テリリンのガチンコ勝負「Structure」
Musician●Terri Lyne Carrington(drums)
Title●Structure(2003年)
■Amazon USAより購入
昨年の「東京ジャズ2010」では女性ミュージシャンばかりを起用した「モザイク・プロジェクト」のバンドリーダーとして圧巻の存在感を見せてくれた女性打楽器奏者Terri Lyne Carrington(テリ・リン・キャリントン)。ドラム奏者としての実力はもちろん優れたボーカリストとしても知られています。同じ女性打楽器奏者Cindy Blackmanと並んで、これからのジャズシーンを牽引してくれる存在であることに違いありません。
このアルバムは2003年11月録音で良質なジャズ作品を送り出しているACTレーベルからリリースされています。メンバーはTerri Lyne Carrington(drums、percussion、vocal)、Adam Rogers(guitar)、Jimmy Haslip(bass)、Greg Osby(alto-sax)のカルテット構成。ギターのAdam Rogersは元「Lost Tribe」の中心メンバー、Jimmy HaslipはAllan Holdsworthとの共演もある腕達者ばかりですね。
全体としては、NYを代表する先進的ジャズという感じで、トーンとしては今回ギタリストとして参加しているAdam Rogersが在籍していた「Lost Tribe」にかなり似ています。躍動するリズム、尖がったギターソロ、フリーキーなサックスのブロウ……。特にギターのAdam Rogersは珍しく弾きに弾きまくっていて、随所で超絶技巧を発揮しています。テリリンがボーカルを披露する唯一の曲#3「Ethiopia」は女帝Joni Mitchellの曲です。抑揚を抑えたテリリンのボーカルが何といっても素晴らしい!#4「The Invisible」はAdam Rogersの曲ですがRogersのリーダーアルバムにも収録されていますね。
生半可で軟弱なジャズロックシーンに飽き飽きしている状況にあって、久しぶりに「硬派で良質な作品」に出会えた感じがします。Terri Lyne CarringtonはNguyen Leのジミヘントリビュートアルバムにも参加していますが、こちらも強力推薦です♪
動画は「モザイク・プロジェクト」です。エスペランサが出ていますね。
●Musicians
Terri Lyne Carrington / drums,percussion,vocal
Adam Rogers / guitar
Jimmy Haslip / bass
Creg Osby / alto-sax
●Numbers
1. Mindful Intent
2. Black Halo
3. Ethiopia
4. The Invisible
5. Spiral
6. Facets Squared
7. Solace
8. Fire
9. Omega
10. Columbus, Ohio
« Sean Waylandの痛快作「Pistachio 2」 | トップページ | 奇天烈音楽館・別館の開館です♪ »
「ジャズ・フュージョン」カテゴリの記事
- Tree / Love & Logic(1999年)(2016.09.18)
- Billy Childs / I've Known Rivers(1995年)(2016.09.04)
- Gust William Tsilis / Heritage(1992年)(2016.08.11)
- Huong Thanh / Fragile Beauty(2007年)(2016.07.17)
- Gary Willis / Bent(1998年)(2016.05.21)
コメント
« Sean Waylandの痛快作「Pistachio 2」 | トップページ | 奇天烈音楽館・別館の開館です♪ »
ご無沙汰しております。
久しぶりに書き込みさせていただきます。
ベースのタル嬢はまだまだ「しよっこ」という感がありますが…
テリ・リン・キャリントンは女流という点を差し引いても、ワールドクラスの第一線級のDrプレイヤーですね。
美点は、シャープな切れの良さと、洗練されセンス溢れる小技が冴えている点ではないでしょうか。
ヘビー級のデニチェンとは対極的なポジションにいるプレイヤーかと思います。
この盤の楽曲には、かなりアブストラクトなものも含まれており、硬派なジャズの佳作だと思います。
ジョンスコの「Flat Out」あたりで初めて、テリ存在を知りました。
その後、プロ並みのアマDrの友人より高い評価を聞き及んで、テリの参加盤は極力漁盤する様にしています。
私的には、今となっては旧世代?のSax奏者Gary Thomas の「Till We Have Faces」中の"Lament"でのテリのプレイが一番好きです。
ちなみに、この盤にはメセニーも参加しており、Lamantでは敢えてスポンティーニアスな演奏をするために、譜面(コード進行)を見ず、耳と感覚のみで演奏している(という都市伝説?がありますが…)らしいです。
スタンダードを弾くメセニーのパフォーマンスの中では、突出して素晴らしい1曲だと思います。
私的にはメセニーはまっとうなジャズギタリストではないと認識してますが、この曲でのジャズ魂を体現した様な演奏には敬意を感じます。
ではでは
投稿: betta taro | 2011年8月14日 (日) 10時32分
betta taroさま
コメントありがとうございます。
この盤は正直申しましてAdam Rogers目当てで買いましたが、
テリリンさんという新たな発見に出会えた盤であります。
Nguyen Leの作品での客演といい、侮れない存在ですね。
投稿: 奇天烈音楽士 | 2011年8月23日 (火) 01時44分