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2013年6月

2013年6月30日 (日)

Matteo Sabattiniの2nd「Metamorpho」

R0012354
Musician●Matteo Sabattini(alto sax)
Title●Metamorpho(2012年)
■Amazonより購入


新進気鋭のサックス奏者Matteo Sabattini(マッティオ・サバティーニ)の2枚目のリーダー作「Metamorpho」です。2012年「Fresh Sound」よりリリース。Matteo Sabattiniはおそらくほとんど名前が知られていないと思われるのですが、そもそもはイタリア出身で2002年に渡米し、現在はNYCを拠点にして活躍しています。初リーダー作「Dawning」(2009年)はギターにMike Morenoを迎えていましたが、この2ndでもMorenoは継続参加しています。さらに言えば、いまをときめくAaron Parks(piano)もMorenoつながりなのか参加しているばかりか、特別ゲストとして1曲のみChris Potter(tenor sax)の名前も。これを買わずにいられましょうか。ほかはMatt Clohesy(bass)、Obed Calvaire(drums)という面子です。

さて1stはやや裃を着たような堅苦しさのようなものを感じたのですが、この2ndではいよいよ本領発揮という印象です。前半はいわゆる「ブルックリン派」的な楽曲がずらりと並びます。やはりこれはMike MorenoとAaron Parksが参加している影響が大きいのでしょうか。このアルバムの聴きどころはなんと言ってもChris Potterが参加した表題曲#4「Metamorpho」でしょう。曲中盤あたりからChris Potterが仕掛けだし、Sabattiniが呼応します。やがてMorenoまでが2人の応酬に参戦しはじめ、凄まじいまでの盛り上がりを見せます。Potterのハイテンションぶりに、相変わらず冷静沈着極まるMoreno、そして若いSabattiniはややタジタジという印象がなきにしもあらずという印象です。ともあれ、この1曲を聴けただけで十分に満足しました。Morenoファンには美しいアコギが堪能できる#8「Fooling The Mirror」もなかなかの佳作であることを付け加えておきます。

●Musicians
Matteo Sabattini / alto sax
Chris Potter / tenor sax on #4
Mike Moreno / guitar
Aaron Parks / piano
Matt Clohesy / bass
Obed Calvaire / drums

●Numbers
1.  Like A Butterfly
2.  Tears Inside
3.  Invisible Shield
4.  Metamorpho
5.  Painted Hills
6.  Body & Soul
7.  Yuna
8.  Fooling The Mirror
9.  Dreaming Loud
10. Qq

2013年6月29日 (土)

Fuzeに苦手意識がある人には…上原ひろみ5th「Beyond Standard」

R0012357
Musician●上原ひろみ(piano,keyboards)
Title●Beyond Standard(2008年)
■ディスクユニオンで購入


もはや世界的な存在になってしまった上原ひろみの5th「Beyond Standard」をあらためて聴き直しています。前作「Time Control」から怪物David Fiuczynskiと行動を共にしはじめたことで、旧来のファンから戸惑いの声が上がりました。

いわく「これはジャズなのでしょうか」
いわく「ギターが存在しなくても成立する」

おそらく前々作「Spiral」とは真逆の作風だったので、起こりえた拒否反応だったのでしょう。確かにピアノ中心の音づくりを期待した人にとっては、David Fiuczynskiの変態ギターは劇薬に近いものがあります。Fuzeのギターを初めて聴いた人も多かったでしょう。喧しいギターがピアノを邪魔と捉えられても無理もないでしょう。しかし、ここで忘れてはいけないのは、上原ひろみはセルフプロデュースのミュージシャンであるということ。おそらく「Time Control」ではバンド形式の音楽に挑戦したかったのだと思われます。そして、熟慮を重ねてギター奏者としての適任者がFuzeだったのです。上原ひろみをジャズという枠組みで考える人にとっては、なるほど違和感を感じるかもしれませんが、「上原ひろみの音楽」と理解すればと思うわけです。

というわけで前作に続き懲りずに(?)Fuzeを起用したこの「Beyond Standard」はタイトル通り、彼女にとってのスタンダードに挑戦した作品です。彼女にとっては「Jeff Beckまでもがスタンダードなのか」という個人的なというか年齢的なギャップもないわけではありませんが、こればかりは仕方がありません。David Fiuczynski(fretted and frettless guitar)、Tony Grey(bass)、Martin Valihora(drums)というバンド形式で臨んでいます。

