ECMを代表する12弦ギターの名手Ralph Towner「Solo Concert」
Musician●Ralph Towner(12 Strings and Classical guitar)
Title●Solo Concert(1979年)
■ディスクユニオンで購入
John Abercrombieと並びECMの屋台骨を支える名ギタリストRalph Towner(ラルフ・タウナー)によるギターソロアルバムです。1979年10月に行われたミュンヘンとチューリッヒでのライブ音源になります。Townerの実力が全世界的に認知されたのはこのアルバムが契機だったような記憶があります。
ギターによるソロアルバムというのは実は聴くほうにもそれなりの覚悟が必要であって、下手をするとワンパターンで冗漫な感じを受けたり、ミュージシャンの独りよがりにつき合わされたりと、いくらギター音楽が好きだからといっても相応の心の準備が必要ではないかと思うのです。その点ではTownerは常に鉄板級の安定感があります。いつどんな状況で聴いてもTownerはTownerなのです。
特殊なチューニングを施した12弦ギターとクラシックギターを使い分けながらとてもギター1本でプレイしているとは思えない芳醇な音世界を構築するTownerですが、なんと驚くことにギターを初めて手にしたのが22歳だったとか。それまではオレゴン大学でピアノ、トランペット、作曲を学んでいたそうですが、ギター(クラシック)はウイーン音楽院に留学して学んだとか。確かにギタリストとしては異例過ぎる高学歴ですが、誰にも再現しえない独特な音楽観はそんな経歴から生まれていることは確かです。
このアルバムで興味深いのは盟友John Abercrombieの2曲が取り上げられている点です。#2「Ralph's Piano Waltz」と#7「Timeless」ですがオリジナルに独自の解釈を与えたうえで、まるで自らの曲のように昇華させています。ちなみにTownerとAbercrombieはECMに「サルガッソーの海」と「Five Years Later」という優れたギターデュオアルバムを残しています。#5「Nardis」は公式的にはMiles Davisの曲とされていますが、実際にはBill Evansの曲であるというのが定説になっているそうです。これまた、しっかりとTownerの世界へと引き込んでいるのですが、Bill Evansとはまた違ったリリシズムが感じられます。元々がピアニストだったTownerがEvansの熱烈なファンであったことは有名な話で、Evansをギターに置き換えることでまた違った印象が生まれています。
●Musician
Ralph Towner / 12 Strings and Classical guitar
●Numbers
1. Spirit Lake
2. Ralph's Piano Waltz
3. Train Of Thought
4. Zoetrope
5. Nardis
6. Chelsea Courtyard
7. Timeless
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