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2011年5月

2011年5月30日 (月)

突然ですが不定期更新にいたします

なぜか弾みがついた形で連日更新を続けてきた当欄。
それこそ思いもしなかった震災のために一時的な中断はありましたが、それでもおかげさまで何とか続けることができました。

別に意地で更新していたわけではないのですが、事情があってこれからは不定期更新にいたします。事情というのは仕事環境の変化による部分が大きいのですが、まあ簡単に言ってしまうと自分が思うよりも忙しくなってしまったのです。こればかりはいたしかたありません。

とは言っても書くべき音楽ネタはたくさんあります。ですからネタ切れというわけではないのですが、肝心の時間確保が困難になってきました。せっかくコメントをいただいてもお返しすらままならない状況は自分でもさすがにどうかと思います。これからは原則として週末に2、3回更新ということにしようと考えています。どうか変わらぬご贔屓のほどをお願い申し上げます。

また、状況が変わったら連日更新に戻る可能性もありますが、その時はよろしくお願いいたします。

奇天烈音楽士 拝

2011年5月29日 (日)

スコヘンの愛弟子、安達久美の1st「Little Wing」

R0010729
Musician●安達久美(guitar)
Title●Little Wing(2007年)
■Amazonより購入


いきなり「女性ギタリスト」と書くと「ジェンダー」の発想からすると逆行してしまいそうですが、正直な話、当欄の評価も若干甘くなってしまいます。何か、文句でもありますか?(笑)大阪出身の安達久美さんは11歳で兄の影響を受けてギターを手にし、高校卒業後にScott Hendersonが教鞭をとるギタリストの虎の穴「Musicians Institute」(MI)のギター科に留学します。そこでスコヘン先生に変てこりんなフレーズを叩き込まれたとか。帰国後は「花花」などJポップのバックなどを務めていたそうですが、2004年に自身のバンド「安達久美 Club PANGAEA」を結成し、ソロ活動を始めます。そんな安達さんの念願の初音源がこれです。

アルバムタイトルは言うまでもなくJimi Hendrixの名曲です。この曲を選択するあたりが実に渋いというか、自分の存在証明としては明快ですね。聴いているうちにわかったのですが、基本はロック、ブルース系のミュージシャンなのですが、フュージョン、ジャズ、ファンクなどの要素を意欲的に取り混ぜながら独自な世界を築いています。

#1  リトル・ウィング

言うまでもなくJimi Hendrixによる名曲。ボーカル無しでどうするのかと思いきや、情感たっぷりなブルースギターで最後まで押し通してしまいます。途中からハモンドオルガン風なキーボードが盛り立ててくるにしたがい、今度はSRV風に。原曲イメージを大切にしつつ、自分なりのカラーを出しているあたりが好感度大。

#2  ダンジリファンク
安達さんが生まれた大阪泉州は勇壮さで知られる「だんじり祭り」の本場だそうです。余談ですが大阪岸和田出身の清原和博選手は「だんじりファイター」などというあだ名を付けられていましたね。安達さん19歳の時の作曲。典型的なファンクなのですが、途中からブレークインしてくるギターソロが、師匠のスコヘン風というかそっくりのキレキレぶりです。安達さんが高校生のときにスコヘンにはまったのがきっかけで、ギター留学を果たしたというエピソードも納得のプレイ内容。ちなみにスコヘン先生の指導の厳しさはMIでも一、二を争うとか。世界中からプロを目指して入学してくるわけですから、それは凄まじい競争関係だったのでしょうね。個人的にはアルバム中いちばんのキラーチューンです。

全体を通して聴くとアルバム後半がやや冗長に感じられますが、それはキャリアがカバーしてくれるのではないでしょうか。2作目、3作目は未聴ですが近々に入手する予定ですので、レビューはあらためて。実は最近「Facebook」を始めたのですが、ダメ元で安達さんのFacebookへ「お友達申請」を送ったところ、即決で「お友達関係」を了承していただきました。そんなわけで、安達久美さんと「お友達」の当欄としては熱い視線で応援していく所存です。

ちなみに当欄のFacebookアドレスはFacebook.com/takashi.nishino1です。「本当の名前」で出ています。基本姿勢は「来る者拒まず」です。よしなに♪ただしFBアカウントがない方は入れないようです。

●Musicians
安達久美 / guitar
則竹裕之 / drums
清水興 / bass
河野啓三 / keyboard
大儀見元 / percussion
一丸聡子 / marimba

●Numbers
1.  リトル・ウィング
2.  ダンジリファンク
3.  狐の嫁入り
4.  ジャンク
5.  エアーポケット
6.  ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ
7.  パンゲア
8.  バースデーカード
9.  クッキーモンキー

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2011年5月28日 (土)

Nguyen Leのカバーアルバム「Song Of Freedom」

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Musician●Nguyen Le(giutar)
Title●Song Of Freedom(2010年)
■Amazonより購入


ベトナム系フランス出身のギタリストNguyen Le(グエン・レ)による最新アルバムを入手しました。当欄ではすでに何回もご紹介している物件なので「またかよ」と思われる向きもありかもしれませんが、しばしご容赦のほどをお願いします。例によってACTレーベルからのリリースです。参加メンバーはLliya Amar(vibraphone、marimba)、Linley Marthe(bass、vocal)、Stephane Galland(drums)というコアメンバーに加えて、Dhafer Youssef、Karim Ziad、David Binneyといったお馴染みのワールドミュージック系のミュージシャン達です。

Nguyen Leというと基本はジャズフュージョンの世界に身を置きながら、北アフリカ、イスラム、アジアなどの民族音楽との融合を図ったり、最近は映画音楽も手がけたりと、まさにボーダレスに活躍するギタリスト。また、ロックにも造詣が深く、かつてはジミヘンカバーアルバムもリリースしています。今回はロック寄りシフトのカバーアルバムです。ざっと列挙しますと、The Beatles、Stevie Wonder、Led Zeppelin、Janis Joplin、Bob Marley、The Creamといった面々。オリジナルに敬意を払いつつ、Nguyen Le風に完全に変えてしまうあたりは期待通りとはいえ流石の一語です。アルバムタイトルはBob Marleyの物を拝借したそうです。

#1  Eleanor Rigby

言うまでもなくレノン&マッカートニーの名曲。女性ボーカルのソウルフルな歌声に乗せてベトナム楽器が幾重にも重なり何ともエスニカルな楽曲へと生まれ変わっています。西洋音楽と東洋音楽の融合はNguyen Leの得意とするところです。終盤からはNguyen Leによるキレキレのウネウネソロが延々と続きます。

#2  I Wish
Stevie Wonderのカバー曲。西洋音楽と北アフリカ民族音楽の融合「ライ音楽」の典型的リズムが印象的。ベースが狂おしくのたうち回るのが特徴的です。途中から変拍子と目まぐるしいリズムチェンジが始まり、Nguyen Leのギターが自由奔放に飛びまくります。

#3  Ben Zeppelin
こちらはイスラム現代音楽の帝王Dhafer Youssefとの共作です。曲というよりコーランのような感じです。実は次の「Black Dog」への橋渡し的な役割を担っています。

#4  Black Dog
言うまでもなくLed Zeppelinの「Ⅳ」の冒頭を飾った名曲。Dhafer Youssefのイスラム風雄叫びが厳かに響きわたったと思いきや、あのお馴染みの変則リズムとギターリフが絡んできます。誰がHRとイスラムの融合などを考えつくでのしょう。でも、それが破綻なく奇妙にマッチしてしまうから不思議です。

#5  Pasttime Paradise
Stevie Wonderの曲。オリジナルの穏やかな印象がしばらく続きますが、途中からマリンバの連打によって曲調ががらりと一変します。極度にエフェクターがかかったギターが怪しい世界を作り出し、あれれ、気がつきたらイスラムとソウルミュージックとの融合へ。驚愕のアレンジ力です。最後はお得意の「ライ音楽」へとなだれ込み、狂乱のリズムへ。冒頭のソウルフルな雰囲気などどうでもよくなってしまいます。ラストで聴かれるNguyen Leのソロも冴えに冴えています。

#9  Move Over
Janis Joplinの代表曲です。オリジナルはタイトなドラムとギターが印象的でしたが、ここではあえてジャズ風な出だしでアレンジ。しかし、David Binneyのサックスを合図にお得意の狂乱のリズムへと大胆なシフトチェンジ。最後はベトナム民族音楽風でクールダウン。

#10  Whole Lotta Love
Led Zeppelinの代表曲で邦題は「胸いっぱいの愛を」。女性ボーカルの力強い歌唱とマリンバの連打に心を奪われていると、フレットレスベースの超絶技巧が。中盤からはインド音楽風の高速チャットとNguyen Leの凄まじいソロの応酬が。おまけにリズムは目まぐるしいほどの変拍子の連打。ふさわしい言葉が見つかりません。

#12  Sunshine Of Your Love
The Creamの代表曲。ライ音楽特有の饒舌なリズムで始まったと思いきや、ほどなくお馴染みのテーマが始まります。ジャズ風アレンジなのですが、バックにはイスラム風マリンバが連打されるという何とも不思議な感じのアレンジ。Nguyen Leのソロは中盤からスタートしますが、同時にライ音楽風に曲調もチェンジします。それでいてバックにはインド音楽風チャットの嵐。こういうのが本物のワールドミュージックと言うのではないでしょうか。

#15  Come Together
最後はレノン&マッカートニーの代表曲。終始ライのリズムに合わせた狂乱のリズムが凄まじい迫力です。オリジナルなんてどうでもよくなってしまいます。

この2、3年は大人めの印象があったNguyen Leですが「カバーアルバム」という外見的な衣を被りながらも、実際は彼自身による今までの集大成的な作品に仕上がっているという印象があります。しかも、すべてがパワーアップしたうえで複雑怪奇に融合されています。というわけで2011年上半期でのベストアルバムに決定!

