現代派集団インプロAndy Elmer Mega Octetの「Headgames」
Musician●Andy Elmer(piano,claviers,voice)
Title●Headgames(1992年)
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現代ジャズシーンの中でも特異な存在感を放つ鍵盤楽器奏者鬼才Andy Emler(アンディ・エムレール)が1990年に結成した「Mega Octet」による1992年の作品です。ユニークな作品を送り出す「Label Bleu」からリリースされています。グループ名通りの8人編成というフォーマットということに形式的にはなっていますが、ここで聴かれるのはまさに天衣無縫な「集団インプロヴィゼーション」。「Part 1」から「Part 5」という曲名らしきものはついていますが、これも形式的なものであると思われます。
「Label Bleu」というと国策のバックアップもあって、西洋音楽とアフリカ音楽(特に北アフリカ)、イスラム音楽との融合から生まれた「ライ」を積極的に売り出していることでも知られていますが、まさにこの音源にも当てはまります。オープニングの#1「par 1」からアフリカンビートが生み出す凄まじいポリリズムが躍動します。ギターに「ライ」の実践者の一人であるNguyen Le(グエン・レ)を起用したのもその流れからなのでしょう。曲中盤からNguyen Leのギターソロが天衣無縫、縦横無尽に暴れまくります。もう、この1曲を聴くだけで十分過ぎます。
冒頭で「集団インプロヴィゼーション」と書きましたが、実際にはAndy Elmerによって作品全体から各曲の細部に至るまでしっかり統制され、コントロールされているのですが、そうは思わせないところが見事ですし、破綻をきたしそうになりながら、しっかりと収束される曲構成は素晴らしいの一語です。終始、緊張感と驚きを保ちながら、聴く者を独特なトランス状態へと追い込むこの作品。心して臨んでください。ただ、この作品に限ったことではなく「Label Bleu」一連の作品は入手困難なのが残念です。
●Musicians
Andy Elmer / piano,claviers,voice
Nguyen Le / guitar
Michel Massot / tubas
Phillie Sellam / sax
Simon Spang-Hanssen / sax
Francois Moutin / bass
Tony Rabeson / drums
Francois Verly / percussions
●Numbers
1. part 1
2. part 2
3. part 3
4. part 4
5. part 5
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コメント
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わ、このアルバム大好きです。Andy Emlerの傑出した作曲能力と、参加メンバーたちの高い演奏能力とが噛み合って素晴らしい内容になってますね。最初に聞いたときは「自分が知らないだけで、こんなふうに真に新しい音楽を創造してる人たちはまだまだ世界中にいるんだ!」ってジーンとしました。若かりし頃のFrancois Moutinのベースもたまりまへん!
投稿: mucho | 2012年12月 1日 (土) 17時51分
muchoさま
コメントありがとうございます。
Andy EmlerはNguyen Leがらみしか聴いていないので、
さほど明るくないのですが、フランスジャズ独特の面白みが
ありますよね。
国策として国がバックアップしているだけあります。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2012年12月 3日 (月) 01時15分