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2012年1月

2012年1月29日 (日)

Hellborg & Laneの最終章「Icon」

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Musician●Jonas Hellborg(bass)
Title●Icon(2002年)
■ディスクユニオンで購入


北欧を代表する超絶ベース奏者Jonas Hellborg(ヨナス・エルボーグ)による2002年の作品です。参加メンバーはお馴染みギターモンスターShawn Laneで、加えてインド人ミュージシャンが数人が参加しています。

2000年リリースの「Good People In Times Of Evil」以降、インド色を強めてきたHellborgですが同時期にレコーディングされたパリでのライブDVDと合わせて、一応の頂点を迎えたように思われます。しかし、大変残念なことにこのアルバムがリリースされた1年後の2003年にShawn Laneが40歳という若さで他界してしまい、この名コンビも永遠に組まれることはなくなってしまいました。

曲はというとまさにインド路線のそれで、かなりコアでディープな音楽志向です。激しいインド風パーカッションとインド風チャット、そして幽玄で怪しい魅力を醸し出すLaneのギター。音だけで判断すると確かにかなり「敷居が高すぎる音楽」なのですが、ライブDVDを見ることによって、この凄まじい作品の魅力に気がつくはずです。いや、そうなったらすでに魔力にとり憑かれていることになるのですが♪

●Musicians
Jonas Hellborg / bass
Shawn Lane / guitar
V.Umamahesh / vocal
V.Selvanesh / kanjeera,Konokol
V.Umashankar / ghatam,konokol

●Numbers
1.  Anchor
2.  Mirror
3.  Vehicle
4.  Escape

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2012年1月28日 (土)

イタリアのHoldsworthy、Umberto Fiorentinoの1st「Inside Colors」

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Musician●Umberto Fiorentino(guitar)
Title●Inside Colors(1997年)
■Jazzos Comより購入


イタリア出身のフュージョン系ギタリストUmberto Fiorentino(ウンベルト・フィオレンティーノ)による1stです。1997年リリース。このアルバム、必死になって探していたのですが、本家イタリアのジャズ専門レーベル「Jazzos Com」であっさりと漁盤成功です。何も無理に密林探索をすることなく本国サイトから当たればいいというのが教訓(?)です。サイト自体は英語にも対応していますので、安心と言えば安心です。さて、このFiorentinoは当欄でたびたび登場させていますが、一応は「Holdsworthy一派」に所属させているものの、アルバムによってまったく違ったテイストを醸す出すことも多く、結局は正体不明ということで逃げ腰の分類分けのまま今日に至っています。

アルバム「Alice」「All The Things You Are」などで、へんてこりんなフレーズを連発していたのでどんなものかと思いきや、デビューアルバムである本作は意外と真っ当な(?)フュージョンギターという感じです。たとえとしては難しいのですが、ジョンスコやWolfgang Muthspielのデビュー当時と感じが似ていないわけではありません。

●Musicians
Umberto Fiorentino / guitar,guitar-synthesizer
Stefano Sastro / keyboards
Luca Pirozzi / bass
Alberto D'anna / drums,sax
Roberto Gatto / drums
Enzo Pietropaoli / bass

●Numbers
1.  Black Panther
2.  Lost In A Mirror
3.  Inside Colors
4.  Zone Di Confine
5.  Half July
6.  Gum To Gum

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2012年1月27日 (金)

Meshuggahに急接近!ポーリッシュデスメタルDecapitatedの最新作「Carnival Is Forever」

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Musician●Decapicated
Title●Carnival Is Forever(2011年)
■Amazonより購入


弱冠10代後半という若さでメジャーシーンに躍り出たポーリッシュ・デスメタルの至宝「Decapitated」(デキャピテイテッド)による待望の新譜です。不幸な事故によって若き天才ドラマーVitekを失い、ギターのVogg以外は全員抜けてしまうという悲劇があったということで、前作「Organic Hallucinosis」以来6年ぶりの新作ということになります。

元々、彼らはバンドアイドルとしてスウェーデンの「Meshuggah」をあげていたこともありますが、この新作はまさに「Meshuggah」を強烈に意識しています。個人的にはむしろ大歓迎なわけですが、Amazonなどのレビューを読み聞きするかぎりこれまでのDecapitated像を求める人にとってはかなり不評なようです。確かに音は「Meshuggah的な臭い」がプンプンと立ちこめてきますが、やっているのは彼らの完全オリジナルだと思うのですが。確かにブルータルな要素はかなり減退していますが、それはむしろ彼ら(Vogg1人だけですが)の成長だと考えます。変則極まりないポリリズムと一種の高揚感を呼び込む変態リフ、そして凄まじいVoggのギターテクニックと、この手のメタル愛好者にとっては大好物がどっさりと詰まっています♪


●Musicians
Waclaw Vogg Kieltyka / guitar
Rafal Rasta Piotrowski / vocal
Kerim Krimh Lechner / drums
Filip Heinrich Halucha / bass

●Numbers
1.  The Knife 
2.  United 
3.  Carnival Is Forever 
4.  Homo Sum 
5.  404 
6.  A View From A Hole 
7.  Pest 
8.  Silence 
9.  Drum Tracking 
10. Hanging at the Studio 
11. Short Interview with Each Member 
12. Bass Tracking 
13. Vocal Tracking 
14. Guitar Tracking

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2012年1月22日 (日)

スウェーデンのフリージャズユニット「LIM」とMarc Ducretとの邂逅

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Musician●LIM
Title●LIM With Marc Ducret(2011年)
■Amazon Franceより購入


未曾有の「円高ユーロ安」に乗じて入手したMarc Ducret(マルク・デュクレ)案件です。スウェーデンの現代ジャズレーベル「KOPASETIC」から出ている音源で、どうも「LIM」というジャズトリオにMarc Ducretが参加したという形になっています。2011年リリース。「KOPASETIC」が主催となったフリー系ジャズフェスティバルにMarc Ducretが参加したライブ音源があるのですが、その流れからのゲスト参加なのでしょうか。「LIM」の面子はHenrik Frisk(sax)、David Carisson(bass)、Peter Nilsson(drums)という陣容です。

内容は完全フリーで「LIM」をバックにDucretが自由奔放に暴れまくります。ちょうどTim BernneとTom Raineyとのトリオにサックス奏者が加わったというイメージでしょうか。「LIM」に関してはほとんど情報がないのが残念ですが、Ducretと真っ向から渡り合う実力はなかなかのものです。北欧フリージャズの底力を垣間見た思いです。

●Musicians
Marc Ducret / guitar
Henrik Frisk / sax
David Carisson / bass
Peter Nilsson / drums

●Numbers
1.  How Yellow Can This Be?
2.  My Flower,Youyr Power
3.  The Pointer
4.  The Medallion
5.  The Traneird
6.  How Black Can It Get?