●Musicians
Nguyen Le / guitar
Lliya Amar / vibraphone,marimba
Linley Marthe / bass,vocal
Stephane Galland / drums
Dhafer Youssef
Karim Ziad
David Binney
etc,

●Numbers
1.  Eleanor Rigby
2.  I Wish
3.  Ben Zeppelin
4.  Black Dog
5.  Pasttime Paradise
6.  Uncle Ho's Benz
7.  Mercedes Benz
8.  Over The Rainforest
9.  Move Over
10. Whole Lotta Love
11. Redemption Song
12. Sunshine Of Your Love
13. In A Gadda Da Vida
14. Topkapi
15, Come Together

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2011年5月27日 (金)

テクニカル系ギタリストJoy Basuの1st

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Musician●Joy Basu(guitar)
Title●Joy Basu(1996年)
■Amazon USAより購入


テクニカル系ギタリストの登竜門「シュラプネルレコード」は多くの優れたギタリストを発掘し世に送り出しましたが、なかでも無名ギタリストを集めたうえで活躍のチャンスを与えてきました。ただ、無名ミュージシャンをピンで売り出すのはやはりリスキーな行為ではあります。そんなわけで考案されたのが「コンピレーションアルバム商法」。簡単にいえば若手無名ミュージシャンに1曲ずつの「枠」が与えられて無名ミュージシャンの十把一絡げ的なアルバムに仕立て上げるのです。そんなコンピ物ですが、マニア筋で高い評価を得ているのが「Hottest Unknown Guitarists」や「Ominous Guitarists From Unknown」というアルバム群。何だか褒めているのか貶しているのかよくわからないタイトルですが、知られざるミュージシャンを発掘するうえでは実にありがたい音源です。これらのコンピ物に関しては機会をあらためてレビューしたいと思いますが、これらに参加していたのが今回ご紹介するJoy Basu(ジョイ・バス)です。

米ペンシルヴァニア州出身のJoy Basuは1970年生まれ。幼少期はお決まりのようにEddie Van Halenから大きな影響を受けたそうです。16歳の時にはすでにギター講師を務めていたということですからRon Thalも真っ青の早熟ということになります。基本的にはテクニカル系ギタリストの基本形である速弾き、タッピング、スウィープなどのを駆使したトリッキーなプレイヤーということになりますが、ほかのギタリストとちょっと毛色が違うなと思わせるのが、「ブルースオリエンティッド」という点です。

#1  2nd Soul
リフがジミヘンを彷彿とさせるヘビーなナンバー。めまぐるしく展開するリフですが、ジミヘンに慣れ親しんだ世代としては何てことはありません。曲後半になると複雑怪奇なタッピングの嵐に。

#2  Junior's Awake

ややファンキーな楽曲ながらどこかメロウな感じというのがBasuの得意技のようです。この曲んどはその典型でしょう。ミディアムテンポでギターを歌わせながら、途中かmらスウィープでテクニカル系ギタリストとしての本領発揮。それでいてなぜか懐かしさのような親近感を覚えるのはブルースオリエンティッドだからでしょう。

#3  Dr. Funhouse

これまたジミヘンを感じさせるファンク&ブルージーな曲。2度、3度と昇りつめていくリフに大興奮です。途中からテクニックの大お披露目大会に移るのですが、決してテクニックのひけらかしと感じられないのは楽曲が優れているからでしょう。もっともそれは私なりの受け止め方で、演奏自体はかなり変態度高しです。

#4  Post Depression

ジミヘンの「Manic Depression」を意識した曲タイトルだなと思いきや、かなりメロウな感じのバラードナンバー。やけに分かりやすくて取っつきやすいナンバーですが、分かりやすいのは曲テーマであって、ギターそのものは凄まじいの一語です。ギターを少しばかりカジった方ならご理解いただけると思いますが、実はスローな曲に乗せる超絶技巧というのが大変なんです。いとも簡単にこなしてしまうBasuの力量にあらためて驚き。

#7  Goodberville

かなり乗りがよろしい感じのファンキーなナンバー。ハーモニー・プレイが土台になっているので一見爽やかな印象を受けますが、裏テーマで行われているプレイはかなりのエグさです。

このアルバムでJoy Busuは全楽器をこなしているそうですが、リズム系はおそらく打ち込みだと推測されます。サウンドプロダクションも決して良好とは言えず、もう少し予算があれば…と思いますが1stとしては上々のスタートでしょうか。近年では「KOTAKO」という女性シンガーをプロデュースしたりテクノに走っているようですが、どうも当欄のアンテナ感度が鈍いのか表舞台に浮上してくる気配が感じられないのが残念です。このままだと本当に「Unknown」になってしまうのではという危惧が…。

動画は最近のものだと思われます。どうも方向性が…

●Musician
Joy Basu / all instrumental

●Numbers
1.  2nd Soul
2.  Junior's Awake
3.  Dr. Funhouse
4.  Post Depression
5.  Bad Monkey Boogie
6.  Leavng Society
7.  Goodberville
8.  Rage
9.  Chilled Heat
10. Seven Below Stress

R0010723


2011年5月26日 (木)

Holdsworthが1曲のみ参加。Stanley Clarkeの「If This Bass Could Only Talk」

R0010688
Musician●Stanley Clarke(bass)
Title●If This Bass Could Only Talk(1988年)
■Amazonより購入


言うまでもなくビッグネームStanley Clarkeのリーダー作です。1988年リリース。個人的な好みで言えばReturn To Forever時代と並行してリリースした2ndリーダー作が一番好みなんですが。あの音源にはTony WilliamsやBill Connorsが参加していました。

この盤を購入した決め手は例によってAllan Holdsworthが1曲のみ参加しているからです。#4「Stories To Tell」という曲ですが、Stanley Clarkeがつま弾くシンセによる東洋風メロディーに乗せて、即座にわかるHoldsworth節が炸裂します。でも、結局は楽曲がどうのというよりも、Holdsworthがソロを弾くか、弾かないかなのです。曲の善し悪しというよりもまずはソロでしょうという、お得意の唯我独尊。まあ、マニアにはこれがたまらないのですが。クレジットを見ると何と「The Police」のStewart Copelandが参加しています。目のくらむようなメジャー感です。

ほかの曲もどうにも当時流行っていた「ブラコンチック」なものばかりで、個人的にはあまり馴染めないのですが、さすが大物だけあって参加ミュージシャンは豪華絢爛です。Stewart Copelandをはじめ、Wayne Shoter、Freddie Hubbard、Steve Hunt、George Dukeなどとビッグネームが名を連ねています。しかし、どんなに素晴らしい素材を揃えても調理方法が不味いとこんな感じになってしまうのですね。なんだかモッタイナい感じで残念です。

ところでStanley ClarkeとAllan Holdsworthの繋がりがよくわからないのですが、同年1988年に「Jazz Explosion Superband」という期間限定ユニットでステージ共演しています。この時はSteve SmithやRandy Breckerがいて実に素晴らしいプレイを聴かせています。このアルバムもこのメンツで作ったら良かったのにと思います。

●Musicians
Stanley Clarke / bass,guitar,synthesizer
Allan Holdsworth / guitar
Stewart Copeland / drums
Wayne Shoter / soprano sax
Freddie Hubbard / trumpet
Steve Hunt / synthesizer
George Duke / piano
etc,

●Numbers
1.  If This Bass Could Only Talk
2.  Goodbye Pork Pie Hat
3.  I Want To Play For Ya
4.  Stories To Tell
5.  Funny How Time Flies (When You're Having Fun)
6.  Workin' Man
7.  Tradition
8.  Come Take My Hand
9.  Bassically Taps

R0010689


2011年5月25日 (水)

蠍団の1st「Lonesome Crow」

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Musician●Scorpions
Title●Lonesome Crow(1972年)
■ディスクユニオンで購入


昨年の2010年に「解散宣言」をしたジャーマンメタルの親分「Scorpions」。実質的には1965年からプロ活動をスタートさせたという話ですから何と45年間も活動し続けていた計算になります。そんなScorpionsのデビューアルバムがこの「Lonesome Crow」です。そう、リードギターがMichael SchenkerでリズムギターがRudlf SchenkerというSchenker兄弟時代の貴重音源です。若いファンにとっては、Michael Schenkerが脱退して「UFO」で武者修行した話とか、Michael Schenkerが抜けたあとの2代目ギタリストが「ジミヘンフォロワー」Uli Joh Rothで、ジミヘンの最後の愛人モニカ・ダンネマンにそそのかされる形で「蠍団」を脱退したエピソードなんていうのは苔蒸した話かもしれません。だいたいUliが蠍団を去ったのは1978年の話ですから。

とは言ってもこれがバンド初のアルバムであることは事実です。しかしながらこの作品から、のちの彼らのイメージを見いだすことはかなり困難かもしれません。1972年当時はDeep Purpleが「Machine Head」をリリースしたばかりなので、いわゆるHRの方程式が確立され始めるかどうかの微妙な時期。まだまだ、イギリスの後塵を拝していたドイツのバンドにとって60年代後半の「第1期DP」の軌跡をトレースするだけでも精一杯だったのかもしれません。アルバム全体には「アートロック」や「ニューロック」と呼ばれていた音楽的要素がかなり色濃く残っています。さて、このままアートロック路線で行くのか、それともDPを追ってHR路線へと舵を取るのか、大いに迷いが感じられます。バンドの3本柱の一角、Klaus Meine(クラウス・マイネ)も最後まで得意のハイトーンボイスを披露することなく、沈んだ感じで終始しています。

Michael Schenkerのギターも時折「彼らしさ」の片鱗を見せますが、どう贔屓目に見ても「卵状態」の感は否めません。彼がグループを離れて「UFO」で武者修行を積んだことは結果論としても大正解だったと思います。

●Musicians
Michael Schenker / lead gutar
Rudlf Schenker / rythm guitar
Klaus Meine / vocal
Wolfgang Dziony / drums
Lothar Heimberg / bass

●Numbers
1.  I'm Going Mad
2.  It All Depends
3.  Leave Me
4.  In Search Of The Peace Of Mind
5.  Inheritance
6.  Action
7.  Lonesome Crow

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2011年5月24日 (火)

変態系プログメタル「Psychotic Waltz」の1st

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Musician●Psychotic Waltz
A Social Grace(1990年)
■Amazonより購入


米サンディエゴ州出身で6人組のプログメタルバンド「Psychotic Waltz」(サイコティック・ワルツ)が1990年にリリースしたデビューアルバムです。たびたび当欄で登場する「プログメタル」ですが、系統としてはWatchtowerやCYNICあたりに通じる変態系に属すると思われます。

いきなり重厚ながら奇妙なリズム感覚で迫ってくる#1「And The Devil Cried」をはじめ、メタルとプログレの双方のエッセンスを取り入れた独自のサウンドは、他をいっさい寄せつけない異彩さを放っています。Dream Theaterがもつ明快さやメジャー感とは違って、かなりアンダーグラウンドで陰花植物のような存在感がマニア筋を引き寄せます。北欧系デスメタルのような救いようもない陰鬱さとはまた違う独自のポジショニングは、捻りに捻りまくった複雑怪奇な楽曲とあいまって「変態系」の分類するに足りる怪しさです。

聞けばボーカルのBuddy Lackey(バディ・ラキー)はジェスロ・タルの影響を強く受けているとともに、グランジ系やアシッドにも強いシンパシーをもっているとか。そこら辺のバランス感覚が、この奇妙なサウンドに表れているのではないかと思います。Watchtowerあたりが好きな人にはお勧めだと思います。

●Musicians
Ward Evans / bass
Norm Leggio / drums
Brian McAlpin / guitar
Dan Rock / guitar
Buddy Lackey / vocal

●Numbers
1.  And The Devil Cried
2.  Halo Of Thorns
3.  Another Prophet Song
4.  Succesor
5.  In This Place
6.  I Remember
7.  Sleeping Dogs
8.  I Of Storm
9.  A Psychotic Waltz
10. Only In A Dream
11. Spiral Tower
12. Strange
13. Nothing

