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2011年12月

2011年12月31日 (土)

ベトナム系フランス人ギタリストNguyen Leの編集盤

R0011046
Musician●Nguyen Le(guitar)
Title●Nguyen Le Signature Edition(2010年)
■Amazon Franceより購入


ジャズに本拠地を置きつつ民族音楽やロックなどとの融合を図り独自のポジションを築いているベトナム系フランス人ギタリストNguyen Le(グエン・レ)の過去音源を編集した2枚組です。2010年リリース。例によって「ACT Music」ですが、ほかの所属ミュージシャンの編集盤も同時にリリースしているようですね。どうやらミュージシャン本人による選曲というのが「売り」のようで、Nguyen Le本人が選んだ1989年から2009年にかけて録音された計24曲が2枚のCDに収められています。おまけに本人サインも。

個々の音源についてはオリジナル盤にしたがって紹介したほうがいいと思うのでここでは割愛しますが、ポイントは抜群のリマスター効果と2曲の未発表曲です。アルバム未発表曲のご紹介を。

#1  Music Constant
2009年録音。イントロから美しく奏でられる和琴の音色が大変印象的な曲です。琴が使われているということは直近の音源であると思われます。おそらくアルバム「Saiyuki」での音源ではないでしょうか。琴によって和風テイストで行くのかと思わせながらリズム隊にはタブラが使われ、Nguyen Leの無国籍風ソロと相変わらずの多国籍軍ぶりを発揮しています。ちなみに琴はMieko Miyazakiさんという日本人ミュージシャンでフランスに拠点を置いて活動しています。

Mieko MiyazakiさんのHPはこちら

#7  Louxor Dance
2004年録音。盟友ともいえるイタリア人ペット奏者Paolo Fresu(パオロ・フレス)とのデュオですが、Nguyen Leはギターのほかにプログラミングで空間を埋めています。文字通り奇妙でダンサブルな曲です。Nguyen Leのギターは相変わらず自由奔放に暴れまくっています。

●Musicians
Nguyen Le / guitar,programming
Huong Thanh / vocal
Paolo Fresu / trumpet
Paul McCandless / oboe,sax
Michael Benita / bass
Renaud Garcia-Fons / bass
Marc Johnson / bass
Peter Erskin / drums
Terri Lyne Carrington / vocal,percussions

●Numbers ※previously unreleased
[CD 1]
1.  Music Constant ※
2.  Sangam
3.  Lo Rossinyol
4.  Weaving & Awiting
5.  Kokopanitsa
6.  Zafaran
7.  Louxor Dance ※
8.  Totsu!
9.  Snow On A Flower
10. Cold Winter,Faraway Land
11. Voodoo Child
12. Sao Sen

[CD 2]
1.  Dding Deck
2.  Encanto
3.  L'Arkha Li Jeya
4.  Ifrikyia
5.  Foow
6.  Dance Of The Comet
7.  The Wind Blew It Away
8.  The Black Horse
9.  Lupi Pilu
10. Miss One
11. Miracles
12. U Song

R0011047


2011年12月30日 (金)

気鋭のジャズ系ギタリストMike Morenoの1st「Between The Lines」

R0011034
Musician●Mike Moreno(guitar)
Title●Between The Lines(2007年)
■Amazon USAより購入


おそらくこれからのジャズギター界を背負って立つと思われるMike Moreno(マイク・モレノ)による1stです。2007年リリース。このアルバムを含めてすでに3枚のリーダー作が出ているのですが2nd、3rdは「Criss Cross」からのリリースでカバーが中心です。全曲オリジナルで固めたこの1stのほうが名実とともにリーダー作としてふさわしいと言えるかもしれません。

プレイヤーの系統としてはNYを活動の拠点に置く「ブルックリン派」のギタリストでBen Monderあたりに通じるテイストを感じさせます。共通するのは浮遊感あふれるトーンとフレージングです。さらに遡ればJohn AbercrombieやBill Frisell、Pat Methenyあたりに潮流を求めることができますし、ということはJim Hallを祖とするコンテンポラリー系に行き当たるわけになります。直近でいえばAdam RogersやJames Mullerなどの中堅層に続く次代を担うポジションですね。いや、この2人にはすでに比肩しているのではないかと思われます。

というわけでいわゆる「わかりやすい&キャッチー」とはほど遠く、音と音の隙間をスイスイと掴みどころのないフレーズで遊泳するプレイスタイルということに。悉く4ビートを拒否しながらダークに練り歩く「NY裏通り」のイメージそのままです。聴いた後の明快さに著しく欠けるという点ではBen Monderと同じ臭いが立ちこめます。参加メンバーもJohn Ellis(sax)、Marcus Stickland(sax)、Aaron Parks(piano)、Doug Weiss(bass)、Kendrick Scott(drums)、Tyshawn Sorey(drums)といういわゆるひとつの「ブルックリン派」で固めてられていて、いわゆる通好みで「アンチメインストリーム」が好きな御仁にとっては堪らない魅力を放っています。

まあ、くだくだと御託を並べるのもどうかと思うので、この映像をご覧ください♪

●Musicians
Mike Moreno / guitar
John Ellis / sax
Marcus Strickland / sax
Aaron Parks / piano
Doug Weiss / bass
Kendrick Scott / drums
Tyshawn Sorey / drums

●Numbers
1.  World Of The Marionettes
2.  Old Wise Tale
3.  Forward And Back
4.  Gondola
5.  Road Song
6.  Between The Lines
7.  Still Here
8.  Uncertainty

