.  Fire
2.  Lover Man
3.  Spanish Castle Magic
4.  Red House
5.  Room Full of Mirrors
6.  Hear My Train a Comin'
7.  Message to Love

[Disc 2]
1.  All Along the Watchtower
2.  Freedom
3.  Foxy Lady
4.  Purple Haze
5.  Hey Joe
6.  Voodoo Child (Slight Return)
7.  Stone Free
8.  Star Spanged Banner
9.  Straight Ahead

2015年12月23日 (水)

MIKE MORENO / LOTUS(2015年)

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Musician●Mike Moreno(guitar)
Title●Lotus(2015年)
■World Culture Musicより購入

ブルックリン派の旗手、Mike Morenoの新譜が届きましたので早速聴いています。2015年12月1日発売。今のところiTunesなどの配信販売のみのようですが、本人サイトではフィジカルCDも購入可能ということで迷わず購入。1週間ほどで無事届きましたよ。やはりDLでは納得できないというか手元に形として置きたいわけです。2015年7月2日、3日、ブルックリンにて録音。

Mike Moreno / guitar
Aaron Parks / piano
Doug Weiss / bass
Eric Harland / drums

おお!ブルックリン派の若手スターが勢ぞろいではないですか!前作「Another Way」(2013年)に引き続きAaron Parksが参加していますし、Eric Harlandの参加もうれしい限り。これは聴く前から名盤の香りがぷんぷんとしてきます。

前作「Another Way」はヴィヴラフォンを加えることで浮遊感あふれる音空間の追究がテーマだったと思うのですが、本作はオーソドックスな構成に戻ることで各パートの個性がより際立っているように感じます。なにせMike MorenoとAaron Parksとの美しすぎる絡み合いが素晴らしいの一語。MorenoとParksとの共演は数多あれど、いよいよ完成型に近づいたのではないでしょうか。主役のMorenoのギターは相変わらず浮遊感たっぷりで、ヌエ的に楽器と楽器、音と音の間をすり抜けるかのごとく彷徨しまくっています。エレキとアコギを使い分けていますが、アコギ率はやや高めかな。#1「Intro」からしてアコギ1本なので、一瞬だけ違和感を感じたのですが、聴き込んでいくうちに慣れてくるというか、アコギもまたいいものだなと再認識。聴き込むうちにジワジワと魅力がわかってくるという意味では、“スルメイカ的名盤”認定です。Eric Harlandの変則プレイも最初はどうなのかな?と思っていたのですが、聴き込んでいくうちにずっぽりとハマっていくような麻薬的魅力があります。

いままであまり披露しなかった流麗な早弾きが聴かれる#4「Hypnotic」、リリカルな魅力満載の#6「The Last Stand」、アコギとParksとの絡みがあまりにも美しいラスト#9「Epilogue-The Rise」が個人的なお気に入りです。もちろん捨て曲は一切無しで、今年度ジャズギター部門でベストアルバム認定です。

<付記>ディスクユニオンがCDの取り扱いを始めたようです。
Mike MorenoのHPはこちら


●Musicians
Mike Moreno / guitar
Aaron Parks / piano
Doug Weiss / bass
Eric Harland / drums

●Numbers
1.  Intro
2.  The Hills Of Kykuit
3.  Lotus
4.  Hypnotic
5.  The Empress
6.  The Last Stand
7.  Can We Stay Forever
8.  Blind Imagination
9.  Epilogue-The Rise

2015年12月20日 (日)

JIM HALL / LIVE IN TOKYO(2015年)

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Musician●Jim Hall(guitar)
Title●Live In Tokyo(2015年)
■HMVより購入


コンテンポラリー系ギターの始祖、Jim Hallの「Live In Tokyo」が完全版として再発売されたので早速入手しました。1976年10月28日、中野サンプラザでの音源を収録。来日公演としては3回目、自身のバンドを率いての来日は初めてだっだそうです。