やや気負いのようなものが感じられた前作との比較で聴いてみると、バンドとしてのまとまりが出てきた分だけ長足の進歩と安定感があります。それにしても、Fiuczynskiの「ハズシ方」は相変わらず絶妙で、予定調和を徹底的に嫌う作風はここでも際立っています。Fuze自身「マイクロトーン」(微分音)を追究していた時期に重なり、フレットレスでしか再現できない「ハズシ」を随所でぶっ込んでくることで、バンドに対してえも言われない緊張感をもたらしています。その緊張感を受けて、見事に切り返す上原ひろみももちろん尋常ではありません。しかも、喜び勇んで切り返すのが彼女の最大の魅力です。

Fuzeのギターを「音程がズレている」と解釈してしまう人は、間違いなくこのアルバムを好きになることはないと思われますし、「ギターなしでも成立する」と思ってしまうのでしょう。もっと自由に聴けばいいのに…自由性こそジャズの醍醐味では、というのはそれこそ余計なお節介ですが。

●Musicians
上原ひろみ / piano,keyboards
David Fiuczynski / fretted and frettless guitar
Tony Grey / bass
Martin Valihora / drums

●Numbers
1.  Intro: Softly As In a Morning Sunrise
2.  Softly As In a Morning Sunrise
3.  Clair De Lune
4.  Caravan
5.  Ue Wo Muite Aruko
6.  My Favorite Things
7.  Led Boots
8.  XYG
9.  I've Got Rhythm

2013年6月28日 (金)

地味ですが佳作。Larry Coryellの「Air Dancing」

R0012352
Musician●Larry Coryell(guitar)
Title●Air Dancing(1988年)
■Amazonより購入


ジャズロックギターの革命児Larry Coryell(ラリー・コリエル)ですが、個人的な印象としては70年代後半までが全盛期で、80年代以降、特に「ボレロ」以降はあまり面白味のないプレイヤーに成り下がってしまったように感じます。そんなこともあって80年代以降の作品はほとんど聴いていないのですが、思いもよらず当たりを引き当てたのがこの音源です。西ドイツ(当時)のレーベル「Jazz Point」からリリースされたもので、1988年6月4日、パリでのライブ音源が収録されています。参加メンバーはStanley Cowell (piano)、Buster Williams (bass)、Billy Hart (drums)という堅実極まる面子ですが、よくよく考えてみればCoryell自身の作品で、こんなオーソドックスなカルテット構成による演奏はほとんどないように思えます。付け加えれば前作「Welcome My Darling」(1986年)と同一メンバーです。

ライブ音源ということで多少の荒っぽさには目をつぶるとしても、久々に生き生きとしたCoryellのギターが聴けます。速いフレーズになるともたつく部分はご愛敬として、堅実なバックの好サポートを得て自由奔放に暴れまくるCoryellを聴くことができます。#3は言うまでもなくColtraneの定番曲カバーですが、Coryellさん頑張っています♪

このアルバム、存在自体があまり認知されていないのは、西ドイツのレーベルからリリースされたのも要因なのかもしれません。見つけるのには若干骨が折れますが、買って損はない佳作です。この音源の関連作としてまったく前述「Welcome My Darling」(1986年)もありますが、こちらはやや面白味に欠けます。

●Musicians
Larry Coryell / guitar
Stanley Cowell / piano
Buster Williams / bass
Billy Hart /drums

●Numbers
1.  Prayer For Peace            
2.  Air Dancing            
3.  Impressions            
4.  Sienna "Welcome, My Darling"            
5.  Rhapsody in Blue            
6.  Zimbabwe See
7.  Dual Force

2013年6月23日 (日)

日本を代表するコンテンポラリー系ギタリスト滝野聡の2nd「Clair Voyant-Clamor」

R0012273
Musician●滝野聡(guitar,guitar-synthesizers)
Title●Clair Voyant-Clamor(1994年)
■ディスクユニオンで購入


初リーダー作「TAKINO」で鮮烈なデビューを飾ったフュージョンギタリスト、滝野聡の2nd「Clair Voyant-Clamor」です。滝野氏は今のところこの2枚しかリーダー作をリリースしていない寡作のミュージシャンなので世間的な知名度はほとんどないと言ってもいいのですが、プロミュージシャンの間ではもちろん好事家の間でも「知る人ぞ知る存在」なのです。なにせ中学生の頃からJohn Abercrombieに傾倒していたということですから、尋常ではありません。このアルバムははロス(6曲)と東京(4曲)で録音され、ロスでのレコーディングでは現地のミュージシャンのサポートを受けています。

