若手革新派鍵盤楽器奏者Aaron Parksの「Invisible Cinema」
Musician●Aaron Parks(piano,mellotron,keyboards,glockenspiel)
Tite●Invisible Cinema(2008年)
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NYCにおける現代ジャズはメーンストリームを行く主流派とブルックリン周辺に息づく「革新派」(ブルックリン派)とに大きく分かれている印象がありますが(これは私の非常に狭い範囲での独断的な解釈ですが)、やはり当欄としては革新派に目を向けないわけにはいきません。ブルックリン派の若手ギタリストMike Moreno(マイク・モレノ)つながりで捜し当てたのがこの音源です。1983年生まれのAaron Parks(アーロン・パークス)はまだ20代後半という新進気鋭の鍵盤楽器奏者ですが、10代はじめからケニー・バロンの薫陶を受け、弱冠16歳でインディーズデビューした早熟タイプ。晴れて「Blue Note」からメジャーデビューしたのがこの作品だそうです。参加メンバーは盟友Mike Moreno(guitar)、Matt Penman(bass)、Eric Harland(drums)と裏街道好きの人なら思わずニヤリとしてしまう面子です。全曲Parksオリジナル。Mike Morenoのリーダー作にも相互共演しています。
全体としてはダークな印象を受ける楽曲が多いのですが、これもブルックリン派の持ち味です。#2「Peaceful Warrior」で聴かれるMorenoとの息を呑むような美しすぎる絡み、#3「Nemesis」での無機質なParksの連打をバックに切なく歌い上げるMorenoのギター、#6「Karma」でのゾッとするほど流麗なリリシズムとMorenoが生み出す浮遊感との邂逅…いやー、どれをとっても捨て曲など一切ありません。バックが時折、やたらと軽くて打ち込みっぽく聴こえるのはスタジオワークによるものだと思われますが、これが20代の感性なのでしょうね。
全曲がこれセンスの塊で24歳の青年が作り上げた音楽なのかと思うと、末恐ろしいとはこのことです。Mike Morenoと同様、久しぶりにリアルタイムで追いかけてみたくなるミュージシャンです。
●Musicians
Aaron Parks / piano,mellotron, Keyboards,Glockenspiel
Mike Moreno / guitar
Matt Penman / bass
Eric Harland / drums
●Numbers
1. Travelers
2. Peaceful Warrior
3. Nemesis
4. Riddle Me This
5. Into The Labyrinth
6. Karma
7. Roadside Distraction
8. Harvesting Dance
9. Praise
10. Afterglow
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