R0010695


2011年5月23日 (月)

知られざるテクニカル系ギタリストJimi Tunnellの「Trilateral Commission」

R0010702
Musician●Jimi Tunnell(guitar)
Title●Trilateral Commission(1992年)
■ディスクユニオンで購入


アメリカという国は個人的にはあまり好きになれないのですが、それでも音楽の面ではドンドン知らない人たちが湧き出るかのように発見されます。食わず嫌いなどしている状況ではないのです。

アダム・ホルツマンやデニス・チェンバースのプロジェクトに参加したり、マイク・マイニエリのグループ、Steps Ahead(ステップス・アヘッド)のレギュラーギタリスト、Jimi Tunnell(ジミ・タンネル)の初リーダー作です。1992年リリース。メンバーはOmar Hakim(drums)、Bendik Hoffseth(sax,vocal)、Jeff Andrews(bass)、Rachel Z(keyboards)、Arto Tuncboyaciyan(percussion)という構成です。Omar HakimはAllan Holdsworthとの共演でも知られていますね。ほかの方々はあまり馴染みがないと言うか存じ上げません。Rachel ZとBendik HoffsethはSteps Aheadの同僚だそうです。奥が深いなぁ。

サウンド志向としは「プログレ風Weather Report」という感じでしょうか。パストリアス級は不在ですが、Jimi Tunnellのギターがとにかく凄い!決してバリバリ弾きまくる感じではありませんが、ここぞという場面では実に小気味良いソロを聴かせます。フレーズ回しはややHoldsworth的だったり、Scott Hensderson的だったりするのですが、ということはNguyen Le的でもあるのです。特のアームの使い方はNguyen Leを思わせます。もう少し弾いてくれればいいのにと思わせておいて、引き下がる「腹八分目感」が溜まりません。

Jimi Tunnellは一部マニア筋で有名ですが、実は優れたボーカリストとしても有名です。彼のボーカルによるシングルがビルボードチャートの7位にランクされたということですから、かなり器用なミュージシャンということになります。このリーダー作ではお得意のボーカルをほとんど披露することなくギタリストとして勝負しています。個人的なキラーチューンは圧倒的な疾走感が素晴らしい#4「A.B.C」でしょうか。

いかんせんご本人は活動のフィールドが限られているようで、ほとんど名前を見ることがありません。色々な引き出しをもっている優れたミュージシャンだけに、もっと彼の音を聴きたいのですが……。 ところで私が所有しているのはどうやら旧ジャケットのようで、新ジャケットは白を基調としたお洒落感いっぱいのデザインです。

●Musicians
Jimi Tunnell / guitar,vocal,keyboard,percussion,programming
Omar Hakim / drums
Bendik Hoffseth / sax,vocal
Jeff Andrews / bass
Rachel Z / keyboards
Arto Tuncboyaciyan / percussion

●Numbers
1.  Cross Stick
2.  Zalimo
3.  Not 4
4.  A.B.C.
5.  True West
6.  The Slime
7.  M.O.C.
8.  Nice West
9.  Big Pig
10. South West

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2011年5月22日 (日)

Greg Howeの遠回りその1「High Gear」

R0010678
Musician●HoweⅡ
Title●High Gear(1989年)
■Amazonより購入


アフリカ系&テクニカル系ギタリストGreg Howe(グレッグ・ハウ)が1989年に兄のAl Howeと結成したHMバンド「HoweⅡ」の1stです。以前、ご紹介したようにGreg Howe本人は1988年に「Greg Howe」でソロデビューを果たしていますが、シュラプネルレコードの戦略なのかわかりませんが今度はバンド形式での登場です。メンバーはAl Howe(vocal)、Vern Parsons(bass)、Joe Nevolo(drums)が固定メンバーでゲストギタリストとしてJason Beckerと何とプロデューサーであるMike Verneyが参加しています。Mike Verneyがギターを弾くのは初めて聴いたように思いますが、単純に人材不足だったのか、それとも一緒に演奏したかったのか、よくわかりません。

ジャケットデザインを見てもわかるようにメンバー全員が「目張り」を入れたうえでコスチュームデザイナーがつくという完全なビジュアル志向です。しかし、実際の演奏は結構硬派で聴き応えががあります。Al Howeのボーカルはサミー・ヘイガーとデヴィッド・リー・ロスの中間を狙った感じといっていいでしょうか。良くも悪くも典型的なアメリカンハードロックの系譜を汲んでいます。Van Halenを若干小粒にした感じの楽曲が中心。もちろんGreg Howeのギターが圧巻的な存在感を示しています。ただしお兄ちゃんAlのボーカルの声質は決して良いとは思えず、あれれという感じであります。

Jason BeckerとMike Verneyのギターが聴けるのは#9「Party Favors」という曲。1stソロがHowe、2ndがMike Verney、3rdがJason Beckerの順。かなりヒヤヒヤものですが僅かな時間で終わってしまうので安心するやら何とやら。Jason Beckerはさすがですね。

以前、某巨大通販サイトのレビュー記事にこのアルバムについて酷評に近い記事を投稿しましたが、いまあらためて聴き直してみるとそんなに悪い感じはしません。もちろんGreg Howeありきの音源であることは変わりないのですが。

●Musicians
Greg Howe / guitar
Al Howe / vocal
Vern Parsons / bass
Joe Nevolo / drums
Jason Becker / guitar on Party Favors
Mike Verney / guitar on Party Favors

●Numbers
1.  High Gear
2.  Carry The Torch
3.  Stat-O-Various
4.  Discover Conduct
5.  THinking Of You
6.  Standing On Line
7.  Ferocious
8.  Don't Let The Sloe Gin
9.  Party Favors
10. Social Fever

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2011年5月21日 (土)

アバクロによるジミヘンカバーアルバム「Foxy Lady」

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Musician●Ronnie Smith Trio
Title●Foxy Lady Tribute to Jimi Hendrix
■ディスクユニオンで購入


ECMを代表する知性派ギタリスト、John Abercrombie(ジョン・アバークロンビー)とジャズ系オルガン奏者Ronnie Smith(ロニー・スミス)、売れっ子ドラム奏者Marvin Smitty Smith(マーヴィン・スミス)のトリオがジミヘンカバーに挑戦という異色作です。1994年リリース。このアルバムに先立って同一メンバーで「Aflo Blue」というコルトレーンカバーアルバムも出ています。

ECMでのAbercrombieに慣れ親しんでいる人にとっては、ジミヘンカバーとは大変な違和感を感じるかもしれません。ただAbercrombieの来歴を辿ると70年代始め頃はBrecker兄弟やBilly Cobhamと組んでジャスロック的な作品(「Dreams」)を残しているだけにそれほど不思議な感じはありません。Abercrombie独特の浮遊感あふれるウネウネギターとRonnie Smithのオルガンが妙にマッチしていて結構楽しめる作品です。それにアバクロさんは意外にもブルースギターが上手いことに気がついてお得感もあります。#4「Jimi Meets Miles」はオリジナルではなくRonnie Smithによるものです。

実はこのセッションでは3人とも乗りに乗って予定された収録時間を大幅に超えてしまい、1枚のCDには収まり切れないほどの熱演だったとか。この作品で未収録の音源は以前ご紹介した「Purple Haze Tribute to Jimi Hendrix」という作品としてリリースされています。本来ならばプロデュース的には失敗なわけですが、ファンにとっては思わぬ「おまけ」が手に入ったような気持ちです。興味のある人はそちらも聴いてみることをお勧めします。

●Musicians
John Abecrombie / guitar
Ronnie Smith / organ
Marvin Smitty Smith / drums

●Numbers
1.  Foxy Lady
2.  Castle Made Of Sand / Star Spangled Banner
3.  Third Stone From The Sun
4.  Jimi Meets Miles

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2011年5月20日 (金)

笑ってしまうほどの疾走感「Space Eternal Void」唯一の作品

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Musician●Space Eternal Void
Title●Eniac Requiem(1998年)
■Amazon USAより購入


米テキサスで活躍するテクニカル系ギタリストDerek Taylor(デレク・テイラー)が結成した超絶ユニット「Space Eternal Void」による唯一の作品です。テクニカル系ギタリストの殿堂・シュラプネル・レコードからリリース。メンバーはDerek Taylor(guitar,vocal)、Scott Stine(guitar)、Brett Stine(keyboard)、David Perry(bass)、Rob Stankiewicz(drums)という知る人ぞ知ると言われる超絶技巧の持ち主たちの名前がズラリ。つまりは「HAJI'S KITCHEN」人脈ということです。プロデューサーはマーク・ヴァーニィーではなくてDerek Taylor自身が担当。

サウンドとしてはメンバー全員がノンストップで全力疾走しまくるという、「超高速プログメタル」という感じですが、適度にネオクラ風な味付けもあり、Brett Stineのキーボードが適度なシンフォプログレ的な要素を取り入れたりしているので、聴いていて飽きるということはありません。Derek Taylorのボーカルというのも初めて聴きましたが、適度に「EUROPE」風であったりします。

それにしても、Derek TaylorとScott Stineという両テクニシャンによるギターは笑ってしまうほど速いこと!1曲目の「Prelude」では中近東的なエスニカルなテーマを信じられないスピードで難なく弾きこなしているのには、ただ口をあんぐりと見守るばかりです。こんな素晴らしい演奏を聴かせるユニットがこの1作しか残していないとは残念なかぎりです。

さて、ユニット唯一の音源、しかもシュラプネル系ということで例によって入手が困難ですが輸入盤だと驚くほどの捨て値で売られていたりします。超絶ギター好きの方、変態系プログメタルが好きな方にお勧めです♪

●Musicians
Derek Taylor / guitar,vocal
Scott Stine / guitar
Brett Stine / keyboard
David Perry / bass
Rob Stankiewicz / drums

●Numbers
1.  Prelude
2.  Amulet of the Sun
3.  Wyrm
4.  Endless Cosmos
5.  Shadows Fall
6.  Lost in the Void
7.  Sad Clowns in Europe
8.  The Slow Prisoners
9.  Nemesis
10. Darkness Planet Earth
11. Guenhwyvar
12. Empire of Dolls
13. Finale

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2011年5月19日 (木)

イタリアのジャズロックバンド「Dedalus」の1st&2ndカップリング

R0010670
Musician●Dedalus
Title●Dedalus-1973/1974(1973年&1974年)
■Gemm.comより購入


イタリアトリノ出身のアヴァンギャルド系ジャズロックグループ「Dedalus(デダルス)」の作品です。1973年に発売された1stと1974年発売の2ndのカップリング再発盤です。恥ずかしながら某サイトでグループの存在を知り、直感的に購入を決めました。当欄にとって「70年代のジャズロックバンド」という言葉自体が殺し文句なのです。

まず、1973年のデビュー作ですが、まさに期待通りの70年型ジャズロックアルバムという感じでいきなりテンションが上がります。Robert Fripp系のエレキギターとエレピ、チェロ、サックスなどのパートが絶妙な配分で絡み合いながら疾走します。演奏自体は同時代のKing CrimsonやSoft Machineに比肩するほどのテクニシャン揃いです。楽曲構成も複雑でリズム隊も変拍子の連打の嵐。雰囲気としては「6」あたりのSoft Machineに似ていますが、よりジャス的でよりフリー寄りのプレイが延々と続きます。これはかなりの「ツボ」です。ちなみにボーカル無しのオールインストです。特に#1「Santiago」と#5「Brilla」で聴かれる白熱のプレイは圧巻の一語!

