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2013年5月12日 (日)

日本を代表するコンテンポラリー系ギタリスト、滝野聡の初リーダー作「TAKINO」

R0012272
Musician●滝野聡(guitar,guitar-synthesizers,synthesizer)
Title●TAKINO(1992年)
■ディスクユニオンで購入


日本を代表するコンテンポラリー系ギタリスト、滝野聡による初リーダー作です。1992年リリース。兵庫県出身の滝野氏は1965年生まれですから今年48歳。年齢的には中堅どころということでしょうか。中学生の頃からジョン・アバークロンビーやテリエ・リピダルに傾倒していたそうですからタダ者ではありません。自身名義としては本作と2ndしかリリースしていないという極端すぎる寡作の人なので、「知る人ぞ知る存在」になっています。日本におけるこの手のミュージシャンの難しさがこんなところにも表れているように思えます。

記念すべき1stはジャコ・パストリアス、モンク、チャーリー・パーカー、ランディ・ブレッカー、マイルス・デイヴィス、ソニー・ロリンズなどのジャスの巨匠たちの曲をコンテンポラリー風にカバーしたという内容です。オリジナル作は1曲のみ。こう書くと似たようなタイプのギタリストとして小沼ようすけ氏を思い出しますが、いろいろな意味で王道を歩む小沼氏に対して滝野氏はどちらかというとダークで裏街道的な匂いを感じさせます。プレイスタイルはまさにコンテンポラリー系ギタリストのそれですが、滝野氏の場合は、ギターシンセの扱い方に抜群のセンスを感じさせます。このあたりは師匠・アバークロンビーからの影響でしょうか。また、世代らしさとしては時折、Holdsworthyっぽいフレーズを散りばめてきます。特にジャコパスの曲#1「Three Views Of A Secret」でのギターシンセの扱い方はHoldsworthの「SAND」あたりを意識しているように思えます。しかもあくまでも無機質な本家に対して、滝野氏のギターはとてつもない色気のようなものが感じられません。やはりタダ者ではありません。

カバー中心のアルバムだけに「滝野氏らしさ」を強く感じることは少々無理があるかもしれません。「らしさ」が十二分に発揮されるのは2nd「Clair Voyant-Clamor」ではないかと思われます。

●Mucisians
Satoshi Takino / guitar,guitar synthesizer,synthesizer programming
Suguru Suzuki / synthesizer programming
Mike Baker / drums
Jerry Watts Jr. / bass
Manabu Fujii / drums

●Numbers
1.    Three Views Of A Secret [Jaco Pastorius]
2.    Light Blue [Thelonious Monk]
3.    Cissy Strut [Art Neville, Leo Nocentelli,George Porter, Joseph Modeliste]
4.    Donna Lee [Charlie Parker]
5.    D.B.B [Randy Brecker]
6.    My Foolish Heart [Ned Washington,Victor Young]
7.    South Central's Fire [Satoshi Takino]
8.    So What [Miles Davis]
9.    Orchid [Satoshi Takino]
10.    Airgin [Sonny Rollins]
11.    All The Things You Are [Jerome Kern, Oscar Hammerstein]

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フュージョンギター」カテゴリの記事

コメント

この盤大好きです。

 現在の滝野さんはコンポーザーというよりも、インプロバイザー=いわゆるジャズ屋
ですので1枚目の方が、重要な作品かと思います。(というか2枚目は面白くない…orz )
 この盤での滝野さんの演奏からは、ガス欠のホールズワース的な印象を受ける
方もいるかと思いますが…
 現在は、サイド・マンとして、ブルックリン派風の和製ベン・モンダー的な存在感を
かもし出ししながら、ジャズギター界の重鎮として君臨?しています。
 時に、アドリブ時にアクセルを踏み込むと、左手をワイドストレッチした、ホールズ
ワース的音列を繰り出す事はあります。

 特記事項としては、トラック1の打ち込みドラムは、滝野さんがなぁ~んとなくシーケ
ンサで遊んでいたら出来上がったものとの事。(ほとんどのリスナーさんが生ドラム
だと思っているはず。昔のうちらのバンドのえらく上手いドラマー君もそうでした。)

 あと、ギターは、スタインバーガーにミッドレンジが豊かなパッシブピックアップを積
んだものを、永く愛用されておられる様です。
 
 吉祥寺界隈で、積極的にライブ活動(サイドマンとして)されており、是非、生で聴か
れる事をお勧めします。CDの方も、メジャーレーベルではありませんがサイドマンと
して活躍中です。

 コンテンポラリースタイルのジャズギター弾きとしては、国内の第一人者といって間
違いない存在だと思います。

ではでは

betta taroさま

コメントありがとうございます。
和製ベン・モンダー、言い得て妙ですね。
吉祥寺ですか…何とか見に行きたく思います。

この記事へのコメントは終了しました。

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