懐かしきフュージョンブームの象徴的存在「アランフェス協奏曲」
Musicians●渡辺香津美、大村憲司、Lee Ritenour(guitar)
Title●アランフェス協奏曲(1978年)
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1970年代後半に巻き起こった「フュージョンブーム」は渡辺香津美というギターヒーローを世に送り出しました。渡辺氏は単独アメリカに渡り現地のミュージシャンと音源を残すなど当時から「国際派」の活躍ぶりで知られていました。YMOへの加入などジャンルのこだわらない幅広い音楽性が何と言っても渡辺氏の身上だったといえましょう。
このアルバムは渡辺氏に加え、大村憲司、そしてLee Ritenourという当時を代表する「3大フュージョンギタリスト」による夢の競演という触れ込みです。何でこの3人なのかという根本的な問題はさておいて、どうやらLee Ritenourのフレンドシップ来日に合わせる形で企画・制作されたようです。正確に言えばフレンドシップに渡辺氏、大村氏が加わったというと分かりやすいかも。1978年9月27日、28日録音。鍵盤楽器兼アレンジャーとして今年鬼籍に入った深町純が参加しています。忘れてはいけません大村氏も若くして鬼籍に入っています。
冒頭の「アランフェス協奏曲」はスペイン出身の盲目の作曲家でありギタリストであるホワキン・ロドリーゴによる名曲。どうやら1939年に作られた曲のようです。Jim Hallもカバーしていますね。10数分にも及ぶ大曲で3部構成になっています。第1部冒頭のスパニッシュギターは Ritenourによるもので、鍵盤楽器が加わり渡辺氏のエレキで一挙に盛り上がります。
同曲第2部ではデイヴ・クルーシングによるピアノから始まり、ついでLee Ritenourが「有名すぎる美しいフレーズ」を奏でます。やたらとフェイザーがかかったソロに時代を感じさせます。最後は大村氏によるロックタッチのソロで締めるという構成です。
第3部はLee Ritenourのリズムギターからスタートし、大村氏と渡辺氏が交互にリードを取り合い最後を盛り立ててくれています。後年になって渡辺氏はスパニッシュテイストのソロを得意とするようになりましたが、もしかしたらこの「アランフェス」が契機になったのかもしれませんね。
とまあ、メンバーをみるとやたらと豪華なのですが、いま冷静に聴き直してみると「だからなんなんだ」と感じないわけではありません。確かにメンツは豪華だし演奏自体も素晴らしいの一語。では、作品で何が言いたいのかというとそれがよくわかりません。彼らは何を伝えたかったのでしょうね。ここらあたりは「企画ありき」でスタートした弱みでしょう。豪華、豪華という触れ込みでモノが売れた良き時代の産物なのかもしれません。
●Musicians
大村憲司 / guitar
渡辺香津美 / guitar
Lee Ritenour / guitar
Dave Grusin / keyboard
Ernie Watts / sax,flute
Abe Laboriel / bass
Alex Acuna / drums
Steve Foreman / percussins
深町純 / synthesizers
●Numbers
1. Concierto De Aranjuez (アランフェス協奏曲 )
2. I Never Was A Cowboy
3. Latin Stuff
4. I Feel Breeze
5. Tighten Up
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