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2012年1月21日 (土)

鬼才Lenny Breauのトリオ作品「Lenny Breau Trio」

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Musician●Lenny Breau(guitar)
Title●Lenny Breau Trio(1979年)
■Amazonより購入


アメリカ出身のジャズギタリストLenny Breau(レニー・ブロウ)による自身5枚目のリーダー作。1979年にリリースされています。レーベルを見ると「Direct-Disk Labs」とあるのですが、一時期流行っていた「ダイレクトディスク」「ダイレクトカッティング」と関係あるのでしょうか。ちなみに「ダイレクトディスク」「ダイレクトカッティング」とは確か録音現場にカッティングマシンを持ち込んでそのままダイレクトにレコードを作ってしまうという「究極の直接録音」だったと記憶しています。いわゆる編集作業が発生しないため、実に生々しい臨場感が味わえます。クレジットによれば2トラックにダイレクトにレコーディングされ、当たり前ですが一切の編集作業は施されていないと書かれています。Lenny Breauの初期作品はかなり品薄でプレミアがつくケースが多いのですが、この盤も昔は入手困難でした。でも最近は某密林などでも比較的安価で取り扱っていますね。

Lenny Breauは一時期カナダへ渡ってギタートリオを結成したりしていますが、元々はカントリーバンドからスタートし、その後ジャズへ転向したため生粋のジャズメンとはかなり風情が異なります。聞けば両親ともカントリー畑のミュージシャンだったとか。加えて1960年代後半のデビュー当時から7弦ギターやタップ奏法を導入していたため異端のミュージシャン、ジャズギターの異端児と呼ばれていたようです。さらに生来精神的な障碍を抱えていたうえに重度のドラッグ中毒に罹り、1984年、43歳のときに何者かによって殺害されるという数奇な人生を歩みました。そんなエピソードがさらにLenny Breauを必要以上に「神格化」させているのかもしれません。Jim Hallなどのいわゆるジャズギタリストとは対極の位置にあることは間違いないでしょう。

さて1st「Guitar Sounds from Lenny Breau」や2nd「Velvet Touch of Lenny Breau Live!」で漲っていた極度の緊張感に比べると、この作品は若干リラックスムード。アコギとエレキを巧みに使い分けながら、随所で素晴らしいフレーズを披露しています。ただ「ダイレクト・カット」からの影響なのか割と手堅くまとまっているのも確かです。曲もあまりひねらず素直なものが中心です。とはいえ、誰にも真似できない独特なアルペジオ、タップから生まれるビロードのような触感を感じさせる美しいハーモニクスはBreauならではのもの。それだけでもこの作品を聴く価値はあるでしょう。参加メンバーはDon Tompson(bass)、Claude Ranger(drums)となっていますが、Don TompsonはJohn Abercrombieとの共演でも有名ですね。

●Musicians
Lenny Breau / guitar
Don Tompson / bass
Claude Ranger / drums

●Numbers
1.  You Needed Me 
2.  Don't Think Twice (It's All Right) 
3.  Mister Night 
4.  Neptune 
5.  Claude (Free Song)

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2012年1月20日 (金)

渡辺香津美の初期ボックスセットを入手!

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Musician●渡辺香津美(guitar)
Title●渡辺香津美アーリー・イヤーズ・ボックス(2010年)
■Yahoo!オークションで購入


日本を代表するジャズ&フュージョン系ギタリスト渡辺香津美の初期作品をまとめた「アーリー・イヤーズ・ボックス」。CDが15枚にDVDが1枚というなかなかのボリュームです。2010年に発売されていたのですが、2万円強という値段ではさすがに手が出ないため保留案件になっていました。ここにきてやっと安く入手できるようになってきたので、思い切って入手しました。すでに所有している盤も多く、いわゆる「ダブル(トリプル)買い」であることは百も承知で入手した理由はただ一つ「リマスター化」されていることに尽きます。加えてこのボックスセットでしか聴けない音源が「セッションワークス」として収められています。

もちろん、初期の音源が漏れなく収録されているわけではありません。今回、リストから外れた主な盤は以下の通り。

Infinite (1971年)
Monday Blues (1974年)
Milky Shade (1976年)
Mermaid Boulevard(1977年)


上記4枚のうち1st「Infinite」は昨年末、待望の復刻がなされました。「Milky Shade」と「Mermaid Boulevard」は一度CD化されましたが現在は廃盤扱いです。いや正確に言うと「Mermaid Boulevard」は復刻専門の業者が昨年末に発売していましたが、予約だけで発売完了ということでまた「幻の音源」に。