R0011035


2011年12月29日 (木)

フランスの新星Marc Guillermontの「The Space Animals」


Musician●Marc Guillermont(guitar)
Title●The Space Animals(2006年)
■iTunesより購入

またしても新たな「Holdsworthy」を発見しましたので、ご報告いたします。フランス出身で現在も欧州に活動の拠点を置くMarc Guillermontです。例によって情報が圧倒的に少ないのですが、1968年生まれですからそこそこ歳もいっています。ギターを手にする前はサックスを吹いていたそうで、それがいまのプレイスタイルに少なからず影響を及ぼしているとか。15歳から作曲を始めたそうですが、強く影響を受けたのがCAMEL、GONGやBRUFORDなどのプログレ、Mileds Davisなどのジャス、そしてFrank Zappaなど。1997年に念願のソロデビューを果たしていますが、彼が本格的に知られるようになったのは「ZAPPOSTROPHE」(2004年)というFrank Zappaトリビュートアルバムと思われます。最近になってベテランベース奏者Barre PhillipsやJohn McLaughlin、Scott Hendersonなどとの共演が多くなり、その関連性なのかインド人打楽器奏者Ranjit Barotの作品にもゲスト参加しています。

さて、Marc Guillermontが影響を受けたプレイヤーからしてどんな音楽を奏でるかは容易に想像がつくのですが、プレイスタイルとしてはAllan HoldsworthやScott Hendersonからの強い影響を感じさせます。また楽曲はWeather Report風、Zappa風、ハードフュージョン風をバラエティに富んでいるので、この手のミュージシャンにありがちの「聴いていて飽きる」ということはありません。

しかし困ったことにリアルCDはどこを探し回っても品切れ状態で、かろうじてiTunesやAmazonなどで配信音源が見つかるという状態。ただゲスト参加は結構あるようなので、丹念に探していこうと思います。たとえば以前ご紹介したオランダの打楽器奏者Sebastiaan Cornelissenのリーダー作「Sebastiaan Cornelissen Group」(2011年)ではほぼ全曲に参加していますので、気になる方はこちらから手始めに聴かれてみてはいかがでしょうか。悶絶必至です。

#1  Wild Seven
何やらSteve Vai風の曲。ということはZappa風でもあるわけです。変拍子ビシバシの中、Guillermontのギターが自由奔放に暴れまくります。

#2  Ory 127
曲の出だしはちょっとWeather Report風の曲です。マイナーに転調してからは一変、満を持してGuillermontのギターが炸裂します。Scott HendersonとAllan Holdsworthを足して2で割ったようなフレージングに悶絶必至です。大変息の長いソロという点でも先達に通じるものがあります。アルバム中イチ押しの曲です。

#7  March Man

Tribal-Techを思わせる近未来派ハードフュージョン。Guillermontはソロをとるときはほとんどがアームを使っているようです。というわけで先達直伝のウネウネフレーズのオンパレードです。

#12  Life Modulations
これまたTribal-Tech的なサウンド。鍵盤楽器もGuillermontが担当。とてつもなく複雑怪奇な変拍子がひとしきり続いたあと、中近東風の怪しげなフレーズが…

#13  Jugfu
楽曲というより激しいインプロの応酬という感じです。目にも止まらない超絶技巧の連続にただただ唖然とするばかり。

●Musicians
Marc Guillermont / guitar,keyboards,programing,vocal
Nicolas Viccaro / drums
Andres Landon / bass

●Numbers
1.   Wild Seven
2.   Ory 127
3.   Monsoon
4.   Fossil
5.   Parallels
6.   Phileas Fogg
7.   March Man
8.   Parrallels #2
9.   Lalia
10.  Notekno
11.  T.S.A.
12.  Life Modulations
13.  Jugfu

2011年12月25日 (日)

マルチプレイヤーTerri Lyne Carrington主宰「The Mosaic Project」

R0011017
Musician●Terri Lyne Carrington(drums,vocal)
Title●The Mosaic Project(2010年)
■ディスクユニオンお茶の水店ジャズ館で購入


ジャズを主戦場に置きつつ幅広いジャンルで活躍している打楽器奏者Terri Lyne Carrington(テリ・リン・キャリントン)が女性プレイヤーばかりを集めて結成したユニット「The Mosaic Project」による企画盤です。昨年開催された「東京JAZZ2010」にメンバーを従えて来日したのでご存じの方も多いのではないでしょうか。

その前にテリリンのプロフィール紹介をひとくさり。Terri Lyne Carringtonは、1965年マサチューセッツ生まれ。80年代からプロ活動をスタートしWayne ShorterやHerbie Hancockなどのジャズ界の大御所から、Stevie WonderやJoni Mitchellなどのポップス界まで幅広く活動しています。またボーカリストとしての実力もピカイチでNguyen Leのジミヘンカバーアルバムでは味のある歌唱力を披露しています。

この音源はは現在音楽シーンの第一線で活躍する女性ミュージシャンが世代やジャンルを超え集結。ファンク・ジャズ・ラテン・ソウルといったジャンルを越えた音楽を作り出そうという意欲的な音源なわけです。レコーディングは2010年6月~7月に行われ、9月の「東京JAZZ2010」に間に合わせたという突貫工事です。