ジャケットに載っているメンバーの写真を見ると、かなりのインテリ風に見えます。というわけで前半の5曲目までが1stの音源です。

6曲目からは2ndの音源に移りますが、作風が一変。シンセとギターを中心にした実験音楽という感じで、ジャズロックというより完全にアヴァンギャルドの世界へと聴く者を誘います。どうやら「生活音」がこのアルバムでのテーマだったようで、トイレの音、人の話し声、食事の音などを再現した「演奏」が延々と続きます。1stでの鮮烈なイメージを期待した人は、かなり拍子抜けしたのではないでしょうか。実は当欄も退屈してしまい、あまりお勧めできません。この2ndに未収録だった音源(音源そのものは1976年の録音とのこと)をボーナストラックとして追加した作品が再発売されたそうですが、いまなお未確認です。ちなみにネット情報によると、2ndは「Materiale Per Tre Esecutori E Nastro Magnetico」というタイトルで、ボーナストラックを加えた再発売盤は「Materiale Per Tre Esecutori E Nastro Magnetico」というタイトルだそうです。

バンドの作風は時間とともに変わっていくことは当然としても、1stと2ndがまるで別物になってしまうケースも珍しいですね。

●Musicians
Fiorenzo Bonansone / cello,piano,synthesizer
Marco Di Castri / guitar,tenor sax,percussion
Furio Di Castri / bass,percussion
Enrico Grosso / drums,percussion
Rene Montegna / african percussion

●Numbers
1.  Santiago
2.  Leda
3.  Conn
4.  CT 6
5.  Brilla
6.  Rumore Bianco Nastro Magnetico
7.  Emergenze
8.  Discorso Su Due Piani
9.  Spazio Di Sei Note
10. Esserci
11. La Bergera Da Un Canto Popolae Anonimo
12. Con Piu Frequenza
13. Accordanza
14. Improvvisazione Per Violoncello Sassofono Tenore Batteria

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2011年5月18日 (水)

Robin TrowerのChrysalis時代の5作品が一挙に聴けるお得商品

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Musician●Robin Trower(guitar)
Title●A Tale Untold:the Chrysalis Years(1973-1976)
■Amazonより購入


元「プロコルハルム」のギター奏者でジミヘンフォロワーの第一人者Robin Trower(ロビン・トロワー)がChrysalis Recordに残した初期5作品をまとめた編集盤です。普通なら見逃すというか、食指が動かない物件なのですが、リマスター化されたうえに数曲未発表音源が追加されているということなので、急遽入手しました。

Trowerの初期作品をいったん整理しますと、

1st   Twice Removed From Yesterday(1973年)
2nd   Bridge Of Sighs(1974年)
3rd   For Earth Below(1975年)
4th   Live!(1975年)
5th   Long Misty Days(1976年)

の5作品が3枚のCDにまたがって収録されています。しかもCDの容量を目いっぱい使って。これで郵送代を含めても2000円もしないとなると、買わない手はありません。

さてワクワクしながら聴いてみるとリマスター効果もなかなかです。前の音が悪すぎたということもありますが。どうやら2007年と2010年にリマスター作業を行ったようです。

それぞれの魅力についてはほとんど語り尽くしてしまった感があるので過去記事をご覧いただければ幸いです。今回の「キモ」といえば、なんと言っても未発表音源です。未発表音源といってもシングルバージョンだったり、シングル盤のB面曲だったり(シングルを持っていない人間にとって実質的には未発表音源とも言えますが)、アウトテイクだったりするわけですが、全国5万人のTrowerファンにとってはそれでもありがたいのです。

CD1 #10「Take A Fast Train」

「Man Of The World」のB面曲。変化が激しいリフが印象的なアップテンポなロックナンバー。これは初聴です。いかにもジミヘンフォロワーという感じですが、後半ソロの素晴らしさは目を見張るものがあります。B面にしておくのはもったいない熱演です。

CD2  #5「Day Of The Eagle」

シングル用に編集された音源。シングル用にあらためてプレイしたのものではありません。曲後半が不自然にフェードアウトしてしまいます。不自然と書きましたが、それは原曲を知っているからなのでしょう。

CD3  #14「Long Misty Days」

シングル盤用に編集された音源です。当然、オリジナルより演奏時間が短めです。

CD3  #15「Let Me Be The One」

「Long Misty Days」のB面曲です。これも初出音源と言えましょう。ソウルフルなDewerのボーカルに合わせて、やたらとエフェクターが効いたTrowerのギターがむせび泣きます。まさに慟哭のソロですね。ただ、いかんせんシングル用だけに尺が短い。もっと聴きたいのに…と思わせておいて終わってしまいます。

●Musicians
Robin Trower / guitar
James Dewer / vocal,bass
Reg Isidore / drums
Bill Lordan / drums

●Numbers
[CD 1]
1.  I Can't Wait Much Longer
2.  Daydream
3.  Hannah
4.  Man Of The World
5.  I Can't Stand It
6.  Rock Me Baby
7.  Twice Removed From Yesterday
8.  Sinner's Song
9.  Ballerina
10. Take A Fast Train (B-side of 'Man Of The World')
11. Day Of The Eagle
12. Bridge Of Sighs
13. In This Place
14. The Fool And Me

[CD 2]
1.  Too Rolling Stoned
2.  About To Begin
3.  Lady Love
4.  Little Bit Of Sympathy
5.  Day Of The Eagle (Single Edit)
6.  Shame The Devil
7.  It's Only Money
8.  Confessin' Midnight
9.  Fine Day
10. Alethea
11. A Tale Untold
12. Gonna Be More Suspicious
13. For Earth Below
14. Too Rolling Stoned (Live)
15. Daydream (Live)
16. Rock Me Baby (Live)

[CD 3]
1.  Lady Love (Live)
2.  I Can't Wait Much Longer (Live)
3.  Alethea (Live)
4.  Little Bit Of Sympathy (Live)
5.  Same Rain Falls
6.  Long Misty Days
7.  Hold Me
8.  Caledonia
9.  Pride
10. Sailing
11. S.M.O.
12. I Can't Live Without You
13. Messin' The Blues
14. Long Misty Days (7" Edit)
15. Let Me Be The One (Outtake/B-side to 'Long Misty Days')

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2011年5月17日 (火)

DPの編集盤「Power House」

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Musician●Deep Purple
Title●Power House(1977年)
■ディスクユニオンで購入


1977年にアナログ盤で発表されたDPとしては貴重な編集盤です。いまでこそ発掘音源がさまざまな形でどんどんリリースされているので、このアルバムがもつ重要性も相対的に低下してしまいましたが、発売当時は希少音源としてDPマニアの心を大いに揺さぶったことは記憶に鮮明です。いま冷静に考えると発掘音源リリースの始まりだったわけですが。

さて、この盤の魅力は何といっても、未発表音源が、しかもグループの変遷とともに辿れるという、当時としては画期的な編集方針にあります。収録全6曲のうち、やはり希少価値といえば1969年9月24日に行われた第2期DPによるロイヤル・フィルハーモニー・オーケストラとの共演音源です。当日はDPのみのライブが第1部、オーケストラとの共演が第2部という2部構成でした。曲としては第1期のレパートリー「Hush」と「Wring That Neck」、そして第2期の名曲「Child In Time」の計3曲。Blackmoreの「Hush」でのプレイは何となく投げやりな感じを受けますが、第2期DPの底力が発揮されるのは、「Wring That Neck」と「Child In Time」の2曲。火の出るようなBlackmoreのプレイはいま聴き直しても鳥肌が立ってきます。DPマニアならご存じのように当日はギブソンのES335を弾いています。気のせいでしょうか。60年代後半のBlackmoreのギタープレイは実に丁寧できめ細やかな印象を受けます。オーケストラとの共演音源は映像作品も出回っていますね。

特に「Child In Time」は当日、客前で初めて披露されたとのこと。いままでのイメージを完全に打破する前代未聞の演奏が終わったあと、いったん観衆が静まり返り、割れんばかりの拍手をもって熱演が賞賛されるという実に生々しい光景が手にとるように分かります。この日以降、あの第2期DPの快進撃が始まったという歴史的瞬間が聴けるという貴重なアルバムなのです。

缶コーヒーのCFで有名な#5「Black Night」はDP初来日、1972年8月14日、大阪フェスティバル・ホールでのライブ音源。あまりに素晴らしい演奏にも関わらず本編「Live In Japan」に収録されなかったのですが、別の編集盤「24 Carat Purple」に収められていたものと同一です。

●Musicians
Ritchie Blackmore / guitar
Jon Lord / organ
Ian Gillan / vocal
Roger Glover / bass

●Numbers
1.  Painted Horse
2.  Hush
3.  Wring That Neck
4.  Child In Time
5.  Black Night
6.  Cry Free

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2011年5月16日 (月)

暴虐の歌姫Metallic Kitty率いる「Decadence」の3rd

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Musician●Decadence
Title●3rd Stage Of Decay(2006年)
■ディスクユニオンで購入


北欧スウェーデン出身のメロディックデスメタルバンド「Decadence」(デカダンス)による3枚目のアルバムです。日本でのアルバムデビュー作にあたるとか。2006年発売。

女性ボーカルによるメロディックデスメタルというと同じスウェーデンの「Arch Enemy」(アーク・エネミー)のアンジェラ嬢が思い浮かびますが、実際、ボーカルのMetallic Kittyはアンジェラ嬢のことをかなり尊敬し、プレイスタイルのうえでかなり参考にしているようです。そんなことで、同じブルータリティを特徴にする女性ボーカルという点でよく比較される二人ですが、事前の情報がなければ最後まで気がつかないアンジェラ嬢よりもKitty嬢のほうがかなり女性的だと思います。それでいて女性の部分を売り物にしない「男っぽい潔さ」が、何とも言えない魅力につながっているのだと思います。その意味ではOTEPに近いかもしれません。

Kitty嬢の場合はかなりの美形という外見から受ける印象も大きいのですが、それ以上に特徴的なのは音楽の多面性だと思います。スラッシーな部分は徹底してスラッシーでありながら時に聴かせる叙情的でメランコリックな部分との落差が何とも魅力的です。メンバーが作り出すテクニカルな音の嵐も、この手のバンドにあってかなりクリアで、メリハリが利いていて意外にもとっつきやすい面を見せています。単なる「キワモノ的なオネイチャンバンド」という先入観で臨むと、けっこう痛いしっぺ返しに遭うことは間違いないです。個人的には大変な掘り出しモノだと思っているのですが、日本ではあまり人気がないようですね。新作もなかなかの出来映えです。

