2000年リリースの「Good People In Times Of Evil」以降、インド色を強めてきたHellborgですが同時期にレコーディングされたパリでのライブDVDと合わせて、一応の頂点を迎えたように思われます。しかし、大変残念なことにこのアルバムがリリースされた1年後の2003年にShawn Laneが40歳という若さで他界してしまい、この名コンビも永遠に組まれることはなくなってしまいました。
曲はというとまさにインド路線のそれで、かなりコアでディープな音楽志向です。激しいインド風パーカッションとインド風チャット、そして幽玄で怪しい魅力を醸し出すLaneのギター。音だけで判断すると確かにかなり「敷居が高すぎる音楽」なのですが、ライブDVDを見ることによって、この凄まじい作品の魅力に気がつくはずです。いや、そうなったらすでに魔力にとり憑かれていることになるのですが♪ ●Musicians Jonas Hellborg / bass Shawn Lane / guitar V.Umamahesh / vocal V.Selvanesh / kanjeera,Konokol V.Umashankar / ghatam,konokol
元々、彼らはバンドアイドルとしてスウェーデンの「Meshuggah」をあげていたこともありますが、この新作はまさに「Meshuggah」を強烈に意識しています。個人的にはむしろ大歓迎なわけですが、Amazonなどのレビューを読み聞きするかぎりこれまでのDecapitated像を求める人にとってはかなり不評なようです。確かに音は「Meshuggah的な臭い」がプンプンと立ちこめてきますが、やっているのは彼らの完全オリジナルだと思うのですが。確かにブルータルな要素はかなり減退していますが、それはむしろ彼ら(Vogg1人だけですが)の成長だと考えます。変則極まりないポリリズムと一種の高揚感を呼び込む変態リフ、そして凄まじいVoggのギターテクニックと、この手のメタル愛好者にとっては大好物がどっさりと詰まっています♪ ●Musicians Waclaw Vogg Kieltyka / guitar Rafal Rasta Piotrowski / vocal Kerim Krimh Lechner / drums Filip Heinrich Halucha / bass
●Numbers 1. The Knife 2. United 3. Carnival Is Forever 4. Homo Sum 5. 404 6. A View From A Hole 7. Pest 8. Silence 9. Drum Tracking 10. Hanging at the Studio 11. Short Interview with Each Member 12. Bass Tracking 13. Vocal Tracking 14. Guitar Tracking
内容は完全フリーで「LIM」をバックにDucretが自由奔放に暴れまくります。ちょうどTim BernneとTom Raineyとのトリオにサックス奏者が加わったというイメージでしょうか。「LIM」に関してはほとんど情報がないのが残念ですが、Ducretと真っ向から渡り合う実力はなかなかのものです。北欧フリージャズの底力を垣間見た思いです。 ●Musicians Marc Ducret / guitar Henrik Frisk / sax David Carisson / bass Peter Nilsson / drums
●Numbers 1. How Yellow Can This Be? 2. My Flower,Youyr Power 3. The Pointer 4. The Medallion 5. The Traneird 6. How Black Can It Get?
カナダのジャズフュージョングループ「The Code」の新譜が2011年9月にリリースされていたことに気がつき、慌てて入手しました。確か3rdは2009年にリリースされたはずなので、この手のバンドとしては異例の量産ペースです。前作よりバンド名が以前の「The Code」からバンドリーダーのJohn Pelosi(ジョン・ペローシ)を冠して「John Pelosi with The Code」と変更したようです。日本的に言えば「ダン池田とニューブリード」「スマイリー小原とスカイライナーズ」「内山田洋とクールファイブ」「鶴岡政義と東京ロマンチカ」「和田弘とマヒナスターズ」などと同じ解釈でよいのでしょうか。
●Musicians John Pelosi / guitar Rick Fellini / keyboards Eric Boucher / keyboards Richard Brown / bass Calvin Beale / bass Paul DeLonug / drums Michael Ferfolia / vocals Joaquin Hidalgo / percussions Richard Evans / keyboards Steve Webater / bass
●Numbers 1. Truth Is 2. When Reason Sleeps 3. The Defiant Ones 4. Forgiveness 5. We're All Looking Now 6. I Loved Spending Time With You 7. I Loved Spending Time With You Too
Musician●Ewan Svensson(guitar) Title●Sunrise On The Moon(2010年) ■Dragon Recordより購入
