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2011年7月

2011年7月31日 (日)

テクニカル系ギタリストオールスター大会「Abstract Logix Live 2010」

R0010841
Mucisian●Various Musicians
Title●Abstract Logix Live 2010(2011年)
■Amazonより購入


ジャズフュージョン専門の通販サイトで近年では自らレーベルを立ち上げて良質な作品をリリースしている「Abstract Logix」。個人的にも大変お世話になっています。最近では大御所John McLaughlinの作品を手がけるなど充実一途という感じですね。

そんな「Abstract Logix」が「New Universe Music Festival」と称するライブを開催しました。2010年11月20日、21日アメリカのノースカロライナでのライブ音源です。当レーベルの勢いを示すかのようにとにかく参加メンバーが豪華絢爛です。

Alex Machacek/Neal Fountain/Jeff Sipe

Ranjit Barot/Bala Bhaskar

Scott Kinsey/Matthew Garrison/Arto Tuncboyaciyan/Ranjit Barot

Jimmy Herring/Neal Fountain/Matt Slocum/Jeff Sipe

Wayne Krantz/Anthony Jackson/Cliff Almond

Lenny White/Jimmy Herring/Tom Guarna/Richie Goods/Vince Evans

John McLaughlin/Etienne Mbappe/Gary Husband/Mark Mondesir

という取り合わせです。まさに現代ジャズフュージョンの重要メンバーのオールスター大会であるといっても過言ではないでしょう。というわけで気になるナンバーをいくつか。

[CD 1]
#1  Strafe
#2  Very Sad

「Abstract」の秘蔵っ子とも言えるAlex Machacek(アレックス・マカチェク)のユニットです。ついこの間には「新生UK」のメンバーとして来日を果たしています。Allan Holdsworthの後継者と目されて久しい彼ですが、その名に恥じない暴れぶりです。スタジオ盤だとどうしても作り込んだ感じになってしまうのですが、ライブならではの適度な緊張感といい意味でのラフさが溜まりません。もちろんMachacekは弾きに弾きまくっています。打楽器がJeff Sipeというのが肝ですね。

[CD 2]
#4  Recovery
#5  Mother Tongues

2日間にわたったライブのトリを務めたのは大御所John McLaughlin(ジョン・マクラフリン)。さすがの安定感で年齢をまったく感じさせない凄まじいソロの連発にはただただ驚くばかりです。定番「Mother Tongues」ではZakir Hussainがスペシャルゲストとして参加しタブラの連打で締めくくります。圧巻という言葉しか思いつかないほどの熱演です。

ほかWayne Krantzなども相変わらずのキレキレフレーズを聴かせてくれているのですが、最後に大御所がおいしいところを全部さらってしまった感がします。CD2枚というボリュームの割に値段はリーズナブル(約1500円)だったこともあり、大変な満足感です♪

こんな素晴らしいライブ、映像化はないのかなと思っていたらどうやら9月にDVDが出るようです。CD先行リリース→DVD化作戦に見事に引っかかってしまったわけですが、内容が良ければ一向にかまいません。当然、DVDも購入予定です。

●Numbers
[CD 1]
1.  Strafe
2.  Very Sad
  Alex Machacek / guitar
  Neal Fountain / bass
  Jeff Sipe / drums
3.  Vignesh Kirtanam
  Ranjit Barot / drums
  Bala Bhaskar / violin
4.  Origin 
  Scott Kinsey / keyboard
  Matthew Garrison / bass
  Arto Tuncboyaciyan / percussion,voice
  Ranjit Barot / drums,voice
  Wayne Krantz / guitar
5.  Essaouira
6.  Sometimes I
  Scott Kinsey / keyboard
  Matthew Garrison / bass
  Arto Tuncboyaciyan / percussion,voice
  Ranjit Barot / drums,voice
7.  Rainbow
8.  Gray Day
9.  Within You Without You
  Jimmy Herring  / guitar
  Neal Fountain / bass
  Matt Slocum  / keyboard
  Jeff Sipe / drums

[CD 2]
1.  Why
  Wayne Krantz / guitar
  Anthony Jackson / bass
  Cliff Almond / drums
2.  Door #3
3.  Gazelle
  Lenny White / drums
  Jimmy Herring / guitar
  Tom Guarna / guitar
  Richie Goods / bass
  Vince Evans / keyboard
4.  Recovery
  John McLaughlin / guitar
  Etienne Mbappe / bass
  Gary Husband / keyboard,drums
  Mark Mondesir / drums
5.  Mother Tongues
  John McLaughlin / guitar
  Etienne Mbappe / bass
  Gary Husband / keyboard,drums
  Mark Mondesir / drums
  Zakir Hussain / tabla

R0010842


2011年7月30日 (土)

Tunnels / Progressivity(2002年)

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Musician●Tunnels
Title●Progressivity(2002年)
■Amazonより購入


ジャズロックバンド「Brand X」の創設メンバーでフレットレスベース奏者Percy Jonesが率いる「Tunnels」の3rdです。2002年リリース。

Percy Jonesに関してなにをいまさら語ることもあろうかと思いますが「元祖変態ベース奏者」の第一人者として、確信をもって世に送り出した作品だけに、硬質極まりないジャズロックを聴くことができます。今回は「Brand X」時代の盟友John Goodsallが3曲ゲスト参加しています。ヴァイブ奏者のMarc Wagnonが繰り出すへんてこりんなフレーズと地鳴りのように五臓六腑を刺激しまくるPercy Jones、相変わらずFrank Katzのドラミングも確かです。

とにかくフレーズが変。
パッセージが滅茶苦茶速い。
楽曲自体が変。

「変」尽くしもここまで徹底してくれると嬉しくなりますね。ここまで徹底的に頑固なオヤジどもに拍手喝采です。「Tunnels With Percy Jones」「Painted Rock」の前2作に比べるとややアブストラクトになった印象を受けます。ということは、またしても変態度アップということで、当欄としてはまさしく大歓迎のアルバムです。