というわけでMetallic Kittyの艶姿をどうぞ♪


●Musicians
Metallic Kitty / vocal
Kenneth Lantz / guitar
Joakim Antman / bass
Erik Rojas / drums

●Numbers
1.  Corrosion
2.  Claustrophobia
3.  3rd Stage Of Decay
4.  Theater Of The Absurd
5.  Settle The Score
6.  Sculpture
7.  Invert
8.  Endgame
9.  Corrosion

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2011年5月15日 (日)

ハイテク&プログメタル「Leger de Main」の1st

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Musician●Leger de Main
Title●The Concept Of Our Reality(1995年)
■Amazon USAより購入


米ペンシルバニア出身のプログメタルバンド「Leger de Main」による驚異の1stです。1995年リリース。例によって日本ではあまり知られていないようなので、簡単な紹介を。Chiris Rodler(guitar,bass,keys)とBrett Rodler(drums)という「Rodler兄弟」が中心になって結成されたユニットで、Melissa Blairという女性ボーカルが加わったトリオ構成です。どうもメジャーレーベルからのデビューが叶わなかったようで自主制作盤の扱いです。

いきなりシンセと変拍子でスタートする#1「To Live The Truth」がキラーチューンで、ボーカルのMelissa Blairさんの歌唱力もなかなかの出来映え。アメリカのバンドにしては珍しく大作趣向で特に#4「Enter Quietly」は19分にも及ぶ壮大な組曲です。気が遠くなるような変拍子と転調の嵐、緩急がつきまくった複雑な楽曲…と書いた時点で彼らが「RUSH」のフォロワーであることに気がつきました。ただChiris Rodlerのギターはかなり変態チックなので、ちょっと不気味でさらにテクニカルなRUSHフォロワーという感じでしょうか。かなりのお勧め案件です♪

「Rodler兄弟」は1997年に「RH FACTOR」という名義で作品をリリースしていますが、こちらも大変なお勧めです。ただし、マイナーゆえに入手困難なのが残念。逆に言えばメジャー志向のアメリカでは、やはりこうした凝った作りの音楽はなかなか受け入れられないということなのでしょうね。1stの音源が発見できなかったので、2nd「Second First Impression」(1997年)の音源を貼り付けておきます♪

●Musicians
Chiris Rodler / guitar,bass,keyboards,synthesizer
Brett Rodler / drums
Melissa Blair / drums

●Numbers
1.  To Live The Truth
2.  Crystal Fortune
3.  Immobile Time
4.  Enter Quietly
5.  Distorted Pictures

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2011年5月14日 (土)

未発表のBBC音源が入ったRトロワーのライブ「At The BBC 1973-75」

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Musician●Robin Trower(guitar)
Title●At The BBC 1973-75
■Amazonより購入


イギリス出身のジミヘンフォロワーRobin Trower(ロビン・トロワー)によるBBCライブが未発表音源もついて発売されました。しかも2CDという圧倒的なボリュームです。2011年発売。

Robin Trowerに限ったことではないのですが、70年代に活躍したミュージシャンはBBCのスタジオライブに積極的に参加していましたが、いまなお眠っている貴重なライブ音源があるはずです。どうやら2004年に亡くなったBBCの名物DJ、John Peel氏の没後5年を期に、発掘音源がどんどんリリースされている様子です。氏の生前の功績を讃える意味で「John Peel Session」とついた音源がそれに当たります。正確を期しますと「John Peel Session」音源は昨年末あたりからネット販売されていますが、リアルなCDとしては今回が初出です。

音源はというと、今さらという感じですが全編がTrower節のオンパレード。もっとも油が乗り切っていた彼のエモーショナルなギターが堪能できます。特にドラムがReg IsidoreからBill Lordanに交代したあたりからよりファンキーなソロを弾くようになった気がします。相変わらずベース兼ボーカルのJames Dewarのソウルフルなボーカルの素晴らしい!James Dewarの歌唱力は個人的にはPaul Rogersに匹敵する実力者だと思うのですが、いかんせん地味な存在ですね。

なお、Disc2の#5以降「BBC In Concert」は同名のライブアルバムと同じ音源です。

●Musicians
Robin Trower / guitar
James Dewar / bass,vocal
Reg Isidore / drums
Bill Lordan / drums

●Numbers
[CD 1]
1.  Twice Removed From Yesterday (John Peel Session)
2.  Man Of The World (John Peel Session)
3.  Daydream (John Peel Session)
4.  Sinner's Song (John Peel Session)
5.  Day Of The Eagle (Bob Harris Session)
6.  Little Bit Of Sympathy (Bob Harris Session)
7.  Lady Love (Bob Harris Session)
8.  Daydream (Bob Harris Session)
9.  The Fool And Me (Bob Harris Session)
10. Alethea (Bob Harris Session)
11. Too Rolling Stoned (Bob Harris Session)
12. I Can't Wait Much Longer (Bob Harris Session)
13. Bridge Of Sighs (John Peel Session)
14. In This Place (John Peel Session)
15. Alethea (John Peel Session)
16. Little Bit Of Sympathy (John Peel Session)

[CD 2]
1.  Fine Day (John Peel Session)
2.  Confessing Midnight (John Peel Session)
3.  It's Only Money (John Peel Session)
4.  Gonna Be More Suspicious (John Peel Session)
5.  Day Of The Eagle (BBC In Concert)
6.  Bridge Of Sighs (BBC In Concert)
7.  Gonna Be More Suspicious (BBC In Concert)
8.  Fine Day (BBC In Concert)
9.  Lady Love (BBC In Concert)
10. Daydream (BBC In Concert)
11. Too Rolling Stoned (BBC In Concert)
12. I Can't Wait Much Longer (BBC In Concert)
13. Alethea (BBC In Concert)
14. A Little Bit Of Sympathy (BBC In Concert)

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2011年5月13日 (金)

何で買ってしまった!DPの「Live In Denmark'72」

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Musician●Deep Purple
Title●Live In Denmark'72(1972年)
■ディスクユニオンで購入


長いこと漁盤生活を続けていると、時としてポカをやらかします。同じ音源をうっかりと買ってしまうことなど日常茶飯事です。強烈に愛着を感じる音源では存在自体がきちんと意識されているのでそのような失敗は起こさないのですが、どうでもいいような音源だとやらかしてしまうようです。また、注意したいのがリマスター化や紙ジャケット化などに伴うタイトル変更です。おまけにジャケットが新デザインに変わるといくら注意していても、「同じ音源」をつかまされてしまうこともあります。タイトル変えやジャケット変えの場合、うっかり間違えて買ってしまう私のような人間を想定したうえでの販売戦術なのではないかと、穿った考え方までしてしまいます。

今回ご紹介するのは、その一例です。HRの雄Deep Purpleの音源はやれ「結成○周年記念」などとさまざまな理由をつけられて何度もリマスター化されていますが、どさくさに紛れるように「発掘音源」として紙ジャケット盤が多数出回っています。この音源のタイトルを見て「ピン」と来た人はかなりの「鉄人級のDPマニア」だと思います。そうです。1987年に初ビデオ化された「Machine Head Live」の音源そのものなのです。1972年3月1日にコペンハーゲンにある「KB-HALLEN」でのライブ音源です。ライナーを頼りに見ていくと、初期DPは何回もデンマークでライブを行った実績があり、1969年、1970年、1971年と毎年のように当地を訪れています。私の中では「Machine Head Live」がデンマークのライブということは認識できていましたが、タイトルが異なるだけに同じライブでも別日の音源に違いないと勝手に解釈してしまった次第です。とは、言ってもネットで買うならまだしも、店頭では収録日までチェックすることは大変難しいことですよね。

というわけで、そんな「トホホ案件」ですが、冷静に耳を傾けると内容もやや低調なライブであることに気がつきました。いまなおDPの、いやHR史上最強のライブ音源と信じて疑わない「Live In Japan」を「10」とすると、この音源での演奏内容・ポテンシャルはどう贔屓目に見積もってもせいぜい「5」か「6」止まりです。「Machine Head Live」の映像を初めて見たときは、「希少な動く第2期DP」ということもあって演奏内容自体はあまり気にしていなかったのですが、やはり映像によって目が曇らされていたのでしょうね。音源だけを真剣に聴くと、どうしても「アラ」ばかりが耳についてしまいます。音質もけっして良好とは言いがたく、はっきり言って普通ならCD化は見送るべきでしょう。とは言っても、商魂逞しい人たちは容赦なく商品化してしまいますし、私のようにうっかり手を出してしまう人間もいるのです。

しかし、せめてCD帯に「これはMachine Head Liveと同じ音源です」くらい明記してほしいですね。もちろん、そんな馬鹿正直な売り方をしたら、売り上げはガクンと落ちてしまいますが。

●Musicians
Ritchie Blackmore / guitar
Jon Lord / organ
Ian Gillan / vocal
Roger Glover / bass

●Numbers
[CD 1]
1.  Highway Star
2.  Strange Kind Of Woman
3.  Child In Time
4.  The Mule
[CD 2]
1.  Lazy
2.  Space Truckin'
3.  Fireball
4.  Lucille
5.  Black Night

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2011年5月12日 (木)

アバクロのジミヘンカバーアルバム「Purple Haze」

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Musician●John Abercrombie(guitar)
Title●Purple Haze Tribute To Jimi Hendrix(1994年)
■ディスクユニオンで購入


ECMを代表する知性派ギタリストJohn Abercrombie(ジョン・アバークロンビー)はオルガン奏者との共演が多いことで知られています。初ソロ「Timeless」はJan Hammerとの変則トリオ構成でしたし、1993年にリリースした「While We Are Young」ではやはりオルガン奏者のDan Wallと組んで印象的なプレイを聴かせてくれました。1990年代前半はアバクロにとってオルガンに再度覚醒した時期だったようです。1994年にリリースされたこの作品は先行して発売された「Foxy Lady Tribute To Jimi Hendrix」の続編のように思われていますが、実際は興に乗った3人が予定時間を大幅に超えた音源を残してしまったので、レコード会社が「もったいない」ということで2枚のCDに分けたというのが真相です。

参加メンバーはオルガン奏者のLonnie Smith、ドラムにMarvin Smitty Smithというトリオ構成。Lonnie Smith(あの有名なジャズオルガン奏者Jimmy Smithとはまったく無関係です)は1960年代後半からソウルフルなプレイが持ち味。かたやMarvin Smitty SmithはJames Blood Ulmerとの共演で有名ですね。アルバム自体は「Lonnie Smith Trio」名義であり、アバクロは共同プロデュースという立ち位置のようです。