今回収められているアルバムは以下の通りです。

[Disc1] Endless Way(1975年)
[Disc2] Olive's Step(1977年)
[Disc3] Lonesome Cat(1977年)
[Disc4] Village In Bubbles(1978年)
[Disc5] Kylyn(1979年)
[Disc6] Kylyn Live-1(1979年)
[Disc7] Kylyn Live-2(1979年)
[Disc8] To Chi Ka(1980年)
[Disc9] Talk You All Tight(1981年)
[Disc10] Dogatana(1981年)
[Disc11] Mudari Spirit Of Song(ジミー・ホップス&渡辺香津美)(1976年)
[Disc12:] Kaleidoscope (渡辺香津美&ミッキー吉野)(1979年)
[Disc13] Dear Tokyo / 渡辺香津美withオーケストラ(2001年)
[Disc14] セッション・ワークス
  1.  トーキョー・ジョー(with 坂本龍一)
  2.  サウザンド・ナイヴス(with 坂本龍一)
  3.  ジ・エンド・オブ・エイジア(with 坂本龍一)
  4.  入道雲(with 向井滋春)
  5.  フォーカス・エクスプレス(with 向井滋春)
  6.  ヒップ・クルーザー(with 向井滋春)
  7.  ワンス・アイ・ラヴ(with 向井滋春)
  8.  ドラグーン(with ハイフォニックス)
  9.  トライアル・ロード(with 高橋知己)
  10. オリジン(with 高橋知己)
  11. ノット・エチオピア(with ステップス)
[Disc15]  セッション・ワークス2
  1.  いま・春?(with 古澤良治郎&リー・オスカー)
  2.  ブギ・マン・リヴス・イン・TOKYO(with 古澤良治郎&リー・オスカー)
  3.  キョン(with 古澤良治郎&リー・オスカー)
  4.  北(with 古澤良治郎)
  5.  MWSIKパート1(with 井上敬三)
  6.  インティメイト(with 井上敬三)
  7.  MWSIKパート2(with 井上敬三)
  8.  由窗爽風(with 井野信義)
  9.  獏的哈息(with 井野信義)
  10. 紅河奈流(with 井野信義)
  11. 図知華(with 井野信義)
[DVD]
     HALF BLOOD「UMKフェニックス・ジャズ・イン '84」より
     渡辺香津美(guitar)、グレッグ・リー(bass)、村上”ポンタ”秀一(drums)

個人的には「Olive's Step」「Lonesome Cat」「Talk You All Tight」の「復刻」が実にありがたく、良質なリマスター効果によって楽しむことができます。[Disc14] [Disc15] のセッション・ワークスは資料的な価値が絶大!

映像は2010年の「東京JAZZ」より「Unicorn」。Mike Mainieri(vibes)、Marcus Miller(bass)、Warren Bernhardt(keyboards)、Omar Hakim(drums)という面子です

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2012年1月15日 (日)

カナダのHoldsworthy、John Pelosi率いる「The Code」の4th「Dreams Speak Song」

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Musician●The Code
Title●Dreams Speak Song(2011年)
■Abstract Logixより購入


カナダのジャズフュージョングループ「The Code」の新譜が2011年9月にリリースされていたことに気がつき、慌てて入手しました。確か3rdは2009年にリリースされたはずなので、この手のバンドとしては異例の量産ペースです。前作よりバンド名が以前の「The Code」からバンドリーダーのJohn Pelosi(ジョン・ペローシ)を冠して「John Pelosi with The Code」と変更したようです。日本的に言えば「ダン池田とニューブリード」「スマイリー小原とスカイライナーズ」「内山田洋とクールファイブ」「鶴岡政義と東京ロマンチカ」「和田弘とマヒナスターズ」などと同じ解釈でよいのでしょうか。

さて、前作3rdから男性ボーカルを擁してハードフュージョン路線から一転して「爽やか系フュージョン」へと大きく舵をとった彼らですが、この新譜も基本的には前作の踏襲路線です。ただ前作では何だかとってつけたように感じられたボーカルもバンドの一員としてすっかり溶け込み、楽曲としての完成度も数段増したように感じられます。その意味では聴きやすく仕上がっているのですが、逆に言えば1st、2ndで感じられた怪しげなエロティズムのような要素はあまり感じられません。残念ながら「普通になってしまったな~」という感じは否めません。

さらに言えば3rdと比較してJohn Pelosiの露出も相対的に減ってしまっているので、Pelosi目当ての人にとってはいささか欲求不満に陥るかも。もちろん時折聴かせるギターソロは「カナダのHoldsworthy」の名に恥じない優れものであるのですが。相変わらずのアームウネウネの変態ソロは健在なだけに、もっと弾いてくれたらな~というのが正直な感想です。もっとも「The Code」のディスコグラフィーを全点揃えてああだ、こうだと論じることにどれだけ意味があるのかは皆目見当もつきません。





●Musicians
John Pelosi / guitar
Rick Fellini / keyboards
Eric Boucher / keyboards
Richard Brown / bass
Calvin Beale / bass
Paul DeLonug / drums
Michael Ferfolia / vocals
Joaquin Hidalgo / percussions
Richard Evans / keyboards
Steve Webater / bass

●Numbers
1.  Truth Is
2.  When Reason Sleeps
3.  The Defiant Ones
4.  Forgiveness
5.  We're All Looking Now
6.  I Loved Spending Time With You
7.  I Loved Spending Time With You Too

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2012年1月14日 (土)

ハートウォーミングなEwan Svenssonのボーカル入り音源「Sunrise On The Moon」

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Musician●Ewan Svensson(guitar)
Title●Sunrise On The Moon(2010年)
■Dragon Recordより購入


スウェーデン出身のコンテンポラリージャズ系ギタリストEwan Svensson(イーヴァン・スヴェンソン)による久々の作品です。2010年リリース。北欧現代ジャズの殿堂「Dragon Record」より。今回は珍しく女性ボーカル入りで、その準主役とも言えるのがLinda Pettersson Brattという人です。Svennsonとは別のアルバム(「From Time To Time」)でも共演歴があります(こちらもDragon Recordよりリリース)。ボーカル抜きの「Moments Passed」というアルバムもほぼ同時期にリリースされていますので、Svenssonファンにとっては要チェックですね。

