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2014年11月

2014年11月30日 (日)

【再聴】ALLAN HOLDSWORTH / ROAD GAMES(1983年)

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Musician●Allan Holdsworth(guitar)
Title●Road Games(1983年)
■Amazonより購入


さてさて、Allan Holdsworth関連音源です。このお方のことについて書くときは、若干緊張したりしますね。相変わらず。

実質的な初リーダー作「I.O.U.」で注目を浴びたAllan Holdsworthは、エディ・ヴァン・ヘイレンの推挙もあってWEAとの契約に成功。プロデューサーであるテッド・テンプルマンを起用し、このアルバムの制作に取りかかります。本当はエディ・ヴァン・ヘイレンとの共演が契約条件に織り込まれていたとの話ですが、結果としてスケジュールの関係で共演はかなわずHoldsworthが独自で取り組みます。そしてミキシング段階で自費を投じてすべての作業を自力で行ったらしいのですが、職人気質のHoldsworthと効率性を求める米国資本とでは、やはり水と油。予定ではフルレンスのアルバムに仕上がる予定が、ミニアルバムという形になってしまったのは、WEAとの軋轢が原因ではないかと想像されます。そういえば、このアルバムはなかなかCD化されませんでしたが、そのあたりもHoldsworthの恩讐が働いていたのではないでしょうか。確か初CD化は2001年だったと思います。

以降、WEAと袂を分かったHoldsworthは新興レーベル「Enigma」と契約を取り交わし待望のフルレンスアルバム「Metal Fatigue」(1985年)をリリースすることに。ここで気になるのは「Road Games」制作時にオミットされた音源の存在ですよね。「Metal Fatigue」にうまい具合に引き継がれていればよいのですが、そうでないとしたらまたぞろ「未発表音源」として出てくる可能性もなきにしもあらず、ですが。おそらく本人はOKしないと思われますが。

さて、注目すべきは先日72歳で亡くなったJack Bruceの参加です。このアルバムを初めて聴いたときは「何でJack Bruce?」と思ったのは確かでした。そもそも兄貴分的なJack Bruceは金銭的に恵まれなかった時期のJohn McLaughlinにTony Willimasを引き合わせ、アルバム「Emergency!」のリリースや「Tony Williams Lifetime」の結成を陰で支えるなど英国ジャズロック界の“陰の帝王”として君臨していました。Tony Williamsが「New Lifetime」の結成にあたりMcLaughlinに次ぐ英国のギタリストを探したことは想像に難くありません。実際、1975年にはスウェーデンでJack Bruce、Tony Williams、黒人女性ボーカルらとデモ音源を作ります。この夢のようなスーパーユニットはBruceの契約上の問題で実現しませんでしたが、その後のHoldsworthの活躍を振り返れば、Jack Bruceの存在がいかに大きかったかが理解できます。その後、HoldsworthとBruceはモントルージャズフェスティヴァルで共演したり、Bruceのリーダー作「A Question of Time」(1989年)にHoldsworthが客演したり、Soft Machineの再結成アルバム「Land of Cockayne」(1981年)で共演したりと絶えず交流をはかっています。

なお「Road Games」と「Metal Fatigue」でバックボーカルを務めているPaul Kordaのアルバム「Early Years」にはHoldsworthは客演しています。


●Musicians
Allan Holdsworth / guitar
Jeff Berlin / bass
Chad Wackerman / drums

Jack Bruce / vocal
Joe Turano / backing vocal
Paul Korda / backing  vocal
Paul Williams / backing vocal

●Numbers
1.  Three Sheets To The Wind
2.  Road Games
3.  Water On The Brain Pt.1
4.  Tokyo Dream
5.  Was There?
6.  Material Real

2014年11月29日 (土)

【再聴】ALLAN HOLDSWORTH / I.O.U(1982年)

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Musician●Allan Holdsworth(guitar)
Title●I.O.U.(1982年)
■Amazonより購入


今秋の日本ツアーが最後になった、希代のギターマエストロAllan Holdsworth。それに合わせたかのようにリマスター盤が一挙に発売されていますが、そのなかから1枚だけを選べといわれたら、やはりこの盤でしょう。アナログ盤、スリープ違い、紙ジャケットなど懲りずにいろいろと買い揃えてしまいましたが、おそらく今回が最後だなと思うとさすがに感慨深いものがありますね。

さて、このアルバムが生まれた背景を備忘録的に整理してみます。マエストロが経済的に不遇をかこっていた1980年代初期、「Tempest」時代の盟友、Paul Williamsの誘いでアメリカ移住を決意したマエストロは自主制作盤「I.O.U.」の制作に取りかかります。正確な録音時期は不明ですが、おそらく1980年から1981年にかけてではないかと思われます。