スウェーデン出身のコンテンポラリージャズ系ギタリストEwan Svensson(イーヴァン・スヴェンソン)による久々の作品です。2010年リリース。北欧現代ジャズの殿堂「Dragon Record」より。今回は珍しく女性ボーカル入りで、その準主役とも言えるのがLinda Pettersson Brattという人です。Svennsonとは別のアルバム(「From Time To Time」)でも共演歴があります(こちらもDragon Recordよりリリース)。ボーカル抜きの「Moments Passed」というアルバムもほぼ同時期にリリースされていますので、Svenssonファンにとっては要チェックですね。
ベース奏者を務めるYasuhito Moriという人は森泰人さんという日本人の方で、スウェーデンに居を置きながらSvennsonと長らく行動を共にしています。森泰人さんのブログはこちらです。 ●Musicians Ewan Svensson / guitar Linda Pettersson Bratt / vocal Antoine Herve / piano Yasuhito Mori / bass Mattias Gronroos / drums Mangnus Gran / drums
●Numbers 1. Shy 2. Busy Me 3. Living In Limbo 4. I'm Here 5. Absolutely You 6. Sunrise Of The Moon 7. Seasons Of The Heart 8. Just Who Do You Think You Are 9. No Such Thing 10. Optimistic Blues 11. From Out Of The Shadows 12. Starville 13. Being Human 14. Something In Return 15. I Am Touched
音質はさすがに良好とはいえませんが、希少価値も含めてお勧めの1枚。ピアノトリオファン、英国ジャズロックファンにとっては必聴必携の優れものです♪ ●Musicians Mike Taylor / piano Jon Hiseman / drums Jack Bruce / bass Ron Rubin / bass
●Numbers 1. All The Things You Are 2. Just A Bruce 3. While My Lady Sleeps 4. The End Of The Love Affair 5. Two Autumns 6. Guru 7. Stella By Starlight 8. Abena
リズム隊の顔ぶれからいって容易に想像できるように、ここで聴かれる音楽はまさに「80年代型ECMミュージック」の典型。静かに深く人の心に沁み込むような清逸なメロディー、それでいて強烈な印象を残すリリシズムは圧巻の一語です。確かにプレイ自体はBill EvansやRichie Beirachのイメージがあるのですが、やはり聴こえてくるのはMike Nockそのものです。主役を盛り立てながらも強烈に自己アピールするリズム隊も秀逸。CD自体はどうやら廃盤扱いにななっているようですが、本家ECMのサイトでもMP3音源を扱っているようです。ピアノトリオファン、ECMファンにとっては必聴、必携の音源♪ ●Musicians Mike Nock / paino Eddie Gomez / bass Jon Christenssen / drums
●Numbers 1. Forgotten Love 2. Ondas 3. Visionary 4. Land Of The Long White Cloud 5. Doors
このライブ音源は1972年3月に各地で行ったライブ音源を収めたもので、BBC音源、イギリス、ベルギー、オランダなどでの音源です。長い間、地下に眠っていたにしては驚くべき高音質で、演奏内容もハイクオリティ。初期Softsのサイケデリックな一面とテクニシャン揃いのバックが繰り出すハイテンションな演奏とが相まって独自の世界を繰り広げています。Wyattの奇怪なドラミングと誰にも真似できない(真似しようともしない)ヴォイス・インプロは見事の一語です。 ●Musicians Robert Wyatt / drums,vocal Phil Miller / guitar Bill MacCormick / bass Dave MacRae / keyboards
●Numbers 1. March 2. Instant Pussy 3. Smoke Signals 4. Part Of The Dance 5. No 'alf Measures 6. Lything And Gracing 7. Waterloo Lily
改めまして「Devotion」は「Extrapolation」(1969年)に続いてリリースされたキャリア2作目で、Tony Williams Lifetimeの「Emergency」「Turn It Over」に参加した後にレコーディングされた音源です。「Emergency」繋がりからオルガン奏者Larry Youngとジミヘン「Band Of Gypsies」でお馴染みのアフリカ系アメリカ人Buddy Milesが参加しています。Mahavishnu Orchestra以前のジャズとロックとの狭間で蠢いていた頃の音源です。並行してJohn Surmanなどとの英国フリージャズ系ミュージシャンとの共演音源も多数残されています。
この物件、恥ずかしながら「新譜」であると早合点して購入してしまったトホホ物件の典型なのですが、おそらく入念なリマスター作業が施されたのでしょう、音質は極めて良好です。音圧もいい感じです。元が良くなかったということもありますが、まるで違った音源ではないかと一瞬錯覚するほどです。これは「怪我の功名」ですね。とても新鮮な気持ちで臨めたわけです。McLaughlinファンはもちろんですが、オリジナル「Devotion」を聴いたことがない人はせっかくですから入手されることをお勧めします。私が密林で予約注文したときは、何と約800円という破格のお値段でした。 ●Musicians John McLaughlin / guitar Larry Young / fender Rhodes piano,Hammond B3 organ Billy Rich / bass Buddy Miles / drums,percussions