#2  Wall to Wall Sunshine
Goodsallの泣きのギターで始まるヘヴィーなジャズロック。ゲスト参加のヴァイオリン奏者Mark Feldmanはジャズ畑でも活躍するミュージシャンでJohn Abercrombieの作品にも顔を出していますね。GoodsallのギターはBrand X時代とはひと味もふた味も趣が違っていてひたすらマイナーなフレーズを連発する暗黒モード。地を這うようなJonesのベースが下から突き上げてきます。最後はGoodsallとFeldmanとの掛け合いで盛り上がりますが、往年のマハヴィシュヌ・オーケストラを思い出しました。

#6  7,584,333,440 Miles Away
12分にも及ぶ壮大な音のバトルです。極端にエフェクトが効いたGoodsallのブルースギターとMarc Wagnonと鍵盤が怪しく絡み合う奇怪な曲。ややダルな感じの両者のせめぎあいに業を煮やしたJonesが途中から乱入してくると曲は一転してフリージャズへ。Frank Katzの乱打によってさらに混沌とした展開へとなります。相変わらずJonesのベースは変てこりんです。

#8  Fusionauts
一見するとダンサブルな感じの曲ですが、その実、展開されるのは超絶技巧の応酬。一切の無駄を排したワザとワザのせめぎあいが超絶技巧好きの涙腺を刺激しまくります。

●Musicians
Percy Jones / frettless bass
Marc Wagnon / midi vibes
Frank Katz / drums

John Goodsall / guitar on Wall to Wall Sunshine,7,584,333,440 Miles Away,Fusionauts
Mark Feldman / violin on Wall to Wall Sunshine,Frank's Beard,Progressivity,Some Things Must Last

●Numbers
1.  Syzygy Incident
2.  Wall to Wall Sunshine
3.  Frank's Beard
4.  Diabollocks
5.  Progressivity
6.  7,584,333,440 Miles Away
7.  Some Things Must Last
8.  Fusionauts
9.  Orfeo's Demon
10. High Tea at 49th and 10th

R0010799


2011年7月29日 (金)

北欧と東南アジアの土着的融合Krakatau「Matinale」

R0010794
Musician●Krakatau
Title●Matinale(1993年)
■Amazon USAより購入


ドイツの「ECM」というと透明感とリリシズムあふれる癒し系音楽を想像される人が圧倒的だと思います。しかしECMの創設者、マンフレード・アイヒャー氏がレーベル設立時当初にめざしたところは、音楽ジャンルにとらわれない自由性に満ちた音楽活動とその作品の流通でした。

フィンランド出身のフリー系&爆裂系ギタリストRaoul Bjorkenheim(ラオル・ビョーケンヘイム)はさまざまな意欲作をリリースしていますが、この「Krakatau」(クラカタウ)も活動の一部です。Krakatauとははインドネシアの火山島の総称ですが、このアルバムで展開される奇妙奇天烈を極める音楽がもつ爆発力も、まさに火山級。おそらく北欧に伝わる土着的音楽をベースに、東南アジア的な要素を加えたうえで、形容しがたいリズムとメロディーが混沌と続きます。

ならばたとえばインドネシアの「ケチャ」に近いかというと、ケチャほど予定調和的に精錬されておらず、聴く者の勝手な解釈をことごとく裏切ってきます。まさにフリーといえばフリーなのですが、一般的なECMのイメージとは真逆のイメージだと言えます。したがって、ECM的なものを期待する人は避けていただいたほうがいいでしょう。作風としてはKrakatauの1st「Volition」をさらにアグレッシヴにした感じで、特にサックス奏者が加わることで音の厚みと破壊力が増しています。

●Musicians
Raoul Bjorkenheim / guitars,bass recorder,gong
Jone Takamaki / tenor,alto,soprano and bass saxophones,krakaphone,reed flute,wooden flute,bell
Uffe Krokfors / double-bass,percussion
Ippe Kartka / drums,gongs,percussion

●Numbers
1.  Matinale
2.  Unseen Sea Scene
3.  Jai-Ping
4.  Rural
5.  For Bernard Moore
6.  Sarajevo
7.  Suhka
8.  Raging Thirst

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2011年7月24日 (日)

若手テクニシャンの企画ユニット「J.A.M.」

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Musician●J.A.M.
Title●J.A.M.(2004年)
■メーカーサイトより購入


いまは自然消滅してしまった(と思われる)テクニカル系ギタリストの殿堂「Liquid Note Record」が若手ギタリスト3人を集めて制作した企画アルバムです。アルバムタイトルでもありユニット名でもある「J.A.M.」はJoel Rivard、Alessandro Benvenuti、Milan Polakの頭文字をとったものです。ありがちといえばありがちですが。3人ともリーダー作を数枚ずつリリースしていますが、いかんせん「知る人ぞ知る」という感じだけは確かなようです。もちろん、ギター好きにとってはお馴染みのメンツばかりですが。

#1  The Usual Unusual
オーストリア出身のMilan Polakの曲です。最近のPolakはあまりチェックしていないのですが、ある時期からマッチョに目覚めたようでただでさえ厳つい顔立ちに加えて上半身裸になって入れ墨を見せびらかしています。しかも、最近はボーカルまで披露しています。ちょっと違うと思うんだけどな~。外見イメージと同様、野太い弾丸フレーズが持ち味です。
2003年に40歳で夭折したShawn Laneに捧げた曲で、3者が交代でソロをとる形です。スウェーデン出身の鍵盤楽器奏者、Lalle Larssonが加わっていますが、これは同じレーベルメイトからということだと思われます。いきなり火の出るようなギターバトルが堪能できます。

#2  Sides Of The Same Trouble
イタリアのGreg HoweフォロワーAlessandro Benvenutiの曲。Benvenutiのリーダー作はわずか1枚だったと思います。ここでもHoweフォロワーぶりをいかんなく発揮しています。ここでもBenvenuti→Milan→Rivardの順番で凄まじいソロを披露。バックはイタリア人で固めています。

