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2011年6月

2011年6月26日 (日)

ボストン周辺で活躍するジャズ系ギタリストBruce Bartlettの1st「Free For A Price」

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Musician●Bruce Bartlett(guitar)
Title●Free For A Price(1998年)
■メーカーサイトより購入


米ボストンを中心に活動するギタリストBruce Bartlett(ブルース・バートレット)による1stです。1998年リリース。おそらく一般的にはまったく無名のプレイヤーですが、実はプロギタリストの間では「知る人ぞ知る存在」です。というのも、ボストンにあるバークリー音楽院のギター科の講師を15年以上にもわたって務めていて、彼の教え子たちが各所で活躍しているからです。実際、何人かの日本人もBartlett先生の教えを受けていて、活躍していると聞きます。その意味でも「Musician's Musician的な存在」と言えるかもしれません。

そんなBartlett先生の記念すべき第1作ですが、サポートメンバーがさりげなく豪華です。Allan Holdsworthとの競演で知られる鍵盤楽器奏者Steve Hunt、ベースにSteve SmithのVital Informationで活躍したBaron Browneが参加しています。プロデュースはHuntとBartlettの共同で、楽曲はすべてBartlettのオリジナルです。

名前に「Bruce」がついているだけに、基本的にはブルースオリエンテッドな作風ですが、これがまた上手いのなんのって!中低音に特徴があるナチュラルトーンを武器にしてBartlett先生が縦横無尽に暴れまくっています。ちょうどCarl Verheyenをさらに超絶技巧化した感じと表現すればいいでしょうか。個人的には#9 Day In Courtと#10 M.C.Poppin' Freshの疾走感あふれるソロが好みです。楽曲も一切の「捨て曲」なしの充実ぶりです。いやー、アメリカという国には知られざる名プレイヤーがゴマンと埋もれているのです。

このBartlett先生の音源は数年前までは自身のサイトから直接購入できましたが、すでにリアルCDは在庫切れのようでデジタル音源でのみ入手可能です。ただし決済はPay Palのみですからアカウントを取得する必要があります。リアルCDの復刻は難しいとしてもせめてiTunesあたりが配信してくれないでしょうか。それだけ素晴らしいプレイヤーなのです。ちなみにSteve Huntの初リーダー作に1曲のみ参加しています。そういえばサックス奏者George Garzoneのリーダー作にも参加していました。

●Musicians
Bruce Bartlett / guitar
Steve Hunt / keyboard
Baron Browne / bass
Abe Laboriel Jr. / drums
George Garzone / sax

●Numbers
1.  Pocket Change
2.  Too Rock For Jazz
3.  Noise For The Boys
4.  Could Be
5.  One For The Books
6.  Hunter
7.  1 To 1
8.  Inside Out
9.  Day In Court
10. M.C. Poppin' Fresh
11. Big Jim's Bar & Grill

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2011年6月25日 (土)

Greg Howeの遠回りその2「Now Hear This」

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Musician●Howe Ⅱ
Title●Now Hear This(1990年)
■ディスクユニオンで購入

アフリカ系テクニカルギタリストGreg Howeが兄Al Howeと組んだ「HOWE Ⅱ」の2ndです。1st「High Gear」は若干Van Halenを意識した音づくりでしたが、2ndにあたるこの作品では若干ファンク色が強まった感がします。メンバーは前作よりドラムがチェンジしています。また前作ではギタリストとして参加してしまったMike Verneyは今回はプロデュース業に専念しています。1990年リリース。

Greg Howeによる圧巻のギターは相変わらず素晴らしいのですが、個人的にはお兄ちゃんのAL Howeの声が苦手でして、それがために相変わらず楽曲に入り込めないのが残念といえば残念です。個人的にはGreg Howeがギター1本だけで聴かせる#7「A Delicacy」がベストと感じられるのは皮肉といえば皮肉です。目にも止まらぬ速さのアルペジオとハーモニックスを駆使した美しい小品ですが、とても心が洗われる気持ちです。

