BEN MONDER / AMORPHAE(2015年)
Musician●Ben Monder(guitar,baritone guitar)
Title●Amorphae(2015年)
■Amazonより購入
NYCを中心に相変わらずアンダーグラウンドな活動を展開するBen Monder。最近は韓国あたりに出没しているようです。そんなMonderの初ECMリーダー作です。きちんと調べたわけではないのですが、私が知るかぎりではECM自体、初レコーディングではないかと思われます。クレジットを見たら8曲中3曲が2010年、残りは2013年の録音になっています。プロデュースはMアイヒャーではなくSun Chung。
Ben Monder / guitar,baritone guitar
Pete Rende / synthesizers
Andrew Cyrille / drums
Paul Motian / drums on #2,#6
2011年に亡くなったPaul Motianが2曲に参加しています。Motianとの2曲はいずれもデュオで、残りの6曲はギターソロ、ドラムとのデュオ、あるいはシンセが加わったトリオ構成になっています。
Monderはデビュー作から追いかけている長期フォロー物件ですが、ECMだからという気負いも意気込みもなく、いつも通りの淡々としたプレイに徹しています。あえて言えば彼の持ち味のひとつ高速アルペジオはほとんど使わず、ヴォイシングとコードワークを駆使することで独自の世界観を作り出しています。録音年が異なる#1「Tendrils」からMotian参加曲#2「Oh,What A Beautiful Morning」への接続もまったく違和感なく、データを知らなければ連続した楽曲だと思わせてしまうほどの見事さです。ところでMonderとPaul Motianとの接点はいつ頃からなのかと調べたら、Bill McHenry(sax)のアルバムで共演したあたりに遡ることができます。
楽曲はというとあくまでもダークで、熱量をまったく感じさせないいつものMonder世界。今回、バリトンギターを操るMonderを初めて聴きましたが、もとよりギターをギターらしからぬ弾き方をするプレイヤーだけに、これも違和感は一切なし。音域が下に移動しただけというか、この人はこういう弾き方しかしないというよく言えばワン&オンリー、悪く言えば唯我独尊的なMonderワールド。
これは余談ですが、NYC在住の知り合いの日本人音楽ライターによれば、Ben Monderは仲間内の中で極端なケチとして有名だそうです。
●Musicians
Ben Monder / guitar,baritone guitar
Pete Rende / synthesizers
Andrew Cyrille / drums
Paul Motian / drums
●Numbers
1. Tendrils
2. Oh,What A Beautiful Morning
3. Tumid Cenobite
4. Gamma Crucis
5. Zythum
6. Triffids
7. Hematophagy
8. Dinosaur Skies
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自分の周りにもベン・モンダーのファンが何人かいて、このアルバムは早く入手したい、と言ってました。聴く人を選ぶアルバムかもしれませんが、彼らしくていい感じです。
ただ、自分の語彙力が足りなくて、同じ単語を短い文章の中でいくつも使ってしまった、というのもありますが、ECMと彼との相性は良かったと思います。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2015年11月22日 (日) 12時02分
910さん
コメント&TBありがとうございます。
確かにECMとBen Monderとの相性はいいかなと思います。昔から無駄なプレイを一切しないギタリストですが、年々そぎ落とされて最近の彼は俳句の域にまで達しているのではと思います。
近年は韓国の女性ボーカルと共演しているので、ECMからリリースするとしたら、その線ではないかと勝手に妄想しています。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2015年11月22日 (日) 12時18分
奇天烈音楽士さん,こんばんは。TBありがとうございました。
Ben Monderの音って相当に個性的だと思いますが,前作がプログレ的な響きさえ感じさせたのに対し,今回はかなりの静謐系だったと思います。私は結構前作も好きでしたが,本作はまた別の味わいがありますね。
Ben Monderがメジャーになるとは思えませんが,ECMからのアルバム・リリースで,更に注目度が上がると期待しましょう。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2015年12月10日 (木) 00時24分
中年音楽狂さま
コメント&TBありがとうございます。
確かにこのアルバムは静謐系ですよね。最近のBen Monderはどんどん無駄な部分が削ぎ落されきて、まるで俳句のような印象を受けます。
正直、この手のプレイヤーはメジャーな存在になるとは思えませんし、個人的にはあくまでもニッチな存在でいて欲しいな、と思っています。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2015年12月10日 (木) 23時10分