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2011年10月

2011年10月30日 (日)

陰鬱系Holdsworthy、Scott McGillの2nd「RIPE」

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Musician●Scott McGill(guitar)
Title●Ripe(1999年)
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アメリカ出身のHoldsworthy、Scott McGill(スコット・マクギル)が率いるユニット「Hand Farm」による2ndです。1999年リリース。参加メンバーはChico Huff(bass)、Vic Stevens(drums)、Demetrios Pappas(keyboards)という構成。打楽器のVic Stevensはゴングジラ人脈ですね。自主制作盤だった1stも所有しているのですが、例によって行方がしれない状態なので時期がきたらレポートさせていただきます。

このCDには珍しく帯がついていて影響を受けたミュージシャンとしてBill ConnorsとAllan Holdsworthの名前が挙がっています。まあ、1980年代のBill Connorsは「Holdsworthy第1号」として名を馳せた(?)わけですから実質「ガチンコ系Holdsworthy」と認定してもかまわないでしょう。実際に音を聴いてみるとAllan Holdsworthの「I.O.U.」や「Road Games」「Metal Fatigue」あたりの雰囲気に酷似しています。鍵盤楽器奏者もいるものの2曲のみ参加なので、バンド編成からして本家Holdsworthを相当に意識していることは確かです。

ただ音作りとしてはかなり陰鬱で暗い感じのプレイが中心で、ギターには常にエフェクターが目一杯かけられて歪みまくり、しかも籠もり気味です。McGillのギターを初めて聴いたとき、あまりにも音が籠もっているので録音環境のせいだろうと勝手に想像していましたが、後にリリースされた彼の作品を聴いても一貫して籠もっているので、それが彼の持ち味なのでしょう。

全編がそんな陰鬱きわまりない弾きまくり状態なのですが、唯一12弦ギターを使った#4「Un Monde De Incertitudes」のソロはあまりにも美しく、しかもとんでもない超絶技巧。アルバム中数少ない「オアシス的存在」です。#6「DDR」で聴かれるアコギソロも「Velvet Darkness」を何やら想像させてくれるので、マニア筋には堪らないかも♪

●Musicians
Scott McGill / guitars
Chico Huff / bass
Vic Stevens / drums
Demetrios Pappas / keyboards on Skwerbie,Cause For An Effect

●Numbers
1.  7-24
2.  The Ripe One
3.  Fred-O-Cal
4.  Un Monde De Incertitudes
5.  Skwerbie
6.  DDR
7.  Industrial Blowout
8.  Marcella
9.  Cause For An Effect
10. Ong's Hat
11. 24-7

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2011年10月29日 (土)

Lost Tribe / Lost Tribe(1993年)

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Musician●Lost Tribe
Title●same(1993年)
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80年代後半からNYCを中心にして巻き起こった「M-BASE理論」(Macro Basic Array of Structured Extemporization)ムーブメント。結構難解なジャズ理論ということなのですが、提唱したのはSteve Colemanとのこと。実際のことはよくわかりません。多くはジャズとファンクを融合させたうえで、変拍子を多用する新感覚派ジャズと言えばいいのでしょうか。その流れの中で誕生したのがこの「Lost Tribe」です。なぜか癒し系のWindham Hillから1993年にリリースされています。

参加メンバーはAdam Rogers(guitar)、David Gilmore(guitar,guitar-synthe)、David Binney(sax)、Ben Perowsky(drums)、Fima Ephron(bass)という構成。個人的に大好きなギターのAdam RogersとサックスのDavid Binneyが参加しています。David Gilmoreはピンク・フロイドのほうではなく、アフリカ系のアメリカ人です。第一、スペルも違います。打楽器のBen PerowskyはMike Sternのバンドやゴングジラの作品にも参加していたとか。ベースのFima Ephronは後にあの「Screaming Headless Torsos」に参加しています。要は当時はまだ無名ながら若き実力派ミュージシャンの集合体というわけです。

基本は「M-BASE系変拍子ジャズファンク」でDavid BinneyのサックスとRogersとGilmoreの尖ったギターが乗って疾走しまくるという感じです。特に#1「Mythology」は目眩がするような変拍子の嵐にRogersのキレまくるソロが絡んできて格好よろしいの一語です。Binneyのサックスもキレ味抜群です。Adam Rogersはソロ転向後はオーソドックスなジャズギタリストへと変貌してしまいましたが、若かりし頃はこんな尖りまくったプレイを聴かせていたのです♪