参加メンバーをざっと上げますと、
Esperanza Spalding (bass, vocal)
Geri Allen(keys)
Patrice Rushen (keys)
Sheila E (percussion)
Inglid Jensen (trumpet)
Helen Sung (keys)
Tineka Postma (sax)
Me’Shell Ndegeocello (bass)
Dianne Reeves (vocal)
Dee Dee Bridgewater (vocal)
Nona Hendryx (vocal)
Cassandra Wilson(vocal)
Patricia Romania(vocal)
などとキラ星のごとく豪華なメンバー。個人的には昨年グラミー賞を総なめした新進気鋭、Esperanza Spaldingが一番のお目当てだったりするわけですが。

#1  Mosaic Triad
Esperanzaのファルセットが大変印象的な曲。この曲のベースはMarc Johnsonを意識しているのでしょうか。のたうち回るようなウッドベースが素晴らしい。昨年の「東京JAZZ2011」でも放送されましたね。ライナーのクレジット間違ってますね。


ところで最近になってリマスターされたうえに1曲おまけがついた改定増補盤が出回っています。旧企画盤はあまり音質が良好とは言えないので、これから購入される方はこちらをどうぞ。曲順も変更されています。増補盤のセットリストをあげておきます。
------------------------------------
●Numbers(増補盤)
1.  Transformation
2.  I Got Lost In His Arms
3.  Michelle
4.  Magic And Music
5.  Echo
6.  Simply Beautiful
7.  Unconditional Love
8.  Wistful
9.  Crayola
10. Soul Talk
11. Mosaic Triad
12. Insomniac
13. Show Me a Sign
14. Sisters On The Rise (A Transformation)
------------------------------------


●Musicians
Terri Lyne Carrington / drums.vocal
Esperanza Spalding / bass,vocal
Geri Allen / keyboards
Patrice Rushen / keyboards
Sheila E / percussions
Inglid Jensen / trumpet
Helen Sung / keyboards
Tineka Postma / sax
Me’Shell Ndegeocello / bass
Dianne Reeves / vocal
Dee Dee Bridgewater / vocal
Nona Hendryx / vocal
Cassandra Wilson / vocal
Patricia Romania / vocal

●Numbers
1.  Mosaic Triad
2.  Transformation
3.  Echo
4.  Wistful
5.  Crayola
6.  I Got Lost in His Arms
7.  Michelle
8.  Simply Beautiful
9.  Soul Talk
10. Unconditional Love
11. Insomniac
12. Cacadores de Emocoes
13. Show Me a Sign

R0011018


2011年12月24日 (土)

謎のサイケジャズユニット「La Theorie Du K.O」にMarc Ducretが参加

R0010902
Musician●La Theorie Du K.O
Title●La Theorie Du K.O(2010年)
■Yahoo!オークションで入手


フランスのフリー系ギタリストMarc Ducret(マルク・デュクレ)が参加した謎のユニット「La Theorie Du K.O」によるおそらく初めての音源です。2010年リリース。またしても勉強不足で申し訳ないのですが、このいユニット自体がまったく正体不明で、Ducret以のミュージシャンも存じ上げないという始末。したがってレポートというよりも感想レベルの文章で申し訳なく感じる次第です。

さて、一聴して耳に飛び込んでくるのは、とんでもない轟音とフランス語の暴力的なラップの連続。その仏語ラップには幾重にもエフェクターがかかっているのでただでさえ理解不能な仏語も、単なる楽器の一部として認識されます。いや、ラップというよりも単なる「がなり声」のラップ的な連続と表現したほうが正確かもしれません。ギターのDucretも相変わらず変態フレーズを連発しているのですが、ほかのメンバーも同じレベルで変態極まりないので、むしろDucretがまともに聴こえてくるから不思議です。こんな変態尽くしの音がCD2枚にわたって展開されるわけで、聴く者を選ぶどころか、体力・精神力もかなり消耗します。

個人的にDucret関連の音源はできるだけ手元に置いておきたいのですが、数あるDucret音源のなかでも間違いなく「超絶級の変態音源」であることには違いません。もはやジャズとかラップといったジャンル分けなど全く無意味に感じられるほど、ぶっ飛んだ演奏内容になっています。


●Musicians
Marc Ducret / guitar
D'de Kabal / vocal
Franco Mannara / guitara,other
Alix Ewande / drrums
Professor K / bass

●Numbers
1.  Bombumaine 2
2.  Mon Disque
3.  Ils Dorment La Nuit
4.  La Verve
5.  Acouphenes Persistants
6.  Mon Masque
7.  On Va Monger

R0010903


2011年12月23日 (金)

テクニカル系ギタリストDerryl Gabelの2nd「Giant Steps」

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Musician●Derryl Gabel(guitar)
Title●Giant Steps(2005年)
■メーカーサイトより購入


アメリカのテクニカル系ギタリストDerryl Gabel(ダリル・ガベル)による2ndです。この人に関する情報も大変少なくて閉口するのですが、写真を見る限りはまだ若手に入るのでしょうか。教則DVDも出しているのでマニアの方にとってはけっこう馴染みの存在かもしれません。

さて1stに続くこの作品ですが基本的にはその延長線上にあります。タイトルこそJohn Coltraneの名曲をもとに先達へのオマージュという形をとっているものの、楽曲を聴くというよりもひたすら驚異的なギターテクニックを聴き込むためのアルバムという意味ではあまり進歩していません。Allan HoldsworthとScott Hendersonを足して2で割ったようなという表現をよく使うのですが、驚異のスウィープ奏法といい独自の浮遊感を武器にする芸風は先達からの強い影響を感じさせます。問題はそれを土台にしながらいかにオリジナリティを出すかだと思われます。その意味ではDerryl Gabelはこれからなのかと思います。

