プログレ風ジャズCris Gestrin & Ben Monderの「The Distance」
Musician●Cris Gestrin(piano)
Title●The Distance(2005年)
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NYCに拠点を置いて活動しTheo Blackman(voice)との共演で知られる超売れっ子ギタリストBen Monder(ベン・モンダー)と、カナダ出身の鍵盤楽器奏者Cris Gestrin(クリス・ゲストリン)、やはりカナダ出身でフリージャズシーンで活躍するドラマーDylan Van Der Schyff(ディラン・ヴァン・ダー・スキーフ)によるトリオ作品です。2004年6月29日、完全一発録りのライブ形式で制作されています。
当欄でお馴染みのBen Monderはいいとしてほかの2人に関しては「お初」ですが、メーンストリームに背を向けた3人が作り出す即興演奏は完全なフリージャズに仕上がっています。3人とも決して大仰に騒ぎ立てずどちらかと言えば少ない音をていねいに紡いでいくタイプのミュージシャンだけに、静的でかえって硬派なフリージャズになっています。Ben Monderは十八番の高速アルペジオを駆使した音の空間的広がりを重視したプレイではなく、珍しく終始フレーズ勝負で臨んでいる点が驚きといえば驚きです。しかし、ヌエのように徘徊するBen Monderのギターは相変わらずつかみどころがないですね。
フリージャズの即興演奏というとMarc DucretやRaoul Bjorkenheimあたりの爆裂系ギタリストを中心とする演奏ばかり聴いている身としては、こうした音数が少ないながらも濃密な「俳句的演奏」はかえって新鮮と言えば新鮮。まあ、商業ベースには間違っても乗ってこないと思われますが、好事家にとってはNYC裏街道ジャズのこのうえない好演であると断言します。
●Musicians
Ben Monder / guitar
Chris Gestrin / piano,bells
Dylan Van Der Schyff / drums,percussions
●Numbers
1. Ferns
2. Treacle
3. #47
4. Dark Engine
5. Treant
6. View from the Road
7. Extrinsic
8. Distance
9. Voice in the Night
10. Second Approximation
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