スウェーデンの鍵盤楽器奏者Mggi Olin「Land Of Me」
Musician●Maggi Olin(piano,keyboards)
Title●Land Of Me(1996年)
■CD Babyより購入
スウェーデン出身の鍵盤楽器奏者Maggi Olin(マギ・オリン)のリーダー作です。彼女は日本ではあまり知られていないようですが、北欧コンテンポラリー系ジャズでは結構な重要人物であり、リーダー作はもちろん多くの若手ミュージシャンのプロデュースを手がけるなど、いわば「姉御的存在」でもあります。系譜としてはBill Evansの流れを汲む清涼感あふれる透明性とリリシズズムが売り物ですが、適度にポップな味わいが加わることで、とっつきやすい作風です。参加メンバーはHans Ulrik(sax)、Hans Anderson(bass)、P.A.Tollbom(drums)、Torben Waldolff(guitar)というもろに北欧人脈です。本人は1988年にバークリー音楽院卒業とありますので、年齢的には中堅という感じでしょうか。地元ではマリア・シュナイザーと共演したり、女性ジャズミュージシャンだけで開催されたフェスティバルなどを主催しています。サックス奏者のHans Ulrikはスウェーデン出身の鍵盤楽器奏者Lars JanssonとJohn Abercrombieとの共演作に参加しています。
当欄の注目点はどうしてもギターに偏ってしまうのですが、デンマーク出身のTorben Waldolffのギターがなんと言っても鮮烈なイメージを残しています。今回は3曲のみ参加ですが、相変わらず密集度が尋常でないソロワークでグイグイと引っ張ります。
#2「Family Talk」はアメリカンカルテット時代のキース・ジャレットを思い出すような曲。リズム隊が大変強力です。曲途中からWaldolffの息の長いソロが延々と続きますが、やはり尋常でないほどの饒舌さ。Pat Methenyをよりアグレッシヴにした感じとでも言いましょうか。#6「Evicted」はややファック色が感じられるアップテンポな曲。Hans UlrikとWaldorffとの掛け合いが実に攻撃的です。そしてWaldorffによる相変わらずの窒息寸前の高密集ソロ。#8「Working Child」はダンサブルな曲ですが、ここでもWaldorffのギターが冴えわたっています。この人、基本はジャズなんですが適度にロックやプログレ的な雰囲気もちょいちょい入れてくるんですよね。「コンテンポラリー系ジャズギターの進化型」と個人的にはとらえています。Hans Ulrikがソプラノサックスを操りますが、なぜかハービー・マン的です。
●Musicians
Maggi Olin / piano
Hans Ulrik / sax
Hans Anderson / bass
P.A.Tollbom / drums
Torben Waldolff / guitar on #2 #6 #8
●Numbers
1. Landofme
2. Famly Talk
3. Sommaleika
4. Flowers
5. Dockedans
6. Evicted
7. Subnotic
8. Working Child
9. Loudscreamer
10. People In Sea
11. Falling
12. Bohem
« オランダの至宝The Gatheringの3rd「Mandylion」 | トップページ | Sean Waylandの痛快作「Pistachio 2」 »
「ジャズピアノ」カテゴリの記事
- Michel Reis / Hidden Meaning(2012年)(2016.08.13)
- Richard Beirach / Elm(1979年)(2016.06.05)
- Joanne Brackeen / AFT (1977年)(2016.05.14)
- 上原ひろみ / Spark(2016年)(2016.02.14)
- RANDY INRAM / Sky/Lift(2014年)(2016.01.01)
« オランダの至宝The Gatheringの3rd「Mandylion」 | トップページ | Sean Waylandの痛快作「Pistachio 2」 »
コメント