1stではジャズの巨人たちのカバーアルバムという形をとっていましたが、ここでは10曲中4曲がオリジナル、残りはWayne Shorter、Pat Martino、Larry Youngのカバー曲という構成になっています。1stではどこかしら裃を纏ったような緊張感が感じられたのですが、2ndにしてついに本領発揮という感じで随所に「らしさ」と「個性」が感じられます。Abercrombie直伝の浮遊感あふれるギターが特徴的なのですが、本家Abercrombieよりも遙かにパワフルでタイト。流れるようなフレーズの中で、微妙にはずしてくるあたりは後の「ブルックリン派」に通じるものを感じさせます。しかしながら、当時の状況、しかも日本では「早すぎた手法」だったのかもしれませんね。何とも不幸な感じです。また、滝野氏はギターシンセの名手でもあり、#4「Nothing Personal」で披露されるギターシンセの音の洪水は一聴の価値ありです。このような世界レベルの名手が埋もれている状況は返す返すも残念です。

●Musicians
Takino Satoshi / guitar,guitar-synthesizers
Jerry Watts / bass
Mitchel Forman / keyboards
William Kennedy / drums
Masayuki Muraishi / drums
Tatsuhiko Kashima / bass

●Numbers
1.  Enigma
2.  Picasso
3.  Speedy
4.  Nothing Personal
5.  Uniform
6.  Mahogany Bird
7.  Line Game
8.  Mount Olympus
9.  Tyrone
10. A7

2013年6月22日 (土)

TRIBAL TECH / TRIBAL TECH(1991年)

R0012283
Musician●Tribal Tech
Title●Tribal Tech(1991年)
■ディスクユニオンで購入


Scott Henderson(guitar)とGary Willis(bass)が率いる双頭バンド「Tribal Tech」の記念すべき第1弾です。David Goldblatt(keyboards)、Joey Heredia(drums)、Brad Duts(percussions)という面子です。当時はKeyとDrumsに関してはまだ流動的だったのですね。

スコヘンファンに間では「Tribal Tech」以前に「Passportレーベル」からリリースされた初期3作が入手困難というバイアスがかかって注目されているようですが、スコヘンのプレイスタイルが確立したという意味では、やはりこの作品を抜きには語れません。スピード感とスリル感、楽曲の素晴らしさ、そしてメンバーの超絶技巧とどれをとっても隙がないというか、とにもかくにも完璧すぎるのです。

いきなり#1「Signal Path」で聴かれる目の覚めるような流麗なレガート、そして全曲にわたってウネリにウネるギターと、90年代のハードフュージョンの指針を指し示すお手本のような作品です。スコヘンのギターばかりが注目されるのは仕方がないのですが(個人的にはもっと注目されるべきと思います)、サウンド的にはWeather ReportやZawinul Syndicateあたりの先達が築き上げた良き伝統をしっかりと継承しつつも、自らの音楽へとしっかり昇華しています。「Tribal Tech」は「Face First」(1993年)以降、急激にブルース色を強めていきますが、個人的には直球勝負でわかりやすいこの時期の音づくりのほうが好みです。

●Musicians
Scott Henderson / guitar,guitar-synthesizers
Gary Willis / bass,synthesizers
David Goldblatt / keyboards
Joey Heredia / drums
Brad Duts / percussions

●Numbers
1.  Signal Path
2.  Big Girl Blues
3.  Dense Dance
4.  Got Tuh B
5.  Peru
6.  Elvis At The Hop
7.  The Necessary Blonde
8.  Fight The Giant
9.  Sub Aqua
10. Formula One
11. Wasteland

2013年6月21日 (金)

Steve Marcusの「Something」が待望のCD化

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Musician●Steve Marcus(tenor sax,soprano sax)
Title●Something(1970年)
■Amazonより購入