この「Howe Ⅱ」はこのアルバムを最後に空中分解してしまったようですが、Greg Howeは1993年リリース「Introspection」でテクニカル系ギタリストとして再登場します。個人的にはここからがGreg Howe大躍進もスタートだと思っています。Howe Ⅱファンには大変申し訳ありませんがちょっとした「回り道」だったというのが正直なところです。

動画はHOWE Ⅱではなく櫻井哲夫さんとデニチェンで組んだユニットによる横浜ライブです♪

●Musicians
Greg Howe / guitar
Al Howe / vocal
Vern Parsons / bass
Kevin Soffera / drums

●Numbers
1.  Fat Cat
2.  The Ride
3.  Nowe Hear This
4.  Motherlode
5.  Bigger The Bite
6.  Crowd Pleaser
7.  A Delicacy
8.  Tip Of  My Tongue
9.  Heart Of A Woman
10. A Few Good Man

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2011年6月24日 (金)

イタリアのフュージョンギタリストGianfranco Continenzaの1st

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Musician●Gianfranco Continenza(guitar)
Title●The Past Inside The Present(2007年)
■Amazonより購入


イタリアジャズを探っているとたまに面白いミュージシャンと巡り会うことがあります。ギターでいえば当欄でお馴染みの(?)Nico StufanoやUmberto Fiorentinoあたりが実に興味深い作品を残しています。というわけで、ネットを徘徊していて目に止まったのが、Gianfranco Continenzaというギタリスト。例によって正体がよくわかりません。ゲストミュージシャンになんとサックス奏者のほうのBill Evansやお馴染みの鍵盤楽器奏者Scott Kinseyが参加していることから周囲の期待度の高さを感じます。ほかはイタリア人ミュージシャンで固めているようです。

内容はというと期待通りの「ハードフュージョン」という案配です。イタリア人が作るジャズフュージョンは音数がやたらと多くて饒舌な仕上がりになることが多いのですが、こちらも例に漏れません。無条件に元気になれる音楽ですね。個人的には#2「Happy New Funky」という曲がキラーチューンです。タイトル通りのファンキーなリズムに合わせてGianfranco Continenzaのしなやかなソロが実に心地よく響きわたります。少しばかりHoldsworthyな感じを漂わせながらも実に流麗に音と音を繋いでいく手法は先に挙げたNico StufanoやUmberto Fiorentinoに通じるものを感じさせます。



●Musicians
Gianfranco Continenza / guitar
Mourizo Roli / bass
Angelo Trabucco / keyboard
Dante Melena / drums

Scott Kinsey / keyboard
Bill Evance / sax

●Numbers
1.  Outside That Door
2.  Happy New Funkey
3.  Fragments Of Soul
4.  Shadows And Light
5.  The Dominant Wave
6.  One Note Waltz
7.  Parallel Life
8.  Soul Friend
9.  The Past Inside Present
10. Labyrinth Of Mirrors

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2011年6月19日 (日)

安達久美さん第2弾「Winners!」

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Musician●安達久美(guitar)
Title●Winners!(2008年)
■Amazonより購入


日本を代表する女性ギタリスト安達久美さん率いる「Club Pangaea」の第2弾です。2008年リリース。前作「Little Wing」はデビュー作ということもあって、ロック、ブルース、フュージョン、ファンクなどの音楽的要素が詰まった博覧会的な内容でしたが、2作目にしてやや方向性が定まってきた感じがします。たとえて言うならば「女Jeff Beck」です。ちょうど「There And Back」の頃のJeff Beckを彷彿とさせる感じはロックギターの王道を歩み始めたと表現したらよいかも。相変わらずロック/ブルースを基調にしながら適度にファンク色を混ぜたり、フュージョン的なアレンジを施すバランス感覚がナイスです。