東海岸のこの手のグループはとかくテクニック至上主義に走りがちなのですが、インプロよりも楽曲重視というのも好感がもてます。

●Musicians
Adam Rogers / guitar
David Gilmore / guitar,guitar-synthe
David Binney / sax
Ben Perowsky / drums
Fima Ephron / bass

●Numners
1.  Mythology
2.  Dick Tracy
3.  Procession
4.  Letter To The Editor
5.  Eargasm
6.  Rhinoceros
7.  Mofungo
8.  Space
9.  Four Directions
10. Fool For Thought
11. T.A.The W.
12. Cause And Efect

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2011年10月28日 (金)

Mr.Siriusの原型が見える「Crystal Voyage」

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Musician●Sirius
Title●Crystal Voyage(1990年)
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日本を代表するシンフォ系プログレバンド「Mr.Sirius」の前身バンド「Sirius」による唯一のアルバムです。オリジナルは1990年リリースですが録音は1979年、1987年、1990年とされています。数年前にスタジオ盤2枚とライブ盤1枚とともに再発売されましたが同時に復刻リリースされています。

全5曲中、中間の3曲は1979年、オープニング曲は1990年、ラストは1987年の録音と分かれていています。録音時期こそ違いますが、Sirius独特のリリシズムは見事なまでに一貫しています。「Mr.Sirius」としての衝撃的なデビュー作「Barren Dream」(1986年)や「Dirge」(19990年)と比較すると小粒な印象は免れませんが、ここで聴かれるたとえようもない美しさは、紛れもなく「Mr.Sirius」に通じるものがあります。もちろんバンドリーダーの宮武和宏さんのソングライターとしての素晴らしさに関しては説明不要でしょう。ちなみに#1「月下美人」には元MARINOの大谷令文が参加していますが、大谷氏は宮武さんの高校の後輩であるとか。

個人的には、宮武さんの高校時代の友人と組んだ「Crystal Voyage」や「Land of Eternity」で感じられる豊かな叙情性が好みです。何やらKing Crimsonの「RED」の雰囲気が濃厚に立ちこめています。ちなみにラストの「Wanderer」は宮武さんの奥さん、宮武美代子さんの作品です。

音源はMr.Siriusのものです♪

●Musicians
宮武和宏 / guitar,keyboards,vocal
大谷令文 / guitar
村岡秀彦 / bass
藤岡千尋 / drums
杉本 淳 / keyboards
稲垣公章 / vocal
吉田久美 / vocal
加納敏行 / synthesizer
宮武美代子 / vocal,keyboards

●Numbers
1.  月下美人(Suite)
2.  Crystal Voyage
3.  Land Of Eternity
4.  Two Will Be One:Part 2
5.  Wanderer

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2011年10月23日 (日)

「Sagrado」のギタリストAugusto Rennoの2ndリーダー作「Lizards Trio」

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Musician●Augusto Renno(guitar)
Title●Trio Lizards(2000年)
■Gemm.comより購入


南米ブラジルを代表するシンフォ系プログレバンド「Sagrado」(サグラド)のギター奏者Augusto Renno(アウグスト・レノ)の2ndリーダー作です。2000年リリース
「Sagrado」はヴァイオリンをベースにした幻想的で壮大な作風が特徴的なのですが、ギター奏者の活躍という視点で考えると、ちょっと欲求不満気味かもしれません。そんなわけで日頃の鬱憤(?)を晴らすがごとくリリースされたのがこの作品です。どうやら同国人ミュージシャンで固められているようです。今回はAugsto Renno個人名義ではなく「Trio Lizards」名義でのリリースになっています。

前作「Works」(1989年)もそうだったのですが、プログレというより上質なギターインストアルバムという風情ですが、決して技巧だけに走らずにしっかりと楽曲で聴かせるタイプなので安心感があります。いきなり#1「Kunk」では硬派なジャズロックから切り込んでくるあたりに、思わず「ニヤリ」としてしまいます。

