スウェーデンのプログレバンド「Trettioariga Kriget」1st
Musician●Trettioariga Kriget
Title●Trettioariga Kriget(1974年)
■Amazonより購入
スウェーデン出身のプログレバンド「Trettioariga Kriget」(トレッティオアリガ・クリケット)による1stです。1974年リリース。バンド自体は1970年に結成されています。81年に解散。位置づけとしてはプログレバンドですが、70年代英国ハードロック、とりわけDeep Purpleやユーライア・ヒープあたりからの影響も色濃く感じさせます。バンド名はスウェーデンも参戦した17世紀の「三十年戦争」という意味だとか。
記念すべき1stですが、これがなかなかの傑作です。今でこそ北欧プログレといえばある程度認知されていますが、70年代ではまだ音楽的には辺境の地というイメージがあったようです。でも、侮ってはいけません。ハード&テクニカル、変拍子のオンパレード、転調につぐ転調、そして大作志向…とプログレの要素がビッシリと詰まっています。基本的にはギター&ベース、そして時折メロトロンという「YESスタイル」。ボーカルは基本的には全曲スウェーデン語で、その独特な語感が妙な味わいになっています。2004年に再発売されましたがボーナストラックとして1975年のライブ音源が3曲追加されました。
#1 Kaledoniska Orogenesen
King Crimsonの名曲「21世紀の精神異常者」のエンディングを思わせるギターとベースが生み出す破壊音で始まるハードチューン。変拍子に乗って強引に突っ走るボーカルはどこかイアン・ギランを思い起こさせます。途中からから妙な転調を繰り返した後、やっとメーンテーマへ。ゴリゴリと弾きまくるリッケンバッカーベースはかなりCriss Squireの影響を受けています。
#3 Fjarilsattityder
YESを思い起こす変拍子を駆使したイントロが抜群の味わい。本家よりも荒削りで野性味たっぷりです。それでいて途中から始まるギターソロは第1期Deep PurpleのBlackmoreを感じさせるので、70年代HRファンをも引き寄せる妙な魅力を持っています。この曲でもベースはかなりのCriss Squireぶりです。
#4 Mina Logen
イントロは裏打ちで前のめり気味で疾走するハードチューン。一転してアコギによるフォークロックに変化します。この落差こそプログレの醍醐味ですね。ボーカルは情感たっぷりに歌い上げます。70年代HRの典型のような曲です。やがてSquire的ベースソロが稼働し始めると、変拍子を駆使した狂乱の渦へ。ラストのギターソロは泣きに泣きまくります。そしてメロトロンで厳かに収束。念入りに練り上がれた彼らの代表曲です。
#5 Ur Djupen
どこかユーライア・ヒープを感じさせる70年HRのお手本の曲。決めのファルセットシャウトはイアン・ギラン風ですね。オクターブ奏法を多用するギターはスティーヴ・ハウ風。気がつけばバックでメロトロンが手堅くサポートしています。初老心をくすぐる音楽的要素が満載の名曲です。
#6 Handlingens Skugga
初期Crimsonが得意としたギターアルペジオと打楽器乱打が印象的なイントロ。やがて流れるようにユーライア・ヒープ&YES的な構成に。曲後半はベースとギターの荒々しいバトルが展開されますが、目まぐるしく転調を繰り返し、一挙にカオスの世界へと突入します。でも、ギターソロはBlackmore風であります。予測不能の展開といい、凄まじい音の圧力といい一瞬の隙を与えない緊張感がたまりません。
●Musicians
Stefan Fredin / bass
Christer Akerberg / guitars
Robert Zima / vocal,guitar
Dag Lundqvist / drums,mellotron
●Numbers
1. Kaledoniska Orogenesen
2. Roster Fran Minus Till Plus
3. Fjarilsattityder
4. Mina Logen
5. Ur Djupen
6. Handlingens Skugga
bonus track
7. Under The Pendent Roof
8. I've Got No Time
9. Perspektiv
« 謎のロック歌手Eric KeyesのアルバムにHoldsworthが参加! | トップページ | ポストEvans世代のDon Friedman♪60年代の珍盤「Dreams And Explorations」 »
「プログレ」カテゴリの記事
- 【追悼】巨星墜つ John Wetton亡くなる(2017.01.31)
- King Crimson / Radical Action (to Unseat The Hold of Monkey Mind)(2016年)(2016.10.16)
- Pageant / 奈落の舞踏会(1994年)(2016.06.19)
- Coda / Sounds of Passion(1986年)(2016.05.29)
- King Crimson / Live In Toronto(2016年)(2016.04.10)
この記事へのコメントは終了しました。
« 謎のロック歌手Eric KeyesのアルバムにHoldsworthが参加! | トップページ | ポストEvans世代のDon Friedman♪60年代の珍盤「Dreams And Explorations」 »
コメント