#1  Delusion

Jeff Beckかと思わせる壮大なロックナンバー。キーボードがJan Hammerのイメージに近かったりするのは気のせいなのでしょうか。中盤から炸裂する安達さんのソロはトレモロを派手に使いまくっています。これもBeck御大からの影響なのでしょう。

#2  Europe
ある年齢以上の人間にとってはお馴染み、カルロス・サンタナの代表曲「哀愁のヨーロッパ」のカバーです。エレキギターを手にした人なら必ずコピーするのではと思われる通過儀礼的な名曲です。あのロングサスティーンをどうやって再現するのだろうかと思いきや、安達さんは見事に期待に応えてくれています。途中からややフュージョン的なアレンジに移り、そしてBeck的なアレンジで名曲に新たな息吹を吹き込んでいます。

#3  All One
安達さんにしては珍しく内省的でリリカルなバラード。途中からジャズ的なアレンジに移りますが、あえて派手なソロを封印して静的なイメージを作り出しています。ちょっと静かなScott Hendersonという感じです。

#4  X-Wing Fighter
映画「Star Wars」の主人公が登場する宇宙船を「X-Wing Fighter」というそうです。なにやらPlanet Xを彷彿とさせるガリガリ、ゴシゴシとした金属的なリフから始まる壮大な宇宙をイメージした楽曲です。中盤で弾ける安達さんのソロはBeck的ではありますが、適度な「泣き」が入ったソロ回しは日本人好みな味わいです。あ、弾いているのは日本人だから当たり前か。途中から弾いている人の性別、国籍などはとるに足らないことなんだと思われてきます。

#9  Winners!
これまた快活に疾走しまくるロックナンバー。何でもモータースポーツをイメージして作られたそうだとか。Beck敵に言えば「Star Cycle」なのでしょう。ラストの鍵盤楽器との激しい掛け合いは、やっぱりJeff BeckとJan Hammerが繰り広げた往年の熱演を思い出させます。オジサン心がよくわかっていらっしゃる。

前作との比較では長足の進歩を見せている安達さん。あえて欲を言えばもっとギラギラしたものを聴かせてくれてもと思いますが、それは次作以降に期待いたします。「女性ギタリスト」という冠がとれたときにいよいよ本物になるのでしょうね。ちなみに安達さん直筆のタブ譜がおまけとしてついてきます。

●Musicians
安達久美 / guitar
則竹裕之 / drums
清水興 / bass
河野哲三 / keyboards

●Numbers
1.  Delusion
2.  Europe
3.  All One
4.  X-Wing Fighter
5.  Peaceful Time
6.  Catch Ball
7.  Tribe Drive
8.  Touch Me Gently
9.  Winners!

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2011年6月18日 (土)

雌伏17年を経て舞い戻ってきたBill Connors「Return」

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Musician●Bill Connors(guitar)
Title●Return(2004年)
■Amazonより購入


かつてはChick Coreaに見出されReturn To Foreverの初代ギタリストとして一躍スターダムにのし上がったBill Connors(ビル・コナーズ)。その後、単身ヨーロッパに渡りECMの専属ギタリストとしてエレキをアコースティックに持ち変えて一転して内省的な作風になって私たちを驚かせました。80年代初頭にアコギ1本のギターソロアルバムをリリースして姿をくらましてしまいます。

再度Connorsが我々の前に姿を現したのは1984年のこと。再びエレキを手にしたConnorsはなんと「Holdsworthy」になっていました。言うまでもなく当時テクニカル系ギター界を席巻していたAllan Holdsworthのフォロワーとして再登場したのです。Connorsはこれまでの寡作のイメージを払拭するべくたて続きに3枚のリーダー作をリリースします。しかし、1987年リリースの「Assembler」を最後に再び第一線から姿をくらましてしまいます。ギター教室の先生になったとか色々な噂が飛んでいました。その間、オフィシャルにレコーディングしたのは確認できただけでただ1作のみ(しかもゲスト扱い)。実際には引退したのも同様でした。