#3  Lydian Field

Joel Rivardの曲。Rivardのアルバムは確か2枚ほど所有しているはずですが、現状行方不明という情けなさ。どちらかというと癖が少ない「正統派」というイメージです。古きよきシュラプネル系ギタリストという感じです。弾き倒すというより聴かせるタイプのプレイヤーですね。ハードでスピーディーな楽曲が多い中、比較的静的なポップサウンドを披露しています。Rivard→Benvenuti→Polakの順でソロを披露。

#4  Hot Room
Benvenutinoの曲。Allan Holdsworthに捧げた曲だとか。確かに曲の入り方は「らしいキーボード」から入ってきます。ジャズっぽいアレンジもそう。アームを駆使したソロも確かにHoldsworthを意識していますが、やはりGreg Howeフォロワーの血は争えません。途中からふと我に返ったのでしょう。師匠への忠誠心をしっかりと表明するソロも披露しています。ここでもLalle Larssonが参加しています。Benvenuti→Rivard→Polakの順ですが、Polakのジャジーなソロはやや聴き取りにくいのが難点。

#5  Back On The Track
Polakの曲。グルーヴ感を意識したそうです。骨太なPolakのソロは圧倒的な存在感でグイグイと迫ってきます。Polak→Rivard→Benvenutiの順でソロ。おまけ的にジミヘンを意識したというアウトロがついてきます。それにしてもPolakの「オラオラ系」のソロは圧巻の一語です!

#6  Transcendence
Rivardの曲です。何となく春っぽい感じの曲です。Rivard→Benvenuti→Milanの順でソロを展開。

#7  S.L.O.W.
Benvenutiの曲です。Marzia Palisiという女性ボーカルが幻想的な雰囲気を盛り上げています。イントロが何となくRainbowの「スターゲート」を思い出させます。BenvenutiのソロはGreg Howeフォロワーの面目躍如といった感じです。Rivardは相変わらず「不思議ちゃんキャラ」丸だし。

#8  Perfect Angel
Polakの曲です。ちょっとだけGary Mooreを思い起こすソロで始まるバラード。Polakがこんな泣きのフレーズを連発するとは意外といえば意外。Benvenutiは若干ジャジーな雰囲気で迫ってきます。こんなプレイもするんですね。ちょっと空振りの感もしますが。

#9  General Relativity Jam
ラストはRivardの曲。やたらアップテンポでご機嫌な曲。Jamのタイトル通り、3人が思う存分弾きまくって大団円。

考えてみればAllan HoldsworthとFrank Gambaleが組んだ「MVPシリーズ」からこの手のギターアルバムはあるわけですが、ギター好きにとっては目の前に大好物のてんこ盛りという感じで文句なしに楽しめます♪



●Musicians
Joel Rivard / guitar
Alessandro Benvenuti / guitar
Milan Polak / guitar

Lalle Larsson / keyboards
etc,

●Numbers
1.  The Usual Unusual
2.  Sides Of The Same Trouble
3.  Lydian Field
4.  Hot Room
5.  Back On The Track
6.  Transcendence
7.  S.L.O.W.
8.  Perfect Angel
9.  General Relativity Jam

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2011年7月23日 (土)

Greg Howeの愛弟子Prashant Aswaniの新作「Sonically Speaking」

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Musician●Prashant Aswani(guitar)
Title●Sonically Speaking(2009年)
■Guitar Nineより購入


テクニカル系ギタリストGreg Howeのフォロワー、Prashant Aswani(プラシャント・アスワーニ)による久々の作品です。2009年リリース。確か前2作は90年代のリリースだったと思われます。この手の音楽の需要はそれほど多いとは思いませんし、ただでさえ狭いマーケットなのにこんな寡作で生計が成り立つのかと他人事ながら心配になります。多くのミュージシャンはギタークリニックの講師を務めるなどして小銭を稼いでいるようですね。どちらにしてもあまりリッチではないことは確かだと思います。

前2作では「師匠」であるGreg Howeの全面的なサポートもあっていかにも「Greg Howeフォロワー」っぽい作風でしたが、どうやら今回は師匠はまったくノータッチのようです。その代わり1曲のみBrett Garsedが参加しています。気になるのは「Special Thanksコーナー」を見るとイタリア出身のテクニカル系ギタリスト、Alessandro Benvenutiの名前があるのですが彼がどういう関わり方をしたのかは全く不明です。

さて、肝心の作風ですがいい意味でも悪い意味でも「師匠からの呪縛」から解放されたと言えるかもしれません。#1「Stephanie」はこれまでのAswaniからは想像できないスローな曲。やや内省的でダルな感じの曲調からは師匠からの脱却宣言とも言える決意じみたものを感じます。

#2「Drive」はBrett Garsedの参加曲。ミドルテンポの曲で1stソロをGarsedが担当。Garsedの相変わらずの流麗なソロワークにはため息が出ます。Aswaniも負けじと対抗しますが、完全にギターが絡み合う場面はないので別録音かと思われます。気がつけばGarsedに触発されたのか、AswaniのGreg Howeフォロワー指数が急に高まっています。昔とった杵柄というやつでしょうか。

#3「Make It 14」ではこれまで抑え気味だったフォロワー指数が完全にピークを振り切ります。何だよと思うか、ホッとするかは聴くの自由ですが、当欄としては完全に後者の立場です。師匠への熱い思いのたけを込めた凄まじいソロは絶品です。個人的にはアルバム中のベストチューンです。

というわけで、我に返って気がついたら「Greg Howeフォロワー」に逆戻りしてしまうのですが、それがもって生まれた作風ならば無理して抑えることもないのにな、というのが正直な感想です。もちろんテクニカル系ギターが好きな方は存分に楽しめること請け合いです♪



●Musicians
Prashant Aswani / guitar
Rhonda Smith / bass
Joey Heredia / drums
Abijhit Barerjee / tabla

Brett Garsed / guitar on Drive
Rob Caggiano / guitar on Pure Of Heart

●Numbers
1.  Stephanie
2.  Drive
3.  Make It 14
4.  11 Miles
5.  5 AM
6.  Pardon Me
7.  Narrow Path
8.  Rain
9.  Shades Of Gray
10. Pure Of Heart