アメリカ出身のジャズサックス奏者Steve Marcus(スティーヴ・マーカス)といえば、60年代後半から70年代にかけて当時のジャズロックムーブメントを支えた重要人物です。初リーダー作「Tomorrow Never Knows」(1968年)ではLarry Coryellとの激しいバトルを展開し、ジャズロックとしてのひとつの形式を示したのではないかと思います。そんなSteve Marcusが日本人ミュージシャンと組んで制作したのがこの音源です。1970年9月14日、東京のスタジオで録音。参加メンバーは稲垣次郎 (tenor sax)、川崎燎 (guitar)、佐藤允彦 (piano,electric-piano)、荒川康男 (bass)、石松元 (drums)、田中清司 (drums)という構成。日本人のリーダーは稲垣次郎で、元々は「Soul Media」というユニットの中心人物でしたが、本作のレコーディングは制作決定後、なんと2日後という実にタイトな日程であったため、本来の「Soul Media」のメンバーとは異なっているとのこと。アレンジは佐藤允彦が担当しています。

1970年という時代、ジャズロックの黎明期ということを踏まえつつ聴いてみると、まさに70年代ジャズロックの教科書と言うべき内容です。この頃はロックの名曲をジャズ風にアレンジすることで、ジャズロックの出来上がりといういま考えると結構安直な手法が流行ったのですが、この「Something」もジョージ・ハリスン作の名曲をアレンジしたわかりやすい「ツカミ」からスタートします。ちなみにMarcusの「Tomorrow Never Knows」もビートルズの楽曲のカバーですね。むしろこのアルバムの本質がわかるのは#2、#3です。今の時代の形容で言えば「スピリッチャル系」ということになるのですが、ややサイケミュージックの色合いが濃厚なジャズロックが展開されています。若き川崎燎が頑張っています。

ちなみにこの音源は「世界初のデジタルレコーディング」になるそうです。これまで初めてのデジタルレコーディングはツトム・ヤマシタ「ツトム・ヤマシタの世界」であるとされていましたが、「ツトム・ヤマシタの世界」のレコーディングは1971年1月11日。この音源は1970年9月14日ですから、4ヶ月ほど先んじていることになります。そんな事実を差し置いても、音質は驚くほど良好です。あらためて日本の録音技術の高さに敬服です。

●Musicians
Steve Marcus / tenor sax,soprano sax
稲垣次郎  / tenor sax
川崎燎 / guitar
佐藤允彦 / piano,electric-piano
荒川康男 / bass
石松元 / drums
田中清司 / drums

●Numbers
1.  Something
2.  FairlyA Rings
3.  Serenity
4.  Something(alternative)

2013年6月16日 (日)

小川銀次が参加。GAOの「Roi Roi」

R0012344
Musician●GAO(vocal)
Title●Roi Roi(1992年)
■Amazonより購入


みなさん、1990年代に活躍した女性ボーカリスト「GAO」って覚えていらっしゃいますか。中性的な外見とファッションに加えて男前の短髪、そしてドスの効いたボーカルが印象的でした。失礼ながらちょっと「オナベ的」な感じが漂っておりました。当時はもちろん、いまもあまり食指が動かないタイプなのですが、ギターに小川銀次さんが参加しているとなると話は俄然変わってきます。というわけで今さらながら購入しました。密林マーケットプレイスで「1円」にて入手です。「GAO」にとっては2枚目のアルバムです。

小川銀次さんは10曲中5曲に参加。「Crosswind」時代の盟友「そうる透さん」も参加しています。主役である「GAO」には相変わらず興味がもてないのですが、小川銀次さんは十二分に本領を発揮しています。#1「Che!」では相変わらずの「ギター怪獣」を披露していますし、#3「長い夢」では泣きのフレーズの随所にAllan Holdsworth的なニュアンスを隠し味的に忍ばせています。古くから小川銀次さんを知るファンにとっては「ニヤリ」とする場面であります。

しかして大変失礼ながら「一発屋」認定濃厚な「GAO」のアルバムに小川銀次さんが参加した経緯に興味ありですが、彼女のファンは小川さんのギター怪獣ぶりをどんな気持ちで受け止めたのでしょうね。ちなみに「GAO」は名前を変えていまも活動を続けているようです。

●Musicians
GAO / Vocal
小川銀次 / guitar
井上徳雄 / guitar
林仁 / guitar
柳沢二三男 / guitar
山内薫 / bass
栗山豊二 / bass
そうる透 / drums
河村智康 / drums
福田裕彦 / paino

●Numbers
1.  Che!
2.  フォー・エヴリ・グッド・フレンド
3.  長い夢
4.  サヨナラ(オリジナル・ヴァージョン)
5.  だれかひとりくらい
6.  それは,君
7.  グロリオサ
8.  ロイ・ロイ
9.  薫
10. 歩こう