しかし、2003年暮れ頃から新作の噂が流れ始めて、翌年2004年に満を持して世に出た「新作」がこの盤です。なんと前作から17年間のインターバルですから気が遠くなるような話です。しかも、テクニカル系レーベル「Tone Center」というのも興味深いところです。そして、実際に音を聴いてみて三度びっくり!すっかり正統派のジャズギタリストとして生まれ変わっていたのです。プロデューサーは80年代に活動を共にしたドラム奏者Kim Plainfield。

80年代のHoldsworthy路線を期待した人にとっては意外というか若干期待はずれかもしれませんが、これはこれで結構すてきな仕上がりになっています。スムースジャズと呼ぶには安易に感じられるほどのエネルギッシュなプレイは健在です。ちなみに「It be Fm」という曲は17年前の「Assembler」にも収録された曲です。当時の解釈と今のそれとを比較しながら聴いてみるのも面白いと思います。

●Musicians
Bill Connors / guitar
Bill O'Connell / piano
Lincoln Goines / bass
Kim Plainfield / drums
Myra Casales / percussion

●Numbers
1.  On The Edge
2.  Mr.Cool
3.  McMinor
4.  Mind Over Matter
5.  Minor Matters
6.  Try Tone Today
7.  Terrabill Blues
8.  Nobody Yet To
9.  It Be Fm
10. Brasilia

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2011年6月17日 (金)

Greg Howeのお弟子さんPrashant Aswaniの2nd「Duality」

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Musician●Prashant Aswani(guitar)
Title●Duality(2000年)
■Guitar Nineより購入


テクニカル系ギタリストGreg Howeは1963年生まれの40代後半という若さ(?)ですが、すでに何人かのフォロワーを生み出しています。その一番弟子ともいえるのがPrashant Aswani(プラシャント・アスワーニ)でしょう。何しろ1997年リリースの1stから師匠Greg Howeの全面援助を受けているわけですから、正真正銘の愛弟子ということになるでしょう。名前と風貌からしておそらくハワイ州出身なのでしょう。

このアルバムは2000年リリースの2ndにあたりますが、1st同様にお師匠さんがベース、鍵盤楽器、ドラムで全面バックアップ。1曲だけボーカル入りの曲があるのですが、こちらはGreg Howeのお兄さんAl Howeが担当しています。つまりはHowe兄弟による全面バックアップですから、鬼に金棒ということですね。

楽曲自体は1stと同様に、完全にGreg Howeの初期作品の路線。痛快な痛快なハードフュージョンアルバムです。理屈なしに楽しめるギターインストですね。問題はAswaniがお師匠さんの庇護のもとから離れたとき、どれだけのオリジナリティーを発揮できるかに尽きると思われます。さらに問題点を挙げると音質の悪さ。もしかしたら低予算でつくられたのでしょうか。1stがリマスター化されて飛躍的に良くなったので、こちらもリマスター化してほしいのですが。それだけの価値は十分にあると思われます。

●Musicians
Prashant Aswani / guitar
Greg Howe / bass,keyboards,drum-programming,guitar
Al Howe / vocal on
Gian Marco Benvenuti / keyboards on

●Numbers
1.  Change Of Seasons
2.  Traffic Jam
3.  Entangled
4.  THe Road Home
5.  Order Of Dawn
6.  Little Miss Lover
7.  Looking In
8.  Q-Sonic

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2011年6月12日 (日)

2大技巧派ギタリストのコンピミニアルバム「Introducing…」

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Musician●Guthrie Govan,Jamie Humphries(guitar)
Title●Introducing…(2003年)
■メーカーサイトより購入


いまやテクニカル系ギタリストの第一人者にまでのし上がった感がするGuthrie Govan(ガスリー・ゴーヴァン)が同じ英国出身のお仲間Jamie Humphries(ジェイミー・ハンフリー)と組んでリリースしたミニアルバムです。Guthrie Govanの所属レーベルCornford Recordからリリースされています。Guthrie Govanが好事家の間で話題になり始めた頃に入手しました。

