Marc Ducretの「Towerシリーズ」第4弾(?)はアコギ1本で
Musician●Marc Ducret(guitar)
Title●Tower,vol.4
■Amazon Franceより購入
当欄の追尾物件のひとつであるフランスの奇才Marc Ducret(マルク・デュクレ)の最新アルバムを入手しました。例によってオフィシャルサイトではまだアナウンスされていませんが、Amazon Franceで発見して入手しました。2012年リリース。2011年5月31日にイタリアで、2012年2月24日にMatthieu Metzgerという録音技師の自宅スタジオ(キッチンと表記されていますが)でそれぞれ録音されたものです。フリー系レーベルでは新興と思われる「Ayler Records」より。
最近のMarc Ducretはこの「Towerシリーズ」に凝っているようで、「Vol.1」が管弦楽団とのコラボ、「Vol.2」がヴァイオリンとのコラボと異種格闘技的なセッションを展開してきましたが、今回なぜか「Vol.3」をすっ飛ばして「Vol.4」をリリースしてきました。しかも、アコギ1本という一切のコラボなしです。Ducretによるギターソロアルバムとなると「Un Certain Malaise」(1997年)以来ではないでしょうか。「Vol.3」をあえて飛ばす荒技といい、シリーズの音楽的連続性を一切無視する天衣無縫さといい、やはり奇才と呼ばれるだけあります。
さて、アルバム全編をアコギ1本でもたせることは並大抵の表現力ではとても無理と思うのですが、この奇才はいとも容易くこなしてしまっています。しかし、作品としての衝撃度は「Un Certain Malaise」のほうが上のような気がします。比較対象が素晴らしすぎるゆえの後発組ならではの不利ですが、それをさて置いてもやはり素晴らしい出来映えです。もちろん、普通のギターアルバムを期待する人にはとてもお勧めできません。恐ろしいまでに一般性を拒絶しています。ラスト#9はJoni Mitchellの曲ですが、意外にも真っ当な(?)カバーですが、いかんせん1分弱で終わってしまいます。
ところで飛ばされた形の「Vol.3」ですが、一部音源は2011年に録音済みで再度今年中に追加録音の予定だとか。2013年の前半にはリリースされるようです。メンバーを見るとAntonin Rayon (piano), Sylvain Lemetre (percussion), Matthias Mahler, Fidel Fourneyron and Alexis Persigan (trombones)と3本のトロンボーン奏者とのコラボとなっています。ということは「Vol.1」に近い作風になると想像されます。
●Musician
Marc Ducret / guitar
●Numbers
1. From a Distant Land
2. Sur l'Electricite
3. Sisters
4. Real Thing #2
5. Real Thing #1
6. Ada
7. ... A Distand Land
8. Sybil Vane
9. Electricity
« オージージャズ「Jamie Oehlers Double Drummer Group」の「You R Here Session One」 | トップページ | スペインのジャズロックバンドIcebergの3rd「Sentiments」 »
「フリージャズギター」カテゴリの記事
- David Fiuczynski / Flam! Blam! Pan-Asian Micro-Jam!(2016年)(2016.04.24)
- Marc Ducret / Le Sens De La Marche(2007年)(2016.03.27)
- KRAKATAU / ALIVE(1989年)(2015.11.28)
- SCORCH TRIO WITH MARS WILLIAMS / MADE IN NORWAY(2011年)(2015.10.11)
- RAOUL BJORKENHEIM / ECSTASY(2014年)(2015.05.16)
« オージージャズ「Jamie Oehlers Double Drummer Group」の「You R Here Session One」 | トップページ | スペインのジャズロックバンドIcebergの3rd「Sentiments」 »
コメント