さて、Ewan Svenssonのキャリアでは例外的とも思える女性ボーカル入りアルバムですが、基本的にはいつもながらの「Svennson節」のオンパレードです。ECMに通じる透徹したリリスズムと心洗われる叙情性は相変わらず。そこにボーカルが加わることで心温まる上質なジャズアルバムに仕上がっています。決して激しく自己主張しないものの、しっかりとツボを押さえるSvenssonのプレイは見事の一語です。この人、母国では王室音楽院から特別表彰を受けるほどの名士なのですが、地味と言えば確かに地味なプレイヤーなのですが、では世界的にメジャーな存在になれるかというと微妙です。おそらく本人も望んでいないでしょう。そこら辺りがウルフ・ワケーニアスとは何かが違うのかもしれません。ともあれECMやPat Metheny周辺が好きな人ならば、すんなりと入っていけるのではないでしょうか。とにかくエレキとアコギの使い分けが見事です。

ベース奏者を務めるYasuhito Moriという人は森泰人さんという日本人の方で、スウェーデンに居を置きながらSvennsonと長らく行動を共にしています。森泰人さんのブログはこちらです。

●Musicians
Ewan Svensson / guitar
Linda Pettersson Bratt  / vocal
Antoine Herve / piano
Yasuhito Mori / bass
Mattias Gronroos / drums
Mangnus Gran / drums

●Numbers
1.  Shy
2.  Busy Me
3.  Living In Limbo
4.  I'm Here
5.  Absolutely You
6.  Sunrise Of The Moon
7.  Seasons Of The Heart
8.  Just Who Do You Think You Are
9.  No Such Thing
10. Optimistic Blues
11. From Out Of The Shadows
12. Starville
13. Being Human
14. Something In Return
15. I Am Touched

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2012年1月13日 (金)

夭折の天才Mike Taylorが遺した2nd「TRIO」

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Musician●Mike Taylor(piano)
Title●Trio(1969年)
■ディスクユニオン渋谷店で購入


イギリス出身のジャズ系ピアノ奏者Mike Taylor(マイク・テイラー)の幻の音源です。この人、ご存じのように60年代後半から巻き起こった英国ジャズロックブームの中で「陰の立役者」と言えるのですが、不幸なことに1969年に30歳という若さでこの世を去ってしまいます。重度のLSD中毒の果てにテムズ川のほとりで亡骸が発見されたとか。自身のキャリアとしてはこの音源を含めて2枚しか遺していないことから、「幻のミュージシャン」と言われています。参加メンバーはJon Hiseman(drums)とJack Bruce(bass)というピアノトリオ構成。言うまでもなくJon HisemanはコロシアムやTempestの中心人物で、Jack Bruceについては説明不要の英国ロックのドン的な存在です。Mike TaylorがCreamの代表作「Wheels Of Fire」に楽曲を提供していることはあまり知られていないようです。

思うに当時のイギリスではジャズはアメリカの音楽という認識が強く、しかもロックやプログレ人脈との繋がりから純粋なジャズという見方も受けず、そんなことから「孤高のミュージシャン」と見なされてしまったのでしょう。何と不幸な話です。ここで聴かれる音は、かなり内省的でダークな内容です。それでいてBill Evansに通じる瑞々しいリリシズムを秘めています。目まぐるしく転調を繰り返しつつ、フリーなカオスを醸し出すリズム隊との絶妙なバランスには息を飲むほどの迫力を感じます。スピリッチャルな匂いが立ちこめていた1st「Pendulum」とは対照的なテイストです。リズム隊の2人は完全にジャズに徹していますね。ロック的な威勢の良さは微塵も感じさせません。

音質はさすがに良好とはいえませんが、希少価値も含めてお勧めの1枚。ピアノトリオファン、英国ジャズロックファンにとっては必聴必携の優れものです♪

●Musicians
Mike Taylor / piano
Jon Hiseman / drums
Jack Bruce / bass
Ron Rubin / bass

●Numbers
1.  All The Things You Are
2.  Just A Bruce
3.  While My Lady Sleeps
4.  The End Of The Love Affair
5.  Two Autumns
6.  Guru
7.  Stella By Starlight
8.  Abena

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2012年1月 9日 (月)

叙情派鍵盤楽器奏者Mike Nockによる唯一のECM作品「ONDAS」

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Musician●Mike Nock(piano)
Title●Ondas(1982年)
■ディスクユニオンで購入


久々のジャズピアノ、ECMネタです。ニュージーランド出身のベテラン鍵盤楽器奏者、Mike Nock(マイク・ノック)による作品です。コンテンポラリー系音楽の宝庫「ECM」より1982年にリリースされていますが、結果として同レーベルでの唯一の作品です。参加メンバーはEddie Gomez(bass)、Jon Christenssen(drums)というECM最強ともいえるリズム隊です。1981年11月、オスロのTalentスタジオでレコーディングされています。Mike Nockは寡作傾向にあるのであまり知名度が高くないように思われますが、傾向としてはBill Evans直系、Richie Beirach兄弟子系という感じでしょうか。リリカルな味わいを武器とするミュージシャンです。いかにもECM総帥アイヒャー氏が好みそうな感じです。ほかにはJohn AbercrombieやDave Liebmanとの共演作があります。

リズム隊の顔ぶれからいって容易に想像できるように、ここで聴かれる音楽はまさに「80年代型ECMミュージック」の典型。静かに深く人の心に沁み込むような清逸なメロディー、それでいて強烈な印象を残すリリシズムは圧巻の一語です。確かにプレイ自体はBill EvansやRichie Beirachのイメージがあるのですが、やはり聴こえてくるのはMike Nockそのものです。主役を盛り立てながらも強烈に自己アピールするリズム隊も秀逸。CD自体はどうやら廃盤扱いにななっているようですが、本家ECMのサイトでもMP3音源を扱っているようです。ピアノトリオファン、ECMファンにとっては必聴、必携の音源♪

●Musicians
Mike Nock / paino
Eddie Gomez / bass
Jon Christenssen / drums

●Numbers
1.  Forgotten Love
2.  Ondas
3.  Visionary
4.  Land Of The Long White Cloud
5.  Doors

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2012年1月 8日 (日)

サイケジャズロックの基本Matching Mole「March」

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Musician●Matching Mole
Title●March(1972年)
■Amazonより購入


