JBU参加「PHALANX」の「In Touch」を聴く
Musician●PHALANX
Title●In Touch(1988年)
■ディスクユニオンで購入
1980年代に我らが「ディスクユニオン」が立ち上げたレーベル「DIW」は日本ではほとんど紹介されることがないミュージシャンや境界線上を彷徨うニュージャンルの音楽を意欲的に紹介してくれました。ネット社会以前の時代、こうした取り組みは大変有り難い存在で、随分とお世話になったばかりか、当欄の音源蒐集生活に奥行きと幅をも与えてくれました。
先日開催された「東京ジャズ2012」での目玉的存在になるはずだった(急病で急遽来日中止に)オーネット・コールマンの門下生、James Blood Ulmer(ジェームス・ブラッド・ウルマー)はソロ活動と並行しながらさまざまなプロジェクトに参加していましたが、この「PHALANX」(ファランクス)もそのひとつ。ユニットとしては3作目にあたります。1988年2月27日、28日、NYCで録音されています。メンバーはGeorge Adams(sax)、Sir One(bass)、Rashied Ali(drums)という超ド級の重量級メンバー。Rashied Aliと言えば末期コルトレーンですね。もちろん「DIW」からリリースされています。
さて、音のほうはというとJBUの持ち味にひとつでもあるジャズ&ファンク色は極めて希薄で、どちらかというコルトレーン末期のようなスピリッチャルな音で占められています。冒頭#1「Keeping Still」ではいきなりJBUのフルートとGeorge Adamsのソプラノからスタートするのでかなり面食らいます。そもそもギター弾きのフルートという点からして奇天烈感いっぱいなわけですが、粛々と音と音を繋いでいく楽曲にも二度吃驚。そもそもGeorge Adamsもハードバップを得意とするプレイヤーだったはず。
JBU中心に考えると「Black Rock」あたりの弾けたプレイを期待する人にとっては、かなり異色の作品であることは確か。しかし、この人、とんでもない振れ幅を示しますね。
●Musicians
James Blood Ulmer / guitar,flute
George Adams / sax
Sir One/ bass
Rashied Ali / drums
●Numbers
1. Keeping Still
2. Line In Line Out
3. Illusion Of Reality
4. Spanish Endeavors
5. Look And See
6. Involution Evolution
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