2013年6月15日 (土)

Ben MonderとKritjan Randaluのデュオアルバム「Equilibrium」

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Musicians●Ben Monder(guitar)、Kritjan Randalu(piano)
Title●Equilibrium(2012年)
■Amazonより購入


もはやカルト的人気という表現が当てはまらなくなってしまった人気ギタリスト、Ben Monder(ベン・モンダー)とKritjan Randalu(クリスチャン・ランダル)というピアノ奏者とのデュオアルバム「Equilibrium」です。2012年、お馴染みの「New Talent」シリーズよりリリース。2011年5月25日、ブルックリンで録音されています。はっきりと明記されていませんが、おそらく一発撮りのライブ録音ではないかと思われます。

Kritjan Randaluはおそらくお初なのですが、資料によるとエストニアで生まれ、幼少期にドイツへ移住。いまはNYCを拠点に活動している新進気鋭のピアニストです。この手のジャズ作品に登場するピアニストの多くはクラシックの素養をもつケースが多いのですが、Kritjan Randaluもその例に漏れません。

さて、Ben Monderに話題を戻します。考えてみるとこれまで彼が参加した作品のほとんどがピアノレスだったのですが、その意味でも、今回、ピアノとのデュオに挑んだことが驚きといえば驚きです。というのも独特のコード展開と高速アルペジオが最大の武器であるギタリストがピアノとのデュオ作品に挑むということがよく理解できなかったからです。これってある意味“共食い”に近い事態を覚悟しなければならないのです。

ともあれ、まずは聴いてみることに。あれま、いままでのBen Monderさんは何処に。Kritjan Randaluが奏でる流麗なフレーズに合わせて、実に「ふつうのジャズギタリスト然」としたギタープレイを披露しています。彼の最大の持ち味であるコード展開も高速アルペジオは全くと言っていいほど聴くことはできません。あれれ。

もちろん、バックに回った時の独特の節回しあたりにチョイチョイと「Monderらしさ」を覗かせるのですが、いままでのMonderのスタイルに馴染んできた身としては違和感を感じざるをえません。まさか「Under Current」の路線を狙ったのではないとは思いますが…。曲タイトルが数字の曲はそれなりに面白いのですが、おそらく作品の本筋とは違うはずです。というわけで、何度聴いてもまだ消化しきれていないのです。

●Musicians
Kristjan Randalu / piano
Ben Monder / guitar

●Numbers
1.  Stiller Beobachter
2.  All the Things You are
3.  Equilibrium
4.  Ⅱ
5.  Vardja
6.  Ⅰ
7.  Milestones
8.  Ⅳ
9.  Silmast Silma

2013年6月14日 (金)

Porcupine TreeのフロントマンSteven Wilsonの「The Raven that Refused to Sing」を聴く

R0012268
Musician●Steven Wilson(vocal,mellotoron,keyboards)
Title●The Raven that Refused to Sing(and other stories)(2013年年)
■Amazonより購入


英国のOPETH系プログレバンド「Porcupine Tree」(ポーキュパイン・トゥリー)のフロントマン、Steven Wilson(スティーヴン・ウィルソン)によるリーダー作です。2013年年リリース。正直に言いまして「Porcupine Tree」自体が個人的にはあまり馴染みがないのですが、OPETHのMikael Akerfeldtと組んだ「Storm Corrosion」(2012年)で耳にしたことがあります。喩えとして適切かどうかは自信がありませんが、「デス抜きのOPETH」という感じでしょうか。いまどき珍しくメロトロンを操るあたりなどはOPETHからの強い影響を感じさせます。今回、この音源を購入する決め手となったのは、参加メンバーの豪華さに尽きます。
今をときめくGuthrie Govan(guitar)とMarco Minnemann(drums)が参加。さらにはAdam Holzman(keyboards)の名前を見つけたらこれは買わざるを得ません。ほかはNick Beggs(bass)、Theo Travis(sax)という面子です。Nick Beggsという人は最近注目を集めているベース奏者だそうです。