音質もけっして良好とは言えず、またサウンド処理も雑なので、おそらくこれは自主制作盤なのでしょう。市場に出回っている様子もありません。私は彼のサイトから直接入手しましたが、もしかしたら品切れ状態かもしれません。

●Musicians
Darryl Gabel / guitar,proguramming
George Lynch / guitar

●Numbers
1.  Overture
2.  Over The Edge
3.  Go For It!
4.  Friends CFH
5.  Countdown
6.  Giant Steps
7.  Miles From Home CFH
8.  Tierra Del Fuego

R0010984


2011年12月18日 (日)

日野元彦さんの「TOKO At Menu In Jazz」をCDで聴く

R0010989
Musician●日野元彦(drums)
Title●TOKO At Menu In Jazz(1975年)
■Yahoo!オークションで入手


以前にも記事にしましたが、いまは亡き日野元彦さんの貴重音源を入手しました。アナログでは所有していたのですが廃盤扱いのCDはなかなか見あたらず、数年越しの執念でやっと入手した次第です。1975年7月20日、三重県の「合歓の里」で行われたジャズフェスティバルでのライブ音源です。参加メンバーは益田幹夫(keyboard)、渡辺香津美(guitar)、鈴木勲(bass)というカルテット構成です。

#1  You Make Me So Sad
益田幹夫さんの曲です。強烈なエレピが全体を支配する典型的なジャズロック。益田さんは当時のチック・コリアをかなり意識していますね。曲中盤から渡辺香津美さんのギターが唸りを上げますが、これがまた強烈なソロの連発です。いまと違ってかなりディストーションが効きまくったソロは凄まじいまでの破壊力です。鈴木勲さんのベースも五臓六腑を刺激しまくりです。フリーキーな感じのベースはバール・フィリップスやヴィトウスあたりを感じさせます。これを聴かずして日本のジャズは語れません。それだけもの凄い熱演です。

#2  Olive's Step
香津美さんの曲です。同名タイトルのアルバムより。香津美さんのギターはスタジオテイクよりもかなりワイルドで、これまた弾きに弾きまくっています。元彦さんと鈴木勲さんの強力リズム隊も凄まじい破壊力。ライブということもあってか鈴木勲さんの暴れぶりには目を見張ります。曲後半になって益田さんの鍵盤が乱入してきますが、そこでの香津美さんのバッキングは素晴らしいの一語。

#3  Endless Way
香津美さんの曲。同名の自身3枚目のアルバムから。ラリー・コリエル的な香津美さんのフィードバックからスタート。鈴木勲さんのベースが雄叫びを上げ始めると、メンバー全員が狂乱の世界へと突入します。香津美さんのギターは恐ろしいまでに唸りに唸っています。後半になって元彦さんが地鳴りのような音を合図に、再び益田さんと香津美さんの激しいバトルが展開され、やがて大団円に。同時期のMahavishnu OrchestraやReturn To Foreverと比較しても何ら遜色を感じさせない熱演にはただただ唖然とするだけです。

●Musicians
日野元彦 / drums
渡辺香津美 / guitar
鈴木勲 / bass
益田幹夫 / keyboards

●Numbers
1.  You Make Me So Sad
2.  Olive's Step
3.  Endless Way

R0010990


2011年12月17日 (土)

フランスのHoldsworthy、Marc GuillermontによるZAPPAトリビュートアルバム

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Musician●Marc Guillermont(guitar)
Title●Zappostrophe(2004年)
■Gemm.comより購入


フランス出身のAllan HoldsworthフォロワーMarc Guillermontがほとんど1人で作り上げた「Frank Zappaトリビュート物」です。2004年リリース。奇才Frank Zappaについて語るのは野暮なのでやめますが、Zappaのトリビュート物というのは聞いたことがありませんし、もしかしたら空前絶後かもしれません。ほとんどのパートをGuillermontが担当していますが、1曲のみMarc Baccariniというサックス奏者とCarole Dreantというボーカリストがゲスト参加しています。

Marc Guillermontは最近でこそAbstract Logix関連のアルバムに参加しているので名前が知られるようになりましたが、日本ではやはり無名に近い存在。2004年の時点ではそれこそ誰も知らない状態だったのではないかと推測されます。そもそもZappaをトリビュートしようという発想からして奇天烈極まるのですが、案の定、中身もへんてこりんです。Zappaが生前得意とした演劇的な要素とキッチュで猥雑な音楽的要素を見事に体現しています。Zappaのトリビュートを一つのショー仕立てにアレンジしながら、まるで絵巻物のような展開で怪しげな世界が広がります。GuillermontのギターはZappa風であったり、当然Steve Vai風であったり、Allan Holdsworth風であったりとまさに変幻自在。同じことをSteve Vaiがやったらまた違う世界になると思いますが、果たしてここまでバラエティに富むかどうか。VaiはVaiの世界でしかありませんから。

とんでもなく豊かな表現力と凄まじい技巧をもちながら日本ではまったくと言っていいほど無名なMarc Guillermont。Abstract Logixへの参入によってもっともっと名前が知られても不思議ではありません。

●Musicians
Marc Guillermont / guitar,all instruments
Marc Baccarini / sax on I Wanna Stay Inside
Carole Dreant / voice on I Wanna Stay Inside