ただし残念に思えるのが前作「Works」からの再演が多いこと。#2「Sem Retomo」、#5「Antimateria」、#6「Tropico De Capricomio」、#8「Voo Notumo」と4曲もダブリがあるとちょっとどうなのかなと思います。もちろん演奏としては前作よりも格段に迫力が増しているわけなんですが。と、文句を言いながらもアルバム中の一押しは#7「Friends」です。ちょっとJeff Beck風の楽曲に乗ってAugsto RennoのHoldsworthyが若干入ったソロが響きわたります。ギター弾きまくり状態を期待する人にとっては若干不満が募るかもしれませんが、上質なギターインストを気軽に楽しみたい方にはオススメです♪

●Musicians
Augusto Renno / guitar,guitar-synth
Andre Campagnani / bass
Adriano Campagnani / drums

●Numbers
1.  Kunk
2.  Sem Retomo
3.  Daaz
4.  Bossa
5.  Antimateria
6.  Tropico De Capricomio
7.  Friends
8.  Voo Notumo
9.  Proce

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2011年10月22日 (土)

追悼!Gary MooreとGreg Lakeの共演作

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Musician●Greg Lake,Gary Moore
Title●Grag Lake(1981年)
■Amazonより購入


アイルランドが生んだ希代のギターヒーローGarmy Moore(ゲイリー・ムーア)が亡くなったのは今年の2月7日。享年58歳。もう数ヶ月も経ってしまったのですね。

昨年「一夜限りの復活」を果たした「Emerson,Lake&Palmer」の一角、Greg Lake(グレッグ・レイク)とGary Mooreがタッグを組んだのは1980年の初頭。「EL&P」が自然消滅的な解散をしてしまいしばらく時間が過ぎた頃でした。「世紀の合従連衡」とも言える大きな話題性も手伝って、アルバム収録曲「Nuclear Attack」が空前のヒットを呼んだことも記憶に新しいところです。

で、よく考えてみたら「Nuclear Attack」は結構聴いていたのですが、アルバム自体が未聴だったことに気がつき約30年遅れで聴いてみました。

#1  Nuclear Attack
アルバム中、唯一のGary Mooreによる曲。ボーカルもMoore。説明不要の名曲ですが、いま冷静に聴き直してみると鍵盤楽器がいかんせん力量不足。ドラム奏者もいまひとつ。この時期、たとえばRainbowもそうだったのですが、世界的に優れた鍵盤楽器奏者が不足していた気がしてなりません。

#3  It Hurts
初期King Crimsonを彷彿とさせる曲。イントロのアコギが嫌が応にも雰囲気を盛り立ててくれます。満を持してLakeによる若干籠もりがちのボーカルが。とてもいい感じで最後はMooreの泣きのギターで締めてくれます。目立たないながらも名曲の予感です。いまさらですが。

ほかにもいい曲はあるのですが、アレンジがアメリカンポップ調に走ったりと何だか迷走気味の感も正直感じられます。70年代を席巻したプログレブームが終焉を迎えると同時に、パンクやらなんじゃらと新しい音楽が続々と生まれていた当時の音楽状況を考えると、それも無理からぬことかもしれません。

最後に最近当欄ネット上で話題になったGreg Lakeのふくよかな姿をお見せしましょう。先に触れた2010年、EL&Pの一夜限り復活ライブの模様です。決して渡辺徹ではありません。



●Musicians
Greg Lake / vocal,bass
Gary Moore / guitar
Tommy Eyre / keyboards
Tristram Margetts / bass
Ted McKenna / drums

●Numbers
1.  Nuclear Atack
2.  Love You Too Much
3.  It Hurts
4.  Black And Blue
5.  Retribution Drive
6.  Long Goodbye
7.  The Lie
8.  For Those Who Dare

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2011年10月21日 (金)

オランダ出身の打楽器奏者Sebastiaan Cornelissenのリーダー作

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Musician●Sebastiaan Cornelissen(drums)
Title●Sebastiaan Cornelissen Group(2011年)
■Abstract Logixより購入


オランダ出身の打楽器奏者Sebastiaan Cornelissenによる久しぶりのリーダーアルバムです。たぶん自分名義だと4作目にあたるのではないかと思われます。同郷のギターモンスターRichard Hallebeekとの共演も多いので、テクニカル系フュージョン好きにとってはお馴染みの名前です。参加メンバーはFrans Volink(bass)、Coen Molenaar(keyboards)、Marc Guillermont(guitar)という編成。
ベースのFrans VolinkもHallebeekとの共演歴ありです。