昨年10月10日の祝日、NHK-FMで放送された「プログレ三昧」は2回目ということもあって前回よりもさらに盛り上がっていたように思えました。何よりもうれしかったのがMr.Siriusこと宮武和宏さんがゲスト参加したことと、進行を務めた森田美由紀アナウンサーが実はプログレファンであることを「カミングアウト」(?)したことです。ニュース番組のメインをはったあの冷静沈着に見える森田さんが!ですよ。

というわけで番組中でも放送されたらしい(放送途中、かなりの時間中抜けしていました)「Matching Mole」(マッチング・モール)物件です。Soft Machineを抜けたRobert Wyatt(drums、vocal)が中心になってDavid Sinclair(keyboards)、Phil Miller(guitar)、Bill MacCormick(bass)がメンバーのジャスロックバンドです。元Soft Machineということからカンタベリー系のくくりでも語られていますね。

Wyattの不幸な離脱によって活動期間が1年間ほどだったので、結構謎の存在になっています。鍵盤奏者のDavid Sinclairは1stリリース後に脱退してしまい、代わってDave MacRaeが加入しています。

このライブ音源は1972年3月に各地で行ったライブ音源を収めたもので、BBC音源、イギリス、ベルギー、オランダなどでの音源です。長い間、地下に眠っていたにしては驚くべき高音質で、演奏内容もハイクオリティ。初期Softsのサイケデリックな一面とテクニシャン揃いのバックが繰り出すハイテンションな演奏とが相まって独自の世界を繰り広げています。Wyattの奇怪なドラミングと誰にも真似できない(真似しようともしない)ヴォイス・インプロは見事の一語です。

●Musicians
Robert Wyatt / drums,vocal
Phil Miller / guitar
Bill MacCormick / bass
Dave MacRae / keyboards

●Numbers
1.  March
2.  Instant Pussy
3.  Smoke Signals
4.  Part Of The Dance
5.  No 'alf Measures
6.  Lything And Gracing
7.  Waterloo Lily

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2012年1月 7日 (土)

名盤「Devotion」だったMcLaughlinの「Marbles」

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Musician●John McLaughlin(guitar)
Title●Marbles(2011年)
■Amazonより購入


先日1月4日、なんと70歳の誕生日を迎えた英国ジャズロックギターの帝王John McLaughlin(ジョン・マクラフリン)の「新譜」と思いきや、実は名盤「Devotion」(1971年)のリイシュー盤だったというオチがついたトホホ物件です。2011年リリース(正確にはリイシュー)。実は数ヶ月前から密林サイト上に忽然と現れていたので気にはしていたのですが、まさかのリイシューとは。しかし、タイトルなどを手がかりに冷静に対処すれば容易に判明したはずです。

改めまして「Devotion」は「Extrapolation」(1969年)に続いてリリースされたキャリア2作目で、Tony Williams Lifetimeの「Emergency」「Turn It Over」に参加した後にレコーディングされた音源です。「Emergency」繋がりからオルガン奏者Larry Youngとジミヘン「Band Of Gypsies」でお馴染みのアフリカ系アメリカ人Buddy Milesが参加しています。Mahavishnu Orchestra以前のジャズとロックとの狭間で蠢いていた頃の音源です。並行してJohn Surmanなどとの英国フリージャズ系ミュージシャンとの共演音源も多数残されています。

音的には「Extrapolation」と「Emergency」の中間点あたりにあり、インド思想にのめり込む前の録音ということもあり、混じり気なしのまさにガチンコのジャズロック。特にLarry Youngのオルガンが効いていますね。

この物件、恥ずかしながら「新譜」であると早合点して購入してしまったトホホ物件の典型なのですが、おそらく入念なリマスター作業が施されたのでしょう、音質は極めて良好です。音圧もいい感じです。元が良くなかったということもありますが、まるで違った音源ではないかと一瞬錯覚するほどです。これは「怪我の功名」ですね。とても新鮮な気持ちで臨めたわけです。McLaughlinファンはもちろんですが、オリジナル「Devotion」を聴いたことがない人はせっかくですから入手されることをお勧めします。私が密林で予約注文したときは、何と約800円という破格のお値段でした。

●Musicians
John McLaughlin / guitar
Larry Young / fender Rhodes piano,Hammond B3 organ
Billy Rich / bass
Buddy Miles / drums,percussions

●Numbers
1.  Marles
2.  Devotion
3.  Don't Let The Dragon Eat Your Mother
4.  Purpose Of When
5.  Dragon Song
6.  Siren

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2012年1月 6日 (金)

テクニカル系ギタリストのコンピ物「Guitar Addiction」にBrett Garsed、Richard Hallebeek、Guthrie Govanが参加

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Musician●Various Musicians
Title●Guitar Addiction
■メーカーサイトより購入


オランダ出身のテクニカル系ギタリストRichard Hallebeekのサイトを見ていて気になったので入手してみました。メーカーサイトからの直販でしたが果たして日本で発売されるかは現時点では不明です。2011年リリース。

ここ数年来のギターコンピ物ということで通常は完全に「スルー物件」なのですが、メンバーによってはそうも言ってはいられません。

錚々たるミュージシャンをギタリスト限定で挙げますと
Richard Hallebeek
Dave Martone
Milan Polak
Lars Eric Mattsson
Jeff Kollman
Gathrie Govan
Brett Garsed
Mattias Ia Eklundh
Cyril Achard
Theodore Ziras
Bumblefoot(Ron Thal)

といった当代きっての名手ばかり。どうです?かなり目眩がするようなメンバーではありませんか?