●Numbers
1.  Prologue
2.  Hiroe's Back
3.  See U On The Next Floor Frankie
4.  The Dark Page Part 1
5.  Why Chose It Hurt Insides?
6.  Mother's No Convention Part 1
7.  Mother's No Convention Part 2
8.  Mother's No Convention Part 3
9.  Drum Solo
10. Efzed
11. Jazz'n Bell
12. The Dark Page Part 2
13. Make A Blues Noise Here
14. Kwatch
15. Village Of Fun
16. Dummbo's Run
17. Hell
18. Zappositrophe
19. Dear Frank
20. Don't Wanna Be
21. Maya's Roads
22. Mother's No Convention Part 4
23. Mother's No Convention Part 5
24. In Memory Of FZ
25. I Wanna Stay Inside
26. Hiro's Song
27. Epilogue

R0011029


2011年12月16日 (金)

ECM以前のMetheny&Pastoriusが聴ける異色作

R0010966
Musician●Pastorius,Metheny,Ditmas,Bley
Title●Jaco(1974年)
■ディスクユニオンで購入


いまや押しも押されぬスーパーミュージシャンになったPat Methenyと不幸な最期を遂げた奇才Joco Pastoriusがメジャーデビュー前に残した音源です。メンバーから見ても明らかなように鍵盤楽器奏者Paul Bleyが当時はまだ無名だった若手ミュージシャンを集めて行ったセッション音源です。Bruce DitmasはJohn AbercrombieなどのECM系ミュージシャンとの共演で知られています。1974年6月16日、NYCでレコーディングされていますが、なぜか版元はイタリアのレコード会社です。

MethenyやPastoriusのディスコグラフィーから忘れられがちな不幸な音源なのですが、おそらくPaul Bley自身もオフィシャルな音源として想定していなかったのではないでしょうか。セッション音源の一発録りで楽曲もかなり荒削り、お世辞にも音質は良好とは言えません。Methenyも大先輩Paul Bleyに気を遣っているのか、Methenyらしさがあまり感じられません。その代わりというわけではないのですが、Paul Bleyが操るエレピはかなり聴き応えありますし、何と言ってもPastoriusの暴れぶりには目を見張ります。Pastorius独自のプレイスタイルはすでに完成の域に達しているばかりか、堂々とBleyにバトルを挑んでいます。

この音源で興味深いのは作曲陣がさりげなく豪華なこと。#1「Vashkar」#3「Donkey」#5「Overtoned」#7「Batterie」#8「King Korn」の5曲はPaul Bleyの元奥さんであり、「ECMの女王」Carla Bleyによるもの。
#9「Blood」はGary Peacockの当時の奥さんであるAnnete Peacockによるもの。#6「Jaco」はBleyによるものです。もちろんPastoriusに対する敬意によるものでしょう。

このセッションが行われた1年数ヶ月後、1975年12月にMethenyは親友Pastoriusを誘い、あの名盤「Bright Size Life」のレコーディングに臨みます。当時21歳でした。それにしてもこの若き天才を発掘したPaul Bleyの慧眼ぶりには感服します。

●Musicians
Jaco Pastorius / bass
Paul Bley / piano
Bruce Ditmas / drums
Pat Metheny / guitar

●Numbers
1.  Vashkar
2.  Poconos
3.  Donkey
4.  Vampira
5.  Overtoned
6.  Jaco
7.  Batterie
8.  King Korn
9.  Blood

2011年12月11日 (日)

ノルウェー出身のブラックメタル「Zyklon」1st「World Ov Worms」

R0010962
Musician●Zyklon
Title●World Ov Worms(2000年)
■ディスクユニオンで購入


当欄で「Black Matal」を取り上げるのは初めてではないかと思われます。Black Metalを説明し出すと大変長くなってしまい厄介なことになるのであえて割愛しますが、大変乱暴に言ってしまえばヘヴィメタルの分派で金斬り声のボーカル、トレモロ的なギターリフ、質の悪いサウンドプロダクションなどが特徴です。また、その多くは思想的に反社会的、反キリスト教的。政治的には右寄りで民族至上的なので、ネオナチや極右組織と結びつきやすく、たびたび犯罪を冒しています。主に北欧を中心に棲息していますが、まれに日本、韓国、中国など極東圏でも発見されます。まぁ、けっして「愉快な音楽」とは間違っても言えないことだけはご理解いただけるかと思います。そうそう、メンバーの多くは顔を白塗りにし、悪魔的な斧や剣を持ってステージに臨むことが多いようです。

この「Zyklon」(ザイクロン)はノルウェー出身の伝説的なBlack Metalバンド「Emperor」(エンペラー)のメンバーSamoth(本作ではZamothと名乗っている) とTrym、同じくBlack Metalの重鎮「Myrkscog」のメンバーDestractorで結成されたバンドです。さらにはゲストボーカルとして、これまた重鎮の「Limbonic Art」のDaemonと「Ulver」のTrick Starが参加しています。いや、いや、バンド名と名前を書いているだけでオドロオドロシイ感じです。