内容はというと前作「Foxy Lady」と同様にジャズ風というよりもソウルフルなジミヘンカバー集という感じですが、ECMという一種のブランドイメージから解放されたアバクロは結構自由奔放に弾きまくっています。それぞれの曲についてあれこれ触れるのは野暮なのでやめておきますが、圧巻は何と言ってもラストの「Purple Haze~Star Spangled Banner」の名曲メドレー。ややシャッフル調に「Purple Haze」の有名なテーマの循環に耳を傾けていると「おお!何だか楽しそうな感じだな」と感じられるのもつかの間、後半に入るとアバクロのソロが高らかに響きわたり「Star Spangled Banner」へと移行します。そうです、本家ジミヘンが1969年ウッドストック・フェスティヴァルでプレイした「アメリカ国歌」の再現です。アバクロは珍しくエフェクターを目一杯効かせてアームを駆使しながら、狂乱のソロを連発しています。いやいや、こんな猛々しいアバクロのプレイは初めて聴きました。もちろん、本家のようなロック的な破天荒さとは違った計算し尽くされたアプローチではありますが。これもアバクロなりのジミヘンの解釈なのでしょう。

アバクロとジミヘンの接点ですが、かつて一度も彼の口からジミヘンの名前が語られたことはないと思います。しかし、ECMに身を置く前はBilly Cobhamなどのアルバムでかなりロックタッチなプレイを聴かせていたことは事実です。どこかしら親和性があったうえでのセッションなのでしょうね。このアルバムの音源がみつからないので「Foxy Lady」の音源を貼りつけておきます♪

●Musicians
John Abercrombie / guitar
Lonnie Smith / organ
Marvin Smitty Smith / drums

●Numbers
1.  Voodoo Chile
2.  Up From The Sky
3.  Gypsy Eyes
4.  Purple Haze~Star Spangled Banner

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2011年5月11日 (水)

謎のギタリストDavid Ormonde Thomasの作品にShawn Laneがゲスト参加

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Musician●David Ormonde Thomas(guitar)
Title●On The Way Home(1992年)
■Crazy Diamonds Recordより購入


メンフォス出身のギタリストDavid Ormonde Thomasによるおそらく唯一のアルバムです。1992年リリース。このプレイヤーに関しての情報は例によってまったく不明でして、いくらネットを回遊しても杳としてヒットしません。だからおそらくまったく無名の存在と断じてもよろしいかと思われます。では、なんでこの人、何でこの作品なのかということですが、ゲストミュージシャンにギターモンスターShawn Laneが参加しているからです。Shawn Laneもメンフィス出身ですから、おそらく友人同士ということなのでしょう。共同プロデューサーにも名前を連ねています。

David Ormonde Thomas氏の作風はアコースティックギターを駆使した牧歌的なフュージョンサウンドで、こう言ってしまっては申し訳ないのですが、カフェで流れる人畜無害なBGMという感じです。ふだんの当欄ならあっさりとスルーしてしまう領域ですが、我がShawn Laneが参加となれば話は別です。Laneは全11曲中4曲に参加。ギターではなく鍵盤楽器とベースギター、そして何とパーカッションで臨んでいます。で、ギターを弾かないLaneとはどんなプレイを聴かせるかが興味の的なわけですが、えらく神経を研ぎすませて聴いてもそこに「Laneらしさ」を求めることはやはり無理がありすぎました。主役のDavid Ormonde Thomas氏を盛り立てるべく、徹底的に個性を殺しているわけで、このアルバムからギターモンスターの面影を見いだすことは無理筋というものでした。

というわけで、いくらShawn Laneが好きだといっても、お勧めするにはかなり辛い作品です♪
 
●Musicians
David Ormonde Thomas / acoustic guitar
Shawn Lane / keyboards,bass,percussions on ※

●Numbers
1.  Twistaround
2.  Largo Swell ※
3.  Feels In Motion
4.  On The Way Home
5.  Sleight Of Hand ※
6.  Guiherme ※
7.  Change For The Better
8.  The Acrobat
9.  Slow Rising ※
10. The Pledge
11. Uncommon Occurrence

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2011年5月10日 (火)

COSMOSQUADの超絶ライブ「Live at the Baked Potato」

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Musician●Cosmosquad
Title●Live at the Baked Potato(2001年)
■Guitar Nineより購入


テクニカル系ギタリストの登龍門シュラプネル・レコード出身のギタリスト、Jeff Kollman(ジェフ・コールマン)率いるジャズロックユニット「Cosmosquad(コスモスクアッド)」によるライブ音源です。2001年2月28日、ハリウッドにあるジャズクラブの名門「Baked Potato」で行われたライブを収めたものです。

Jeff Kollmanは日本での知名度があまり高くないようですが、米オハイオ州出身のHMバンド「EDWIN DARE」でメジャーデビュー、その後はシュラプネル・レコードから2枚のソロを発表しています。またマイケル・シェンカーが脱退した「UFO」のレコーディングにも参加した経歴をもっているとか。ベース奏者のBarry Sparks(バリー・スパークス)はやはりマイケル・シェンカー・グループで活躍していたそうです。ドラム奏者のShane Gaalaas(シェーン・ガラーズ)はイングヴェイ・マルムスティーンやマイケル・シェンカー・グループで活動。ということはメンバー全員がHM出身ということになるのですね。

メンバー構成からするとHM色が濃いサウンドを連想しますが、実際にはロック、HM、ジャズ、ラテンなどさまざまな音楽的エッセンスを複合したテクニカル系フュージョンという感じです。特にこのトリオの代表曲である「El Perro Vaila」での火の出るようなKollmanのソロギターと、それを支えるリズム隊が生み出す強烈な疾走感、グルーヴ感はまさに無敵です。とにかく全曲とも一切の手加減を許さないガチンコ勝負のプレイの連続で、途中で息切れしそうになるほどです。これでもか! という具合に隙間を埋め尽くすように繰り出される饒舌なソロは、まさに次世代のスーパーギタリストの出現を予感させます。

ところであらためて聴き直してみると、 Kollmanは先達への尊敬の念をあからさまに表現するプレイヤーで、RUSHの「YYZ」のリフをこっそりと混ぜ込んだり、他人の曲名をこっそりとパクったりと、結構好き放題やっています。時にHM調、時に派手なウラメロ、そしてなぜか演歌を思わせるクサメロとバラエティに富んでいるのでそれなりに楽しめますが、器用貧乏という言葉があるように、この人の本当の個性がいまひとつ伝わってきません。本当はHM路線がもっとも合っているように思えるのですが。

●Musicians
Jeff Kollman / guitar
Barry Sparks / bass
Shane GaaLaas / drums

●Numbers
1.  Sheer Drama            
2.  Fat, Mean & Nasty            
3.  El Perro Vaila            
4.  I.N.S. Conspiracy            
5.  Road to Tanzania            
6.  Chinese Eyes            
7.  My Guitar Gently Screams            
8.  Creepy Spider Pt.2            
9.  Jam For Jason See            
10. In Loving Memory            
11. Journey Through Life            
12. Creepy Spider            
13. Funkn' Eh            
14. Red Eye Romp

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2011年5月 9日 (月)

さりげなく参加メンバーが豪華なLenny Whiteの「Venusian Summer」

R0010646
Musician●Lenny White(drums)
Title●Venusian Summer(1976年)
■Amazonより購入


Miles楽団参加を皮切りに第2期RTFのドラム奏者として活躍したLenny White(レニー・ホワイト)がRTF解散後にリリースしたソロ第1弾です。1976年発売。

参加メンバーがとにかく凄いですよ。Raymond Gomez(ギター)、Jimmy Smith(オルガン)、Tom Harrel(シンセ)、David Sancious(シンセ)、Larry Young(オルガン)、Larry Coryell(ギター)、Al DiMeola(ギター)とジャズ/フュージョン界を代表する名プレイヤーが勢揃いという感じです。やはりMiles→Chick Corea人脈は強力です。

アルバム前半はいかにもアフリカ系打楽器奏者が作りました!という感じのジャズファンクフュージョンという感じでジャカジャカと賑やかな雰囲気で進行します。そういえば1976年頃はディスコティック音楽やソウルミュージックの全盛期でもありましたね。これにフュージョン的な味付けを加えてみましたと!という感じです。ところが、申し訳ないことに当欄はこの手の音楽を苦手としています。

なんだかな~という感じで聴き進めていくとラスト2曲で様相が一変します。RTFを彷彿とさせる正当派ジャズロックへと曲調が変わり、これがまた実に聴きごたえがあるのです。#5「Mating Drive」はRaymond Gomezのギターを前面に押し出したハードな曲。John McLaughlinとの共演で有名なLarry Youngのスペイシーなオルガンで厳かな感じで始まりますが、次第に狂乱のジャズロックへと移行します。RTF的なドラマティックかつ疾走感あふれるアレンジが格好よしです。Raymond Gomezの上手いのか下手なのかがギリギリ境界線のソロが炸裂しまくります。これぞ正当派ジャズロックであると溜飲を下げる熱演です。Larry Youngも暴れまくってくれています。Lenny Whiteの作曲能力もかなりのものです。

11分を超えるラスト「Prince Of The Sea」はRTF時代の盟友Al DiMeolaがゲスト参加していますが、何とLarry Coryellまでが一緒に参加しています。曲冒頭はなぜかカモメの鳴き声が聴こえる静かな感じで始まります。Tom Harrelのホルンがいかにもという感じで盛り立ててくれています。様相が一変するのは曲3分の1を過ぎたあたりから。極度にエフェクターを効かせたDiMeolaのスパニッシュテイストソロがドラマティックに展開をもたらせます。ピアノとの絡みも実に素晴らしい! 曲後半になるとLarry Coryellが右、DiMeolaが左から凄まじいソロの応酬を繰り広げます。この2人のソロの掛け合いってなかなか珍しいですね。というわけで、この曲を聴けただけでも十分満足できる作品です。

●Musicians
Lenny White / drums
Raymond Gomez / guitar
Jimmy Smith / organ
Tom Harrel / mini-moog,flugelhorn
David Sancious / syntesizers
Larry Young / organ
Larry Coryell / guitar
Al DiMeola / guitar
etc

●Numbers
1.  Chicken Fried Steak
2.  Away Go Troubles Down The Drain
3.  The Venusian Summer Suite
4.  Prelede To Rainbow Delta
5.  Mating Drive
6.  Prince Of The Sea

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2011年5月 8日 (日)

アバクロのコルトレーンカバーアルバム「Afro Blue」

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Musician●John Abercrombie(guitar)
Title●Afro Blue(1993年)
■ディスクユニオンで購入