Guthrie Govanに関しては「Erotic Cakes」でも若干触れましたが、持ち味としてはトリッキー&メロディアスなプレイが身上のテクニシャン。かたやJamie Humphriesはどちらかと言えばBrett Garsedからの影響を感じさせる「ソロを歌わせるプレイヤー」です。このアルバムでは2人が2曲ずつ持ち寄って制作した音源ですが、2人が相まみえることはなく、それぞれが独立した構成になっています。いや、クレジットをよく見たらドラムが共通ですね。

#1  Erotic Cakes
Govanの曲。同タイトルの初ソロアルバムの冒頭を飾ったナンバーです。複雑怪奇なリズム構成に乗ってGovanのギターが縦横無尽に暴れまくります。目にも止まらぬ速弾きとはまさにこのことですが、決してテクニックのひけらかしにならないところはGovanの高い作曲能力を証明していると言えるでしょう。いや、実際行われていることは凄いの一語なのですが、いとも軽々とこなしているように聴こえてきます。アルバム「Erotic Cakes」に収録されたバージョンと違いリズムギターのカッティングが押し出されていますが、もしかしたら試作段階の音源かもしれません。

#2  Ceremony
Jamie Humphriesによる曲。Jason Cambellとの共作「J」に収録されています。ミドルテンポの曲に合わせてHumphriesの美しいソロが響きわたります。やっぱりBrett Garsedの影響が大ですね。ちょうどT.J.Helmerichとの共演作の雰囲気に類似しています。

#3  Wonderful Slippery Thing
Govanの曲。こちらも「Erotic Cakes」からの選曲。こちらはオリジナルと同一音源のようです。キャッチーなメロディーに合わせてGovanのソロが自由奔放に舞い踊ります。

#4  From Scratch
Jamie Humphriesの曲です。アルバム「J」より。こちらも雰囲気としてはGarsed & Helmerich臭がプンプンと臭ってくるようなミドルテンポな曲。HumphriesはGarsedとHelmerichの一人二役をこなしてしまっています…と、書いてしまうと簡単なようですが大変なものです。



●Musicians
Guthrie Govan / guitar,bass
Jamie Humphries / guitar,bass
Pete Riley / drums
Jason Cambell / bass on From Scratch

●Numbers
1.  Erotic Cakes
2.  Ceremony
3.  Wonderful Slippery Thing
4.  From Scratch

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2011年6月11日 (土)

Holdsworthトホホライブ音源

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Musician●Allan Holdsworth(guitar)
Title●Live In Japan(1997年)
■ディスクユニオンで購入


たまにお届けしている「Holdsworthトホホ物件」です。希代のテクニカル系ギタリスAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)が初来日を果たしたのは1984年5月のこと。大阪と東京などでライブを行っていますが、5月14日郵便貯金ホールでの模様がVHS化されて東映ビデオから発売されました。しかし、日本限定発売だったためか、そのビデオ音源がCDに移植されて地下流通するという事態をもたらしました。以前、ご紹介した「I.O.U.Live」などもおそらくその類だと思われます。

今回の物件も実はまったく同じです。しかしながら、店頭で発見したときは「もしかしたら別音源ではないか?」という妄想が生まれてしまうのは仕方がないことです。ジャケットには録音日などの詳細データが記載されていないだけに、手にしてみないことには確認しようがないのです。しかもジャケットには「1985年」と書かれているので、てっきり2回目の来日音源なのかと錯覚してしまうことも無理からぬことです(収録曲をチェックすれば見分けることは容易であることは百も承知です)。

というわけで今となっては、逆に貴重音源ではないかと思われる物件でした♪

●Musicians
Allan Holdsworth / guitar
Paul Williams / vocal
Jimmy Johnson / bass
Chad Wackerman / drums