当欄の志向としてギター奏者の吟味から入るのが筋ですが、Marc Guilermontはまったく「お初」のお名前。とは言え「類は友を呼ぶ」の法則はオランダにも通じるはずです。それほどハズすこともなかろうと、思い切って個人輸入に踏み切ったわけです。

あにはからんや
案ずるより産むが小野ヤスシ


これが珍しくドンぴしゃの大当たり♪
案の定、Marc Guillermont氏はRichard Halllebeekの直系フォロワーでした。ということは希代のテクニカル系大御所Allan Holdsworthの孫弟子ということになりましょうか。フレーズといいヴォイシングといいタイム感といい、当欄が大好物のギターソロが満載のアルバムです。参加はしていなもののSpecial ThanksにRichard Hallebeekの名前もしっかり入っています。

楽曲自体も実に爽快なハード系フュージョンでかなり聴き応えがあります。珍しく掘り出し物に当たったという感じです♪

動画はMarc Guilermontです♪よく調べたらMarc Guillermontはフランス人でした。


●Musicians
Sebastiaan Cornelissen / drums
Frans Volink / bass
Coen Molenaar / keyboards
Marc Guillermont / guitar

●Numbers
1.  Forum
2.  Unidentified Crawling Objects
3.  Loved You Before
4.  Paraquats
5.  Summer Rain
6.  Big Apple
7.  Wristkiller

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2011年10月16日 (日)

ヴァイオリンが加わった激しいインプロの応酬 Marc Ducret「Tower Vol.2」

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Musician●Marc Ducret(guitar)
Title●Tower Vol.2(2011年)
■メーカーサイトより購入


フランス出身のフリー系ジャズギタリストMarc Ducret(マルク・デュクレ)は当欄でもたびたび登場しているミュージシャンです。日本ではまだまだ無名な存在であるうえに、作品リリースもまさに神出鬼没。ゲスト参加はともかくリーダー作であっても公式HPになかなかアップされないという有様。何とか情報戦を征して入手したのがこの盤です。前作「Tower Vol.1」(2011年)の続編的な作品になるのでしょう。2010年9月24日、25日、フランスでレコーディングされています。前作と同様、Ayler Recordsというフリー系レーベルからリリースされています。

前作「Tower Vol.1」は「Ducret対管楽器集団」という構造でしたが、今回は「Ducret連合軍VSヴァイオリン」という感じで臨んでいます。参加メンバーはTim Bernne(sax)、Tom Rainey(drums)という「Sience Fiction」や「Big Satan」などでお馴染みメンツに、今回はDominique Pifarelyというヴァイオリン奏者が加わった変則カルテット構成に。このDominique Pifarelyが大変なくせ者で、Marc DucretはもちろんTim Bernneにまで絡んでいく始末です。いわば鉄壁の守りを誇るDucret軍団に紛れ込んだ暴れん坊な異分子という感じです。アルバム自体は3部構成になっていますが、第1部ではTim Bernneに、第2部ではDucretに執拗に絡みまくりますが、第3部では反省したのか全員と和気あいあいといった感じです。

毎度のことながらあまり一般的な物件とは言えませんが、全国5万人のDucretファンにはもちろんのこと、フリージャズギター好きの方には強力推薦いたします♪

●Musicians
Marc Ducret / fretless guitar
Tim Bernne / sax
Tom Rainey / drums
Dominique Pifarely / violin

●Numbers
1.  Sur I'Electricite
2.  Real Thing #3
3.  Softly Her Tower Crumbled In The  Sweet Silent Sun

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2011年10月15日 (土)

カナダ産ジャズロックバンド「Spaced Out」1st

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Musician●Spaced Out
Title●Same(2000年)
■Amazonより購入


カナダ・ケベック州を活動の拠点に置く変態系ジャズロックバンド「Spaced Out」による1stです。2000年リリース。例によって日本ではあまり存在を知られていないようなので詳細な活動歴はよくわからないのですが、これまで数枚のスタジオ盤とライブDVDをリリースしています。ケベック州というのは確かフランス語圏でしたよね。メンバーの名前も何やらフランス風です。