ECMを代表する知性派ギタリストJohn Abercrombie(ジョン・アバークロンビー)がベテランオルガン奏者Ronnie Smith(ロニー・スミス)と組んで制作したコルトレーンのトリビュート物です。1993年6月17日、NYでレコーディングされています。ドラムはJames Blood Ulmerの諸作品で知られるMarvin Smitty Smith。ちなみにジャズオルガンというとJimmy Smithのほうが圧倒的に有名だと思われますが、Ronnie Smithとはまったく無関係です。Ronnie Smithはどちらかというとソウルフルなプレイが身上で、写真を見るとターバンを巻いた怪しい風体のオジサンです。

内容はというとタイトル通りの「コルトレーンカバー」ですが、オルガントリオというのがポイントなのでしょう。数多く出回っているコルトレーンカバーアルバムとは一線を画した味わいに仕上がっています。どう違うのかというと、Ronnie Smithの泥臭いオルガンに乗せて、アバクロの例の浮遊感あふれるウネウネギターが響きわたり、そしてどちらかというとフリーに近いMarvin Smitty Smithの連打が絶妙に絡み合うことで、前代未聞のバトルが展開されているからです。コルトレーンの楽曲はあくまでも3人のために用意された「素材の一部」にしか過ぎず、緊張感みなぎる3者のインタープレイの連続を息を潜めて見守っていると、これがコルトレーンのカバーアルバムだということを忘れてしまうほどです。#4「Traces Of Trane」のみLonnie Smithによるものです。

1990年代前半はアバクロ自身もDan Wallと組んだオルガンジャズに覚醒していた時期であり、またECMの呪縛から逃れレーベルの枠を越えた夥しい数のセッション活動をこなしていました。「Venus」というレーベルからリリースされたこのアルバムもふだんの知性派ギタリストとはまた違った一面を見せています。このトリオはよほど「馬が合った」のでしょう。1年後には同じメンバーによって今度は「ジミヘンカバー」にチャレンジしています。こちらもお勧めの作品です♪

●Musicians
John Abercrombie / guitar
Lonnie Smith / organ
Marvin Smitty Smith / drums

●Numbers
1.  Afro Blue
2.  Impressions
3.  Naima
4.  Traces Of Trane
5.  Lonnie's Lament
6.  Bessie's Blues

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2011年5月 7日 (土)

変態プログメタルWatchtowerの2nd「Control & Resistance」

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Musician●Watchtower
Title●Control & Resistance(1989年)
■Amazonより購入


たびたび登場する「メタル系音楽」ですが、気がついたらどんどん細分化されていて「変態系プログメタル」というジャンルというか分野があるようです(「変態系プログメタル」は私が勝手に命名しているだけで、世間的に認知されているわけではありませんが)。アメリカはテキサス出身の「Watchtower」がその代表格でCYNIC(シニック)と並んで特異な位置づけを担っています。

バンド自体は1985年に「Energetic Disassembly」というアルバムでデビューを果たしていますが、メンバーの脱退によって早くも活動停止に。1987年に「変態ギターの革命児」Ron Jarzombekが加入して作られたのがこの2ndです。あ、ちなみに変態ギターの革命児も私が勝手に言っているだけなので、みだりに使わないほうがよろしいと思われます。

ジャケットデザインだけを見ると何ともチープな作りなので不安が募りますが、肝心の中身はなかなかの出来映えというか変態プログメタルの名盤と称されるだけのポテンシャルです。しかもこれが1989年の作品と考えると、驚異としか言いようがありません。凄まじいほどのリズムチェンジ、変拍子の嵐、絶えず襲いかかる不穏なボーカル、そしてRon Jarzombekによる変態&超絶ギター。およそ予定調和というものをすべて拒否したかのような、恐ろしい作品に仕上がっています。曲もとても1回聴いただけでは覚えられないので何度も聴き直したりするわけですが、そんなことを繰り返しているうちに「Watchtower」の術中にはまってしまうわけです。これはあくまでも噂ですが複雑怪奇なリズムの中にメンバーの自宅の電話番号が隠されているなんていうエピソードも。

「病的」とも思える緻密さと変態性が同居した音作りは、ふつうのメタルに飽きた人にとってお勧めです。ただし、メロディー性を求める人にとっては圧倒的に対極にあるメタルです。同じ範疇に属すと思われる「CYNIC」がとてもまともに聴こえてくるから不思議です。あくまでもテクニック至上主義なので、そのあたりは十分にご覚悟を♪

その後のバンドの行方ですがメンバーがそれぞれソロ活動を始めたこともあって自然消滅してしまったようです。しかし、2000年と2004年にライプ活動が確認されていて、さらに「Mathematics」というタイトルの新作が出ることもアナウンスされていますが、いまだにリリースされる気配すら感じられません。まあ、気長に待つとしましょう。

●Musicians
Alan Tecchio / vocal
Ron Jarzombek / guitar
Doug Keyser / bass
Rick Colaluca / drums

●Numbers
1.  Instruments Of Random Murder
2.  The Eldritch
3.  Mayday In Kiev
4.  The Fall Of Reason
5.  Control And Resistance
6.  Hidden Instincts
7.  Life Cycles
8.  Dangerous Toy

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2011年5月 6日 (金)

TownerとGarbarekの邂逅再び「Sound And Shadows」

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Musician●Ralph Towner(12-strings and classical guitar,piano,french horn)
Title●Sound And Shadows(1977年)
■ディスクユニオンで購入


12弦ギターの名手Ralph Towner(ラルフ・タウナー)はアメリカ出身ながらECMを中心とした欧州での活躍が目立ちます。今回は「北欧のコルトレーン」の異名をもつ名サックス奏者Jan Garbarek(ヤン・ガルバレク)との共演。この組み合わせは1974年にリリースされた「Solstice」以来であり、リズム隊を含めてまったく同じメンバーで録音されたのが、この作品です。ベースがドイツ出身の名手Eberhard Weber(エバーハルト・ウェーバー)、ドラムはこれまたお馴染みJon Christensen(ヨン・クリステンセン)とECMを代表する名手ばかり。

Townerのギターはどこか精緻で冷たい印象を与えますが、Garbarekのサックスも北欧の厳しい冬を思わせるプレイが身上。この2人が織りなすメロディーはとてつもなく美しく、限りない透明性を醸し出しています。#1「Distant Hills」はTowner在籍の「OREGON」の曲ですが、OREGONのどこか牧歌的な雰囲気とはまったく異なる荘厳とも思える雰囲気にただただ圧倒されます。はっきり言ってこの曲を聴くためだけにこのアルバムを購入しても損はありません。Townerはたまにピアノも弾きますが、これはあくまでもご愛嬌と捉えてください♪

●Musicians
Ralph Towner / 12-strings and classical guitar,piano,french horn
Jan Garbarek / soprano and tenor sax,flute
Eberhard Weber / bass
Jon Christensen / drums

●Numbers
1.  Distant Hills
2.  Balance Beam
3.  Along The Way
4.  Arion
5.  Song Of The Shadows

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2011年5月 5日 (木)

ポーリッシュデスメタルの若き勇者Decapitatedの1st

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Musician●Decapitated
Title●Winds of Creation(1999年)
■ディスクユニオンで購入


東欧はポーランド出身のブルータルデスメタルバンド「Decapitated」(デキャピテイティッド)による記念すべき1stアルバムです。1999年リリース。ポーランドのデスメタルバンドというと先輩格「VADER」を思い浮かべますが、同郷の先輩を差し置いて早くも王者の貫録すら漂わせる大物感が随所に漂っています。それでいてメンバー全員がなんと10代という早熟ぶりにはただ驚嘆の一語です。

サウンドは典型的なブルータルデスですが、特筆すべきはそれが高度なテクニックに裏付けられているという点です。さすがに1stということで荒削りな面もありますが、「高度なテクニックに裏づけられた暴虐性」という相反する要素を両立させる力量は末恐ろしいものを感じます。

地を這うように全体を支配するデス声、五臓六腑を刺激して止まないブラストビート、計算し尽くされた複雑怪奇なギターリフ…とテクニカルデスにとって必要不可欠な要素が完璧に揃っています。完成度という意味では、2nd「NIHILITY」(2002年)のほうが上ですが、猛々しく突き進む若き才能にはただただ感服するのみです。

●Musicians
Vitek / drums
Vogg / guitar
Martin / bass
Sauron / vocal

●Numbers
1.  Winds Of Creation
2.  Blessed
3.  The First Damned
4.  Way To Salvation
5.  The Eye Of Horus
6.  Human's Dust
7.  Nine Steps
8.  Dance Macabre
9.  Madatory Suicide

2011年5月 4日 (水)

破天荒なRiccardo BalleriniとRブレッカー&Sヘンダーソンとの夢のような競演「Blue Mesa」

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Musician●Riccardo Ballerini(piano)
Title●Blue Mesa(1994年)
■Amazon USAより購入


イタリア出身のジャズピアノ奏者Riccardo Ballerini(リッカルド・バッレリーニ)による1994年の作品です。不勉強で大変恐縮ですが、Riccardo Ballerini初体験なのですが、実に陽気なプレイをするミュージシャンだなというのが第一印象。ピアノもご機嫌なのですが、キーボードも躍動感たっぷりのプレイで聴いているだけで愉快な気分になってきます。

当欄の目当ては恥ずかしながらRiccardo Ballerini本人ではなく、実はギターにScott Hendersonがゲスト参加しているからでスコヘンさんは計5曲でプレイしています。おっと、忘れてはいけません。大御所Randy Breckerが5曲に参加しています。

#2  Puffin
Riccardo  Balleriniの飛び跳ねるようなキーボードが大変印象的なアップテンポでご機嫌なナンバーです。スコヘンさんが曲途中から恐る恐る「こんにちは~」という案配でスネークインしてきます。相変わらずブルースフィーリング一杯の印象的なソロワークですが、ゲスト参加ということでこの曲では大人しめです。そういえばSoft Machineにも同名の曲がありますが、当然まったく別物です。

#3  Blue Mesa
ライナーによるとスコヘンさんは参加していないことになっていますが、途中で確認できるウネウネフレーズはあきらかに彼のもの。単なる誤植でしょう(笑)。短めなソロですがキレキレのソロが炸裂しています。

#4  Karroo Dance
ややブラックな要素が入ったダンサブルなご機嫌なナンバー。イタリア人ミュージシャンによるものと思われる素晴らしいチョッバーベースに身を委ねていると、突然入ってくるスコヘンさんのキレキレソロ。自身のTribal Teckでのプレイと同様に豪快かつ変態チックなウネウネフレーズが炸裂します。このアルバムの中でのベストプレイ。楽曲自体も素晴らしい出来映えでBalleriniの高い作曲能力も特筆ものです。

#5  Lady Ballad
ライナーではスコヘンさんが参加することになっていますが、待てど暮らせど登場しません(笑)。Rブレッカーのハートウォーミングなホルンがあまりに美しいバラードナンバー。Balleriniのリリカルなピアノも素敵な小品です。

