Darryl Way's Wolfの2nd「Saturation Point」
Musician●Darryl Way's Wolf
Title●Saturation Point(1973年)
■ディスクユニオンで購入
イギリスのプログレバンド「Curved Air」のフロントマン、Darryl Wayが結成した「Darryl Way's Wolf」の2nd「Saturation Point」です。前作「Canis Lupus」に引き続き間髪入れずに1973年リリース。メンバーは前作に引き続き、Dek Messecar(bass,vocals)、John Etheridge(guitar)、Ian Mosley(drums)。英国の名門「Decca Records」が元々の版元です。邦題は「融和点」となっています。
基本的な作風は前作「Canis Lupus」の延長線上にありますが、プロデューサーが元King CrimsonのIan McDonaldからSean Daviesという人に代わり、よりテクニカルな内容へとシフトチェンジしているように感じられます。また、楽曲の中でギターのJohn Etheridgeがより重用されるようになり、あたかもDarryl Wayとの双頭バンドの色合いが強くなっています。1stよりもボーカルの出番が減少し、相対的にインスト色が強くなったこともその表れではないかと思われます。
このアルバムの聴き所は#3「Slow Rag」とアルバムタイトル曲#6「Saturation Point」の2曲に尽きるのではないでしょうか。
Etheridge作「Slow Rag」はDarryl Wayの哀愁感満載のヴァイオリンが切々と歌い上げるいかにも日本人好みの曲。負けじとEtheridgeのアコギがメランコリックなフレーズをこれでもか!とばかりに雰囲気を盛り上げます。WayとEtheridgeによる双頭バンドではないかと感じたのは、まさにこの曲を聴いたからです。
Way作「Saturation Point」はややフォークロックを感じさせる穏やかなイントロでスタート。やがてEtheridgeのアコギが機能し始めると、曲は一転してジャズロック風に変換します。ひとしきりギターソロが鳴り響くと、さらに曲調が一転し後期「Soft Machine」を思わせるミニマルリフの連鎖に乗って、エレキに持ち替えたEtheridgeが特有の弾丸フレーズを連発します。後にソフツに加入するEtheridgeですが、その実力の片鱗は十分すぎるほどこの曲から伺えます。
●Musicians
Darryl Way / violin,viola,keyboards
Dek Messecar / bass,vocals
John Etheridge / guitar
Ian Mosley / drums
●Numbers
1. The Ache
2. Two Sisters
3. Slow Rag
4. Market Overture
5. Game Of X
6. Saturation Point
7. Toy Symphony
« 「Pazzo Fanfano Di Musica」がリマスター&紙ジャケでリイシュー | トップページ | 札幌出身のプログレバンド「Providence」の1st「伝説を語りて」 »
「プログレ」カテゴリの記事
- 【追悼】巨星墜つ John Wetton亡くなる(2017.01.31)
- King Crimson / Radical Action (to Unseat The Hold of Monkey Mind)(2016年)(2016.10.16)
- Pageant / 奈落の舞踏会(1994年)(2016.06.19)
- Coda / Sounds of Passion(1986年)(2016.05.29)
- King Crimson / Live In Toronto(2016年)(2016.04.10)
« 「Pazzo Fanfano Di Musica」がリマスター&紙ジャケでリイシュー | トップページ | 札幌出身のプログレバンド「Providence」の1st「伝説を語りて」 »
コメント