●Numbers 1. Marles 2. Devotion 3. Don't Let The Dragon Eat Your Mother 4. Purpose Of When 5. Dragon Song 6. Siren
錚々たるミュージシャンをギタリスト限定で挙げますと Richard Hallebeek Dave Martone Milan Polak Lars Eric Mattsson Jeff Kollman Gathrie Govan Brett Garsed Mattias Ia Eklundh Cyril Achard Theodore Ziras Bumblefoot(Ron Thal)
#7 FRP A Tribute To Mark 何とGathrie GovanとBrett Garsedが共演。このアルバムの最大の注目曲だと言えましょう。妙にダンサブルな曲ですが、昔、Brett GarsedがShawn Laneと共に参加した「MVP Ⅱ」に入りそうな曲調です。最初のソロはGarsed、1人おいて3人目がGovanです。文句なしに格好いい曲です♪何よりも2人の露出時間がほかの曲に比べて長めなのがうれしい限り。
#9 Frankly Speaking Mattias Ia EklundhとCyril Achardが参加。いや、ほかにも3人のギタリストがいて計5人体制なのですが割愛します。Eklundhは相変わらず変態っぽいのですが、彼のプレイとしては非常に真っ当でわかりやすいと思われます。最近のAchardはアコギを持つことが多いのですが、珍しくエレキを。相変わらす音数が多いですね。
というわけでメボシいミュージシャンを挙げてみましたが、やはりもっとじっくり聴きたいというのが本音です。いや、それでもかまわないという奇特な方、お目当てのミュージシャンの完全コンプリートを狙う方にはやはり無視するのは難しいかも。 ●Numbers 1. CrossRoards Of Time 2. Junkie Foot 3. Adenaline Jam 4. The End Of The World 5. Mr.Groove 6. Mind's Labyrinth 7. FRP A Tribute To Mark 8. Mandarine 9. Frankly Speaking 10. Cacophusion 11. Heavy Funky Party
日本を代表するジャズ系ギタリスト、渡辺香津美の1st「Infinite」が先日、リマスター化のうえ再発売されました。Deep Jazz Realityという版元が「和ジャズ最期の秘宝シリーズ」というものを立ち上げてくれまして、めでたく復刻の運びになりました。ご存じのようにこの盤は一度CD化されたものの廃盤扱いになってからは入手困難を極め、某レコード店では2万円近くという高額で扱われていました。私は幸運なことに某ディスクユニオンお茶の水ジャズ館で、何と1000円という破格の安値で入手できました。「こんなに安く売ってもいいの?」「実は値札が1桁間違えているのでは?」などと驚きながらも半笑いを浮かべながらレジへと向かった記憶があります。漁盤は足で稼ぐべし!の格言(?)を身をもって体感しました。
そんなわけで「幻の音源」と言われる盤が、再度、世の中に出回ることは大変喜ばしいことです。この音源は渡辺香津美が暁星高校3年生、弱冠17歳の時に録音されたもの。ただそんな予備知識がないままに聴くと、どうしても高校生が生み出す音楽とは思えません。すでに完成されたテクニックと大人びた感性にはただただ驚くばかりです。1971年という時代背景もあるのでしょう。聴こえてくるのはガチンコのジャズロックです。#4「Blue Bossa」で聴かれる息の長い流麗なソロなどはあらためて聴き直しても凄いの一語です。ラストの「Here That Rainy Day」の美しさにも思わず息を飲むほど。音質にはさすがに時代を感じてしまいますが、演奏自体は決して色褪せていません。
サウンドとしてはどちらかというとアメリカっぽいギターオリエンテッドなジャズロックですが、ブルースあり、南欧っぽい明るい楽曲もありと、実にバラエティに富んでいます。と書くとほめ言葉に聞こえますが、このバンドの目指す方向がなかなかわかり辛いのが難点と言えば難点。「とりあえずできることをやってみました感」が全体に漂っているのです。前出のAchilleas DiamantisはScott Hendersonなどに師事したということで、流麗なレガート奏法が最大の武器で聴きようによっては「ギリシャのHoldsworthy」と認定してもいいのではないでしょうか。特に#1「Quarter Past Three」で聴かれるウネウネフレーズはなかなかの聴き応えです。しかし、アルバム全体としてはバンドカラーがいまひとつ掴みきれず、聴いていて納得感のようなものに欠けるのが難点です。そういえば、ジャケットデザインもかなりのB級感がにじみ出ていますね。
●Numbers 1. Quarter Past Three 2. Spanish Way 3. Tripfall 4. Enter Alone 5. Voodoo 6. Cacophpny Blues 7. Old Times 8. Edge Of The World 9. Pico 'N'Hoover
Musician●Steve Vai(guitar) Title●Where the Other Wild Things Are(2007年) ■Amazonより購入
久々の奇才Steve Vai(スティーヴ・ヴァイ)ネタです。2009年にリリースされたライブ音源「Where the Wild Things Are」の拾遺集的アルバム「Where the Other Wild Things Are」です。2007年に行われた米国ミネアポリスでの「Sound Theories World Tour」の音源になります。このツアーはヴァイオリン2本を入れるという変則的構成でも話題を呼びました。未視聴ですがDVDメディアもリリースされています。