当欄の趣向としては、やはり注目はGuthrie GovanとMarco Minnemannなわけですが、これが意外というか前面に出てきません。まるで借りてきた猫のような大人しさ。あれれ。おそらく「Porcupine Tree」の音楽性を崩さないという彼らなりの判断なのだと思われますが、やや肩すかしを食らった感も否めません。「The Aristocrats」ほどの緊迫感を求めることは無理筋としても、もう少しこの2人を活かし切る手法はなかったものだろうかと思ってしまいます。もちろん、演奏自体はとても素晴らしいのですが、いや、でもね~。この2人という言わば劇薬投入の正否を固唾を呑んで見守っていたと思われるPorcupine Treeファンはホッと安堵したと思われますが、門外漢の当欄としては残念ながらやや期待ハズレでした。もちろん前出「Storm Corrosion」はしっかりと成立していると思います。あの2人ならこう出てくるだろうと十分に予測できたからです。要は参加メンバーに対する期待値と実際のナカミは必ずしも一致しないという当たり前のことを再認識した次第です。

通常のCD版に加えてBlu-ray版、アナログ版も同時発売されているようです。

●Musicians
Steven Wilson / vocal,mellotoron,keyboards
Guthrie Govan / guitar
Marco Minnemann / drums
Adam Holzman / keyboards
Nick Beggs / bass
Theo Travis / sax

●Numbers
1.  Luminol
2.  Drive Home
3.  The Holy Drinker
4.  The Pin Drop
5.  The Watchmaker
6.  The Raven that Refused to Sing

2013年6月 9日 (日)

英国フリージャズを代表する打楽器奏者Tony Oxleyの「The Baptised Traveller」

R0012306
Musician●Tony Oxley(drums)
Title●The Baptisesed Traveller(1970年)
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英国を代表する打楽器奏者Tony Oxley(トニー・オクスリー)は1960年代後半から頭角を現したフリー系ミュージシャンです。おもにJohn SurmanやDerek Baileyあたりと活動することが多く、この時期におけるジャズロックの重要作品では欠くことのできない重要人物でした。Oxleyの「4 Compositions For Sextet」と並ぶ代表作がこの「The Baptisesed Traveller」です。1970年リリース。参加メンバーがとにかく豪華です。Evan Parker (tenor sax)、Kenny Wheeler (trumpet)、Derek Bailey (guitar)、Jeff Cline (bass)と当時の英国ジャズロック界の重要人物ばかり。Kenny Wheelerはカナダ人ですが、当時英国を拠点に活動していました。

音のほうは完全にゴリゴリのジャズロックで、時としてフリージャズへと流れが変わるのはギターのDerek Baileyの存在が大きいように思われます。Wheelerものちの牧歌的な作風がまったく想像できないほどアグレッシブで、終始雄叫びを上げています。Evan Parkerとともに左右から波状攻撃的に襲ってくる音の洪水には悶絶必至です。個人的に注目したいのが#3「Stone Garden」でアルバム全体の混沌としたカオスの中、まるで讃美歌のような静寂さをたたえたもの悲しい楽曲です。かなり異質といえば異質な曲なのですが、英国ジャズロック界の底力を感じさせます。

●Musicians
Evan Parker / tenor sax
Kenny Wheeler / trumpet
Derek Bailey / guitar
Jeff Cline / bass
Tony Oxley / drums

●Numbers
1.  Crossing
2.  Arrival
3.  Stone Garden
4.  Preparation

2013年6月 8日 (土)

豪華ゲストが参加。Jordan Rudessのリーダー作「Rhythm Of Time」

R0012290
Musician●Jordan Rudess(keyboards)
Title●Rhythm Of Time(2004年)
■ディスクユニオンで購入


「Dream Theater」の鍵盤楽器奏者Jordan Rudess(ジョーダン・ルーデス)による4枚目のリーダー作です。2004年リリース。恥ずかしながら「Dream Theater」自体にあまり興味がないという状況なのですが、参加ギタリストがやたらと豪華絢爛だったので購入に至りました。ギタリスト目線で挙げていきますと、Joe Satriani、Steve Morse、Greg Howe、Vinnie Mooreということで、それぞれが関わったバンドを列挙すると「Deep Purple」「Chickenfoot」「The Dixie Dregs」「UFO」などとビッグネームがズラリと並ぶことに。これだけで買い条件になりますよね。ほかはRod Morgenstein (drums)、Daniel J (guitar)、Kip Winger (vocal)などが参加しています。Daniel Jはイスラエル出身の当時話題になった新人です。