●Numbers
1.  Tokyo Dream
2.  Road Games
3.  White Line
4.  Panic Station
5.  Improvisation(Letter Of Marque)
6.  Home
7.  Devil Take The Hind Most
8.  Metal Fatigue
9.  Where Is One
10. The Things You See
11. Was There?(something)

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2011年6月10日 (金)

ポストHoldsworthの最右翼Alex Machacekのライブ音源「The Official Triangle Sessions」

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Musician●Alex Machacek(guitar)
Title●The Official Triangle Sessions(2008年)
■Amazonより購入


オーストリア出身のテクニカル系ギタリストAlex Machacek(アレックス・マカチャク)が2008年6月29日に行ったライブを収めた作品です。参加メンバーはJonas HellborgやShawn Laneとの共演で知られるドラム奏者Jeff SipeとNeal Fountainというベース奏者。そういえばMachacekは「新生UK」のメンバーとしてつい先日に来日を果たしていますね。「新生UK」案件に関してはブート盤が出回っていて私もこっそり入手に成功しましたので、機会をみてレポートしたく思います。

お馴染みのAbstract Logixからリリースされたこのライブ音源ですが、当初はネット配信のみだった記憶があります。あのJeff Beckですらネット配信先行で様子を見るご時世ですから、マイナーミュージシャンではいたしかたないことなのかもしれません。しかし、気がついてみたらリアルCDとして流通しているのではないですか。というわけで慌てて購入しました。内容はいつもの「マカチェク節」のオンパレードですが、この人は基本的に内省的な作風が持ち味です。ギターソロも弾きまくるというよりはキーボードライクなヴォイシングをメインにして音と音を紡いでいくというイメージです。したがって決して弾けることもなく盛り上がることもなく粛粛とライブは進行していきます。もちろん、時折速弾き超絶技巧ソロも披露されますが、占有率からいえばスタジオ盤のほうがかなり高いですね。

というわけで、当初ネット配信限定だったのも頷ける部分はあります。あくまでもマカチェク好き、テクニカル系ギター好きの音源ということで考えたほうがよろしいかと思います。

●Musicians
Alex Machacek / guitar
Jeff Sipe / drums
Neal Fountain / bass

●Numbers
1.  Pinchproof
2.  Strafe
3.  Very Sad
4.  Gem1
5.  Yoga For Cats1
6.  Along Came A Spider
7.  Put Me Back To Sleep

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2011年6月 5日 (日)

Guthrie Govanのお友達Jamie Humphries参加作品「J」

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Musician●J
Title●J(2008年)
■Amazon UKより購入


イギリス出身のテクニカル系ギタリストJamie Humphries(ジェイミー・ハンフリー)が組んだユニット「J」による作品です。このJamie Humphriesという名前を見てピンと来た人は相当なテクニカルギターマニアです。そうです。やはり英国出身で進境著しいテクニカル系ギタリストGuthrie Govan(ガスリー・ゴーヴァン)のお友達で二人で「Introducing...」(2003年)というアルバムを出した人です。「Introducing...」のジャケットに写る向かって右側の人ですね。今回ご紹介の「J」はJamie HumphriesとJason Campbell(bass,vocal)の双頭ユニットですが、ゲストミュージシャンとして何とRichie Kotzenが「TAMA ホーム」から派遣されています(笑)。

さて、Guthrie Govanのお友達ということでかなりのテクニシャンぶりを期待しますが、Govanほど弾き倒すという感じではなくフレーズで聴かせるタイプのプレイヤーのようです。特にアルバム前半はもう一人の「J」Jason Campbellのボーカルを引き立てるためかギターも大人しめです。Jamie Humphriesの本領が発揮されるのは後半#6「The Nashville Song」あたりから。明らかにBrett GarsedやAndy Timmonsから影響を受けているプレイの連続でギター好きの涙腺を刺激しまくります。Govanのプレイは「異次元の超絶技巧」と言えますが、Humphriesは「ガッツリ聴かせる」タイプだと言えるでしょう。アルバム後半にさしかかると「Garsed & Helmerich」の1stあたりの雰囲気にますます似てきて、個人的には「ツボ中のツボ」のプレイの連発です。ちょうどHelmerichがいない状態で、HumphriesがHelmerichの変態的要素をも一人で請け負っている、というイメージですね。