ただしコンピものの最大の欠点として、お目当てのミュージシャンの出番がかなり限定されることは覚悟しなくてはなりません。しかもギターバトルの形態をとっているので、1曲あたり最大4名のプレイヤーを聴き分けなければなりません。そんな不満に対するフォロー(?)としてこの曲のそのタイミングにこのギタリストがソロを弾きまっせ的なクレジットがしっかりと明記されています。でもまぁ、いちいちクレジットと首ったけで聴くわけにもいきません。

当欄が注目したのは以下の曲です。

#3  Adenaline Jam
オランダのギターモンスターRichard Hallebeeekが参加。明らかにほかのプレイヤーとは毛色が違うので一目瞭然です。この人、いよいよ神懸かってきた印象です。でも、いかんせん露出時間が短すぎます。

#5  Mr.Groove
文字通りかなりグルーヴィーな曲。Jeff Kollmanが参加しています。ワウワウを目一杯利かせた火の出るようなソロは一聴の価値があります。でも、露出時間は圧倒的に短いです。

#7  FRP A Tribute To Mark
何とGathrie GovanとBrett Garsedが共演。このアルバムの最大の注目曲だと言えましょう。妙にダンサブルな曲ですが、昔、Brett GarsedがShawn Laneと共に参加した「MVP Ⅱ」に入りそうな曲調です。最初のソロはGarsed、1人おいて3人目がGovanです。文句なしに格好いい曲です♪何よりも2人の露出時間がほかの曲に比べて長めなのがうれしい限り。

#9  Frankly Speaking
Mattias Ia EklundhとCyril Achardが参加。いや、ほかにも3人のギタリストがいて計5人体制なのですが割愛します。Eklundhは相変わらず変態っぽいのですが、彼のプレイとしては非常に真っ当でわかりやすいと思われます。最近のAchardはアコギを持つことが多いのですが、珍しくエレキを。相変わらす音数が多いですね。

#10  Cacophusion
Theodore ZirasとBumblefootが参加。いや正確に言うと計5人体制ですがここも割愛。Theodore Zirasはいま話題になっているギリシャ出身のネオクラシカル系ギタリストです。国情を憂えることなく元気に弾きまくっています。Bumblefoot(Ron Thal)は4人目として登場しますが、わずか30秒という短い露出時間ながら一聴して彼と認識できるあたりは流石の一語です。

というわけでメボシいミュージシャンを挙げてみましたが、やはりもっとじっくり聴きたいというのが本音です。いや、それでもかまわないという奇特な方、お目当てのミュージシャンの完全コンプリートを狙う方にはやはり無視するのは難しいかも。

●Numbers
1.  CrossRoards Of Time
2.  Junkie Foot
3.  Adenaline Jam
4.  The End Of The World
5.  Mr.Groove
6.  Mind's Labyrinth
7.  FRP A Tribute To Mark
8.  Mandarine
9.  Frankly Speaking
10. Cacophusion
11. Heavy Funky Party

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2012年1月 5日 (木)

渡辺香津美の幻の1st「Infinite」が復刻、再発売!

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Musician●渡辺香津美(guitar)
Title●Infinite(1971年)
■Amazonより購入


日本を代表するジャズ系ギタリスト、渡辺香津美の1st「Infinite」が先日、リマスター化のうえ再発売されました。Deep Jazz Realityという版元が「和ジャズ最期の秘宝シリーズ」というものを立ち上げてくれまして、めでたく復刻の運びになりました。ご存じのようにこの盤は一度CD化されたものの廃盤扱いになってからは入手困難を極め、某レコード店では2万円近くという高額で扱われていました。私は幸運なことに某ディスクユニオンお茶の水ジャズ館で、何と1000円という破格の安値で入手できました。「こんなに安く売ってもいいの?」「実は値札が1桁間違えているのでは?」などと驚きながらも半笑いを浮かべながらレジへと向かった記憶があります。漁盤は足で稼ぐべし!の格言(?)を身をもって体感しました。

そんなわけで「幻の音源」と言われる盤が、再度、世の中に出回ることは大変喜ばしいことです。この音源は渡辺香津美が暁星高校3年生、弱冠17歳の時に録音されたもの。ただそんな予備知識がないままに聴くと、どうしても高校生が生み出す音楽とは思えません。すでに完成されたテクニックと大人びた感性にはただただ驚くばかりです。1971年という時代背景もあるのでしょう。聴こえてくるのはガチンコのジャズロックです。#4「Blue Bossa」で聴かれる息の長い流麗なソロなどはあらためて聴き直しても凄いの一語です。ラストの「Here That Rainy Day」の美しさにも思わず息を飲むほど。音質にはさすがに時代を感じてしまいますが、演奏自体は決して色褪せていません。

感心したのが「秘宝」の呼び込みに恥じない「こだわりの仕様」です。極力アナログ盤の作りを再現しようという制作者の意図もあってジャケットやライナーもリリース当初のものがそのまま使われています。ジャケットやライナーを愛でつつ音を楽しむという本来の姿を思い出させてくれます。今度こそ間違いなく「最後の復刻」になりそうなので、お探しの方はお早めにどうぞ♪

●Musicians
渡辺香津美 / guitar
植松孝夫 / tenor sax
市川秀男 / keyboards
鈴木良雄 / bass
日野元彦 / drums

●Numbers
1.  Infinite
2.  Cortly
3.  Isotope
4.  Blue Bossa
5.  Here That Rainy Day

2012年1月 4日 (水)

ギリシャ出身のジャズロックバンド「Confusion」唯一(?)のアルバム「Enter Alone」

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Musician●Confusion
Title●Enter Alone(2003年)
■Amazon USAより購入


いま何かと話題を集めている南欧はギリシャ出身のジャズロックバンド「Confusion」によるおそらく唯一のアルバムです。2003年リリース。「おそらく」としたのはバンドオフィシャルサイトがどうしても見つからず、彼らのキャリアが把握できていないからです。バンド名も今となっては大変皮肉ですね。ギタリスト兼バンマスのAchilleas Diamantis(しかしもの凄い名前ですね!)はテクニカル系ミュージシャンの虎の穴「MI」に入学し、Scott Hendersonなどからギターの手ほどきを受けたそうです。と書くと自ずとプレイスタイルは想像できてしまいます。