アルバムタイトル「I.O.U.」とは「I owe you」の略で借用証明書のことを意味。金銭的に切迫していたマエストロは、この盤によって起死回生、一発逆転の勝負に出ることになります。結果としてセールス自体は知る人ぞ知るというレベルでしたが、この盤を手にしたエディ・ヴァン・ヘイレンがいたく感動し、彼の推挙によってメジャーレーベルとの契約、そして「Road Games」のリリースに繋がったわけですから、大成功だったわけです。

当時の状況から考えれば気合い十分、執念に満ちあふれた盤であることには違いませんが、楽曲、プレイともいたってクール。実質的な初リーダー作だけに、いままで温めてきたアイディアをこれでもか!と言わんばかりにつぎ込んでいます。個人的にはこのアルバムがマエストロにとってのキャリアハイではないかと思うのですが、いかがでしょう。

ちなみにPaul CarmichaelとGary Husbandの2人は「I.O.U.」とほぼ同時期にSteve Toppingの自主制作盤「Wat It Is」(1980年)にも顔を出しています。

●Musicians
Allan Holdsworth / guitar
Paul Williams / vocal
Paul Carmichael / bass
Gary Husband / drums

●Numbers
1.  The Things You See
2.  Where Is One
3.  Checking Out
4.  Letters Of  Marque
5.  Out From Under
6.  Temporary Fault
7.  Shallow Sea
8.  White Line

2014年11月24日 (月)

Lu7の1st「Efflorescence」を再聴

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Musician●Lu7
Title●Efflorescence(2002年)
■ディスクユニオンで購入


先日の「Lu7」(エルユーセブン)レコ発記念ライブの興奮さめやらぬ状態が続いております。というわけで彼らの1stやらコンピ盤「Electric Guitar Quartet」の2枚などを聴き直しております。

そもそも「Lu7」は鍵盤楽器奏者の梅垣ルナさんのライブを栗原務さん(guitar)が見て“同じ匂いを感じて”結成されたとのことで「Electric Guitar Quartet」を経由して2000年に「Lu7」を結成。2年間の制作期間を経て2002年に1st「Efflorescence」をリリースしています。当初はMP3音源をネット配信する形だったようです。2006年の配信サービス停止に伴いボーナストラック1曲を加えたうえで再リリースされています。私が彼らの存在を知ったのはCD化がきっかけだったと記憶しています。

というわけでメンバー紹介
梅垣ルナ / keyboards
栗原務 / guitar
永井敏己 / bass
バカボン鈴木 / drums

帯のコピーをそのまま拝借すると「煌めく感性を心豊かな技術で表現した至上の音楽」とあります。私が勝手に名づければ「無国籍風シンフォ系&ヒーリングフュージョン」という案配でしょうか。確かに梅垣さんが生み出す豊かなフレーズはキラキラと輝きつつも変化に富んだダイナミックな世界を創出しています。聞けばもともとはゲーム音楽の作曲を手がけていたそうで、その世界でも第一人者であるとか。私自身、ゲームはまったくやらないので迂闊にも知らなかったのですが、ゲームから入ってLu7ファンになった若い人も多いようです。栗原さんは「Electric Guitar Quartet」の2枚を聴いて初めて存在を知りました。「やけにHoldsworthyなギタリストがいるな」というのが第一印象。Holdsworthyと呼ばれることに対して、栗原さんご本人がどう思うかはわかりませんが、かなりのAH研究家であることは確かです。タイム感やフレージング、アームの使い方などプレイの端々にAH愛が感じられてしかたがないのです。

バンド色が濃厚な最新作「Azurite Dance」と比べると打ち込み系、シンフォ系含有率が多いな~というのがあらためての感想。ライブでも披露された「Blue Planet」「Kesaran Patharan」「Flying Seed」もライブでの印象とはかなり違って聴こえます。フュージョンというよりも無機質な感触のニューエイジ系との境界線をギリギリ狙ったような感じですね。

#6「Sonatine I (Modere)」、#7「Sonatine II (Mouvement de Menuet)」、#8「Sonatine III (Anime)」の3曲はラヴェルのソナチネ第1楽章から第3楽章をアレンジしたもの。プログレとの親和性がたびたび指摘される「Lu7」ですが、梅垣さんによればプログレを作曲のヒントにしていないとのこと。むしろクラシックからインスパイアされる部分が多いことは、彼らの一連の作品を聴けば明らかです。

