John McLaughlin / Black Light(2015年)
Musician●John McLaughlin(guitar)
Title●Black Light(2015年)
■Amazonより購入
今年で御歳73歳、ギター界の現人神John McLaughlinの新譜が出たので早速入手しました。例によってAbstract Logixからのリリースでボートラ付き日本盤が先行発売されています。「4th Dimension」名義としては「To The One」 「Now Here This」に続く3作目にあたりますが、ライブ盤「The Boston Record」が挟まったりするのでそれを含めると4作目ですかね。
John McLaughlin / guitar
Gary Husband / keyboards,drums
Etienne Mbappe / bass
Ranjit Barot / drums
カメルーン出身の名手、Etienne Mbappeはザヴィヌル・シンジケートに在籍していた頃からMcLaughlinが目を付けていたそうです。個人的な好みで言えばどうもGary Husbandが苦手でして、要するに担当が鍵盤なのか打楽器なのか、どっちかに専念せえや!という話なんですね(笑)。マルチプレイヤーと言えば聞こえがいいのですが、この人の場合はどっちつかずの感が強くて、どうもいけ好かないのですよね。せっかくの逸材Ranjit Barotがいるのですから、ダブル打楽器なんて野暮な真似をすることはないと思うのですが。
あだしごとはさておき、「4th Dimension」での活動がスタートしてからのMcLaughlinは回春効果なのかわかりませんが、ますます血気盛ん、まだまだ若いもんには負けられんぞという気迫に漲っているように思います。実際、負けないどことか絶対能力で圧倒しまくっているわけです。本作の作風は前2作の延長線上にありますが、少しばかりロック色が強まったように感じられます。それとやはりRanjit Barotの存在感が大きいですね。McLaughlinの老獪な変則技に対して機敏に反応し、さらに緊迫感あふれる空間を作り出しています。Ranjit Barotによるインド風ラップが炸裂する#2「Clap Your Hand」や#4「Panditji」#8「Kiki」などで味わえる尋常でない疾走感はBarot抜きでは考えられません。#6「El Hombre Que Sabia」は昨年亡くなったスペインの至宝でありかつての盟友、パコ・デ・ルシアに捧げた曲。実は2人によるアルバム制作の計画があり、この曲をパコ・デ・ルシアに聴かせた数日後、滞在先のメキシコで客死してしまったというエピソードがあるとか。本来なら2人で演奏していただろうと思いながら聴くと感慨深いものがありますね。
最後に日本盤のみのボートラ#9「Nothing To Lose But The Blues」ですが、これがボートラ扱いにしておくのは勿体ないくらいの出来映え。バリバリ弾きまくるMcLaughlin、Mbappeの強力ベース、そしてBarotの高速ドラムとが三位一体となって、とてつもないハードボイルドな世界を構築しています。10月にこのメンバーで来日公演が予定されているのですが、これは絶対に見逃してはならないですね♪
●Musicians
John McLaughlin / guitar
Gary Husband / keyboards,drums
Etienne Mbappe / bass
Ranjit Barot / drums
●Numbers
1. Here Come The Jiis
2. Clap Your Hand
3. Being You Being Me
4. Panditji
5. 360 Flip
6. El Hombre Que Sabia
7. Gaza City
8. Kiki
9. Nothing To Lose But The Blues
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こちらからもTBさせていただきます。
マクラフリンがこれだけハードなプレイができるのは、凄腕ミュージシャンと共演しているからでもありますが、その姿勢はいつの時代も変わらずに貫き通しているのだから素晴らしいです。
ここ何作品か同じメンバーでやっているわりにはマンネリ感もなく、本作は最高にいい感じで楽しめました。
投稿: nary | 2015年10月12日 (月) 21時24分
naryさま
コメント&TBありがとうございます。
前回、生マクラフリンを見たのは、「Tokyo Live」の頃、デフランセスコ&デニス・チェンバースで来日した時ですが、その頃は50歳くらいだったんですね。目の前でバリバリ弾きまくる初老の姿に腰を抜かした記憶が鮮明です。
今度は後期高齢者間近のオジイサンがバリバリ弾きまくる姿を目に焼き付けてきます。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2015年10月12日 (月) 21時36分