Abercrombieのカルテットシリーズ第3弾「The Third Quartet」
Musician●John Abercromie(guitar)
Title●The Third Quartet(2007年)
■ディスクユニオンで購入
ECMを代表するコンテンポラリー系ギタリスト、John Abercrombie(ジョン・アバークロンビー)の“2000年代型カルテットシリーズ”第3弾です。メンバーはご存じMark Ferdman(violin)、Marc Johnson(bass)、Joey Baron(drums)という構成。このメンバーでは3作目にあたるはずです。プロデューサーはご存じ、マンフレード・アイヒャー氏。
#7「Round Trip」がOrnette Coleman、#8「Epilogue」がBill Evansの曲ですがほかはAbercrombieの曲になっています。このメンバーによる「Cat'n' Mouse」(2002年)と「Class Trip」(2004年)とも聴き比べてみたりしたのですが、ベテランミュージシャン達が作り出す豊潤な音には相変わらず抜群の安定感があります。ややフリーな感じでスタートする#1「Banshee」ではAbercrombieとFerdmanによる緊張感あふれる掛け合いでいきなり聴かせます。おお、いきなりかましてくれるな~とニンマリとしていると、続く#2「Number 9」ではとてつもなく耽美的な音の世界が繰り広げられます。いきなり冒頭から緩急がついた展開でがっつりとリスナーの心をわしづかみしてしまう手練にもうメロメロ状態です。珍しくColemanの曲を取り上げた#7「Round Trip」は久々にジャズらしいギタープレイを聴くことができますが、ここではMarc Johnsonが大活躍しています。Evansの#「Epilogue」はあまりに甘く切なく歌い上げます。そしてアコギの多重録音で泣かせる#11「Fine」で静かにクールダウン。決して熱くはならないものの、フレーズの端々にほとばしるリリシズムを惜しげもなくつぎ込むAbercrombieのギタープレイは健在です。
もちろん個人的な好みが分かれるところですが、このメンバーによる作品の中での比較では、いちばん安定感が感じられ、音に対して素直に入っていけました。
●Musicians
John Abercrombie / guitar
Mark Ferdman / violin
Marc Johnson / bass
Joey Baron / drums
●Numbers
1. Banshee
2. Number 9
3. Vingt Six
4. Wishing Bell
5. Bred
6. Tres
7. Round Trip
8. Epilogue
9. Elvin
10. Fine
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