Jim Hall / guitar
Don Thompson / bass
Terry Clarke / drums

というトリオ構成。このアルバム、アナログ盤で所有していましたが、プレイヤーを手放してしまってから疎遠になっていました。一度CD化されましたが気がついた時は廃盤でプレミア付きの高価に。でもってキング廉価盤シリーズから待望の再発売。またまた廃盤になること必至なので、気になる人は早めに入手のほどを。ちなみに日本の印象を綴った「Jazz Impressions Of Japan」も同時発売されています。

アナログ盤では契約の関係でカットされた大ヒット曲「Concierto De Aranjuez」と再発売時に「Concierto De Aranjuez」の身代わりにカットされた「Secret Love」が加わって、目出度く今回“コンプリート”ということです。

Jim Hallのライブ盤というと同時期の「Live!」(1976年)もあったりするのですが、まさに真正ジャズギターという感じの「Live!」と比較すると「Live In Tokyo」のほうは陽気なジャズおじさんのライブという印象をこれまでもっていました。ギターという楽器の奥深さにハマってしまうと、やっていることはどちらの盤もとんでもなく凄いのですが、こちらのほうは相変わらずテクニカルな部分をあまり感じさせません。いまになって思うと、それも芸のひとつなんだなと思えるようになってきました。

#6「St.Thomas」(Sonny Rollins作)の途中で「鉄道唱歌」の一節が出てきますが、移動中の新幹線の車内放送でこのフレーズが気に入って、コピーしたとか。茶目っ気あふれる演出と言ってしまえばそれまでですが、普通はちょっと練習しただけで、盛り込むなんて発想はしないですよね。「鉄道唱歌」の後に弾き出される怒濤のフレーズには圧倒されます。

いろいろな楽しみ方ができるライブ盤なのですが、惜しむらくはジャケットデザイン。オリジナルデザインのドヤ顔アップのほうがしっくりくるのですが。それもこれもアナログ盤を手に凝視した時の既視感が脳裏にこびりついているからなのでしょうね。ちなみに「Jazz Impressions Of Japan」も再発売時のジャケットになっています。こちらもオリジナルデザインのほうがインパクトあったのですが…

Index
アナログ盤のジャケットデザインがこれですね

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Jazz Impressions Of Japanのジャケット新旧比較(上が旧、下が新)


●Musicians
Jim Hall / guitar
Don Thompson / bass
Terry Clarke / drums

●Numbers
1.  Billie's Bounce
2.  Charlie Parker
3.  Twister
4.  Secret Love
5.  Concierto De Aranjuez
6.  Chelsea Bridge
7.  St.Thomas


2015年12月19日 (土)

CYRIL ACHARD / LE POINT DU JOUR(2013年)

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Musician●Cyril Achard(guitar)
Title●Le Point Du Jour(2013年)
■メーカーサイトより購入


フランスを代表するテクニカル系ギタリスト、Cyril Achardによる久々の新譜です。2013年リリース。iTunesはおろかフランスのAmazonでも取り扱っている気配がなくどうやら一般流通していないようなので、本人サイトから購入しました。それでも送料含めて2000円前後ですから安いものです。おそらく自主制作盤なのでしょう。全曲Cyril Achard作曲によるもの。

Cyril Achard / guitar
Frederic Pasqua / bass
Pierre-francois Maurin / drums
Yoann Loustelot / trumpet on #3,#5,#8

というフランス人トリオなのですが、演奏のほうは完全にジャズフォーマットになっています。ゲストミュージシャンとしてトランペットが3曲に参加。90年代の頃のCyril Achardといえばプログレバンド「Arrakeen」から始まり、ソロに転じてからはハード系フュージョン路線をひた走っていましたが、まさかのジャズギターへの転向にます吃驚。そして、聴いてみるとこれがアコギを中心にした実に渋い仕上がりで二度目の吃驚。プレイスタイルはちょうど最近のウルフ・ワケーニアスに近い感じで、ACTレコードが好みそうな雰囲気がぷんぷんと漂います。昔のメセニーに近いものも感じさせますね。