サウンドとしてはどちらかというとアメリカっぽいギターオリエンテッドなジャズロックですが、ブルースあり、南欧っぽい明るい楽曲もありと、実にバラエティに富んでいます。と書くとほめ言葉に聞こえますが、このバンドの目指す方向がなかなかわかり辛いのが難点と言えば難点。「とりあえずできることをやってみました感」が全体に漂っているのです。前出のAchilleas DiamantisはScott Hendersonなどに師事したということで、流麗なレガート奏法が最大の武器で聴きようによっては「ギリシャのHoldsworthy」と認定してもいいのではないでしょうか。特に#1「Quarter Past Three」で聴かれるウネウネフレーズはなかなかの聴き応えです。しかし、アルバム全体としてはバンドカラーがいまひとつ掴みきれず、聴いていて納得感のようなものに欠けるのが難点です。そういえば、ジャケットデザインもかなりのB級感がにじみ出ていますね。

<記事訂正>
Twitterでお世話になっているnagoyahelloさんからご指摘があり、この盤は2ndにあたります。本記事の見出しなどはそのままにしてここで追加訂正いたします。1stは「Genesis」というアルバムなのですが、冷静に考えたら私、この盤も所有しておりました。しかしながら例によって家庭内行方不明という状態です。nagoyahelloさんからはオフィシャルサイトも教えていただきましたので掲載します。
オフィシャルサイト
nagoyahelloさん、大変お世話になりました!




●Musicians
Achilleas Diamantis/ guitar
Takis Intas / drums
Panagiotis Haramis / bass

●Numbers
1.  Quarter Past Three
2.  Spanish Way
3.  Tripfall
4.  Enter Alone
5.  Voodoo
6.  Cacophpny Blues
7.  Old Times
8.  Edge Of The World
9.  Pico 'N'Hoover

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2012年1月 3日 (火)

魔術師Steve Vaiのライブ音源「Where the Other Wild Things Are」

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Musician●Steve Vai(guitar)
Title●Where the Other Wild Things Are(2007年)
■Amazonより購入


久々の奇才Steve Vai(スティーヴ・ヴァイ)ネタです。2009年にリリースされたライブ音源「Where the Wild Things Are」の拾遺集的アルバム「Where the Other Wild Things Are」です。2007年に行われた米国ミネアポリスでの「Sound Theories World Tour」の音源になります。このツアーはヴァイオリン2本を入れるという変則的構成でも話題を呼びました。未視聴ですがDVDメディアもリリースされています。

もういまさら説明不要とも言えるSteve Vaiなのですが、Vai節の変態さ加減は相変わらず。この人、初リーダー作「Flexsable」からまったくスタイルが変わっていないのですね。思えばDavid Lee Roth BandでもAlcatrazでも自分のスタイルを一切変えなかったということで、どんな変態プレイヤー(当欄での「変態プレイヤー」という表現はは激賞するときのみに使います)でも、一意専心すれば立派な芸として世間から受け入れられるという良き見本だと思います。

迂闊なことに本編「Where the Wild Things Are」は未聴なので、入手したら比較の意味でレポートしたいと思います。

●Musicians
Steve Vai / guitars
others

●Numbers
1.  The Crying Machine
2.  The Audience Is Listening
3.  The Murder
4.  Juice
5.  Whispering A Prayer
6.  Apples In Paradise
7.  I'm Becoming
8.  Beastly Rap
9.  Earthquake Sky
10. Liberty
11. Answers
12. For The Love Of God

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2012年1月 2日 (月)

Matching Moleの1st「そっくりモグラ」

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Musician●Matching Mole
Title●same(1972年)
■Amazonより購入


英国のジャズロックバンド「Soft Machine」を脱退したRobert Wyatt(ロバート・ワイアット)が結成したユニット「Matching Mole」による1stです。1973年にWyattが転落事故によって(酔っぱらって5階から転落し下半身不随になってしまいました)、解散するという不幸な歴史をもっています。サウンドとしては初期Soft Machine(2枚目まで)のポップでアヴァンギャルドな要素とジャズロックをうまい具合に融合したもので、70年代英国ジャズロックを語るうえではやはり外せない存在ですし、のちのカンタベリー系音楽でも重要な位置づけを担っています。メンバーはPhil Miller(guitar)、Dave Sinclair(piano,organ)、Bill MacCormick(bass)で後にDave Sinclairが脱退してメンバーとなるDave McRae(electric piano)がゲスト参加しています。

#1  O Caroline
アルバムオープニングを飾るのはフォークロックを思わせるような長閑な曲。Soft Machineのような緊張感とは無縁の何やら人を喰ったような「すかし」です。ここら辺がSoft Machine時代にWyattができなかった「アヴァンギャルド・ポップス」というのでしょうね。

#2  Instant Pussy
ゆったりとしたベースラインに合わせてWyattお得意の高音スキャットが左右に飛び交う不思議な曲です。スキャットは幾重にも多重録音され折り重なるように聴く者の心を揺さぶります。ドラムは不規則でギターも勝手気ままといえば気まま。古き良き英国ジャズロックのイメージですね。

#3  Signed Curtain
#2の延長線上にベースが悲しげな生ピアノへと代わります。スキャットはそのままですが、Wyattの歌声は何とも寂しげで切なすぎます。ピアノも悲しい調べをこれでもかと生み出します。曲最後になるとベースとエレピが参加してきますが、これはキラーチューン「Part Of The Dance」への助走に過ぎません。

#4  Part Of The Dance
#3から無理矢理に編集で繋いだそうですが、個人的にはあまり強引さというか不自然さは感じません。展開が激しい音楽ばかり聴いているので耐性ができてしまったのでしょうか。ディストーションで歪んだPhil Millerのギターが全面に押し出されています。襲いかかるエレピとオルガン。リズム隊は70年代ジャズロックそのもの。凄まじいインプロの応酬で窒息寸前になります。Phil Millerの巧いのか下手なのかよくわからないギターが光っています。最後はSinclairのオルガンでクールダウンし収束します。

#5  Instant Kitten
今度はテープの逆回転と思われる効果音とWyattのスキャットで始まります。このままアヴァンギャルド路線でひた走るのかと思わせて再度ジャズロック路線へと転調。Sinclairによる強烈なオルガンサウンドが実に格好いい曲です。一気に盛り上がったところで突然、メロトロンフルートデクールダウン。