さて、バンドのカラーというと完全に変態系ジャズロックで、かなりプログレの要素も入ってきています。楽曲は複雑さを極めかなり難解といえば難解。サックスなどホーン系をよく使うのも特徴です。比較として的確かどうか自信ありませんが、RUSHからボーカルを一切抜いて、さらに複雑怪奇に仕上げたという感じでしょうか。およそ一般性に欠ける音楽であることには違いありません。バンドリーダーはベース奏者のAntoine Fafardのようです。

さらに特徴的なのはギターのMathieu Bouchardのとんでもない「Holdsworthyぶり」です。フレーズ、ヴォイシングともAllan Holdsworthからかなりの影響を受けているのですが、バンドカラーに対して若干ミスマッチの感もします。そのギャップがこの「Spaced out」の変態性をより高めているとも言えるでしょう。Mathieu BouchardのHoldsworthyぶりは一部マニア間でも話題になったことがありますが、ここまで頑なに真似し続けるのもなかなか根性が座っています。

しかし、カナダという国は以前当欄で取り上げたElliot Friedmanといい「Holdsworthy」の隠れた産地なのかもしれません。

●Musicians
Mathieu Bouchard / guitar
Antoine Fafard / bass
Martin Maheux / drums
Loiis Cote / guitar
Eric St-Jean / keyboards

●Numbers
1.  Green Teeth
2.  Toxix
3.  A Freak Az
4.  Magnetyzme
5.  Delirium Tremens
6.  The Fifth Dimension
7.  Pensestuax
8.  Futurosphere
9.  Furax
10. Glassosphere

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2011年10月14日 (金)

リマスター化&ボートラ付きの「Hendrix In The West」

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Musician●Jimi Hendrix(guitar,vocal)
Title●Hendrix In The West(2011年)
■Amazonより購入


最近になってまたジミヘン関連の音源が出回ってきています。「もういい加減にしてほしい!」というのが偽らざる心境なのですが、その音源の中身次第ではチェックを入れてしまうあたりがコレクターの本能だと認めざるを得ません。

この「Hendrix In The West」はジミヘンの死後に発売されたライブ盤の中ではかなり有名で「バンド・オブ・ジプシーズ」「ワイト島」と並んでファン必携のライブ音源であると言われてきました。初版は1972年ですからかなりの先輩格です。「モンタレー」や「ウインターランド」などはどちらかと言えば発掘音源としては「後発組」であって、ジミヘンの数少ないライブ音源をそれこそ擦り切れるほど聴いてきたオールドファンにとっては、正直「けっ!」という感じなのです。

ジミヘンファンにとってほかのライブ音源が続々とCD化される状況で、この「Hendrix In The West」だけが復刻されないのは大きな謎でした。権利関係の問題なのか、それとも単純に忘れられているのか。正確を期すと、10年ほど前に「Loose End」とのカップリングという意味不明のロシア盤が出回っていたのですが、やはり望むべきは正式リリースです。そこへもってきてジミヘンの死後41年も経ってやっと復刻されました。リマスターは当然として何曲かボートラが付いています。24ページにも及ぶ豪華ブックレットもナイスです。ちなみにジャケット写真は昨年亡くなった写真家Jim Marshallによるものです。

さて、今回追加されたのは#4~#6の3曲。1969年5月25日、サンディエゴでのライブなのですが、旧規格盤に収録されていた#7も同日のものです。これまで散逸していた一部音源をドッキングさせた感じでしょうか。

さらに興味深いのが旧規格盤でも収録されていた#3「Little Wing」と#11「Voodoo Chile(Slight Return)」がわざわざ別音源に差し替えられている点です。#3は1968年10月12日、サンフランシスコ・ウインターランドの音源に、#11は前出のサンディエゴの音源に代わっています。制作者の意図が分かりかねるのですが、特に#3はこれまでボックスセット限定音源だったので、個人的にはうれしい限りです。オリジナルはバークレーの音源でした。

#11はオリジナルもサンディエゴ音源でしたが、おそらく別日のものだったのでしょう。これも個人的には初めて聴く音源です。

そんなわけで旧規格盤よりも曲数が増えたばかりでなく、お初音源にお目にかかれたわけで、かなりのお得感満載のリイシューではないかと思います♪

●Musicians
Jimi Hendrix / guitar,vocal
Billy Cox / bass
Mitch Mitchell / drums
Noel Redding / bass

