【再聴】ALLAN HOLDSWORTH / I.O.U(1982年)
Musician●Allan Holdsworth(guitar)
Title●I.O.U.(1982年)
■Amazonより購入
今秋の日本ツアーが最後になった、希代のギターマエストロAllan Holdsworth。それに合わせたかのようにリマスター盤が一挙に発売されていますが、そのなかから1枚だけを選べといわれたら、やはりこの盤でしょう。アナログ盤、スリープ違い、紙ジャケットなど懲りずにいろいろと買い揃えてしまいましたが、おそらく今回が最後だなと思うとさすがに感慨深いものがありますね。
さて、このアルバムが生まれた背景を備忘録的に整理してみます。マエストロが経済的に不遇をかこっていた1980年代初期、「Tempest」時代の盟友、Paul Williamsの誘いでアメリカ移住を決意したマエストロは自主制作盤「I.O.U.」の制作に取りかかります。正確な録音時期は不明ですが、おそらく1980年から1981年にかけてではないかと思われます。
アルバムタイトル「I.O.U.」とは「I owe you」の略で借用証明書のことを意味。金銭的に切迫していたマエストロは、この盤によって起死回生、一発逆転の勝負に出ることになります。結果としてセールス自体は知る人ぞ知るというレベルでしたが、この盤を手にしたエディ・ヴァン・ヘイレンがいたく感動し、彼の推挙によってメジャーレーベルとの契約、そして「Road Games」のリリースに繋がったわけですから、大成功だったわけです。
当時の状況から考えれば気合い十分、執念に満ちあふれた盤であることには違いませんが、楽曲、プレイともいたってクール。実質的な初リーダー作だけに、いままで温めてきたアイディアをこれでもか!と言わんばかりにつぎ込んでいます。個人的にはこのアルバムがマエストロにとってのキャリアハイではないかと思うのですが、いかがでしょう。
ちなみにPaul CarmichaelとGary Husbandの2人は「I.O.U.」とほぼ同時期にSteve Toppingの自主制作盤「Wat It Is」(1980年)にも顔を出しています。
●Musicians
Allan Holdsworth / guitar
Paul Williams / vocal
Paul Carmichael / bass
Gary Husband / drums
●Numbers
1. The Things You See
2. Where Is One
3. Checking Out
4. Letters Of Marque
5. Out From Under
6. Temporary Fault
7. Shallow Sea
8. White Line
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コメント
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こんにちわ。初めてコメントさせて頂きます。
購入されたのは2014年に再発されたやつですか?
投稿: ミートパイ | 2016年8月15日 (月) 21時07分
ミートパイさま
コメントありがとうございます。はい、最後に買ったのは2014年発売のモノです。もちろん初版のアナログ盤も所有しています。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2016年8月15日 (月) 23時27分
コメント遅れました申し訳ありません;;
2014年再リリースのIOUはリマスタリングされてますか?
購入の参考にしたいです
投稿: ミートパイ | 2016年8月25日 (木) 22時48分
ミートパイさま
2014年再発売盤はI.O.U.を含めてすべてリマスター盤です。印象としては最近流行りのあまり強調しない上品な仕事ですね。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2016年8月26日 (金) 21時24分
回答ありがとうございます。
実はメーカーの方にも問い合わせたのですが、2014年再発盤の内、
リマスターアルバムと銘打った作品群のみでIOUを含めたアーカイブアルバムの方はリマスターされてないとの事でした
しかしそうでなくても作品としては素晴らしいですね。自分も購入して聴きました。
大人のオシャレな雰囲気、一人部屋でよこになりながら聴くのに最適って感じがします。
他にもあのような音楽があれば知りたいですね!
投稿: ミートパイ | 2016年8月30日 (火) 22時39分
ミートパイさま
確か2014年当時のディスクユニオンの情報では、I.O.U.もリマスター盤との触れ込みだったと記憶していますが、実際はそうではなかったのですね。
とは言え、仰る通り素晴らしい作品であることには変わりないですね。個人的にはこの時期の作品が一番好きですし、最も脂がのった頃ではないかと思っています。実際、このアルバムが生まれなかったら初来日も実現しなかったのではないでしょうか。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2016年9月 1日 (木) 00時00分
なるほど。この作品の意義はそれだけ大きいものなんですね
この手の音楽はフュージョンと言うのでしょうか、もっと掘り下げていきたいと思うのですが
ブログ主様はお詳しそうなので
是非IOUのようなおすすめを教えて頂ければと思いますm(_ _)m
投稿: ミートパイ | 2016年9月 1日 (木) 21時20分
ミートパイさま
とりあえずはHoldsworth客演作品を聴かれてみてはどうでしょうか。たとえばTempest、Soft Machine、Tony Williams、UK、Brufordあたりがいいのかなと思います。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2016年9月 1日 (木) 23時19分
ありがとうございます!
教えて頂いたバンド、聴いてみますね
投稿: ミートパイ | 2016年9月11日 (日) 02時55分
ミートパイさま
いずれも以前は入手困難でしたが、いまは比較的容易に手に入ります。いまのうちにどうぞ♪
投稿: 奇天烈音楽士 | 2016年9月11日 (日) 18時37分