#6  Dedicated To Hugh,But You Weren't
エレピの断続的な音とギターの散文的なリフで始まり、これはありがちな実験曲なのかと不穏な気分になりますが、やがてリズム隊が加わることによって一挙に緊張感が高まります。#4「Part Of The Dance」と同じような位置づけにある曲です。曲タイトルからしてSoft Machineへのパロディーとも。

#7  Beer As In Braindeer
前曲からそのままなだれ込むように始まるフリーキーな曲。凄まじいポリリズムと荒れ狂う各パート。ファズが効いたベースとオルガンが左右に暴れまくります。

#8  Immediate Curtain
前曲から切れ目なくなだれ込むように始まるこの曲は、メロトロンを主体に幻想的な雰囲気を醸し出しています。ある意味で前曲で荒れに荒れた「場」を一挙にクールダウンし、聴く者を静寂の世界へと誘っているのでしょうか。しかし、よくよく聴くとメロトロンは次第に狂気の様相を呈しはじめ、軽いトリップ感を強要し始めます。何だこれは!まずい!と感じ始めたところで急にエンディングを迎えます。何という「すかし」なのでしょう。

オープニングのポップな感じから狂気をたぶんに含んだフリーキーなインプロまでと実にバラエティに富んだ名盤。ジャズロックファンは必携の1枚であることは言うまでもありません。

●Musicians
Robert Wyatt / drums,mellotron,piano,vocals
Phil Miller / guitars
Dave Sinclair / piano, organ
Bill MacCormick / bass
guest:
Dave McRae / electric piano

●Numbers
1.  O Caroline
2.  Instant Pussy
3.  Signed Curtain
4.  Part Of The Dance
5.  Instant Kitten
6.  Dedicated To Hugh, But You Weren't Listen
7.  Beer As In Braindeer
8.  Immediate Curtain

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2012年1月 1日 (日)

北欧スウェーデンのプログレバンド「TRETTIOARIGA KRIGET」の2nd「Krigssang War Song」

R0011069
Musician●Trettioariga Kriget
Title●Krigssang War Song(1976年)
■Gemm.Comより購入


新年あけましておめでとうございます。
相変わらず季節感や世の中の動きとは一切無縁の当欄ですが、引き続きよろしくお願い申し上げます。

スウェーデン出身のプログレバンド「Trettioariga Kriget」(トレッティオアリガ・クリケット)は70年代から80年代に活躍した北欧ロックの立役者的存在です。1970年に結成され、1974年にアルバムデビュー。合計5枚のアルバムを残しましたが1981年に解散しています。バンド名はスウェーデン語で「30年戦争」という意味だとか。このアルバムは2枚目にあたり1975年の7月から8月にかけてストックホルムでレコーディングされています。私が入手したのは1992年リマスター盤です。リマスター盤は1st収録曲を英語で歌い変えた曲が3曲追加されています。

彼らの活動期間を見るとちょうど英国プログレブームの期間と一致しているのですが、サウンド志向もかなりプログレ、とくにYESからの影響が大です。しかし完全にプログレ一辺倒かというとそうでもなく、Deep Purpleあたりのハードロックの影響も感じさせます。結果としてテクニカルなハード&プログレサウンドに仕上がっています。全曲ともスウェーデン語で歌われているのでまるで意味がわからないことは当然として、不思議な語感を受けるボーカルがスパイスになっています。

#5  Murar(Walls)

プレイ時間は4分弱ですが、変拍子を刻むリズム隊とギターとの絡みが大変おもしろい楽曲です。ギターはブルースオリエンテッドなのにベースは完全にクリス・スクワイア。途中からフリーフォームになりベースが暴れまくるますがやがてメロトロンが入ってきて収束させます。メロディーの端々に何となく北欧土着の香りが漂います。

#7  Krigssang II(War Song II)

アルバムタイトル曲でもあり17分以上にもおよぶ大作。メロトロンから厳かに入ってくるイントロはかなりCrimson的ですが、リズム隊が機能し始めると途端にYES的な感じに変貌します。時期的にはちょうど「Fragile」のYESにかなり通じるものがあります。やがてボーカルが入るとかなり泥臭い感じに。曲の中盤あたりからやたらと転調を繰り返しますが、これも70年代プログレファンにとっては大好物であります。ベースの小技はやはりクリス・スクワイア的なんですよね。

#8  On Going To England
ボーナストラックはライブ音源です。1st収録曲を英語で歌ったもの。ただしスウェーデン訛が強烈なので英語の感じはほとんどしません。裏打ちの変拍子から入るあたりはかなりYES的です。曲途中からベースとギターが暴れ出しますが、往年のスティーヴ・ハウとクリス・スクワイアの絡みを彷彿とさせます。なかなかの熱演。ラストの泣きのギターも優れものです。

#9  Ur djupen(Out Of The Depth)

ボーナストラック。これも1stの収録曲を英語で録音し直したものだとか。かなりハードロックとフォークロック的な要素をうまくミックスさせています。ボーカルの雄叫びはなにやらイアン・ギランを感じさせるなと思いながら聴いていると、曲終盤から懐かしさを十分に感じさせるハードロックサウンドに。ギターもかなりリッチー・ブラックモアを意識しているというか、イギリスマーケットを意識しているかのようです。

●Musicians
Stefan Fredin / bass,vocals
Dag Lundqvist / drums,mellotoron
Robert Zima / vocal,guitar
Christer Akerberg / guitars
Olle Thornvall / lyrics(Swedish & English)

●Numbers
1.  Krigssang(War Song)
2.  Metamorfoser(Metamorphoses)
3.  Jag Och Jag Och "Jag"(I And I And "I")
4.  Mitt Mirakel(My Miracle)
5.  Murar(Walls)
6.  Krigssang II(War Song II)
7.  On Going To England
8.  Ur djupen(Out Of The Depth)
9.  So Long

R0011070


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