●Numbers
1.  The Queen
2.  SGT. Pepper's Lonley Hearts Club Band
3.  Little Wing
4.  Fire
5.  I Don't Live Today
6.  Spanish Castle Magic
7.  Red House
8.  Johnny B Goode
9.  Lover Man
10. Blue Suede Shoes
11. Voodoo Chile(Slight Return)

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2011年10月10日 (月)

Hellborg,Lane,Sipe超絶ライブ「Personae」

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Musician●Jonas Hellborg(bass)
Title●Personae(2002年)
■Tower Recordで購入


お馴染みJonas Hellborg(bass)、Shawn Lane(guitar)、Jeff Sipe(drums)の超絶技巧トリオによるライブ音源です。このトリオによるライブ音源は「Temporal Analogues Of Paradise」「Time Is The Enemy」なども出回っていますが、どれも期待を裏切らない濃厚すぎるプレイに触れることができます。個人的には全2曲というとんでもない長尺の「Temporal Analogues Of Paradise」が好きだったりしますが、こちらも甲乙つけがたい出来映えです。ドイツでのライブが収められています。

相変わらずHellborgとSipeが作り出す強烈なリズムに、Laneの超早弾きフレーズが絡んでくるというお馴染みのスタイルはわかっていてもすの凄まじさは鳥肌ものです。この時期はLaneの病状があまり思わしくなかったはずなのですが、そんなことは微塵にも感じさせない狂気のインタープレイの応酬です。ただし、動画でもわかるようにLaneは立つことすら困難で、終始腰掛けたままプレイしています。

この素晴らしいライブ音源がリリースされた1年後、Laneは40歳という若さでこの世を去ってしまいます。
あらためて合掌。



●Musicians
Jonas Hellborg / bass
Shawn Lane / guitar
Jeff Sipe / drums

●Numbers
1.  Time Is The Enemy
2.  Rag
3.  Personae
4.  Heretics
5.  Hell Is Other People
6.  Rice With The Angle

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2011年10月 9日 (日)

OPETHの新譜はデス声抜きの新境地「Heritage」

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Musician●Opeth
Title●Heritage(2011年)
■Amazonより購入


北欧の暗黒神「Opeth」(オーペス)による10枚目のアルバムがリリースされたので早速入手しました。2011年リリース。例によって例のごとく日本盤限定特典として「CD-EXTRA」として2曲がボートラとして付いてきています。PCのみ聴取可能ということなんですが、いまだに聴き方がわからないのです。MPでふつうに聴けるのでしょうか。おっと、Quick Timeで聴け!と書いてありますね。

さて、「今回に新作はデス声抜き」「エクストリームメタルの潮流に逆行する内容」などと事前情報をキャッチしていたので、たとえば「Damnation」(2003年)のようにアコースティック中心の音作りを想像していました。で、聴いてみて吃驚!いまままでのOpethのイメージを覆すような内容に変貌を遂げています。

まず、「デス声」を一切排していることに触れざるを得ません。いや、正確に言うと「Damnation」もデス声抜きだったのですが、合わせ技的にデス満載の「Deliverance」(2002年)の存在があったわけでちょっとニュアンスが違うような感じがします。では、まったくデス的な要素が払拭されているかというと、きっちりハードな一面は残されています。ただデス声に頼るという手法は一切使われていないのです。彼らの魅力のひとつとして「デス声とクリーンボイスが織りなす美醜の対比」があったわけですが、それがなくなっているのです。バンドカラーとしては一大転換になりますが、どうやらこの「Heritage」ではリーダーのMikael Akerfeldt(ミカエル・オーカーフェルド)の個人クレジットが前面に押し出されていることと無関係ではないようです。

楽曲はというと70年代音楽マニアでもあるAkerfeldがこれまで以上にイニシアティヴを握っているだけに、もろにプログレ&アコースティック路線です。相変わらずメロディアスかつ幻想的な世界を繰り広げていますが、やはり何となく物足りなさを感じてしまうのも事実。やはりデスが持つ破壊力との落差を期待してしまうのです。

「CD-EXTRA」の収録された2曲は「Heritage」の作品性を妨げるという理由からPCでしか聴けませんでしたが、「本編」との格差はそれほど感じられませんでした。まぁ、日本盤限定という希少価値で満足しましょう。こちらも完全なプログレ&アコースティック路線。ところでエンハスト音源の聴き方はただ単純に「拡張機能」を選択してクリックするだけでした。