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2011年7月22日 (金)

Bruce Bartlettの2nd「Nasty Habits」

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Musician●Bruce Bartlett(guitar)
Title●Nasty Habits(1999年)
■メーカーサイトより購入


ボストンを中心に活躍するジャズフュージョン系ギタリストBruce Bartlettの2ndです。1999年リリース。1st「Free For A Price」からわずか1年後のリリースですから、この手のミュージシャンとしては異例の早さです。10年ぶりの「新作」なんていうのは、この業界では当たり前のローテーションですからね。それだけ1stが好評を博したのではないでしょうか。

さて、1stでも触れたようにBartlettはボストン・バークリー音楽院のギター科の講師を15年以上も務めたキャリアをもつだけにギターの腕前はスコブル付きの巧さです。ジャスフュージョンといっても若干ブルース寄りのフレージングと明快なサウンドはハードフュージョンギターの王道を歩んでいます。中低音に独特な味わいがある伸びのあるナチュラルトーンにはゾッとするほどの色気を感じさせます。なるほど「Musician's Musician」とプロギタリストの間で絶賛されるのも当然という素晴らしいソロの連発です。参加メンバーは前作に引き続きAllan Holdsworthとの競演で知られる鍵盤楽器奏者Steve Hunt、ベースにSteve SmithのVital Informationで活躍したBaron Browneが参加。楽曲はすべてBartlettのオリジナルです。

こんな素晴らしいプレイヤーなのに、「知る人ぞ知る存在」に甘んじていることが残念でなりません。リアルCDも一昨年あたり前までは自身のサイトから直接購入できたのですが、いまはデジタル音源をダウンロードするしか方法がありません(決済はPay Palのアカウントが必要です)。

全世界的にリアルCDの売り上げが落ち込み続けている状況で、こうしたデジタル音源での配信に頼るというのも仕方がないのかもしれません。では、デジタル配信がリアルCDに完全にとって代わっているかというと、実はそれは大きな誤解で、デジタル音源の売り上げも下降傾向にあるとか。これでは多くの人達の鑑賞に堪えうる「音楽」が減ってきているという証になってしまいます。つまり音楽業界全体が萎んでいるのです。リアルCDも売れない→デジタル配信も下降気味→ミュージシャンが経済的に潤わない→良質な音楽が生まれる可能性がますます低下する…こんな「負のスパイラル現象」が一昨年あたりから顕著になってしまっています。こうした悪循環に歯止めをかけるべくたとえば「違法ダウンロードの取り締まり」が本格化しています。もちろん音楽家の権利を守るための法整備も大切ですが、一方でこうしたマイナー系ミュージシャンが仕事に対する正当な報酬を得られる環境を整えることも同じように大切ではないでしょうか。

相変わらず日本では「カバー物」が大流行ですが、カバー物は過去の遺作を食いつぶすだけで、実際は何ら新しい創造をしていません。中高年世代が懐かしがって昔の音源を買い求めるのはいいとしても、それだけでは次世代につながる音楽が生まれることにはなりません。若い世代が音楽からどんどん離れていってしまうだけです。困ったことです。当欄がカバー物ブームに強い違和感を感じるのはそんな理由からです。話がそれてしまいました。

●Musicians
Bruce Bartlett / guitar
Steve Hunt / keyboard
Baron Browne / bass
Marty Richards / drums
Oscar Stagnaro / bass on 4:01 AM

●Numbers
1.  Nasty Habits
2.  Top Down
3.  Once Again
4.  Nine Lives
5.  Audio Torture
6.  4:01 AM
7.  Cheisea Vibe

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2011年7月18日 (月)

Brett Garsedの新譜「Dark Matter」

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Musician●Brett Garsed(guitar)
Title●Dark Matter(2011年)
■Abstract Logixより購入


豪州出身のテクニカル系ギタリストBrett Garsed(ブレット・ガースド)が久しぶりに新譜をリリースしたので早速入手しました。Amazon.Jpなどではまだ取り扱っていないようなので、Abstract Logixへ発注。相変わらずの円高の恩恵を受けて送料込みでも2000円しませんでした。2011年リリース。参加メンバーは盟友ともいえるRic Fierabracci(bass)をはじめ、なんとVirgil Donati(drums)の名前も。ほかはCraig Newman(bass)、Phil Turcio(keyboards)、Gerry Pantazis(drums)というメンツです。

前作「Big Sky」(2003年)以降、ゲスト参加ばかり目立っていたGarsedですが、なんと8年ぶりのリーダー作ということに。路線としては前作同様、テクニカルフュージョン路線ですが、年齢を重ねたことで渋味がいっそう増したように思えます。一度聴いただけではなかなか正体がつかめないのは「Big Sky」と同じで何回も聴き込むことでその魅力にジワジワと気づくという「スルメイカ戦法」は相変わらずです。楽曲としては大人しめの感じが強いので、知らない人にとってはそのまま「スルー」されてしまうのではという不安感は相変わらずです。ここらあたりが「知る人ぞ知る存在」に甘んじている要因のひとつなんですよね。でも欲をギラギラと前面に出さないのがGarsedの魅力でもあるわけです。

#1 Dark Matter

ミディアムテンポの曲で気持ちよさそうにGarsedがソロを歌いあげます。どこかカントリーっぽく聴こえるのも作風のひとつ。曲途中からガラリと曲調が変わります。おそらくE-Bowを使ったと思われるロングサスティーンソロはこれまで聴かれなかった新境地です。途中からノーマルギターに戻りますがこれまた鬼神のごとく凄まじい超絶技巧を披露しています。この曲のみDonatiが参加。

#2  Android

展開が目まぐるしく変化する一見正体不明の曲。何度聴いてもよくわからない曲です。ただただ凄まじいソロに圧倒されるのみ。

#3  If Only
前作「Big Sky」収録の「Brothers」のようなメランコリックなバラードナンバー。エフェクターもほとんど使わずにナチュラルトーン重視のあえて抑え気味のソロですが当然やっていることは凄いです。曲終盤では例によって歌いあげるソロは絶品です。ガラス細工のような繊細すぎるソロはGarsedならではなのですが、彼やギターに興味がない人にとっては地味な印象を与えてしまうかも。