内容はというと典型的な「Black Metal」というよりもブルータルメタルという感じです。おっと、ブルータルのことも説明が必要だと思われますが、要は「かなり凶暴なメタル」ということです(笑)。矢継ぎ早に繰り返される暴虐の嵐。いつまで経っても止まらないTrymの超絶ドラム。複雑怪奇なギターリフを軽々弾きこなすZamoth。ボーカルもデス声一辺倒ではなく、数種類取り揃えてあるので、さまざまなパターンを楽しめ飽きることがありません。時折、電子音楽(テクノとはまた違います)的な要素が導入されていて、一介のBlack Metalとは完全に一線を画しています。Black Metalに電子音を持ち込む手法はどうやら「インドストリアル系」と称するそうです。

これは偏見かもしれませんがBlack Metalというとテクニックは二の次で、どうも奇天烈ステージ衣装ばかりに目が向いてしまいがち。そうした面が純粋に音楽として楽しむうえで妨げになっている気がします。珍しく「バンドとしての音」を楽しめるバンドではないかと思っています。そういえば「Zyklon」は素顔で勝負していますね。それだけ音重視、楽曲重視ということだと思います。

●Musicians
Zamoth / guitar,bass
Trym / drums,percussions,programming
Destructhor / guitar,bass
etc,

●Numbers
1.  Hammer Revelation
2.  Deduced To Overkill
3.  Chaos Deathcult
4.  Storm Detonation
5.  Zycloned
6.  Terrordrome
7.  Worm World
8.  Transcendental War - Battle Between Gods

R0010963


2011年12月10日 (土)

Jeff Sipeの幻の音源「Jeff Sipe,Paul Hanson,Jonas Hellborg」がCD化!

R0011021
Musician●Jeff Sipe(drums)
Title●Jeff Sipe,Paul Hanson,Jonas Hellborg(2005年)
■Abstract Logixより購入


ハードフュージョン界ではお馴染みの打楽器奏者Jeff Sipe(ジェフ・サイプ)が盟友とも言える北欧出身のハイテクベース奏者Jonas Hellborg(ヨナス・エルボーグ)と「Bassoon」という謎の楽器を操るPaul Hanson(ポール・ハンソン)によるトリオライブ音源です。2005年リリース。録音日時はおろかライブ会場すらまったく不明です。確かこの音源はアナログのみが限定流通しただけで、当然のようにすぐ廃盤扱いに。音楽配信サイトでMP3音源のみが出回っている状況でした。ここにきてやっとCD化されたようです。おっと、Jonas HellborgとJeff Sipeといえばいまは亡き夭折のギターモンスターShawn Laneとの名トリオを忘れてはいけません。

話が遠回りしそうなので元へ戻します。問題はPaul Hansonが操る謎の楽器「Bassoon」ですが、調べてみたらオーケストラでは必ず使われるダブルリードの木管楽器でイタリア語では「ファゴット」と呼ばれるのだとか。ただし、そのままの発音だと英語では「同性愛者」を意味するため必ず「Bassoon」と表記するそうです。元はドイツ発祥の楽器だそうですが、どうも一般的に馴染みが薄いのでこちらの映像をどうぞ♪ 日本の学校では、かなり予算が潤沢な場合でもこの「Bassoon」を置いているケースはまれだとか。それだけ希少な楽器だということです。

肝心の演奏内容はというと例の「Bassoon」が大活躍しているのですが、Bassoonという楽器は吹き方によってかなり音色が変化するうえにPaul Hansonは夥しい数のエフェクターを駆使して変幻自在の音色を使い分けています。聴こえてくるのははっきり言いまして「ド変態級の変なフレーズ」の連発です。インド風あり、アラビア風あり、カントリー風ありと、まさに変幻自在です。まぁ、例によって聴く人間をかなり選ぶことは間違いないです。

バックを務めるHellborgとSipeは亡きShawn Laneも参加したアルバム「Icon」などに代表される「インド風ハードフュージョン路線」の延長でのプレイです。どちらにしてもかなり風変わりなライブ音源ですが、これまた貴重な代物としておすすめします。もちろんHellborgやSipeファンは必携音源と言えるでしょう。ちなみにこのトリオはJeff Sipeのリーダー作「Art Of Jam」というアルバムでも競演しています。

●Musicians
Paul Hanson / bassoon
Jonas Hellborg / bass
Jeff Sipe / drums.cymbais,percussions

●Numbers
1.  The Meeting
2.  Osmose
3.  Global Warm Thing
4.  Astral Communications
5.  Buddha's Belly
6.  Freedom's Tune-Up

R0011042

2011年12月 9日 (金)

Raoul BjorkenheimとBill Laswellの超弩級変態ジャズロック「Blixt」

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Musician●Raoul Bjorkenheim(guitar)
Title●Blixt(2011年)
■Amazonより購入


フィンランド出身の爆裂系&フリー系ギタリストRaoul Bjorkenheim(ラウル・ビョーケンヘイム)と奇才Bill Laswell(ビル・ラズウエル)がコンビを組んだ異色のアルバムです。2011年リリース。この2人の組み合わせは確か誰かのアルバムにそれぞれゲスト参加していた記憶がありますが、表だってコンビを組んだのはこの音源が初めてではないかと思われます。打楽器奏者はやはりフリー系音楽で活躍するMorgen Agren。レコーディングエンジニアはRobert Mussoが担当しています。2010年9月20日と21日の2日間にわたり米ニュージャージーでレコーディングされています。ちなみにジャケットデザインはBjorkenheim自身が手がけたとか。まったくもって訳がわかりません。本職のデザイナーを使うほどの予算がなかっただけの話かもしれません。

