Torben Waldorffキャリア初のライブ音源「Brilliance」
Musician●Torben Waldorff(guitar)
Title●Brilliance Live at 55 Bar NYC(2006年)
■CD Babyより購入
デンマーク出身のジャズ系ギタリストTorben Waldorff(トーベン・ウォルドルフ)が2006年にNYで行ったライブを収めたものです。プロデュースはTorben自身とスウェーデンの鍵盤楽器奏者Maggi Olinが共同で務めています。Maggiお気に入りの若手ギタリストという関連性もあるのでしょうね。
WaldorffはJohn AbercrombieやBill Frisellあたりのコンテンポラリー系の系譜を汲むプレイヤーだと思うのですが、これまでの緊迫感あふれる作風とはうって変わってリラックスムードの4ビートジャズに変貌を遂げています。これはライブということもあるのでしょうか。終始リラックスした雰囲気のもと、伸びやかなプレイを聴かせてくれています。#1「Alice」などはハートウォーミングなサックスとともに妙に牧歌的な感じのソロを披露。まだ若いのに「枯れてしまったのか?」と一瞬不安になってしまいます。
俄然「らしさ」が出てくるのは#2「Jurotrash」。楽曲も一転して緊張感あふれるアップテンポなものに変貌し、Waldorffお得意のフレーズを短いセンテンスの中に目一杯詰め込む「密集型ソロ」を連発してくれます。少し歪んだ音色が実に格好よしです。音の洪水に窒息寸前になった頃にサックスがクールダウンしてくれるアレンジにも脱帽。以前にも書きましたがコンテンポラリー系の期待の若手であることを再認識させてくれます。もちろんアルバム中いちばんのキラーチューンです。リズム隊もよろし。
#3「Astro」はWaldorffのリリカルなソロで始まるバラード。サックスとのユニゾンでしっとり歌いあげる美しい曲です。若いのに渋いところをツいてきます。中間のソロはため息が出るほどの美しさです。ちょうど70年代後半のJohn Abercrombieに通じる嘆美性を秘めていると言ったら褒めすぎでしょうか。
全体としてはやや大人しめの感もあるのですが、それもWaldorff自身の「成長分」と解釈することもできますね。ハードな展開を期待する人にはあまりお勧めしませんが、個人的に追いかけている立場としては、また新味を聴かせてくれたという意味で「◎」です♪
●Musicians
Torben Waldorff / guitar,guitar-synthe
Donny McCaslin / sax
Matt Clohesy / bass
Jon Wikan / drums
●Numbers
1. Alice
2. Jurotrash
3. Astro
4. Seen From Above
5. Jeep
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