#4  Avoid The Void
#3と同様、実に繊細なバラード。曲途中からジャズ的なアレンジの突入しますが、これも新境地でしょうか。

#5  James Bong

妙な感じのイントロでスタートする変態チックな曲。曲途中から楽器群が集結するといつものGarsed節が炸裂します。終盤の鍵盤楽器ソロは長すぎてちょっと蛇足の感も。

#6  Closure
冒頭のあまりに美しすぎるスライドソロでトロケてしまいそうなバラード曲。そうです、Garsedはスライドの使い手としても現役屈指の名手だと思うのです。

#7  Poison Dwarf
アルバムの中では珍しく疾走感を前面に押し出した軽快なナンバー。曲中盤から延々と繰り広げられるGarsedの息の長いソロは圧巻の一語です。というか曲の大半がギターソロというのも驚きますが。抜群の切れ味はますますす凄みを増しています。個人的にはアルバム中いちばんのキラーチューンです。

#8  Be Here Now
少しばかりカントリーの匂いが感じられる美しい曲。スライドギターが縦横無尽にこれでもかと美しいソロを聴かせてくれます。

#9  Enigma
ラストは10分以上にも及ぶ大曲。イントロの感じでは疾走感重視かと思えば、得意の歌いあげるようなバラード的な展開もあり、かと思えば「Uncle Moe's」的な怪しげな雰囲気もありと、まあGarsedワールド全開としか言いようがない曲。ファンであれば当然悶絶必至なわけですが、門外漢にとってはなんのこっちゃ、でしょうね。

冒頭でAmazon.Jpでは扱っていないと書きましたがMP3の配信は始まっていますね。ただ当欄としてはあくまでもリアルCDにこだわることは言うまでもありません♪

●Musicians
Brett Garsed / guitar
Ric Fierabracc / bass
Phil Turcio / keyboards
Gerry Pantazis / drums

Virgil Donati / drums
Craig Newman  / bass

●Numbers
1.  Dark Matter
2.  Android
3.  If Only
4.  Avoid The Void
5.  James Bong
6.  Closure
7.  Poison Dwarf
8.  Be Here Now
9.  Enigma

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2011年7月17日 (日)

Lost Tribe / Many Lifetimes(1998年)

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Musician●Lost Tribe
Title●Many Lifetimes(1998年)
■Amazon USAより購入


1990年代にNYを拠点にして活躍したジャズファンクユニット「Lost Tribe」による3枚目のアルバムです。1998年リリース。参加メンバーはAdam Rogers(guitar)とDavid Binney(alto sax)という不動の盟友に加えて、Fima Ephron(bass)、Ben Perowsky(drums)というカルテット構成。そういえば前作「Soulfish」(1994年)にはDavid Gilmoreが参加していましたが、今回は不参加です。

この「Lost Tribe」の持ち味は「硬派なジャズロック」ですが、ファンクというスパイスを強烈に加えることによって独自のサウンドを築き上げています。一切の妥協をすることのない無骨さはマニアにとっては大歓迎ですが、一方で商業主義に対しては完全に背を向けているがためにマイナーな存在に甘んじてしまうのは、これまた皮肉な宿命とも言えるでしょう。

とは言っても、随所で聴かれるプレイは格好いい!の一語で、特に、当時、新感覚派の若き後継者の呼び声が高かったAdam Rogersのギタープレイは、時に正統派のジャズフォーマットあり、プログレ風あり、ロック風ありと、まさに変幻自在。とりわけ#5「Calle Siete」で聴かれる螺旋階段を上るように延々と続く息の長いソロワークは絶品です。いまでこそオーソドックスなスタイルに落ち着いた感があるRogersもこんなに尖っていた時期もあったのですね♪

動画は「Soulfish」のものです♪

●Musicians
Adam Rogers / guitar
David Binney/ alto sax
Fima Ephron / bass
Ben Perowsky / drums

●Numbers
1.  Concentrics
2.  Heroes
3.  River
4.  Vevasis
5.  Calle Siete
6.  Kyoto
7.  Quartet
8.  Jordan
9.  Prospice
10. Manticore

R0010683


2011年7月16日 (土)

Marc Ducretの新譜はブラスとの戦い「Tower Vol.1」

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Musician●Marc Ducret(guiter)
Title●Tower Vol.1(2011年)
■Amazon Franceより購入


フランス出身のフリー系ギタリストMarc Ducret(マルク・デュクレ)の新譜を入手しましたのでご報告します。まだ、国内では扱っていないようなので密林フランスより個人輸入。ユーロ安の恩恵を生かさない手はありません。最近はフリー系サックス奏者Tim Bernneとの共演や自身が率いるトリオとの活動が目立っていたDucretですが、今回は管楽器との戦いに挑んできました。参加メンバーはKasper Tranberg(trumpet)、Matthias Mahier(trombone)、Fred Gastard(bass saxophone)という管楽器奏者に加えてPeter Bruun(drums)というベースレスの変則構成です。Ducretはエレキ1本で臨んでいます。わずか3曲構成で、2010年5月17日、18日、フランスで録音されています。恥ずかしながらDucret以外のミュージシャンは全くの「お初」です(たぶん)。

近年ますます「フリージャズ化」を進めているDucretですが、このアルバムではフリー化がさらに濃厚なものになった感が。3人の管楽器奏者がさまざまな角度から攻め込んでくるのに対抗して、Ducretとドラム奏者が一人ひとりを返り討ちにするという痛快な時代劇を見ているような爽快感があります。ベースレス編成なので、Ducretはリズム隊の役割を果たさないといけないのですが、主テーマを牽引しつつドラム奏者と綿密に連携してバトルに臨むという離れワザをいとも簡単にこなしています。

