スイス出身の新鋭トロンボーン奏者Samuel Blaser「Boundless」にMarc Ducretがゲスト参加
Musician●Samuel Blaser(trombone)
Title●Boundless(2011年)
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当欄が半ば意地になりながら音源蒐集をしているフランスの奇才Marc Ducret(マルク・デュクレ)ですが、そもそもアーティスト情報が少ないうえに神出鬼没的にほかのミュージシャンの作品に客演することが多く、その意味でも「追いかけがいのいある」ギタリストです。とはいえ、いまはネットという強力な武器があるので、大いに助かっているのですが。「病膏肓に入る」とはまさにこのことです。
そんなわけでネット情報を頼りに引っかけたのがこの音源です。主役のSamuel Blaser(サミュエル・ブラッサー)という人はまったくのお初ですが、スイス出身の気鋭のトロンボーン奏者で現在ベルリンを中心にアンダーグラウンドな活躍をしているとか。アングラと表現したのは、メジャーな存在ではないという意味で、フリー界では引く手あまたの期待の星だとか。年齢的に30歳前後ということですがすでにリーダー作を何枚かリリースしています。参加メンバーは例によってお目当てのMarc Ducret(guitar)、Baenz Oester(bass)、Gerald Cleaver(drums)といったベテランぞろい。
内容はというと完全な欧州系フリージャズ。Samuel Blaserは実年齢に似合わない重厚かつ老成したトロンボーンを聴かせてくれます。一応、曲タイトルとしては4編から構成される組曲の形をとってはいますが、完全にBlaserとDucret両者によるインタープレイの連続です。まさに丁々発止、息を飲む緊張感の連続が延々と続きます。特に#2「Boundless Suite Part II」での盛り上がりぶりには窒息寸前です。
しかして、音質にやや難があるなと思っていたら、ライブ音源だったのですね。当欄のスタイルをあえて崩してデータを最後に記します。2010年10月7日、8日、9日の間のライブ音源です。スイスのローザンヌ、チューリッヒ、バーゼルでの収録です。フリー系レーベルとしては知る人ぞ知るスイスのレーベル「Hat Hut」からリリースされています。
●Musicians
Samuel Blaser / trombone
Marc Ducret / guitar
Baenz Oester / bass
Gerald Cleaver / drums
●Numbers
1. Boundless Suite Part II
2. Boundless Suite Part II
3. Boundless Suite Part III
4. Boundless Suite Part IV
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» Samuel Blaser / Boundless [前向きに Jazz!]
01. Boundless Suite, Part 1 (15:12)
02. Boundless Suite, Part 2 (17:48)
03. Boundless Suite, Part 3 (16:11)
04. Boundless Suite, Part 4 (13:23)
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奇天烈音楽士 さん はじめまして J worksと申します。
Ducret関係調べもので検索を入れると、必ずヒットする
のがここのサイトということで、時々覗かせてもらって
ました。
Ducretは、"My Man in Sydney / Bobby Previte"で
出会って以来十数年のつき合いになりますが、向こうの
変化もあり、アキることなくつき合える数少ない存在です。
50代半ばになるDucretですが、パフォーマンスの質も
落ちることなく、前進意欲を維持している、この辺も
いいですね。
"Boundless" は近作中でもお気に入りの1枚です。
Ducret以外にも私的好みの怪しい盤やらいかがわしい盤(笑)など
多数並べておられるようで、また覗かせてもらいます。
差し支えなければリンクに入れさせていただきます。
また、本作のTBさせていただきます。
どうぞ宜しくお願いいたします。
投稿: J works | 2012年9月15日 (土) 10時59分
J worksさま
はじめまして。コメントありがとうございます。
考えてみればJ worksさまのブログもちょくちょく拝見させていただいております。末永くよろしくお願いします。
Ducretとの出会いは数年前、Disc Union店内で、自主制作のライブ盤(トリオライブ)を偶然試聴して以来のおつき合いです。その後、当然のようにLive 2を買い、ずるずるとハマってしまっている次第です。
原稿化はまだしていませんが"My Man in Sydney / Bobby Previte"も好みです。Bobby Previteとのデュオ盤にも衝撃を受けました。
私からもリンクを貼らさせていただきます。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2012年9月16日 (日) 14時41分