●Musicians
Mikael Akerfeldt / vocal.guitar
Fredrik Akesson / guitar
Martin Mondez / bass
Martin Axerrot / drums
etc,

●Numbers
1.  Heritage
2.  The Devil's  Orchard
3.  I Feel The Dark
4.  Slither
5.  Nepenthe
6.  Haxprocess
7.  Famine
8.  The Lines In My Hand
9.  Folklore
10. Marrow Of The Earth
11. Pyre ※
12. Face In The Snow ※

※CD-Extra(Japanese Edition Only)

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2011年10月 8日 (土)

無名時代のMachacekが参加「The Next Generation Of Sound」

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Musician●Musical Universe-Universal Music
Title●The Next Generation Of Sound(2000年)
■Abstract Logixより購入


いまやポストHoldsworthの最右翼として完全に一歩抜け出した感があるAlex Machcek(アレックス・マカチェク)が無名時代に残した音源です。詳細なクレジットがまったく書かれておらず正確なデータすら不明なのですが、おそらく母国オーストリアでレコーディングされたものだと推測されます。参加メンバーもおそらく地元ミュージシャンなのでしょう。

あまり過度に期待しないで入手したのですが、これが意外にも結構ハードで良質なジャズロックアルバムに仕上がっています。特に#1「Departure」#2「Gravity」#10「Planet Pifgonia」#14「Stardate」でのプレイはMachacekのリーダー作「Fearturing Ourselves」を彷彿とさせる素晴らしい曲です。曲もよし、Machacekのソロもよし、ポストHoldsworthの看板に偽りなし。

とはいえアルバムとしての完成度となるといささか疑問を感じざるを得ません。まるで後期崩壊直前期Soft Machineのような#4「Am/Bpm-Complex」や習作段階の#6「Universe Of Blues Riffs」#7「Timewarp」あたりは楽曲の仕上がりさえよければ何とかなりそうなのですが。おそらく全体のバランスがちょっと狂っているだけだと思われます。

結局はMachacek目当ての作品ということで結論づけてみました。数年前までは比較的入手しやすかったのですが、いまは世界的に珍盤となっているようです。見つけた方は相当にラッキーかと思われます♪

●Musicians
Alex Machacek / guitar
Paul Urbanek  / keyboards
Raphael Preuschl / bass
Machael Provaznig / drums

●Numbers
1.  Departure
2.  Gravity
3.  The Quiet
4.  Am/Bpm-Complex
5.  Planet Orf
6.  Universe Of Blues Riffs
7.  Timewarp
8.  Planet Trompet
9.  Entry To Heaven
10. Planet Pifgonia
11. In Heaven
12. Fools
13. Hyperways
14. Stardate

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2011年10月 7日 (金)

Jack DeJohnetteの「New Directions」

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Musician●Jack DeJohnette
Title●New Directions(1978年)
■ディスクユニオンで購入


電化マイルス楽団で一躍有名になったドラム奏者Jack DeJohnette(ジャック・デジョネット)がECM移籍後に残した傑作です。1978年リリース。参加メンバーはJohn Abercrombie(guitar)、Eddie Gomez(bass)、そして今は亡きペット奏者Lester Bowieという鍵盤抜きのカルテット構成です。

当欄の目当てはギターのJohn Abercrombieだったのですが、4者が織りなすインプロの妙というか当意即妙の応酬にはそれこそ聴き惚れてしまいます。Abercromieの浮遊感あふれるソロにBowieの悲しげなペットとの絡みはまさに芸術品です。

あえて言及するとラスト「Silver Hollow」でのDeJohnetteのピアノは蛇足ではないかと昔は思っていたのですが、いまあらためて聴き直してみると私のとんでもない「勘違い」でした。いや、あまりに美しすぎる。これぞECMという陳腐すぎる表現しか浮かんでこないのが口惜しいほどです。Bowieの哀愁漂うペットとAbercrombieが一体となって静かに盛り上げています。思えばAbercrombie自身にとっては名作「M」録音の半年前のプレイだったわけで、何とも例えようもない美しい耽美性がプレイの随所から滲み出ています。

同一メンバーによるライブアルバムもお勧めです♪

●Musicians
Jack DeJohnette / drums,piano on Silver Hollow
John Abercrombie / guitar,mandolin
Lester Bowie / trumpet
Eddie Gomez / bass

