Torben Waldorffの新譜「Wah-Wah」を入手
Musician●Torben Waldorff(guitar)
Title●Wah-Wah(2012年)
■Artist Shareより購入
デンマーク出身の新感覚派ギタリストTorben Waldorff(トーベン・ウォルドルフ)の新譜がリリースされたので入手しました。2012年作。彼のサイトで4月頃にリリースがアナウンスされ7月には完成ということでしたが、途中「ごめんね、遅れているの♡…」というメールが来たりして嫌な感じがしていたのですが、何とか1ヶ月遅れで陽の目を見ました。Artist Shareよりリリース。4月15日、ブルックリンのスタジオでレコーディングされています。
Torben Waldorffは確か2作目までは故郷デンマークやスウェーデンでレコーディングしたり、北欧ジャズの姉御Maggi Olinらと活動を共にしていましたが、3作目あたりからさらなる飛躍を求めてNYCへと活動の拠点を移しています。で、この作品は渡米後3作目か4作目にあたると思います。で、聴いてみて吃驚!いつの間にか「ブルックリン派」の一員に変貌しています。そうです、ジャズのメーンストリームに背を向ける「現代ジャズの裏街道」です。実は渡米後の作風に若干迷いのようなものが感じられていたのですが、現地のミュージシャンとの交流を深めていくうちに自分なりの作風を確立したのでしょうね。参加メンバーはGary Versace(piano,fender-rhodes,organ)、Matt Clohesy(bass)、Jon Wilkan(drums)によるカルテット構成。鍵盤のGary VersaceはCriss Cross人脈でAdam RogersやJonathan Kreisbergらとの共演で知られますし、Matt Clohesyは山野修作らとの共演で知られています。プロデュースは姉御Maggi Olin。
一聴して気がつくのですが、昔のWaldorffの持ち味だったバイキング精神丸出しに強引に音をぶち込んでくる密集型プレイが陰を潜め、その代わりブルックリン派の共通項とも言える独特の浮遊感と音と音の間をヌエのように遊泳するプレイスタイルが完全に身についていて驚かされます。うん、実に気持ちがいい音空間です。当欄いち押しのMike Morenoにも通じるものを感じさせます。しっかりと現代ジャズギターの裏街道を地で行ってくれています。かといって完全にブルックリン派の牙城に落ちたかといえばそうでもなく、たとえば#4「Fat#2」で聴かれる高密集型超絶ソロなどは、彼にしかできない芸風です。
というわけで、個人的にはキャリアベストの作品をついにぶちかましてくれたわけですが、そこは裏街道派の常。人気にはひたすら背を向けて歩んでいくのでしょうね。音源そのものはiTunesにも密林にもまだリリースされていないようです。入手方法は「Artist Share」のサイトでプレスCDを購入するかMP3をダウンロードのいずれか。プレスCDを購入するとキーワードが印刷されたカードが内包されてきて、サイトから未発表ライブ音源やライブ映像をダウンロードできるというおまけが付いてきます。
●Musicians
Torben Waldorff / guitar
Gary Versace / piano,fender-rhodes,organ
Matt Clohesy / bass
Jon Wilkan / drums
●Numbers
1. Circle and Up
2. You Here
3. Ginga
4. Fat#2
5. Poolside
6. Evac
7. Cutoff
8. Burtsong
9. Country and Fish
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コメント
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奇天烈音楽士 さん こんばんは
これ非常に気になっていました。
Torben Waldorffもそうなんですが、
Gary Versaceのorgan参加に関して、
piano, rhodesも扱ってますが、
organでの参加は何曲なのでしょうか?
DucretのTowerシリーズ、3を飛ばして4というのも
彼らしいですね。
これまた気になる案件ですw
投稿: J works | 2012年9月17日 (月) 17時46分
J worksさま
コメントありがとうございます♪
Waldorffのギターばかりに気持ちが行っていて、
鍵盤はあまり注目できていませんでした。
あらためて聴き直したところ、
organは#4,#5,#8,#9の4曲、pianoは#1,#3,#7の3曲、
rhodesは#2,#6の2曲のようです。
詳細クレジットがなく、私がながら聴きで判断したものなので、
間違っていたらご容赦願います。
すでにiTunesでリリースされているようですね。
本文でも書きましたが、現時点での最高傑作ではないかと思います。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2012年9月17日 (月) 23時54分