ジャズを奏でるCyril Achardは初めて聴きましたが、すでに数十年のキャリアがあるのではないかと思わせるほど、フレージングといいヴォイシングといい、実に巧みなのです。往々にしてロック畑のギタリストがジャズに転向すると大失敗してしまうのですが、Cyril Achardの場合は醸し出す雰囲気が完全にジャズに染まりきっているので、戸惑いつつも毎日のように聴いています。ジャズギターアルバムとして熱烈推薦確定なのですが、なにせ一般流通していないのが残念でなりません。

●Musicias
Cyril Achard / guitar
Frederic Pasqua / bass
Pierre-francois Maurin / drums

●Numbers
1.  Serenade Imprevue
2.  Le Point Du Jour
3.  Turbulences
4.  La Plaine
5.  La Grange Aux Belles
6.  Une Muse Danse
7.  Jadis
8.  Ciel Amer
9.  Libellule

2015年12月13日 (日)

MARC DUCRET / METATONAL(2015年)

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Musician●Marc Ducret(guitar)
Title●Metatonal(2015年)
■Ayler Recordsより購入


フランスの怪人ギタリスト、Marc Ducretの新譜を入手しました。どうやら1月あたりからリリース情報がアナウンスされていたようですね。今回はフランスのジャズクラブ「Le Triton」でのライブ音源で例によってAyler Recordsよりリリース。2014年12月2日~6日の音源とのことです。現状ではAmazon Franceが扱っていますが、ほかの通販サイトでは配信を含めてまだアップされていないようです。今回は直接Ayler Recordsより購入しましたが、なぜか送料サービスのようで1800円くらいで済みました。おそらく現時点ではこの方法が一番安く確実に入手できるのではないかと思います。

Marc Ducret / guitar
Bruno Chevillon / bass
Eric Echampard / drums
Fabrice Martinez / trumpet
Christophe Monniot / sax
Samuel Blaser / trombone

基本はトリオ構成なのですが、それに管楽器3人がゲストとして加わる形です。Bruno Chevillon(bass)とEric Echampard(drums)の二人は自主制作盤「Live」(2004年)と「Live 2」にも参加していた盟友ですね。スイスのトロンボーン奏者Samuel Blaserは彼のリーダー作にMarc Ducretが客演して以来ではないかと思われます。メンバー構成からして「Live」「Live 2」の再演ということで大いに期待されるところです。

さて#1「Dialectes」からして「Live」で聴かれたDucretの強烈な雄叫びでスタート。強烈すぎます。鉄壁のリズム隊も一切の乱れ無し。Ducretのギターはやはりこのリズム隊でこそ生きるのではないかと思います。#2からブラス隊が加わるのですが、相変わらずDucretが完璧にコントロールしていて、これまた一切のモッタリ感が感じられず、まるで一線級のオーケストラのような構成美が感じられます。ラスト#5「Porteurs de lanternes」は再びトリオに戻り、鬼神のごとく弾きまくるDucretと破壊力満点のリズム隊との息を飲む攻防戦に完全ダウン。

決して聴きやすい音源とは言えませんし、かなり聴く者を選びますが、現代フリージャズに触れるうえでは欠かせない名演だと確信します。

●Musicians
Marc Ducret / guitar
Bruno Chevillon / bass
Eric Echampard / drums
Fabrice Martinez / trumpet
Christophe Monniot / sax
Samuel Blaser / trombone

●Numbers
1.  Dialectes
2.  Inflammable
3.  64
4.  Kumiho
5.  Porteurs de lanternes

2015年12月12日 (土)

JOHN ABERCROMBIE QUARTET / THE FIRST QUARTET(2015年)

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Musician●John Abercrombie(guitar,mandolin guitar)
Title●The First Quartet(2015年)
■HMVより購入