さて、この2人がコンビを組めばどんな音が生まれてくるかは容易に想像がつくのですが、案の定、アルバム全編が「爆裂系サウンド」一色に。爆裂系という意味ではBjorkenheimによる別働隊「Scorch Trio」の一連の作品にも相通じるのですが、「Scorch Trio」が北欧の土着音楽をベースに作られているのに対して、このコンビによる音はひたすら無機質で、ひたすら暴力的で、無慈悲で、残虐性すら感じさせます。叙情性など微塵も感じられません。少なくとも「Scorch Trio」の数段上はいく破壊力です。エフェクトが目一杯が利いたBjorkenheimのギターはさながら凶器のようであり、LaswellとAgrenが全力で煽りに煽りまくります。まったく救いようのない暴力的なインプロが延々と聴く者の神経を揺さぶり続けます。したがって、かなり聴く者を選ぶ音であることは確かです。

●Musicians
Raoul Bjorkenheim / guitar
Bill Laswell / drums
Morgen Agren / drums

●Numbers
1.  Black Whole
2.  Moon Tune
3.  Tools
4.  Cinque Roulettes
5.  Shifting Sands Closing Hour
6.  Ghost Strokes
7.  Invisible One
8.  Drill Beats
9.  Storm
10. 4-4-4-4-2-2-2-5-2

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2011年12月 4日 (日)

コンテンポラリー系の新星Mike Morenoの3rd「First In Mind」

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Musician●Mike Moreno(guitar)
Title●First In Mind(2011年)
■Amazonより購入


コンテンポラリー系ジャズの殿堂「Criss Crossレーベル」はけっこう渋めのギタリストを輩出しているのですが今回ご紹介するMike Moreno(マイク・モレノ)もそのうちの一人。3年ぶり3枚目のリーダー作がリリースされたので早速入手してみました。この人、例によってあまり知名度が高くないうえにサイド参加もあまりしていないようなので、余計にマイナー感が漂います。参加メンバーはKendrick Scott(drums)、Aaron Parks(piano)、Matt Brewer(bass)というカルテット構成です。

同じく「Criss Cross」からリリースされた2ndもそうだったのですが本人オリジナル楽曲があまりなく、名曲のカバーが中心というスタイルで、今回もオリジナルは1曲のみであとはJoshua Redmanが2曲、Sonny Rollins、Joe Zawinul、Milton Nascimentoなどのカバーです。プレイスタイルはもろにコンテンポラリー系なのですが、Pat Metheny風でもあり、John Abercrombie風でもありと、この手のギタリストが好きな人にとってはかなり楽しめるプレイヤーではないかと思います。特定のフォロワーというよりも先達が残してきた財産を巧みに取り入れながら、しっかりと自分の血肉にしている感がします。よくよく調べてみたらMike Moreno自身は「NYブルックリン派」と呼ばれる一派に属しているようで、いわゆるメインストリームから外れた現代ジャズの裏街道をひた走っているとか。

#1  First In Mind
アルバム唯一のオリジナル曲。ちょっとECM風でもありリリカルな魅力があります。Aaron Parksの生ピアノが実に心地よいのですが、中盤から入ってくるMorenoのギターも絶品の味わいがあります。この人、自分のオリジナル曲でありながら決して出しゃばることなく淡々と丁寧にフレーズとフレーズを繋いでいくタイプで、とても真摯はプレイスタイルに好感がもてます。

#2  Soul Dance
Joshua Redmanの曲です。私にとってのJoshua Redmanはまだまだ新進気鋭の若手ミュージシャンなのですが、彼にとってはスタンダードになるのでしょうか。自分の年齢を痛感してしまいます。アコギでこれまた渋すぎるフレーズで丁寧に歌い上げています。リズム隊も決して邪魔することなく的確にサポート。実に心地よい感じのプレイです。

#6  Milagre Dos Peixes (Miracle Of The Fishes)

原曲はMilton Nascimento。けっこう手垢にまみれた感がないわけではありませんが、Morenoの真摯なギターがそんなことを忘れさせてくれます。後半になって軽やかに歌い上げるギターソロは桃源郷の味わいがあります。Aaron Parksはこの曲だけエレピを弾いていますが、そのチョイスも正解だと思われます。原曲がもつ可憐さとメンバーの真剣プレイが適度なバランスを保っています。

#8  In A Silent Way
同名のアルバム「In A Silent Way」は言うまでもなくMiles Davisの名盤ですが、作曲はJoe Zawinulです。管楽器なしでどのようにカバーするかが注目されますが、ピアノとのコンビで実に耽美的な味わいに仕上げています。リズム隊はややフリー寄りなのにテーマに戻ると全員が収束するという、行きつ戻りつをリフレインしながら淡々と盛り上げていきます。ピアノとギターが交互にソロをとりながら実に甘い雰囲気を作り出しています。原曲とはまた違ったアレンジに感心しきり。

Criss Crossの先輩Adam Rogersがガチンコジャズになりつつある状況で、こうした半歩くらいはみ出している感じが個人的は好きです。

●Musicians
Mike Moreno / guitar
Kendrick Scott / drums
Aaron Parks / piano
Matt Brewer / bass

●Numbers
1.  First In Mind
2.  Soul Dance
3.  Airegin
4.  By Myself
5.  But Beautiful
6.  Milagre Dos Peixes (Miracle Of The Fishes)
7.  A Flor E O Espinho (The Flower And The Thorn)
8.  In A Silent Way
9.  Mantra #5