●Numbers
1.  Bayou Fever
2.  Where Or Wayne
3.  Dream Stalker
4.  One Handed Woman
5.  Silver Hollow

R0010901


2011年10月 2日 (日)

オランダの至宝「The Gathering」の4th「Nighttime Birds」

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Musician●The Gathering
Title●Nighttime Birds(1997年)
■ディスクユニオンで購入


オランダが誇るゴシックメタルバンド「The Gathering」が1997年にリリースした4thです。

The Gatheringは前作3rd「Mandylion」(1995年)から「欧州最強」の女性ボーカルAnneke Van Giersbergen(アネク・ヴァン・ガースヴァーゲン)が加入したことによってドーミィー系デスメタルからフィメール系ゴシックメタルバンドに一大転向を図り大成功を収めました。転向後の第2弾ということですから自然にハードルが高くなってしまうのですが、今度はシンセサイザーを多用することで浮遊感あふれる音づくりで新境地を見せています。アネク嬢の圧倒的な歌唱力はよりパワーアップされ、同時期に竹の子の如く誕生した同種のバンドから頭ひとつ抜け出した感がします。楽曲も一切の捨て曲なしの恐るべき完成度。

「Mandylion」での荒削りな魅力はやや後退しましたが、代わりに完成度を身につけた彼らはこの時点でオランダどころか欧州トップクラスのバンドにのし上がってのです。ちなみにオリジナル音源に未発表デモ音源が加わった「デラックスエディション」も発売されています。クレジットはオリジナル日本盤のものです。#10と#11がボートラですが1996年5月26日、ダイナモフェスティバル出演時のものです。この2曲を聴くとライブでも超一流のバンドであることが認識されます。



●Musicians
Anneke Van Giersbergen / vocal
Frank Boeijen / synthesizer
Hugo Prinsen Geerligs / bass
Hans Rutten / drums
Rene Rutten / guitar
Jelmer Wiersma / guitar

●Numbers
1.  On Most Surfaces
2.  Confusion
3.  The May Song
4.  The Earth Is My Witness
5.  New Moon,Different Days
6.  Third Chance
7.  Kevin's Telescope
8.  Nighttime Birds
9.  Shrink
10. Leaves(live)
11. Elianor(live)

R0010821


2011年10月 1日 (土)

知られざるセッションギタリストSteven Kirbyの2nd「North Light」

R0010906
Musician●Steven Kirby(guitar)
Title●North Light(2002年)
■CD Babyより購入


イギリス出身のジャズ系ギタリストSteven Kirbyによる2ndです。2002年リリース。おそらく日本ではまったく無名の存在だと思うのですが、Allan Holdsworthがセッション参加したベース奏者David Hines「Nebula」(2005年)に参加した実績もあります。このアルバムではHoldsworthが8曲中2曲しかプレイしていないのに対して、Kirbyは6曲を担当したわけで、それだけでもかなりの露出だったわけです。このKirbyはふだんはギタークリニックの講師をしているようです。

プレイスタイルは明らかにPat Metheny、John Abercrombie、Mick Goodrickあたりの影響を受けているコンテンポラリー系。流麗なフレーズとこの系統に共通する浮遊感あふれる音がポイントです。参加メンバーもさりげなく豪華でChris Potter(sax)、Scott Colley(bass)、Bruce Barth(piano)、Matt Wilson(drums)と、John AbercrombieやAdam Rogersの共演者とかぶるメンツばかり。これである程度のサウンド志向が把握できるはずです。プロデューサーは大物Bill Mikowski。

決して派手に出るタイプではないのですが、的確にツボを突いてくる安定感抜群のプレイはなかなかの味わいです。いかにもという感じの上質なジャズギターアルバムに仕上がっています。以前はオフィシャルHPがあったのですがどうやら閉じてしまったことに一抹の不安を感じますが、音源ならMy Spaceで試聴可能です。

●Musicians
Steven Kirby / guitar
Chris Potter / sax
Scott Colley / bass
Bruce Barth / piano
Matt Wilson / drums
etc,

●Numbers
1.  Line Game
2.  New Song
3.  Autumn Song
4.  North Light
5.  Refractions
6.  Things As They Are
7.  Paradigm Shift
8.  Ambiguity Tolerance
9.  Five For All
10. When You Wish Upon A Star

R0010907


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