Jamie Humphriesの公式HPを見ても参加作品が掲載されていないのですが、音源がアップされているので興味のある方はぜひ♪先に触れたGovanとの共演作「Introducing..」に収録されていた「Ceremony」と「From Scratch」は、今回では「再演」という形になります。

●Musicians
Jamie Humphries / guitar,programming
Jason Campbell / bass,programming
Pete Riley / drums
Richie Kotzen / guitar on Fubar
etc,

●Numbers
1.  It's All Right
2.  Ceremony
3.  Black Dog Day
4.  From Scratch
5.  I Get By
6.  The Nashville Song
7.  Armchair Indiana
8.  Fubar
9.  Idle Hours
10. Ceyron

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2011年6月 4日 (土)

Planet X直系ということで迷わず購入「Time Zero」

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Musician●Time Zero
Title●Outcasts Of Civilization(2010年)
■World Disqueより購入


またしてもTwitter仲間の方からのご紹介物件です。旧ハンドル名・九条さんが絶賛されていたアメリカ出身のプログメタルバンド「Time Zero」というバンドのおそらく1stです。マニア向け音源の宝庫とも言える「World Disque」さんの紹介文には「Planet Xの強い影響下にある技巧派ギタートリオ・インストバンドのデビュー作」とあります。これだけでも大いに「買い」なのですが、ゲストミュージシャンを見て吃驚!Brett Garsed(ブレット・ガースド)、T.J.Helmerich(ヘルメリッチ)、Ty Talbor(タイ・テイバー)などの名前が並んでいます。これを買わずにおられましょうか。ほかにもMatt Guillory、Alex Argentoという鍵盤楽器奏者もゲスト参加しているのですが、実は鍵盤楽器にはあまり興味がないのでパスです。Ty Talborは90年代に「Musician's Musician」として名を馳せた「King's X」のギタリストですね。ちなみに「Time Zero」としてのメンバーはDavid Quicho(guitar)、Mane Cabrales(drums)、Andrea Mastrigli(bass)という人たち。申し訳ありません、3人とも存じ上げません。各曲にゲストミュージシャンが1名参加し、サポートするというパターンです。

さて、当欄の注目はBrett GarsedとT.J.Helmerichの2大ギタリストです。ご存じのようにこの2人は何回も共演していますし、当欄でも幾度となく紹介している技巧派です。Garsed、Helmerichとも2曲ずつ参加しています。

#1  Children Of No Name

Garsed参加曲。まさに「Planet X」を彷彿とさせるメタリックでハードなイントロでスタートします。変拍子の嵐、目まぐるしいリズムチェンジ、そしてガリガリ、ゴリゴリと刻まれるメタリックなリフ。おお、まさに「Plnet X直系」の名に恥じない素晴らしい展開です。曲中盤になってお目当てのGarsedが登場。相変わらず素晴らしいレガート奏法です。この人が一発ソロを投げかけるだけで曲の雰囲気ががらりと一変します。考えてみたら、Garsed自身、初期「Planet X」のメンバーだった経緯があるわけで、何ら違和感を感じさせません。「つかみはOK!」という感じですね。

#2  Conflagration
Helmerich参加曲。#1と似た感じの金属的なリフと変拍子に身を任せていると、中盤になってHelmerichが登場。ご存じの通りHelmerichはピックをほとんど使用しないで、両手タップのみで変態フレーズを生み出す怪人。いきなり絹を引き裂くかのような慟哭のフレーズが響きわたります。ひとしきり泣きわめいたと思ったら、例の浮遊感あふれるウネウネフレーズがこれでもか!という案配で続きます。Helmerich関連音源は可能な限り聴いているつもりですが、彼のベストプレイだと断じても差し支えないのではないでしょうか。Helmerich自身も「Planet X」のツアーメンバーに名を連ねた経緯があります。スタジオ音源がないのかなぁ。あったら即「買い」なんですが。Helmerichって本職はスタジオ技師なんですが、なんでもできてしまう才能に敬服です。