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2011年12月 3日 (土)

予定通りのボートラ目当て買いBrett Garsed「Dark Matter」

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Musician●Brett Garsed(guitar)
Title●Dark Matter(2011年)
■Amazonより購入


以前もレポートしたBrett Garsedの新譜「Dark Matter」の続編です。当初、密林日本ではMP3音源しか扱っていなかったという経緯もあったのでやむなく個人輸入を敢行したわけですが、気がついたら日本盤も出ていました。お得意の「ボーナストラック付き作戦」で。まぁ、あまり気に止めないミュージシャンならそのままスルー案件なのですが、Brett Garsedだけになかなかそういう訳にはいかないのです。というわけで、不承不承購入という流れに。相変わらず阿漕な商売だなぁと表面上は文句を言いつつ、半分は少し嬉しかったりするわけです。

というわけで1曲のみのレポートです。

#10  G Force Blues For Gary Moore
件のボーナストラックです。タイトルから明らかなよう今年2月に急逝したGary Mooreへ捧げた曲です。と書くと湿っぽく感じられますが、Brett Garsedにしては珍しいロックタッチな曲です。相変わらず豪快かつ繊細なソロは迫力満点。では、この1曲のために新たにアルバムを買い直す価値があるのかと詰問されると…まぁ、その人の金銭感覚によるとだけ記しておきます。

日本盤だけに日本語ライナーも存在するので、ざっと紹介します。Brett Garsed自身、母国豪州をい離れて長年LAを拠点に活動していましたが、2004年から里帰りしているそうです。ここ3年くらいは「DAMAGE」というインストバンドを組んでいて待望のアルバムもリリースされたとか。

これは余談です。Brett Garsedの奥さんはAnn-Marita Garsedというカントリー歌手で2枚ほどリリースされている彼女のアルバムにはBrett Garsedもゲスト参加しています。ところが先日Ann-Marita GarsedのFacebookを拝見したところ「配偶者」の欄にBrett Garsedの名前はなく、代わりに「交際中」の欄に別の男性の名前が…。あれ、もしかしたら…と考え込んでしまったのですが、まさかAnn-Marita本人に聞くわけにもいかずで、心配しております。光栄にもAnn-Maritaとはお友達関係にあるのですが…心は千々に乱れております。

映像は「DAMAGE」ですがこれはかなりツボです♪

●Musicians
Brett Garsed / guitar
Ric Fierabracc / bass
Phil Turcio / keyboards
Gerry Pantazis / drums

Virgil Donati / drums
Craig Newman  / bass

●Numbers
1.  Dark Matter
2.  Android
3.  If Only
4.  Avoid The Void
5.  James Bong
6.  Closure
7.  Poison Dwarf
8.  Be Here Now
9.  Enigma
10. G Force Blues For Gary Moore(bonus track-japanese edition only)

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2011年12月 2日 (金)

凄まじいインタープレイの応酬「The Aristocrats」

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Mucisian●The Aristocrats
Title●same(2011年)
■Amazonより購入


少し前からテクニカル系ギターファンの間で話題になっていたバカテクトリオ「The Aristocrats」による1stです。2011年リリース。メンバーはBryan Beller(bass)、Guthrie Govan(guitar)、Marco Minnemann(drums)というこの手の音楽が好きな人にとってはポンと膝を打つこと間違いなしのメンツです。どうやらこの3人でこの7月に来日していたようで、秋葉原でのライブは盛況だったと聞きます。

Bryan BellerはSteve VaiやDweezil ZappaなどZappa系列ミュージシャンとの共演が多く、すでに3枚のリーダー作をリリースしているとか。Guthrie Govanは当欄でも何回か紹介していますが、ASIAの「AURA」にセッション参加したり、ユニット「GPS」で来日を果たしている超絶系ギタリスト。リーダー作「Erotic Cakes」で目の覚めるような素晴らしいプレイを披露しています。ドイツ出身の打楽器奏者Marco MinnemannはTerry Bozzio、Chad Wackermanとの共演やEddie Jobsonのプロジェクト「UKZ」、そして今年来日して話題を呼んだ「UK Reunion」などに参加するなど、当代きっての売れっ子ミュージシャンです。アクロバティックかつテクニカルなプレイが身上です。

購入から何回も聴き直しているのですが、これが迫力満点!ほとんどスタジオワークが加わっていない(と思われる)スタジオライブ形式で、3者によるガチンコ勝負が展開されています。たとえて言うならばScott Hendersonが仕組んだVirgil DonatiとのスタジオライブやSteve Smith、Victor Wootenとのトリオ作「Vital Tech Tone 1」「Vital Tech Tone 2」に近いものを感じさせますね。ただ、これは無理筋かもしれませんが、スコヘンさんのようなアメリカ人トリオよりも欧州系トリオのほうが、聴こえてくる音にも心なしか湿感が感じられます。

間違いなくハード&テクニカルフュージョンとしては最高の出来映え!Andy Timmonsの「Plays Sgt.Pepper」と並び2011年下半期ベスト盤に早くも決定です!

●Musicians
Bryan Beller / bass
Guthrie Govan / guitar
Marco Minnemann / drums

●Numbers
1.  Boing!... I'm In the Back
2.  Sweaty Knockers
3.  Bad Asteroid
4.  Get It Like That
5.  Furtive Jack
6.  I Want A Parrot
7.  See You Next Tuesday
8.  Blues Fuckers
9.  Flatlands

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