英国ジャズロックの正統派「Gilgamesh」の1st
Musician●Gilgamesh
Title●same(1975年)
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英国出身のジャズロックバンド「Gilgamsh」(ギルガメッシュ)による1stです。1975年リリース。バンド自体は1972年に結成されていますが、いきなりデビューとはいかず、幾多のメンバーチェンジを経てやっと陽の目を見た形になったようです。
メンバーはPhil Lee(guitar)、Alan Gowen(piano,clavinet,synthesizer,mellotron)、Jeff Clyne(bass,contrabass)、Mike Travis(drums)、Amanda Persons(vocals)という構成。バンマスのAlan Gowen(アラン・ガウエン)は元々はジャズピアニストだったそうで、60年代後半はピアノトリオを結成していた経緯があります。70年代に入ってからはジャズロックへと転向、後にKing Crimsonに加入するパーカッション奏者Jamy Muirと「Sunship」というバンドを結成しますが、Jamy Muirの脱退によってこの「Gilgamesh」が誕生します。プロデュースはAlan Gowenとかねてから親交がある後の「Hatfield And The North」「National Health」「Bruford」のDave Stewart。ちなみにAlan GowenとDave Stewartは「Hatfield And The North」のオーディションを争った関係だそうです。ベースのJeff Clyne(ジェフ・クライン)はIan Carr率いる「Nucleus」出身で、後にフリージャズの大御所John Stevensと合流し、Allan Holdsworthと共演しています。そういえばHoldsworthも「Nucleus」出身なわけで、英国ジャズロックシーンの中で幾重にも折り重なる人脈が見えてくるのです。
サウンドは変拍子を多用した複雑な曲構成の中で、Alan GowenとPhil Leeのテクニカルなギタープレイとの絡みが聴きどころ。一部スキャットが入る以外はオールインストのガチンコ系ジャズロックです。たぶんに第1期Mahavishnu Orchestraからの強い影響が随所に感じられ、歪みきったPhil LeeのギターはJohn Mclaughlinをかなり意識しています。ただテクニック至上主義のMclaughlinとはまた趣が違って叙情性豊かなプレイがなかなか聴かせます。随所で使うアコギがなかなか素晴らしい効果を上げています。
この1970年代初頭に誕生した英国のジャズロックやプログレバンドを「カンタベリー系」は一括して呼ばれますが、実際、各バンドの作り出す音楽は一括りでは言い表せないほど多様性に富んでいます。同じ「カンタベリー系」でもたとえば「Maching Mole」とこの「Gilgamesh」とはまるで違う個性を持っています。「カンタベリー系」とは特定地区で生まれたバンドや音楽に対する呼称で、日本で一時期もてはやされた「渋谷系」と同じような意味合いではないかと思います。
●Musicians
Phil Lee / guitar
Alan Gowen / acoustic & electric piano,clavinetsynthesizer,mellotron
Jeff Clyne / bass,contrabass
Mike Travis / drums
Amanda Persons / vocals
●Numbers
1. a)One And More
b)Phil's Little Dance - For Phil Millers Trousers
c)World's Of Zin」
2. Lady And Friend
3. Notwithstanding
4. Arriving Twice
5. a)Island Rhodes
b)Paper Boat - For Doris
c)As If Your Eyes Were Open
6. For Absent Friends
7. a)Island Rhodes
b) Paper Boat - For Doris
c)As If Your Eyes Were Open
8. Just C
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