オランダの至宝The Gatheringの3rd「Mandylion」
Musician●The Gathering
Title●Mandylion(1995年)
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こう暑い日が続くとどうしても「ECM」的な癒し系の音楽ばかり聴いてしまうのですが、体調次第によってはメタル系もいいかもしれません。暑い時にあえてラーメンを食べる感覚です。というわけで数年ぶりにヘビロテ状態で聴き直している「ゴシックメタル」ネタです。
風車とチューリップの国、オランダはどういうわけかゴシックメタルの実力派バンドを多数輩出しているのですが、なかでも絶対王者的存在と言えるのが「The Gathering」です。彼らは1st、2ndとドゥーミィー寄りのデスメタルバンドで男性ボーカルで陰鬱なサウンドを出していました。可も不可もない凡庸な作風ゆえに当然、鳴かず飛ばず状態でしたが、この「Mandylion」から天才ボーカリストAnneke Van Giersbergen(アネク・ヴァン・ガースヴァーゲン)が加入することによって「フィメール系ゴシックメタルバンド」へと一大転換を果たします。簡単にいうとギターはシンプルかつソリッドに、リズム隊は力強く、ボーカルはアネク一本に、楽曲は明快に、という塩梅です。
ふつう「フィメール系ゴシックメタル」というと男性ファンを引きつけるためか紅一点の女性ボーカルはか細さと可憐さが売り物で、ビジュアル的には美形を連れてくることが通例です。そして男性デス声と女性エンジェリックボーカルとの対比を見せることで「美醜」のせめぎあいで聴かせる、というがパターン。しかし、このアネク嬢は身体は比較的太め、歌も可憐さとはほど遠い野太さとパワーが特徴。少なくとも外見だけでファンになる人はあまりいないと思われます。しかも男メンバーに伍して力強いヘドバンを敢行することをいといません。
若干ハスっぽい感じでありながらどこまでも伸びていく凄まじいほどの歌唱力の持ち主。個人的には欧州ではナンバー1ではないかと思っています。そんなアネク嬢に対してデス声の中途半端な補助などは一切不要なわけです。しかも、それが「The Gathering」の唯一無比の武器になっています。
「The Gathering」は続く「Nighttime Birds」(1997年)で自らのサウンドを完全に確立します。
●Musicians
Anneke Van Giersbergen / vocal
Frank Boeijen / synthesizer
Hugo Prinsen Geerligs / bass
Hans Rutten / drums
Rene Rutten / guitar
Jelmer Wiersma / guitar
●Numbers
[CD 1]
1. Strange Machines
2. Eleanor
3. In Motion #1
4. Leaves
5. Fear the Sea
6. Mandylion
7. Sand & Mercury
8. In Motion #2
[CD 2]
1. In Motion #1*
2. Mandylion*
3. Solar Glider (Instrumental)*
4. Eleanor**
5. In Motion #2**
6. Third Chance**
7. Fear the Sea**
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