ECMの再発売シリーズ「Old & New Masters」の新作はJohn Abercrombieによる1970年代後半カルテット3部作です。「Arcade」(1978年)、「Abercrombie Quartet」(1979年)、「M」(1980年)のボックスなのですが、唯一CD化されていた「Arcade」を除く2作は初CD化になります。今回は、アナログソースからあらためてリマスタリングしたとのこと。ありがたい世の中になりました。HMVのマルチバイ作戦をかけていたところ、相方に選んだ音源の発売が予定より1ヶ月近く遅れてしまい、やっと入手できました。旧譜の再発ですが、個人的にはこの秋、いちばん楽しみにしていた“新譜”のうちのひとつです。

John Abercrombie / guitar,mandolin guitar
Richard Beirach / piano
George Mraz / bass
Peter Donald / drums

バークリー音楽院からの友人4人によって結成されたこのカルテットですが、3作とも同メンバーで制作されること自体、ECM的にも異例だと思います。「Abercrombie Quartet」と「M」がこれまで廃盤扱いになっていた理由やらManfred Eicherに対する恨み節やらはこれまでさんざん書き散らしてきたので、ここではあえて書きません。これまでアナログでしか聴けなかった珠玉の名演が聴かれるだけで、すべてを水に流しましょう。苦節35年、生きていて良かったです。

私はこの3枚を「アバクロ耽美系3部作」と僭越ながら勝手に名づけているのですが、やはり個人的には「M」がベスト。溶けてしまいそうな甘露な世界と現代ジャズ特有のスリリングな魅力が見事に融合されています。とりわけ#2「M」、#4「Flashback」でのAbercrombieとRichard Beirachとの激しくも美しいインタープレイの応酬、そして桃源郷を彷徨するかのごとく美しく歌い上げる#7「Pebbles」。やっぱり、何度聴いても名盤だよな~♪



●Musicians
John Abercrombie / guitar,mandolin guitar
Richard Beirach / piano
George Mraz / bass
Peter Donald / drums

●Numbers
[Disc 1] Arcade      
Recorded December 1978 Talent Studio,Oslo
Engineer:Jan Erik Kongshaug
Producer:Manfred Eicher

1.  Arcade
2.  Nightlake
3.  Paramour
4.  Neptune
5.  Alchemy

[Disc 2] Abercrombie Quartet
Recorded November 1979 Talent Studio,Oslo
Engineer:Jan Erik Kongshaug
Producer:Manfred Eicher

1.  Blue Wolf
2.  Dear Rain
3.  Stray
4.  Madagascar
5.  Riddles
6.  Foolish Dog

[Disc 3] M
Recorded November 1980 Tonstudio Bauer,Ludwigsberg
Engineer:Martin Wieland
Producer:Manfred Eicher

1.  Boat Song
2.  M
3.  What are the Rules
4.  Flashback
5.  To Be
6.  Veils
7.  Pebbles

2015年12月 6日 (日)

RUDRESH MAHANTHAPPA / KINSMEN(2008年)

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Musician●Rudresh Mahanthappa(alto sax)
Title●Kinsmen(2008年)
■Amazonより購入


イタリアに生まれアメリカで育ったインド系移民を両親にもつサックス奏者Rudresh Mahanthappa(ルドレシュ・マハンサッパ)の初期作品です。「The Dakshina Ensemble」と称するユニットで、ダブルアルトの相方はインド人の巨匠Kadri Gopalnath。これにおそらくインド系と思われるミュージシャンが加わっています。

Rudresh Mahanthappa / alto sax
Kadri Gopalnath / alto sax
A.Kanyakumari / violin
Rez Abassi / guitar
Poovalur Sriji / mridangam
Carlo De Rosa / bass
Royal Hartigan / drums