しかし、管楽器軍団も負けてはいません。低音、中音、高音と3方向から波状的に攻めたててくるのですが、対するDucretはさまざまなテクニックを弄して立ち向かいます。形勢不利と見るやお得意の「爆音攻撃」で憎き敵をセン滅する荒ワザは豪快の一語。フリージャズという形をとりながら、それはあくまでも便宜的な音楽上のジャンル分けであって、ここで聴かれるのはミュージシャン同士の熱き戦いです。問答無用のワザの応酬は息を飲むほどの凄みを感じさせます。暑い夏にあえて熱い音のバトルを♪





●Musicians
Marc Ducret / guitar
Kasper Tranberg / trumpet
Matthias Mahier / trombone
Fred Gastard / bass saxophone
Peter Bruun / drums

●Numbers
1.  Real Thing #1
2.  Real Thing #2
3.  interlude:L'Ombra di Verdi

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2011年7月15日 (金)

安達久美さん第3弾「L.G.B.」

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Musician●安達久美(guitar)
Title●L.G.B.(2009年)
■Amazonより購入


快進撃を続ける「安達久美 club PANGAEA」の第3弾です。2009年リリース。タイトルの「L.G.B.」は「Lady Guitar Blues」の略のようです。1stではフュージョン&ファンク路線、2ndでは「女Jeff Beck路線」、そして今回は2ndの延長線で攻めてきました。ややブルース色が強いJeff Beckという感じでしょうか。おまけとして2009年5月、池袋でのライブDVDがついていますので、動く安達さんの艶姿を拝むことができます。

#1  Lady Plays The Blues For You
安達さんが紡ぎ出すストラトの野太い音が印象的なブルースナンバー。鍵盤楽器がどこか70年代っぽくて好きです。
かけ声的に聴こえるのは安達さんの肉声です。

#2  The 7th Inning
野球でいう「7回裏表の攻防」ということでしょうか。バークリー音楽院時代の師匠、スコヘンさんばりの痛快な
フュージョンナンバーです。

#3  天の鳥舟

スローなブルースナンバー。ウエスト・ロード・ブルース・バンドのギタリスト、故・塩次伸二氏に捧げた曲だとか。壮大に歌いあげる派手なウラメロはかなりBeck的です。

#6  Pentacle World
Weather Report風のリズム感が快適な曲。自由奔放に暴れまくる安達さんのソロが印象的。途中、WR風のフレーズが入りますが、彼らに対する尊敬の念の表れでしょうか。

#8  五七楽坊の願い
アジアンテイストと<アイリッシュ&ケルトミュージックを組み合わせたユニークな楽曲。安達さんがこのような試みをするのは初めてではないでしょうか。跳びはねる変則リズムに合わせて安達さんのギターが縦横無尽に暴れまくります。

#9  Cause We've Ended As Lovers

言うまでもなくJeff Beck「Blow By Blow」に収められた名曲。邦題は「悲しみの恋人達」。スティービー・ワンダーがBeckに提供したことで知られています。簡単なようで意外に難曲だと思うのですが、いとも簡単に弾きこなしています。「女Jeff Beck」の面目躍如というところでしょうか。

●Musicians
安達久美 / guitar
則竹裕之 / drums
清水興 / bass
河野哲三 / keyboards

●Nmbers
1.  Lady Plays The Blues For You
2.  The 7th Inning
3.  天の鳥舟
4.  Lose Control
5.  Three Dog Fight
6.  Pentacle World
7.  Journey To The Future
8.  五七楽坊の願い
9.  Cause We've Ended As Lovers

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2011年7月10日 (日)

VITAL TECH TONES / VITAL TECH TONES 2 (2000年)

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Musician●Vital Tech Tones
Title●Vital Tech Tones 2(2000年)
■Amazonより購入


ハイパーフュージョン系音楽の殿堂「Tone Center」が自信をもって世に送り出したスーパーユニット「Vital Tech Tones」の2ndです。メンバーは言うまでもなくScott Henderson(guitar)、Steve Smith(drums)、Wictor Wooten(bass)というこれ以上を望めない豪華絢爛さです。HendersonとSmithはいまはなき「Passportレーベル」時代からのおつきあいですね。幻の名盤「Players」ではJeff Berlinも加えてとてつもない演奏を聴かせてくれました。ちなみにスタジオエンジニアは両手タップの怪人、T.J.Helmerichが務めるという鉄壁の布陣です。

「Vital Tech Tones」では超ド級の超絶技巧の限りを見せつけてくれた3人。スーパーユニットの常として、第2弾は前作の出来を上回ることは至難のワザであることは歴史が証明してきました。ところが、例外というものが存在することを見せつけてくれたのがこの音源です。前作で感じられた窒息寸前の張りつめた緊張感こそやや薄らいだものの、呆れるほどのボルテージの高さ、最後まで全力で疾走するドライブ感、そしてプロジェクトの「肝」である3者の超絶技巧の嵐と、聴く者の期待感を大きく上回る出来ばえです。

前作では「初期Tribal Tech」を思わせる近未来的なジャズフュージョンという感じでしたが、この作品ではややファンク色が強まったように感じます。Wootenのイニシアティヴが増したためでしょうか。前作以上にリズム隊による重低音が五臓六腑を下から揺さぶります。でも、そんなことは些細なこと。超ド級のプレイの連続にただ身を任せるのみです。スタジオライブ感満載の愛聴盤です。

●Musicians
Scott Henderson / guitar
Steve Smith / drums
Victor Wooten / bass

●Numbers
1.  VTT
2.  Sub Zero
3.  The Litigants
4.  Puhtainin' Tuh...
5.  Drums Stop,No Good
6.  Catch Me If U Can
7.  Nairobe Express
8.  Who Knew?
9.  Time Tunnel
10. Chakmool-Ti

2011年7月 9日 (土)

インド人ギタリストPrasannaを擁した変則トリオ「Raga Bop Trio」

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Musician●Raga Bop Trio
Title●Raga Pop Trio(2010年)
■Amazonより購入