1stの音源があがってないので2ndの音源から「Bluetail of Passage」です♪

●Musicians
梅垣ルナ / keyboards
栗原務 / guitar
永井敏己 / bass
バカボン鈴木 / drums

●Numbers
1.  12th Tree
2.  Blue Planet
3.  Crimson Carpet
4.  Nusa Dua
5.  Kesaran Patharan
6.  Sonatine I (Modere)
7.  Sonatine II (Mouvement de Menuet)
8.  Sonatine III (Anime)
9.  Flying Seed (Landscape 37)
10. Soft Nothings
11. Ut06

2014年11月 3日 (月)

Lu7 レコ発Liveに行ってきました♪

当欄では初のLiveレポートです。

FBなどで仲良くしていただいている作編曲家&鍵盤楽器奏者、梅垣ルナさんと日本が誇る超絶ギタリスト、栗原務さん率いる「Lu 7」が4thアルバム「Azurite Dance」リリースの記念ライブを行うという朗報が舞い込んできました。2年ほど前も「Lu 7」のライブを見るチャンスがあったのですが、まごまごしているうちに行けずじまいでした。そんなこともあって、今回、見逃しては男がすたるというわけで、行ってきましたよ、小雨が降りしきる夜のギロッポンに。

そもそもLiveレポートってどんなことを書けばいいのか、よく分かりません。ということで、まずは、状況描写を。会場の「BeeHive」というところは昼はラーメンを出すお店だとか。現地に着いた時の第一印象は「ちっさ!」。キャパは100人程度でしょうか。こぢんまりとしたいい雰囲気の会場です。事前の情報では座席も用意されているとか。体力低下が著しい初老にとって正直立ち続けるのはしんどいので、これは朗報です。

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入り口でドリンク代として600円を支払い、左手のCDやらグッズ販売を確認しつつ、いざ会場内へ。1階席と2階席がありましたが、1階席だと全体が俯瞰できないだろうと、2階席へ。早速一角を確保し、陣どります。うん、ここなら落ち着いて鑑賞できそうです。ドリンクは麦酒かソフトドリンクかで迷いましたが、最近飲み過ぎ気味なので、あえてのオレンジジュースを選択。場内を見渡すといかにもミュージシャンっぽい人もいれば、若い男子、そして私のような初老男女と実にバラエティに富んでいます。

さて、開演は19時。ほぼ定刻どおりにメンバーの登場です。左から岡田治郎さん(bass)、嶋村一徳さん(drums)、センターポジションに梅垣ルナさん(keyboards)、そして栗原務さん(guitar)。栗原さんの背後にはMarshallが積んであります。派手なライティングもなく実にシンプルなステージですが、音を聴きに来ているわけですから、元より余計な演出など不要です。

MCなしでいきなり1stアルバム収録「Blue Planet」での幻想的な音世界が場内に広がります。ゆったりとした感じの曲ですが、まずはツカミはOK。栗原さんのギターは相変わらずHoldsworthyしていますね♪新譜収録曲でスタートするわけではないのねと思っていると、次なる「Azurite Dance」でエンジン全開。プログレ風でありつつダンサブルというLu7サウンドが響きわたります。ふと気がつけば誰一人スタンディングしていません。のっけから無条件に立ち上がるのが昨今のライブ会場の作法のようですが、個人的にはどうもああいうのが苦手なんですよね。いや、もちろんジャンルによってはありだと思いますが、「Lu7」の聴き方はそうではないと思うのです。私なぞは「KISS」初来日の時も、武道館の座席で微動だにしませんでしたから。拝聴するというのは、心をひたすら開いて余計な身体的なアクションなどをせず、耳を傾けることだと思っているわけで。

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2階席でも近い、近い♪

というわけで、ここでMC。生梅垣さんは想像以上に小柄で華奢なお方。早口で一見ぶっきらぼうな口調は、私が思うに照れ隠しなのかも。それに裸足だし。などと余計なことを考えつつメンバー紹介。木訥な印象の岡田さん、人柄の良さが2階席まで伝わってくる嶋村さん、そして温厚そのものな雰囲気を醸し出す栗原さん。無駄な自己アピールしない奥ゆかしさ、そしてなぜだか安心できる雰囲気がとても居心地良く、いま自分がライブ会場にいることを忘れてしまいそうです。演奏している曲自体はとても複雑だし、なかには変拍子連続の曲もあり、ギリギリと肩肘張ってしまっても不思議ではないのですが、そんなことを微塵も感じさせないあたりは流石だな~と。

