カンタベリー系の雄「Matching Mole」のライブ音源「Smoke Signals」
Musician●Matching Mole
Title●Smoke Signals(1972年)
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元Soft Machineの打楽器奏者Robert Wyattが中心になって結成されたカンタベリー系の代表格「Matching Mole」による幻のライブ音源です。そもそも彼らは2枚のスタジオ盤しか残していないので、どんなものであれ稀少価値があるわけです。1972年に行われたパリでのライブ音源を中心に構成されています。貴重音源ですが音質は上質な地下音源程度です。
#2 March Ides I
2ndより。Dave McRaeの曲。変てこりんな上昇下降フレーズで構成されるいかにもカンタベリー系ジャズロック。ワウワウが利いたPhil Millerのギターが自由奔放に暴れまくります。鍵盤を合図に後半はWyattによる不規則なドラムソロ。緊張感がいやでも漂ってきます。
#3 Smoke Rings
2ndより。Dave McRaeの曲。ちょっとクロスオーバーっぽいイントロで始まりますが、Phil Millerの変則ソロをきっかけに曲はいきなりジャジーな感じに。ファズが利いたBill MacCormickのベースがのたうち回りながら曲は進行していきます。曲後半になってPhil Millerが乱入してきてカオスの様相を呈し始めますが、やがて鍵盤によってクールダウンし収束を迎えます。
#4 Nan True's Hole
2ndより。Phil Millerの曲。彼らの代表曲でもあります。暗黒世界を思わせる重厚なリフをバックに鍵盤が暴れまくります。結局、曲最後まで怪奇的なリフで進行しますが、この執拗なまでの粘着性はカンタベリー系の共通項だといっても過言ではありません。ラストはWyattの怒濤のドラムで終わります。
#5 Brandy As In Benj
2ndより。Dave McRaeの曲。前曲から流れるようなスネークインでスタート。鍵盤とギターが全面に押し出された極めてジャズ的な曲。
#6 March Ides II
この曲から音ががらりと変わるので別日のライブ音源なのでしょう。2ndより、Dave McRaeの曲。Bill MacCormickのベースが循環フレーズを刻みつつ鍵盤がいかにもジャズロックという幻想的なフレーズを。Soft Machine的でもあります。
#7 Instant Pussy
1stより、Wyattの曲。前曲よりすんなり入ってきますが、Wyattの十八番ファルセットヴォイスが左右に暴れまくります。非常に幻想的でエロティックな音空間。
#8 Smoke Signals
2ndより、Dave McRaeの曲。ひとしきりWyattのファルセットが続いたあとでスムーズに展開されます。ちょっとクロスオーバー的な楽曲で聴きようによってはReturn To Forever的な感じもしますが、彼らのようなポピュラリティは感じられません。Bill MacCormickのファズベースが唸りを上げ始めると一転してフリーキーな感じへと変わります。
#9 Lything & Gracing
2ndより。Phil Millerの曲。Phil Millerの個性的なカッティングと巧いのか下手なのかわかりかねるソロが印象的です。曲後半になってファズベースが例によって暴れまくります。聴くかぎりどうやら音源は#1~#5と同じようです。
●Musicians
Robert Wyatt / drums,vocal
Phil Miller / guitar
Dave McRae / electric piano
Bill MacCormick / bass
●Numbers
1. Intro
2. March Ides I
3. Smoke Rings
4. Nan True's Hole
5. Brandy As In Benj
6. March Ides II
7. Instant Pussy
8. Smoke Signal
9. Lything & Gracing
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