いわずと知れた名ドラマーSteve Smith(スティーヴ・スミス)が中心になって結成された「Raga Bop Trio」による作品です。Steve Smithといえばジャーニーを皮切りにScott Henderson、Allan Holdsworthなどの名ギタリストとの共演でも知られていますね。この「Raga Bop Trio」結成の経緯はよくわからないのですが、ギターにインド出身の超絶ギタリストPrasanna(プラサンナ)、サックスにGeorge Brooks(ジョージ・ブルックス)というベースレスの変則トリオ構成になっています。このあたりから奇天烈音楽の臭いが立ちこめています♪

このトリオによるサウンドは何とも形容しがたいのですが、インド人Prasannaの影響力が大きいためか「オリエンタル&ジャズファンク」という感じとでも表現しましょうか。冒頭の#1「Tug of War」からいきなり全開モードで凄まじい超絶技巧が響きわたります。難解なフレーズをいとも簡単に弾きこなしてしまうPrasannaには吃驚!いままでさまざまなギタリストを耳にしてきましたが、どのタイプにも当てはまらない怪物級です。一言でいうとシタール的なフレーズをジャズギター風に置き換えつつ、それを高速回転で弾きこなすという実にやっかいな存在。それでいてたまに常識にかなったリリカルなソロも弾くわけで、まったくつかみどころがわかりません。とにかく引き出しが多そうなプレイヤーです。

#4「Ironically」はそのPrasannaの作品ですが、曲途中からはおそらく彼自身のボーカルによる「インド風ラップ」が全開。ただでさえ怪しい楽曲にさらに激辛風アレンジが施されます。#6「The Geometry of Rap」にも「インド風ラップ」が再び登場。George Brooksのサックスが怪しいフレーズを奏でPrasannaが奇天烈なヴォイシングで不安感を煽るなか、妙に元気なラップが続くという妙な曲に仕上がっています。

これまでさまざまな音楽を聴いてきて、多少変てこりんなものでも受け入れる度量じみたものは身につけてきたつもりです。しかし、このトリオは楽曲・技量ともすべてが規格外です。それでいて、もう一度聴きたくなる合法麻薬のような魔力を秘めています。こんな変な音源ってどこから出ているのかな?と思ったら「Abstract Logix」でした。納得。

末筆になりましたが、この素晴らしいトリオをご紹介いただいたブログ仲間のbetta taroさんにお礼申し上げます。



●Musicians
Steve Smith / drums
George Brooks / sax
Prasanna / guitar

●Numbers
1.  Tug Of War
2.  Miss Oma
3.  Love And Hunger
4.  Ironically
5.  Garuda
6.  The Geometry Of Rap
7.  Moonlanding
8.  Dubai Dance
9.  Katyayini

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2011年7月 8日 (金)

なぜかクレジットもされないHoldsworth参加アルバムKROKUS「Change of Address」

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Musician●Krokus
Title●Change of Address(1986年)
■Amazon USAより購入


スイス産HMバンド「Krokus」(クロークス)の9thです。1986年リリース。不勉強ばかりで申し訳ないのですが、このバンドの存在そのものを知りませんでした。地元ではかなりの老舗的存在のようですし、初期ではAC/DCのプロデューサー、7作目からはジューダス・プリーストのプロデューサーを招いているということですから、結構なお金のかけ方です。

サウンドとしては欧州のバンドにもかかわらず徹底したアメリカ志向、つまりは80年型LAメタルの模倣です。したがって当欄としてはあまり食指が動かない物件なのですが、ただ1曲のために購入にいたりました。何を隠そうあのテクニカル系ギタリストの大御所Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)が参加しているのです。全国10万人のKrokusファンのみなさまには大変申し訳ない表現で恐縮なのですが、正直、ほかの楽曲にはあまり興味はありません。Holdsworth参加はラスト「Long Way From Home」という曲。曲中盤から一発でHoldsworthとわかるウネウネソロを聴くことができます。そういえばイントロでは一瞬だけT.J.Helmerichっぽいギターが聴かれますが、これはオリジナルメンバーのFernando Von Arbによるものでしょう。

しかし、どうしてHoldsworthはこのバンドに参加したのでしょう。その経緯はまったく謎のゆえにクレジットに彼の名前はありません。権利関係にうるさい海外では信じられない事態ですが、もしかしたら版元Aristaレコードとの話し合いのうえでの「内職」だったのかも。そういえば、Holdsworthはこの時期、Jon St.Jamesのリーダー作でもレーベルの関係と思われる「内職」をしていましたね。いまでこそHoldsworthのオフィシャルサイトに掲載されているので、この参加作品の存在を知り得ることが可能ですが、ネットがなければ完全に世から葬り去られてしまうでしょうね。そんなわけで「Holdsworthトホホ音源」でした♪

●Musicians
Mark Storace / vocal
Fernando Von Arb / guitar
Mark Kohler / rhythm guitar
Jeff Klaven / drums
Tommy Keiser / bass

Allan Holdsworth / guitar on Long Way From Home

●Numbers
1.  Now
2.  Hot Shot City
3.  School's Out
4.  Let This Love Begin
5.  Burning Up The Night
6.  Say Goodbye
7.  World On Fire
8.  Hard Luck Hero
9.  Long Way From Home

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2011年7月 3日 (日)

豪州出身の鍵盤楽器奏者Sean Waylandの「Pistachio」

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Musician●Sean Wayland(piano,keyboards)
Title●Pistachio(2008年)
■Amazon USAより購入


豪州出身で現在はアメリカで活躍する鍵盤楽器奏者Sean Wayland(ショーン・ウェイランド)による2008年の作品です。Sean Waylandといえば同郷のギタリストJames Muller(ジェームス・ミュラー)との諸作品でも知られていますが、さらに元「Lost Tribe」のギタリストで現在はリーダー作でいぶし銀のジャズギターを聴かせてくれているAdam Rogers(アダム・ロジャーズ)まで参加しているとあれば買わない手はありません。