もういまさら説明不要とも言えるSteve Vaiなのですが、Vai節の変態さ加減は相変わらず。この人、初リーダー作「Flexsable」からまったくスタイルが変わっていないのですね。思えばDavid Lee Roth BandでもAlcatrazでも自分のスタイルを一切変えなかったということで、どんな変態プレイヤー(当欄での「変態プレイヤー」という表現はは激賞するときのみに使います)でも、一意専心すれば立派な芸として世間から受け入れられるという良き見本だと思います。
●Numbers 1. The Crying Machine 2. The Audience Is Listening 3. The Murder 4. Juice 5. Whispering A Prayer 6. Apples In Paradise 7. I'm Becoming 8. Beastly Rap 9. Earthquake Sky 10. Liberty 11. Answers 12. For The Love Of God
#3 Signed Curtain #2の延長線上にベースが悲しげな生ピアノへと代わります。スキャットはそのままですが、Wyattの歌声は何とも寂しげで切なすぎます。ピアノも悲しい調べをこれでもかと生み出します。曲最後になるとベースとエレピが参加してきますが、これはキラーチューン「Part Of The Dance」への助走に過ぎません。
#4 Part Of The Dance #3から無理矢理に編集で繋いだそうですが、個人的にはあまり強引さというか不自然さは感じません。展開が激しい音楽ばかり聴いているので耐性ができてしまったのでしょうか。ディストーションで歪んだPhil Millerのギターが全面に押し出されています。襲いかかるエレピとオルガン。リズム隊は70年代ジャズロックそのもの。凄まじいインプロの応酬で窒息寸前になります。Phil Millerの巧いのか下手なのかよくわからないギターが光っています。最後はSinclairのオルガンでクールダウンし収束します。
#6 Dedicated To Hugh,But You Weren't エレピの断続的な音とギターの散文的なリフで始まり、これはありがちな実験曲なのかと不穏な気分になりますが、やがてリズム隊が加わることによって一挙に緊張感が高まります。#4「Part Of The Dance」と同じような位置づけにある曲です。曲タイトルからしてSoft Machineへのパロディーとも。
#7 Beer As In Braindeer 前曲からそのままなだれ込むように始まるフリーキーな曲。凄まじいポリリズムと荒れ狂う各パート。ファズが効いたベースとオルガンが左右に暴れまくります。
オープニングのポップな感じから狂気をたぶんに含んだフリーキーなインプロまでと実にバラエティに富んだ名盤。ジャズロックファンは必携の1枚であることは言うまでもありません。 ●Musicians Robert Wyatt / drums,mellotron,piano,vocals Phil Miller / guitars Dave Sinclair / piano, organ Bill MacCormick / bass guest: Dave McRae / electric piano
●Numbers 1. O Caroline 2. Instant Pussy 3. Signed Curtain 4. Part Of The Dance 5. Instant Kitten 6. Dedicated To Hugh, But You Weren't Listen 7. Beer As In Braindeer 8. Immediate Curtain
#8 On Going To England ボーナストラックはライブ音源です。1st収録曲を英語で歌ったもの。ただしスウェーデン訛が強烈なので英語の感じはほとんどしません。裏打ちの変拍子から入るあたりはかなりYES的です。曲途中からベースとギターが暴れ出しますが、往年のスティーヴ・ハウとクリス・スクワイアの絡みを彷彿とさせます。なかなかの熱演。ラストの泣きのギターも優れものです。 #9 Ur djupen(Out Of The Depth) ボーナストラック。これも1stの収録曲を英語で録音し直したものだとか。かなりハードロックとフォークロック的な要素をうまくミックスさせています。ボーカルの雄叫びはなにやらイアン・ギランを感じさせるなと思いながら聴いていると、曲終盤から懐かしさを十分に感じさせるハードロックサウンドに。ギターもかなりリッチー・ブラックモアを意識しているというか、イギリスマーケットを意識しているかのようです。 ●Musicians Stefan Fredin / bass,vocals Dag Lundqvist / drums,mellotoron Robert Zima / vocal,guitar Christer Akerberg / guitars Olle Thornvall / lyrics(Swedish & English)
●Numbers 1. Krigssang(War Song) 2. Metamorfoser(Metamorphoses) 3. Jag Och Jag Och "Jag"(I And I And "I") 4. Mitt Mirakel(My Miracle) 5. Murar(Walls) 6. Krigssang II(War Song II) 7. On Going To England 8. Ur djupen(Out Of The Depth) 9. So Long
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