インド人ギタリストPrasannaを擁した変則トリオ「Raga Bop Trio」
Musician●Raga Bop Trio
Title●Raga Pop Trio(2010年)
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いわずと知れた名ドラマーSteve Smith(スティーヴ・スミス)が中心になって結成された「Raga Bop Trio」による作品です。Steve Smithといえばジャーニーを皮切りにScott Henderson、Allan Holdsworthなどの名ギタリストとの共演でも知られていますね。この「Raga Bop Trio」結成の経緯はよくわからないのですが、ギターにインド出身の超絶ギタリストPrasanna(プラサンナ)、サックスにGeorge Brooks(ジョージ・ブルックス)というベースレスの変則トリオ構成になっています。このあたりから奇天烈音楽の臭いが立ちこめています♪
このトリオによるサウンドは何とも形容しがたいのですが、インド人Prasannaの影響力が大きいためか「オリエンタル&ジャズファンク」という感じとでも表現しましょうか。冒頭の#1「Tug of War」からいきなり全開モードで凄まじい超絶技巧が響きわたります。難解なフレーズをいとも簡単に弾きこなしてしまうPrasannaには吃驚!いままでさまざまなギタリストを耳にしてきましたが、どのタイプにも当てはまらない怪物級です。一言でいうとシタール的なフレーズをジャズギター風に置き換えつつ、それを高速回転で弾きこなすという実にやっかいな存在。それでいてたまに常識にかなったリリカルなソロも弾くわけで、まったくつかみどころがわかりません。とにかく引き出しが多そうなプレイヤーです。
#4「Ironically」はそのPrasannaの作品ですが、曲途中からはおそらく彼自身のボーカルによる「インド風ラップ」が全開。ただでさえ怪しい楽曲にさらに激辛風アレンジが施されます。#6「The Geometry of Rap」にも「インド風ラップ」が再び登場。George Brooksのサックスが怪しいフレーズを奏でPrasannaが奇天烈なヴォイシングで不安感を煽るなか、妙に元気なラップが続くという妙な曲に仕上がっています。
これまでさまざまな音楽を聴いてきて、多少変てこりんなものでも受け入れる度量じみたものは身につけてきたつもりです。しかし、このトリオは楽曲・技量ともすべてが規格外です。それでいて、もう一度聴きたくなる合法麻薬のような魔力を秘めています。こんな変な音源ってどこから出ているのかな?と思ったら「Abstract Logix」でした。納得。
末筆になりましたが、この素晴らしいトリオをご紹介いただいたブログ仲間のbetta taroさんにお礼申し上げます。
●Musicians
Steve Smith / drums
George Brooks / sax
Prasanna / guitar
●Numbers
1. Tug Of War
2. Miss Oma
3. Love And Hunger
4. Ironically
5. Garuda
6. The Geometry Of Rap
7. Moonlanding
8. Dubai Dance
9. Katyayini
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