若手テクニシャンの企画ユニット「J.A.M.」
Musician●J.A.M.
Title●J.A.M.(2004年)
■メーカーサイトより購入
いまは自然消滅してしまった(と思われる)テクニカル系ギタリストの殿堂「Liquid Note Record」が若手ギタリスト3人を集めて制作した企画アルバムです。アルバムタイトルでもありユニット名でもある「J.A.M.」はJoel Rivard、Alessandro Benvenuti、Milan Polakの頭文字をとったものです。ありがちといえばありがちですが。3人ともリーダー作を数枚ずつリリースしていますが、いかんせん「知る人ぞ知る」という感じだけは確かなようです。もちろん、ギター好きにとってはお馴染みのメンツばかりですが。
#1 The Usual Unusual
オーストリア出身のMilan Polakの曲です。最近のPolakはあまりチェックしていないのですが、ある時期からマッチョに目覚めたようでただでさえ厳つい顔立ちに加えて上半身裸になって入れ墨を見せびらかしています。しかも、最近はボーカルまで披露しています。ちょっと違うと思うんだけどな~。外見イメージと同様、野太い弾丸フレーズが持ち味です。
2003年に40歳で夭折したShawn Laneに捧げた曲で、3者が交代でソロをとる形です。スウェーデン出身の鍵盤楽器奏者、Lalle Larssonが加わっていますが、これは同じレーベルメイトからということだと思われます。いきなり火の出るようなギターバトルが堪能できます。
#2 Sides Of The Same Trouble
イタリアのGreg HoweフォロワーAlessandro Benvenutiの曲。Benvenutiのリーダー作はわずか1枚だったと思います。ここでもHoweフォロワーぶりをいかんなく発揮しています。ここでもBenvenuti→Milan→Rivardの順番で凄まじいソロを披露。バックはイタリア人で固めています。
#3 Lydian Field
Joel Rivardの曲。Rivardのアルバムは確か2枚ほど所有しているはずですが、現状行方不明という情けなさ。どちらかというと癖が少ない「正統派」というイメージです。古きよきシュラプネル系ギタリストという感じです。弾き倒すというより聴かせるタイプのプレイヤーですね。ハードでスピーディーな楽曲が多い中、比較的静的なポップサウンドを披露しています。Rivard→Benvenuti→Polakの順でソロを披露。
#4 Hot Room
Benvenutinoの曲。Allan Holdsworthに捧げた曲だとか。確かに曲の入り方は「らしいキーボード」から入ってきます。ジャズっぽいアレンジもそう。アームを駆使したソロも確かにHoldsworthを意識していますが、やはりGreg Howeフォロワーの血は争えません。途中からふと我に返ったのでしょう。師匠への忠誠心をしっかりと表明するソロも披露しています。ここでもLalle Larssonが参加しています。Benvenuti→Rivard→Polakの順ですが、Polakのジャジーなソロはやや聴き取りにくいのが難点。
#5 Back On The Track
Polakの曲。グルーヴ感を意識したそうです。骨太なPolakのソロは圧倒的な存在感でグイグイと迫ってきます。Polak→Rivard→Benvenutiの順でソロ。おまけ的にジミヘンを意識したというアウトロがついてきます。それにしてもPolakの「オラオラ系」のソロは圧巻の一語です!
#6 Transcendence
Rivardの曲です。何となく春っぽい感じの曲です。Rivard→Benvenuti→Milanの順でソロを展開。
#7 S.L.O.W.
Benvenutiの曲です。Marzia Palisiという女性ボーカルが幻想的な雰囲気を盛り上げています。イントロが何となくRainbowの「スターゲート」を思い出させます。BenvenutiのソロはGreg Howeフォロワーの面目躍如といった感じです。Rivardは相変わらず「不思議ちゃんキャラ」丸だし。
#8 Perfect Angel
Polakの曲です。ちょっとだけGary Mooreを思い起こすソロで始まるバラード。Polakがこんな泣きのフレーズを連発するとは意外といえば意外。Benvenutiは若干ジャジーな雰囲気で迫ってきます。こんなプレイもするんですね。ちょっと空振りの感もしますが。
#9 General Relativity Jam
ラストはRivardの曲。やたらアップテンポでご機嫌な曲。Jamのタイトル通り、3人が思う存分弾きまくって大団円。
考えてみればAllan HoldsworthとFrank Gambaleが組んだ「MVPシリーズ」からこの手のギターアルバムはあるわけですが、ギター好きにとっては目の前に大好物のてんこ盛りという感じで文句なしに楽しめます♪
●Musicians
Joel Rivard / guitar
Alessandro Benvenuti / guitar
Milan Polak / guitar
Lalle Larsson / keyboards
etc,
●Numbers
1. The Usual Unusual
2. Sides Of The Same Trouble
3. Lydian Field
4. Hot Room
5. Back On The Track
6. Transcendence
7. S.L.O.W.
8. Perfect Angel
9. General Relativity Jam
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