ECM以前のMetheny&Pastoriusが聴ける異色作
Musician●Pastorius,Metheny,Ditmas,Bley
Title●Jaco(1974年)
■ディスクユニオンで購入
いまや押しも押されぬスーパーミュージシャンになったPat Methenyと不幸な最期を遂げた奇才Joco Pastoriusがメジャーデビュー前に残した音源です。メンバーから見ても明らかなように鍵盤楽器奏者Paul Bleyが当時はまだ無名だった若手ミュージシャンを集めて行ったセッション音源です。Bruce DitmasはJohn AbercrombieなどのECM系ミュージシャンとの共演で知られています。1974年6月16日、NYCでレコーディングされていますが、なぜか版元はイタリアのレコード会社です。
MethenyやPastoriusのディスコグラフィーから忘れられがちな不幸な音源なのですが、おそらくPaul Bley自身もオフィシャルな音源として想定していなかったのではないでしょうか。セッション音源の一発録りで楽曲もかなり荒削り、お世辞にも音質は良好とは言えません。Methenyも大先輩Paul Bleyに気を遣っているのか、Methenyらしさがあまり感じられません。その代わりというわけではないのですが、Paul Bleyが操るエレピはかなり聴き応えありますし、何と言ってもPastoriusの暴れぶりには目を見張ります。Pastorius独自のプレイスタイルはすでに完成の域に達しているばかりか、堂々とBleyにバトルを挑んでいます。
この音源で興味深いのは作曲陣がさりげなく豪華なこと。#1「Vashkar」#3「Donkey」#5「Overtoned」#7「Batterie」#8「King Korn」の5曲はPaul Bleyの元奥さんであり、「ECMの女王」Carla Bleyによるもの。
#9「Blood」はGary Peacockの当時の奥さんであるAnnete Peacockによるもの。#6「Jaco」はBleyによるものです。もちろんPastoriusに対する敬意によるものでしょう。
このセッションが行われた1年数ヶ月後、1975年12月にMethenyは親友Pastoriusを誘い、あの名盤「Bright Size Life」のレコーディングに臨みます。当時21歳でした。それにしてもこの若き天才を発掘したPaul Bleyの慧眼ぶりには感服します。
●Musicians
Jaco Pastorius / bass
Paul Bley / piano
Bruce Ditmas / drums
Pat Metheny / guitar
●Numbers
1. Vashkar
2. Poconos
3. Donkey
4. Vampira
5. Overtoned
6. Jaco
7. Batterie
8. King Korn
9. Blood
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