あくまでも鍵盤楽器主導の作品ですから、ここでギター弾きまくりという状況はあまり期待してもどうかと思うのですが、裏で弾いていても誰なのかがしっかりわかってしまうのがお坊さん系ギタリストJoe SatrianiとSteve Morse。対してあれまアナタ居たのですかというのがVinnie Moore。Greg Howeは相変わらず線が細いです。正直に言いまして、ギタリスト目当てにこのアルバムを買うと期待はずれの感はあります。鍵盤楽器大好きの人なら十分に楽しめるとは思うのですが。同じ「Dream Theater」出身でもDerek Sherinianも好んでギタリストと共演していますが、ギターを引き立てるという意味ではSherinianのほうが長けているのではと思います。その意味では若干残念な感じです。

●Musicians
Jordan Rudess / keyboards
Rod Morgenstein / drums
Daniel J / guitar
Kip Winger / vocal

Joe Satriani / guitar on #2,#3
Steve Morse / guitar on #5,#6
Greg Howe / guitar on #4,#6
Vinnie Moore / guitar on #1,#7

John Gush / guitar
Dave Larue / bass
Bill Ruyle / tablas

●Numbers
1.  Time Crunch
2.  Screaming Head
3.  Insectsamongus
4.  Beyond Tomorrow
5.  Bar Hopping With Mr.Picky
6.  What Four
7.  Ra
8.  Tear Before The Rain

2013年6月 7日 (金)

Ewan & Hannah Svensson親子共演「Some Favorite Things」

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Musician●Ewan & Hannah Svensson(guitar&vocal)
Title●Some Favorite Things(2012年)
■Amazonより購入


スウェーデンを代表するコンテンポラリー系ギタリストEwan Svensson(イーヴァン・スヴェンソン)の新譜が出ていたことに気がつき購入しまました。2012年、Dragon Recordsよりリリース。2012年春にFalkenbergというところでレコーディングされています。

この2、3年、Svenssonは女性ボーカルを導入した作品を手がけているのですが、この作品はなんと自らの愛娘とのギターデュオ作品に挑んでいます。その娘、Hannah Svenssonは今年で27歳。地元でプロ活動をしているようですが、おそらく人生初のレコーディングではないかと思われます。このアルバムでは「Two Generations」というユニット名を名乗っていますが、もしや続編を狙っているのでしょうか。

初レコーディング、しかも実父とのギターデュオとなるといきなり高すぎるハードルだと思うのですが、Hannah Svenssonは実に堂々とこなしています。少しハスキーな感じの歌声がなかなかいい感じではありますが、少しばかり線の細さが物足りなく思います。大変偉そうに言ってしまうとこのくらいのレベルの女性ボーカルは掃いて捨てるほどいるような気がするのですが、どんなもんでしょうか。言ってみればEwan Svenssonの親バカぶりにつき合うことになってしまっているのですが、それでもSvenssonのギターは相変わらず素晴らしいので何とか作品として成立しているように思います。

●Musicians
Hannah Svensson / vocal
Ewan Svensson / guitar

●Numbers
1.  Love For Sale
2.  The Way You Look Tonight
3.  Autumn In New York
4.  The Blues Are Never Far Away
5.  My Favorite Things
6.  No Words
7.  Never Will I Marry
8.  Pretend You're Me
9.  My Romance
10. The Meaning Of The Blues
11. God Bless The Child
12. Speak Low
13. The Sunflower

2013年6月 2日 (日)

U.K.の「Live In Tokyo」リマスター盤を聴いてみました

R0012345
Musician●U.K.
Title●Reunion Live In Tokyo(2011年)
■Amazonより購入


32年ぶりに“復活”した「U.K.」の来日(2011年4月)は多くのプログレファンの感涙を誘いました。折しも東日本大震災直後で多くの海外ミュージシャンが来日を見合わせるなかで、ライブを敢行してくれた「男前ぶり」には多くの賞賛の声が寄せられたことは記憶に新しいところです。

同年にリリースされた「DVD+CD」は、演奏内容の圧倒的な素晴らしさとは裏腹にまるでホームビデオで撮影したかのような劣悪な映像と音質でかなりがっかりしたのですが、音源のみリマスター化されて再登場しました。日本のみの企画だそうです。

内容については前回記事に記したので詳細は避けますが、肝心のリマスター効果に関しては正直に言って「期待以下」と言わざるをえません。もちろん、いくらかは聴きやすくなっています。しかしマスター音源に問題ありならば致し方ないとしても、相変わらず低音部が貧弱すぎて、ベース音などはところどころで「シャリシャリ」「ペコペコ」という感じで聴こえてきます。曲によってはけっこうな音割れも。落胆するというほどではないのですが、リマスター効果に過大に期待するのはやはり無理があるようです。残念です。あえて言えば、前回CDでは一部カットされた音源が今回収録されているという点に尽きるように思います。

