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2015年3月 1日 (日)

【再聴】ALLAN HOLDSWORTH / WARDENCLYFFE TOWER(1992年)

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Musician●Allan Holdsworth(guitar,synthaxe)
Title●Wardenclyffe Tower(1992年)
■Amazonより購入


Allan Holdsworth
再聴シリーズです。

前作「Secrets」(1989年)以降、約3年ぶりに発表された「Wardenclyffe Tower」です。この3年間の間、Holdsworthは何をしていたかというとJack Bruceやらのアルバムに客演として参加していたようです。「リーダー作はあれだけど、客演だと素晴らしい」とありがたくない風評が囁かれるようになったのもこの頃からではないでしょうか。おそらく本人としては次作への資金集めのためのバイトだったのかもしれませんね。当時の記憶では心機一転、ポリドールに移籍して、新境地を開いたか? と大いに期待をもって購入したことを覚えています。

この作品では、29フレットで通常のギターよりも3度低い最低音が出せるという「バリトンギター」を新たに導入しています。このお化けみたいな新しい楽器は1曲のみで聴くことができますが、評価のほどは正直言って難しいですね。という書き方で察してください。

「Wardenclyffe Tower」というタイトルの由来は、オーストリア出身のニコラ・ステラという科学者が建設した高さ57メートルに及ぶ無線塔「Wardenclyffe Tower」をそのままタイトルにしています。1901年にモルガン財閥の援助のもと、ロングアイランドのショアハムという場所に建てられたこの塔ですが、アメリカが第1次世界大戦に参戦すると爆撃の標的にされるという理由で1917年に撤去されるという悲しい運命を辿ります。このニコラ・ステラという人、最初はエジソンが経営していた会社に入社しますが意見の食い違いからわずか1年で退社、その後モルガンとも対立して資金的援助を受けられなくなり、研究を中断せざるを得ないという状況に追い込まれるなど、渡り鳥的な人生を送っています。穿った見方かもしれませんが、Holdsworthは自分の音楽的キャリアとニコラ・ステラの人生とを照らし合わせたのかもしれませんね。2回ほどノーベル物理学賞の候補者になるものの、ともに落選したことも流浪の遍歴をもつHoldsworthの琴線に触れたのかもしれません。あと共に金銭的に困窮していた点も…。

私自身、アルバムタイトルに込められた思いなどには無頓着なほうですが、再聴にあたってライナーを読み返したところ、あらためてなるほどなと思った次第です。

話を音楽に戻しましょう。

Allan Holdsworth / guitar,synthaxe
Jimmy Johnson / bass expect #9
Steve Hunt / keyboards on #1,#4,#5
Chad Wackerman / drums on #1,#3,#5,#7,#9,#10,#11
Gary Husband / drums on #2,#4 keyboards on #3
Vinnie Colaiuta / drums on #6
Gordon Beck / on #9,#10,#11
Naomi Star / vocal on #6

女性ボーカルを導入するというのはもう定番になったようです。Vinnie Colaiutaも前作から継続参加ですが、Chad Wackermanがキーマンに返り咲いています。Steve Huntの重用も前作と同様です。

#1  5 to 10
毎度おなじみのマイナーな調子でスタート。ほどなく聴かれるギターソロですが、これまた絶品で御大のギターが歌いまくるわ、泣きまくるわのかなり壮絶なプレイ。はっきり言ってこの曲のギターを聴くだけでも、購入の意味ありです。ラストの「I Hate Jazz!」というヴォイスは当時あれこれと憶測を呼びましたが、相変わらず捻りすぎで意味不明です。

#2  Sphere of Innocence
緊迫感満載だった前曲から一転して、優しい曲調に。私はこの展開好きです。この曲に例のバリトンギターが使われているそうなのですが…

#3  Wardenclyffe Tower
話し声や足音、機械の電源を入れる音、そして電流ぽいSEでスタートするこの曲。あえて苦言を呈すると、あまりに単刀直入すぎるSEはいかがなものかと思いますが…。“そのままやんけ!”という感じなのです。SF映画を観ているような感覚に浸れる展開が面白いです。でも、synthaxeのソロは相変わらず中途半端な感じです。

#4  Dodgy Boat
Steve Huntの曲です。美しい曲ですね。曲終盤での御大による迫真のソロは圧巻の一語です。

#5  Zarabeth
スタートは静かな感じで始まりますが、ソロに移るとこれがまた弾きまくること弾きまくること。近年では一番の熱演かもしれません。途中のHuntの鍵盤ソロは長すぎて若干冗漫というか、欲を言えばもう少しコンパクトにまとめられなかったかな~という感じです。

#6  Against the Clock
女性ボーカルNaomi Starを押し出した曲と書きたいところですが、彼女の出番は冒頭と終盤でテーマを歌うだけで、ほぼ全編synthaxeのために作られたような曲。そういえば2枚組ベストアルバムもこのタイトルでしたね。

#7  Questions
Chad Wackermanの曲のようです。彼の「Forty Reasons」「The View」あたりに収録されても不思議ではないような感じの曲です。これもsynthaxe中心なのかなと思わせませますが、短いながらも鬼神のごとく弾きまくる姿に安心。ダークでこれまで聴いたことのないようなソロを連発しています。

#8  Oneiric Moor
SEとギターのみの小曲。あまりコメントのしようもありません。蛇足と言えば蛇足と言われても仕方がないです。

#10 Tokyo Dream
以下、3曲が日本盤のみのボーナストラックです。とうやら東京のスタジオで録音されたようです。鍵盤に盟友Gordon Beckが参加しています。このバージョンを初めて聴いたときはあまりピンとこなかったのですが、オリジナルバージョンから10年近く時間が経過しいているだけに、陳腐な表現ですが円熟味が増していますよね。いや、最初から円熟味満載だったという説もありますが…

#11 The Unmerry Go Round Part4
アルバム「Metal Fatigue」(1985年)収録曲の続編というか、Gordon Beckを加えた再演という感じの曲です。Gordon Beckのピアノがなんと言っても素晴らしいです。ところでPart2とPart3は存在するのでしょうか。

#12 The Unmerry Go Round Part5
Part1を短縮アレンジしたオマケ的な曲。フェードアウトしていくかと思いきフェードイン、そして再びフェードしていくソロは聴きごたえがありますが。

●Musicians
Allan Holdsworth / guitar,synthaxe
Jimmy Johnson / bass expect #9
Steve Hunt / keyboards on #1,#4,#5
Chad Wackerman / drums on #1,#3,#5,#7,#9,#10,#11
Gary Husband / drums on #2,#4 keyboards on #3
Vinnie Colaiuta / drums on #6
Gordon Beck / keyboards on #9,#10,#11
Naomi Star / vocal on #6

●Numbers
1. 5 to 10
2. Sphere of Innocence
3. Wardenclyffe Tower
4. Dodgy Boat
5. Zarabeth
6. Against the Clock
7. Questions
8. Oneiric Moor

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