#9  Conflict Of Interest

Helmerich参加曲。曲調は#2とかなり類似しています。やはり中盤になって満を持して登場。両手タップなんですが少し「ふつうのギターっぽい音」を出しています。ソロ中盤からは例の地を這うかのようなウネウネフレーズが聴かれます。ところでメインメンバーのDavid Quichoもちゃんと弾いています。こちらもなかなかの技巧派ギタリストだと思うのですが、Helmerichが捲き散らす猛毒にすっかり中てられてしまっています。格負けなんでしょうか。

#10  Manifesto
Garsed参加曲。メインテーマはQuichoが刻んでいます。曲中盤からはQuichoとGarsedのギターバトルへと突入しますが、Quichoが投げかけ、Garsedが受け取るという展開。Quichoが必死にバトルを仕掛けるもGarsedが軽々といなすという構造です。これもいわゆる「格負け」という感じでしょうか。

●Musicians
David Quicho / guitar
Mane Cabrales / drums
Andrea Mastrigli / bass

Brett Garsed / guitar on Children Of No Name,Manifesto 
T.J.Helmerich / guitar on Conflagration,Conflict Of Interest
Ty Talbor / guitar on Fields Of Tears,Revenge
Matt Guillory / keyboard
Alex Argento / keyboard

●Numbers
1.  Children Of No Name
2.  Conflagration
3.  Fields Of Tears
4.  Revenge
5.  Vanguard
6.  Invisible Promises
7.  Urgent Solution
8.  Human Intrusion
9.  Conflict Of Interest
10. Manifesto

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2011年6月 3日 (金)

演奏重視になった「Leger de Main」の2nd

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Musician●Leger de Main
Title●First Second Impression(1997年)
■Amazon USAより購入


米ペンシルバニア出身のプログメタルバンド「Leger de Main」による2ndです。デビューアルバム「The Concept Of Our Reality」では驚異のテクニックと複雑怪奇な楽曲が何とも印象的でしたが、2ndでさらに磨きがかかったという感じです。メンバーは1stに続きChiris Rodler(guitar,bass,keys)とBrett Rodler(drums)「Rodler兄弟」と女性ボーカルMelissa Blair。ゲストミュージシャンとしてRodger/HultburbergプロジェクトのKevin Hultbergがベースで参加しています。

1stではMelissa Blairの何とも可憐なボーカルが印象的でしたが、この音源では彼女の比率が減少し、演奏主体でテクニカルな面が全面に押し出されています。それに比例して1stの明快で明るい作風から内省的な一面が強調されています。欧州プログレの湿った質感がところどころで感じられます。それはそれで個人的には歓迎できる変化です。

しかし、相変わらず複雑怪奇なポリリズム、変幻自在な楽曲構成、シンフォとエレキ&アコースティックの絶妙なバランス感覚は見事の一語です。ただし、同じメロディーが執拗に繰り返されたり、途中だれ気味になるあたりは冗長に感じる人もいるかもしれません。また、Melissa Blairのボーカルが後退したことで、作品全体での色気が減ってしまっていることも否めません。まあ、この辺りは好みというありますが。どなたかがレビューされていましたが、きちんとしたプロデューサーがいれば大化けしたかも…と思うといささか残念ではあります。

●Musicians
Chiris Rodler / guitar,bass,keyboards,synthesizer
Brett Rodler / drums
Melissa Blair / drums
Kevin Hultberg / bass

●Numbers
1.  Running Interfernce
2.  Changes With The Day
3.  Some Shell Search
4.  Do Whispers Die?
5.  The Story

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