ちなみに私が入手したのは「2CDバージョン」ですが、限定デラックスバージョンでは映像データが入った「USBメモリー」がついてくるとか。うーん、商魂たくましいというか、どんな需要を想定しているのでしょうか。いくら熱心なファンが多いとはいえ、DVDはすでに商品としてあるわけですし、これは少しばかり悪乗りのように思えます。


●Musicians
Eddie Jobson / keyboards,violin
John Wetton / vocal,bass
Alex Machacek / bass
Marco Minnemann / drums

●Numbers
[CD 1]
1.  In The Dead Of Night
2.  By The Light Of Day
3.  Presto Vivace And Reprise
4.  Danger Money
5.  Thirty Years
6.  Alaska
7.  Time To Kill
8.  Starless
9.  Carrying No Cross

[CD 2]
1.  Violin Solo
2.  Nevermore
3.  One More Red Nightmare
4.  Caesar's Palace Blues
5.  The Only Thing She Needs
6.  Rendezvous

2013年6月 1日 (土)

ヘビロテ決定!ジミヘンの新譜「People Hell & Angels」

R0012295
Musician●Jimi Hendreix(guitar,vocal)
Title●People Hell & Angels(2012年)
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希代の天才ギタリストJimi Hendrixが生前に残したオフィシャル音源はたった3枚。しかし、自らが設立したスタジオ「Electric Ladyland Studio」で夥しい数のセッション活動を行っていました。死後、そうした音源が小出しに流出することで“新譜”がリリースされてきました。こうした商法に違和感を感じないわけではありませんが、やはり気になってしまうのも人情というもの。“前作”「Valleys of Neptune」(2010年)も素晴らしい出来映えだったのですが、この“新譜”はレアトラックの大量放出という点では前作を大きく凌いでいるのではないでしょうか。1968年から1969年にかけてのセッション音源を編集したものです。Billy Cox(bass,vocal)とBuddy Miles(drums,vocal)のトリオを基本とし、さまざまなミュージシャンが加わるという形です。

1968年以降、ジミヘンはトリオ編成以外のフォーマットを模索していたことはよく知られていますが、この音源でもその一端に触れることができます。#5「Let Me Move You」はデビュー前からの友人でもあるLonnie Youngboodというボーカル&サックス奏者を迎え入れていますが、ホーン入りでしかも自身がギタリストに専念するというのも珍しい。コテコテのR&Bサウンドに乗せてギターが天衣無縫に暴れまくります。#11「Mojo Man」も結構な割合でホーンを導入しています。

また、晩年はサイドギターを導入していたことも広く知られるところですが、#6「Izabella」と#7「Easy Blues」ではウッドストックでも存在を確認可能なLarry Leeを起用しています。特にジャズ的なアレンジが斬新とも言える#7「Easy Blues」は必聴ものです。ジミヘンがそのまま存命なら、ジャズを志向していたのではというどなたかの見解があった記憶がありますが、この曲がまさにそれでしょう。実際、帝王マイルス・デイヴィスはジミヘンとの共演を熱望していたのは事実で、まずは弟子のJohn McLaughlinをジミヘンの元に走らせ非公式セッションを実現させています。そして満を持しての帝王とのセッションが突然死の3日後に予定されていたそうで、そんなビッグな共演が本当に実現したら大変な話題を呼んだことでしょう。


●Musicians
Jimi Hendrix / guitar,vocal
Billy Cox / bass,vocal
Buddy Miles / drums,vocal
Stephen Stills / bass
Lonnie Youngblood / sax,vocal
Hank Anderson / bass
John Winfield / organ
Jimmy Mayes / drums
Larry Lee / Rhythm guitar
Mitch Mitchell / drums
Jery Verez / percussions
Juma Sultan / percussions
Rocky Issac / drums
Al Marks / percussions
Chris Grimes / percussions
Albert  Allen / vocal
James Booker / piano

●Numbers
1.  Earth Blues
2.  Somewhere
3.  Hear My Train A Comin'
4.  Bleeding Heart
5.  Let Me Move You
6.  Izabella
7.  Easy Blues
8.  Crash Landing
9.  Inside Out
10. Hey Gypsy Boy
11. Mojo Man
12. Villanova Junction Blues

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