Weather Report初代ベース奏者Miroslav Vitous、初リーダー作「Infinite Search」
Musician●Miroslav Vitous(bass)
Title●Infinite Search(1969年)
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70年代から80年代にかけてのジャズフュージョンシーンを牽引したスーパーグループ「Weather Report」というとジャコ・パストリアスが在籍した第2期が最も人気を博していたように思いますが、ところがどっこい第1期も侮れません。そんな第1期メンバーでベースを弾いていたのがプラハ出身のMiroslav Vitous(ミロスラフ・ヴィトウス)です。若くしてザヴィヌルに抜擢された彼は、70年代ジャズロックの重要作品の多くに参加していました。ただし、ザヴィヌルに疎んじられたことをきっかけに急激に失速していったように思えます。若い頃に脚光を浴びてしまうと、その後が大変ということなのかもしれません。Vitousは弱冠19歳にしてインタ-ナショナル・ジャズ・コンク-ルのベ-ス部門で優勝しましたが(1966年)、その大会で準グランプリだったのが、後にRichard BeirachやJohn Abercrombieらと黄金のカルテットの一員となるGeorge Mraz(ジョージ・ムラーツ)。同じチェコ出身という点が興味深いです。
鳴り物入りで登場したVitousがWeather Reportに参加する前にハービー・マンのプロデュースのもと制作したのが、このアルバムです。1969年リリース。邦題は「限りなき探究」。参加メンバーがとにかく凄くてJoe Henderson(tenor sax), John McLaughlin (guitar), Herbie Hancock(electric-piano),Jack DeJohnette(drums),Joe Chambers(drums)という実力派揃い。60年代後半に巻き起こったジャズロックシーンの中心人物ばかりです。時にギターのJohn McLaughlinはマイルズ楽団に参加してから、John Surmanらとの共演、そしてジミヘンとの幻のセッション活動と、まさに八面六臂の大活躍。
なんと言ってもこのアルバムの最大の聴きどころは#1「Freedom Jazz Dance」。典型的な60年代後半ジャズロックという趣ですが、Vitousのベースがよく歌うこと!クラシックの理論に裏づけられたメロディー重視のベース奏法は、のちに「欧州風」としてもてはやされることになるのですが、それにしてもビッグネームを従えての堂々たるプレイぶりはとても初リーダー作とは思えません。曲の途中からHancock、そしてMcLaughlinががんがんと仕掛けてきますが、一切動揺することなく見事に立ち回っています。正直、この1曲を聴くためだけでも手にする価値は十分すぎるほどあります。
●Musicians
Miroslav Vitous / bass
Joe Henderson / tenor sax
John McLaughlin / guitar
Herbie Hancock / electric-piano
Jack DeJohnette / drums
Joe Chambers / drums on #3,#4
●Numbers
1. Freedom Jazz Dance
2. Mountain In The Clouds
3. Epilogue
4. Cerecka
5. Infinite Search
6. I Will Tell Him On You
7. When Face Gets Pale
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コメント
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これかっこいいっすよね〜!!!
投稿: mucho | 2013年9月 7日 (土) 07時49分
muchoさま
コメントありがとうございます。
はい、恰好いいですね。
Vitousが尖がっていたのは70年代中盤までだと思いますが、
この時期の音源がいちばん好きです♪
投稿: 奇天烈音楽士 | 2013年9月16日 (月) 13時55分