Adam RogersのCriss Cross第2弾「Allegory」
Musician●Adam Rogers(guitar)
Title●Allegory(2003年)
■ディスクユニオンで購入
かつてジャズロックユニット「Lost Tribe」でキレキレのギターソロを聴かせてくれたギター奏者Adam Rogers(アダム・ロジャーズ)がCress Crossからリリースしたリーダー作第2弾です。1993年作。参加メンバーはChris Potter(tenor sax)、Edward Simon(piano)、Scott Colley(bass)、Clarence Penn(drums)という面子。いずれも今日では「ブルックリン派」と言われるよく言えばコンテンポラリー系のミュージシャンばかりですが、悪く言えばメーンストリームには合流することのない「裏街道系ミュージシャン」です。Adam RogersとChris Potter、Scott Colleyの3人は刎頸の友といってもよく、お互いのリーダー作に客演し合っているのでかなりの確率で芋づる的に名前を見つけることができます。
さて、耳を傾けると「Lost Tribe」時代のカッ飛びギターの印象が強かった当欄としては、戸惑うばかりのコンテンポラリー系ジャズギター。Criss Cross初リーダー作「Art of the Invisible」ではやたら渋くて内省的とも言えるプレイに徹していましたが、この作品も基本的にはその延長線上にあります。Adam Rogersのやたら粘っこく息の長いソロワークをバックが好サポート。一聴すると決して派手ではないのですが、ヌエのように音と音の隙間を凄まじい速さで疾走するギターは「要聴き込み案件」の典型とも言えるのではないでしょうか。これを「大人のジャズギター」と称するのは実は早計で、そんなヤワなものではありません。聴けば聴くほど新たな発見がある「スルメイカ音源」です。必ずスターダート曲を何曲か入れることを強要されるCriss Crossとしては珍しく全曲がオリジナルというさりげない反骨精神も好きです。
●Musicians
Adam Rogers / guitar
Chris Potter / tenor sax
Edward Simon / piano
Scott Colley / bass
Clarence Penn / drums
●Numbers
1. Confluence
2. Phyrigia
3. Was
4. Genghis
5. Angle Of Repose
6. Orpheus
7. Red Leaves
8. Cleveland
9. Purpose
10. Angle Of Repose-Reprise
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コメント
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Adam Rogersは音楽師様も言及されている様に、「Lost Tribe」時代にデビッド・ギルモア(ピンク・フロイドじゃない方)を通じてM-Baseの影響を受けている点が、他のハイテク・ジャズギタリストと一線を隔する個性です。
M-Base臭を封印した、まっとうなジャズ盤として聴き応えのある 1st盤と、本記事の2nd盤で、ジャズギタリストとして認知度が一気にブレークするのですが…
実は、まっとうなジャズとM-Base的なプレイのハザマを自由に行き来できるのが、Adam Rogersの真骨頂だと私は感じています。
Chris Potter名義の「Follow the Red Line」(2007年) では、実にノビノビとその個性を
発揮しています。
私的にはアダム・ロジャース自身にとってもこの盤が、現時点で最高傑作と言えるのではないかと思います。
自己名義の「SIGHT」(2009年)では、とうとう封印をといてM-Baseの影響を受けたプレイも数曲披露しており、ロジャース名義作品中ではこれがベスト盤ではないかと思います。
ではでは
投稿: betta taro | 2012年11月10日 (土) 06時43分
betta taroさま
コメントありがとうございます。
最近、なぜかAdam Rogersばかり聴いています。
なかなかChris Potterまで手が回らないのがつらいところですが、
「Follow the Red Line」は早速入手して聴いているところです。
情報、ありがとうございます。
確かにこの盤は両人にとって最高傑作ではないかと
思っているところです♪
投稿: 奇天烈音楽士 | 2012年11月19日 (月) 21時29分