Mahanthappa関連作の中ではもっとも「インド臭」が強いと思われるこの作品。前作「Codebook」(2006年)からがらりとメンバーを代えてきました。左側がMahanthappa、右側がGopalnathの2アルト体制ですが、思ったよりも暑苦しさは感じられず、またサイドを固めるギターとヴァイオリンがほどよいスパイスとなって良質なワールドミュージックとして仕上がっています。基本はインドの伝統的音楽をベースにしていますが、フリージャズの要素を織り交ぜることで、適度なテンションを保っているように思います。一方、ハイブロウな熱演を期待する人にとっては、特有のまったり感が退屈に感じられるかも。

●Musicians
Rudresh Mahanthappa / alto sax
Kadri Gopalnath / alto sax
A.Kanyakumari / violin
Rez Abassi / guitar
Poovalur Sriji / mridangam
Carlo De Rosa / bass
Royal Hartigan / drums

●Numbers
1.  Introspection
2.  Ganesha
3.  Rez-Alap
4.  Longing
5.  Snake!
6.  Carlo-Alap
7.  Kalyani
8.  Kanya-Alap
9.  Convergence(Kinsmen)

2015年12月 5日 (土)

JOHN McLAUGHLIN / FLOATING POINT(2008年)

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Musician●John McLaughlin(guitar)
Title●Floating Point(2008年)
■Amazonより購入


先日のBlue Note Tokyoライブの興奮がいまだに冷めやらないのですが、現代ジャズギターの巨匠、John McLaughlinの過去盤聴きです。2008年にAbstract Logixからリリースされた「Floating Point」は、当時お試しMP3で聴いたもののフィジカルなCDは手にしていなかったので購入。

John McLaughlin / guitar synthesizer,guitar on #2,#4,#6,#8
Hadrien Feraud / bass
Louis Banks / keyboards
Ranjit Barot / drums
Sivamani / percussion,konokol on #6
George Brooks / soprano saxophone on #1
Debashish Bhattacharya / hindustani slide guitar on #2
Shashank / bamboo flute on #4
Shankar Mahadevan / voice on #5
U Rajesh / electric mandolin on #6
Naveen Kumar / bamboo flute on #7
Niladri Kumar / sitar on #8

巨匠と鍵盤楽器以外はすべてインド出身というシャクティ型人事ですね。「The 4th Dimension」で重用されていて先の来日にも同行したRanjit Barotの名前も見られます。これだけインド人成分が濃厚だと、音楽的に抹香臭くなるのではという不安も確かにつきまといます。でも、「Industrial Zen」(2006年)あたりからハードフュージョン路線に大きく舵をとってから、作風に迷いがなくなったように感じられます。その結果、このアルバムを契機に「The 4th Dimension」が結成され、「To The One」(2010年)に繋がるわけです。

さて、まず聴いて驚くのはRanjit Barotによって派手に打ち鳴らされる打楽器攻勢。さらにパーカッションが加わることで壮絶なポリリズムが生まれ、その中で巨匠のギターが自由奔放に暴れまくります。最近の巨匠はこれくらいの強烈なリズムでないと満足しないのではないのでしょうか。さらに言えば実際にギターを弾いているのは8曲中4曲なんですが、以前はダメダメだったギターシンセの使い方の格段にうまくなっています。鍵盤楽器との棲み分けもまったく違和感がありません。最近の十八番「Raju」、Niladri Kumarによる火の出るようなシタールが強烈な#8「Five Peace Band」など聴きどころ満載。
●Musicians
John McLaughlin / guitar synthesizer,guitar on #2,#4,#6,#8
Hadrien Feraud / bass
Louis Banks / keyboards
Ranjit Barot / drums
Sivamani / percussion,konokol on #6
George Brooks / soprano sax on #1
Debashish Bhattacharya / hindustani slide guitar on #2
Shashank / bamboo flute on #4
Shankar Mahadevan / voice on #5
U Rajesh / electric mandolin on #6
Naveen Kumar / bamboo flute on #7
Niladri Kumar / sitar on #8

●Numbers
1.   Abbaji (For Ustad Alla Rakha)
2.   Raju
3.   Maharina
4.   Off The One
5.   The Voice
6.   Inside Out
7.   14U
8.   Five Peace Band

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