変態&フリー系ギタリストHenry Kaiser「Re-Marrying For Money」
Musician●Henry Kaiser(guitar)
Title●Re-Marrying For Money(1988年)
■ディスクユニオンお茶の水ジャズ店で購入
アメリカ出身の知る人ぞ知る変態&フリー系ギタリストHenry Kaiser(ヘンリー・カイザー)による作品です。録音自体は1982年から83年にかけて行われたようですが、なぜかリリースは1988年になっています。
ただでさえ知名度が低いうえに変態系ギタリストなので、かなり引き気味ですが、そもそもはMarc RibotやMarc Ducret、Elliot Sharpあたりと比肩されるべきギタリストだと思うのですが、やはり非常にニッチな領域での比較であることは否めません。個人的にはSonny Sharrockのように巧いんだか下手なのか、意図的なのか偶然に頼るタイプなのか、まるで判別がつかないタイプではないかとにらんでいます。ともあれおよそ一般性には欠けますが。
今回はECMの重鎮John AbercrombieとBill Frisellがゲスト参加しています。この変態系アルバムにこの2人が参加した理由がわからないのですが、よくもまあ自分のイメージを壊しかねない「劇薬」との共演にOK出しましたね。
#1 I'm So Glad
言うまでもなくCreamの名曲。原曲の全体像は何とか維持しながら、Kaiserが自由奔放に暴れまくります。この人は真面目なのかふざけているのか計りかねるのですが、やはり何度聴いてもわかりません。
#6 Too Late For Tears
何とJohn Abercrombieが参加しています。KaiserとAbercrombieとの共通項がまったくつかめないのですが、確かにクレジットに名前が。曲はZappa風の妙な感じですがAbercrombieはギターシンセで滅茶苦茶に早いパッセージを終始弾き倒しています。やがて例の下手ウマ風のkaiserが乱入してくるとAbercrombieも負けじと反応。2人によるギターバトルが展開されます。何度聴いても正体不明の奇怪な曲です。
#12 The Last Of The Few
もう一人のECMの巨人Bill Frisellが参加しています。Frisellお得意の浮遊感あふれるギターシンセで厳かな感じでスタートしますが、やがてKaiserが不協和音を巻き起こすと最早制御不能に。一転してアヴァンギャルドでフリーキーな世界へと突入。煽られたFrisellも負けじと不安をかき立てるようなフレーズを連発。最後は奇人2人による正体不明のフレーズの応酬がひたすら続きます。楽曲というよりも実験曲と表現したほうがふさわしいかもしれません。
●Members
Henry kaiser / guitar
Hilary Hanes / bass
John Hanes / drums
guests
John Abercrombie on Too Late For Tears
Bill Frisell on The last Of The Few
●Numbers
1. I'm So Glad
2. Murder One
3. The Set-Up
4. T-Men
5. The Big Clock
6. Too Late For Tears
7. Mr.McG
8. Red Harvest
9. Java Jack
10. The Honey Trap
11. The Hairy Eyeball
12. The Last Of The Few
13. Tapping The Source
14. Pig & Battleships
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