届いたのは紙1枚のペラペラジャケット。しかもCD本体はむき出しの状態で無造作に入れられています。最近は低予算のためなのかこんな残念な仕様が多いですね。しかもクレジット情報があまりに少なく誰がその曲に参加しているかさえ定かではありません。何だかな~という感じです。この盤をブログで紹介されている奇特な方がおられたので、それを頼りに調べてみると、どうやら2008年にNYで録音された模様です。何だかトホホ音源の気配が漂いますが、中身は最強です。特にKeith Carllock(drums)とTim Lefebvre(bass)によるリズム隊は最強の一語!乗り乗りのグルーヴ感と書くと何だか安っぽく聞こえますが、それ以上の形容詞が見つかりません。本人の弁によれば70年代のHerbie Hancockが得意としたファンク/フュージョンの雰囲気を目指したとのことです。

#1.  Club Sandwich
いきなりファンキーな感じでしかもWaylandのボーカル付きということで驚きます。この人、ボーカルもやるなんて知りませんでした。けっして上手いとはいえませんが、味のあるボーカルです。先のブロガー氏の形容を拝借すると「Steely Dan風」とのこと。いや、Steely Dan自体あまり聴いたことないし(汗)。メインストリームを避けて過ごしてきたツケがいまになってきています。自分自身の言葉で形容できないのが歯がゆいのですが、ちょっとファンク色が強い昔のAOR風という感じでしょうか。AORにはあまり馴染みがないのですが、エレピが結構心地よい佳作です。

#2  Arc Is Enough
ギターのAdam Rogersが大暴れしています。Rogersの最近のリーダー作はコンテンポラリージャズというか割と正統派ジャズギタリストへと近づいている感が強いのですが、その昔ジャズユニット「Lost Tribe」に在籍していた頃はかなり尖ったソロを聴かせてくれました。Waylandに煽られたのか、まさかの「回春的な変態フレーズ」の連発には驚きです。相変わらずリズム隊が強力すぎます。

#11  Drag Out The Cliches
Waylandによるリリカルなピアノから始まる美しいバラード。途中からRogersのアコギがこれまた美しいソロを連発しています。このピアノとギターの絡みはEvansとHall以降、当欄にとって涙腺を刺激しまくる取り合わせであります。

#12  E Of 1
Adam RogersとJames Mullerのソロが聴けるという奇跡のような曲。この2人の接点となるとよくわかりませんが、これからのコンテンポラリージャズを牽引していくギタリストであることは間違いありません。最初の頃はソロというよりお互いが得意とするヴォイシングの応酬で絶妙な世界で築き上げています。最初にRogersが口火が切るやいなや、Mullerがすかさず反応。火の出るような2人の凄まじいソロのバトルが展開されます。いやー、こんな素晴らしいギターバトルは久しぶりに聴きました。

しかし、Wayland関連の音源はあまりに流通が悪すぎます。James Mullerとの共演作も地元豪州のCD屋ですらほとんど入手不可能というありさま。オージージャズって地元では冷遇されているのではという邪推までしてしまいます。CD-Babyなら比較的手に入りやすいような気がします。

動画は#2 Arc Is EnoughですがAdam RogersではなくJames Mullerが担当。凄まじい暴れぶりです♪

●Musicians
Sean Wayland / piano,keyboards
Keith Carlock / drums
Tim Lefebvre / bass
Adam Rogers / guitar
James Muller / guitar on E Of 1
Matt Clohesy / bass

●Numbers
1.  Club Sandwhich
2.  Arc Is Enough
3.  Soft Oz Rock
4.  Jackie O
5.  John Coltlane
6.  Onit
7.  Don't Get Me Wrong
8.  Be My Guest
9.  Organic Cigarettes
10. Stuck In Oz
11. Drag Out The Cliches
12. E Of 1

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2011年7月 2日 (土)

Greg Howeの一番弟子Prashant Aswaniの1stがリマスター化

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Musician●Prashant Aswani(guitar)
Title●Revelation:Fully Loaded(2007年)
■Amazonより購入


当代きってのテクニカル系ギタリストGreg Howe(グレッグ・ハウ)のお弟子さんであるPrashant Aswani(プラシャント・アスワーニ)が1997年にリリースした「Revelation」がボーナストラック3曲を加えたうえでリマスター化されました。Greg Howeのフォロワーであるとともに師匠がプロデュースからサポートまで全面的にバックアップしたうえで世に送り出された1stは、Greg Howeの生き写しともいえる徹底したフォロワーぶりのさることながら、美しい師弟愛を随所に感じさせる点でもかなり印象的な作品でした。ただし、予算の関係なのかわかりませんがサウンドプロダクションが良好とは言えず、イマイチの感が拭えませんでした。そこに来てのリマスター化ですから買わずにはいられません。

師匠Greg Howeのソロデビュー当時の作風とまさに「生き写し」です。この2人を知らない人が聴いたら恐らく見分け、聴き分けは不可能でしょう(笑)。それだけ、クローンぶりに徹したプレイには、師匠をこよなく尊敬する憧憬ぶりが音の端端に伺うことができるはずです。師匠も可愛い弟子のために全面的にサポートしていて、全9曲中、#4#5#7#9と4曲もセカンドソロとして参加。またベースやドラムまで披露しています。それどころかプロデュース、エンジニア、ミックスダウンまで担当するという手厚いサポートぶり。特にジェフ・ベックの名曲「Led Boots」(実際はMax Mddletonの作曲ですが)をカバーした師匠と弟子による手に汗握る激しいギターバトルは、このアルバムの最大の聴きどころでしょう。なお、旧盤ジャケットのレイアウトはこれまた知られざる日系テクニカル系ギタリスト、Neal Nagaokaが担当しています。

●Musicians
Prashant Aswani / guitar
Greg Howe / bass,programming,guitar
Kevin Vecchione / bass

#10#11#12
Prashant Aswani / guitar
Alex Evans / bass
Joey Heredia / drums

●Numbers
1.  Seven
2.  Seclusion
3.  65 Pushups
4.  Nevin Terrace
5.  Led Boots
6.  Buzzard
7.  Hiding Under The Covers
8.  Data
9.  Full Throttle
10. Switch
11. Rugburn
12. DV8

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