10分ほどの休憩を挟んで(トイレ休憩はありがたい)、後半へ。アコギと鍵盤のみの難曲「Ripple(Mizu no wa)」、そして3rdアルバム「Bonito」から 「Bonito」、そして2ndアルバムから個人的にお気に入りの「Mariana's Garden」と至福の時間が続きます。それにしても岡田さんと嶋村さんのリズム隊は強力すぎますね。曲途中のMCでは梅垣さんと栗原さんとの掛け合いというか、一方的に突っ込む梅垣さんに対して飄々とした感じで受け流す栗原さんにクスリとさせられたり。岡田さんによるエフェクターの話や「Azurite Dance」レコーディングの裏話なども興味深いものでした。

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梅垣さんと栗原さんのデュオ♪

さてさて、ラスト曲は10分以上に及ぶ大曲「トキヲコエテソラニカエリ」。これまた実に複雑な構成のプログレ風の難曲中の難曲。聴くほうまでド緊張してしまうのですが、スリリングかつダンサブル、そして時折挟み込まれる美しいメロディと実に絶妙なバランスが圧巻。すっかり4人の魅力にやられてしまいました。

MCでは例のウィッグのことが語られていました♪

ライブ後は何とサイン会まで。私蔵のCDジャケットにお二人のサインをいただいたうえに握手までしてくださったり。感謝感激。こんな素晴らしいライブなら、出不精をこじらせていて休日は多摩川すら越えることができない私でもどんどん足を運びたいものです。

●Musicians
梅垣ルナ / keyboards
栗原務 / guitar
岡田治郎 / bass
嶋村一徳 / drums

【セットリスト】※梅垣ルナさんのブログより転載
Blue Planet
Azurite Dance
Kesaran Patharan
積みわらの歌
ミドル・ロングサーキット
(休憩)
Ripple(Mizu no wa)
浮遊都市
Bonito
Mariana's Garden
トキヲコエテソラニカエリ

Flying Seed (Landscape 37)(encore)

2014年11月 2日 (日)

フリー系サックス奏者Francois Corneloup「Pidgin」にMarc Ducretが参加

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Musician●Francois Corneloup(baritone sax)
Title●Pidgin(2004年)
■Amazon Franceより購入


ブログの更新が滞ってしまっています。8月以降、家族の手術、入院、転院などがたて続きに発生し、そのたびに仕事を休まなければならずということで、てんてこ舞いの日々です。保険や行政サービスなど、普段は無意識だったことにも直面し、確かに勉強にはなるものの、やはり無縁のままでいるほうがいいと言えばいいですよね。当面、入院は続きそうなので、私自身が倒れたりしないように気をつけないと…。というわけで、当欄の更新もしばらくの期間は不定期になりそうです。

と言っても音楽は聴き続けています。いや、ちょっと辛いときこそ音楽で癒されることのほうが多いような気がします。まったく音楽を聴かない人もなかにはいますが、精神力が強いのか、あまり辛いことに直面していないのか。これはわかりません。

あだしごとはさておき。

久々にフランスが生んだフリージャズギターの奇才Marc Ducret(マルク・デュクレ)関連音源です。今回は同じフランス出身のフリー系サックス奏者Francois Corneloupの作品「Pidgin」にゲスト参加したもの。Francois Corneloupはもう1作リーダーアルバムを出していますが、これにもDucretが参加しています。

というわけで参加メンバーのご紹介。
Francois Corneloup / baritone sax
Yves Robert / trombone
Marc Ducret / guitar
Eric Echampard / drums

まずはベースレスでバリトンとトロンボーン2本という何とも重厚な構成に若干引いてしまいますね(笑)。トロンボーンのYves RobertとドラムのEric EchampardはDucret周辺人物としてはお馴染みの面子という意味で、抜群の安定感が感じられます。サウンド面でベース不在はバリトンがカバーする発想なのでしょうか。

さて、拝聴。サックス奏者とDucretとの組み合わせといえば、Tim Bernneが有名ですが、このFrancois Corneloupとの共演もなかなかの素晴らしい出来映えです。全曲が完全フリーなのでかなり聴く人を選んでしまう作品ですが、これはDucretファンにとって必聴かも。例によって縦横無尽、自由奔放、アイディア満載のギターソロを堪能でき、決して冗漫にならず漏れなく楽しめます。Eric EchampardとYves Robertの好サポートも光りますね。

●Musicians
Francois Corneloup / baritone sax
Yves Robert / trombone
Marc Ducret / guitar
Eric Echampard / drums

●Numbers
1.  Introduction Bruges
2.  Pidgin
3.  La Maison Dort
4.  Tell
5.  Ophelie Nage

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