#6  Freedom Funk Blues
曲タイトルのごとくかなりファンキーなナンバー。もう一人のゲストギタリストIrio De Paulaがクラシックギターでブルースフレーズを弾いています。不勉強でIrio De Paulaというミュージシャンを知らなかったのですが、この人もかなりのテクニシャンです。小気味いいキーボードに酔いしれていると、曲最後になってMiles Davisの「So What」のお馴染みのフレーズが。何だかとても嬉しくなってしまいました。パクリと言うなかれ。

#7  Spunky Springlet
Balleriniによるリリカルなピアノでスタートする比較的正当派っぽいジャズナンバー。やはり途中からスコヘンさんのギターが入ってきますが、彼にしては珍しくジャジーなソロ回しを弾いています。とはいってもそこはスコヘンさん。相変わらず風変わりなフレーズを繋げながら、とてつもなく速いパッセージで軽やかに弾きこなしてしまっています。曲後半にはもう一人のギタリストIrio De Paulaのクラシックギターとスコヘンさんとの掛け合いが展開されます。実に愉快な曲です。ところでライナーではこの曲でのギターはスコヘンさん1人ということなんですが。いい加減さがラテン仕様ということなのでしょうか。

#11  Karroo Reprise
これもクレジットにありませんが、最後になってちょこっと登場。1分にも満たないプレイですが、ぞっとするほど美しいスコヘンさんのソロが素晴らしい♪

●Musicians
Riccardo A. Ballerini / piano,keyboard
Randy Brecker / trumpet,flugehorn
Scott Henderson / guitar
Irio De Paula / guitar
Sandro Satta / alto sax
Toni Armetta / bass
Massimo Moriconi / bass
Claudio Mestracci / drums

●Numbers
1.  Canzonetta
2.  Puffin'
3.  Blue Mesa
4.  Karroo Dance
5.  Lady Ballad
6.  Freedom Funk Blues
7.  Spunky Springlet
8.  House Sweet Home
9.  Restless
10. Hi Five
11. Karroo Reprise

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2011年5月 3日 (火)

北欧の激辛プログメタルMeshuggah「Chaosphere」

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Musician●Meshuggah
Title●Chaosphere(1998年)
■Amazonより購入


ごく一部でカルト的人気を誇るスウェーデン出身のハイパー・デスメタルバンド「Meshuggah」(メシュガー)による3作目のフルレンスアルバムです。1998年リリース。デビュー作「Controdictions Collapse」(1991年)、2作目の「Destroy Erase Improve」(1995年)と確かな成長力を見せつけてきたMeshuggahですが、この3作目で自らのスタイルを完全に確立させたように思えます。

前作「Destroy Erase Improve」で身につけた疾走感にはますます磨きがかかり、一方で独特の変拍子が生み出す気が狂いそうになる複雑な楽曲構成がややシンプルに整理されたことによって、「聴きやすく」なっています。もっとも「聴きやすい」といってもあくまでも前作との比較のうえでのお話で、轟音のように凄まじいリズム隊、極端に歪みきったデス声、そしてリーダー兼ギタリストの奇才Fredrik Thordendal(フレドリック・トーデンダル)が繰り出す正体不明の超絶ソロと、好事家にとっては変態的な要素が何拍子も揃った作品です。

よくもまあこんな変てこりんなフレーズを思いつくなあと感心するFredrik Thordendalのギターですが、よく指摘されるのがAllan Holdsworthからの強い影響。確かに変態度という点では大きく本家を上回っていると言えるかもしれません。しかし、畑が違うといえば違いますし、昨今のメタル系ギタリストはHoldsworthからの影響を少なからず受けていることは確かです。まあ、そんなに肩肘張らずともメタル系ギタリストのHoldsworthy第1人者ということでよいのではないでしょうか。

さて、この名盤ですがボーナストラックが追加されてリマスター化されています。先日、サイトを回遊していて気がついたのですが、名曲「Future Bread Machine」の別バージョンが4曲追加されています。「Mayhem Version」というのがありますが、あの某ブラックメタルバンドとは無関係かと思われます。何はともあれ音圧が高くなり、音の分離も格段に向上しています。初めて購入される方は、こちらの盤が圧倒的にお得かと思われます。

●Musicians
Jens Kidman / vocal
Guatef Hieim / bass
Tomas Haake / drums
Marten Hagstrom / rhythm guitar
Fredrik Thordendal / lead guitar

●Numbers
1.  Concatenation
2.  New Millennium Cyanide Christ
3.  Corridor Of Chameleons
4.  Neurotica
5.  The Mouth Licking What You've Bled
6.  Sane
7.  The Exquisite Machinery Of Torture
8.  Elastic
9.  Sane (Demo Version)
10. Future Breed Machine (Mayhem Version)
11. Futile Breed Machine (Campfire Version)
12. Future Breed Machine (Quant's Quantastical O La La)
13. Future Breed Machine (Remix)

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2011年5月 2日 (月)

懐かしきフュージョンブームの象徴的存在「アランフェス協奏曲」

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Musicians●渡辺香津美、大村憲司、Lee Ritenour(guitar)
Title●アランフェス協奏曲(1978年)
■Yahoo!オークションで入手


1970年代後半に巻き起こった「フュージョンブーム」は渡辺香津美というギターヒーローを世に送り出しました。渡辺氏は単独アメリカに渡り現地のミュージシャンと音源を残すなど当時から「国際派」の活躍ぶりで知られていました。YMOへの加入などジャンルのこだわらない幅広い音楽性が何と言っても渡辺氏の身上だったといえましょう。

このアルバムは渡辺氏に加え、大村憲司、そしてLee Ritenourという当時を代表する「3大フュージョンギタリスト」による夢の競演という触れ込みです。何でこの3人なのかという根本的な問題はさておいて、どうやらLee Ritenourのフレンドシップ来日に合わせる形で企画・制作されたようです。正確に言えばフレンドシップに渡辺氏、大村氏が加わったというと分かりやすいかも。1978年9月27日、28日録音。鍵盤楽器兼アレンジャーとして今年鬼籍に入った深町純が参加しています。忘れてはいけません大村氏も若くして鬼籍に入っています。

冒頭の「アランフェス協奏曲」はスペイン出身の盲目の作曲家でありギタリストであるホワキン・ロドリーゴによる名曲。どうやら1939年に作られた曲のようです。Jim Hallもカバーしていますね。10数分にも及ぶ大曲で3部構成になっています。第1部冒頭のスパニッシュギターは Ritenourによるもので、鍵盤楽器が加わり渡辺氏のエレキで一挙に盛り上がります。

同曲第2部ではデイヴ・クルーシングによるピアノから始まり、ついでLee Ritenourが「有名すぎる美しいフレーズ」を奏でます。やたらとフェイザーがかかったソロに時代を感じさせます。最後は大村氏によるロックタッチのソロで締めるという構成です。

第3部はLee Ritenourのリズムギターからスタートし、大村氏と渡辺氏が交互にリードを取り合い最後を盛り立ててくれています。後年になって渡辺氏はスパニッシュテイストのソロを得意とするようになりましたが、もしかしたらこの「アランフェス」が契機になったのかもしれませんね。

とまあ、メンバーをみるとやたらと豪華なのですが、いま冷静に聴き直してみると「だからなんなんだ」と感じないわけではありません。確かにメンツは豪華だし演奏自体も素晴らしいの一語。では、作品で何が言いたいのかというとそれがよくわかりません。彼らは何を伝えたかったのでしょうね。ここらあたりは「企画ありき」でスタートした弱みでしょう。豪華、豪華という触れ込みでモノが売れた良き時代の産物なのかもしれません。

●Musicians
大村憲司 / guitar
渡辺香津美 / guitar
Lee Ritenour / guitar
Dave Grusin / keyboard
Ernie Watts / sax,flute
Abe Laboriel / bass
Alex Acuna / drums
Steve Foreman / percussins
深町純 / synthesizers

●Numbers
1.  Concierto De Aranjuez (アランフェス協奏曲 )
2.  I Never Was A Cowboy
3.  Latin Stuff
4.  I Feel Breeze
5.  Tighten Up

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2011年5月 1日 (日)

カンタベリー系の名脇役「National Health」1st

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Musician●National Health
Title●same(1978年)
■Amazonより購入

1960年代後半から80年代初頭にかけて巻き起こった「プログレブーム」はKing CrimsonとYESという2枚看板を軸にして多くのグループ、ミュージシャンを輩出しました。一方で、「カンタベリー系ミュージック」という一派がイギリスに存在しました。代表的なバンドというとソフト・マシーン、ハットフィールド&ザ・ノース、キャラバン、ソフト・ヒープ、ギルガメッシュ、そして今回紹介するナショナル・ヘルスなどの名前が挙がります。では、「カンタベリー系ミュージック」に共通する音楽的要素があるのかというと、実際には確固たる共通点などは皆無に等しいといってもいいでしょう。そもそも「カンタベリー」はイギリスのある地区の名前であり、そこを拠点に置いて音楽活動をしていたミュージシャンを十把一絡げに「カンタベリー系」と称しただけの話ですから。日本で昔流行った「渋谷系」と同じようなものと考えれば通じやすいかもしれません。

とはいえ、時代背景から考えると、サイケ、プログレ、ジャズロックを作風とするバンド、ミュージシャンが目立ちます。当欄のような偏屈者にとっては王道派プログレに食傷気味になりつつある時期に、おおこれは結構面白いなという感じで入り込むための「受け皿的存在」にもなっているわけです。

このナショナル・ヘルスは1975年結成ですが、母体となっているのはハットフィールド&ザ・ノース、ギルガメッシュでいわばカンタベリー系オールスターという趣です。いわゆる正当派ジャズロックの系譜を汲むサウンド作りです。特にギターのPhil Millerの一見すると捉えどころのない不思議ちゃん系プレイと、のちにBill Brufordと合体して「Bruford」の一員となるDave Stewartのプレイに注目。おっと、忘れてはいけません、のちにWhite Snakeに加入するNeil Murrayの名前も確認することができます。

この記念すべき1stは1977年頃にはレコーディングを終えていたそうですが、ご存じのように当時の英国音楽シーンはパンクロック一色。このような本格的なジャズロックが受け入れられる雰囲気にはとてもなく、実際にリリースするまで1年以上もかかってしまったということ。そのゴタゴタの間に、メンバーの何人かはバンドを脱退してしまいます。その意味では1978年にデビューを果たした「遅れてきたプログレ界最後の大物」U.K.とかなりの共通点が見られます。時期が悪すぎた、ということでしょうか。そんな不幸な歴史が、バンドに対する過小評価に結びついていると思わざるをえません。

ナショナル・ヘルスの来歴に関しては、こちらのサイトで詳細にわたって解説されています。ご参考まで。

●Musicians
Phil Miller / guitar
Dave Stewart / keyboards
Neil Murray / bass
Pip Pyle / drums
Alan Gowen / piano,synthsizers
Amanda Parsons / vocal
Jimmy Hastings / flute,clarinet
John Mitchell / percussion

●Numbers
1.  Tenemos Roads
2.  Brujo
3.  Borogoves
4.  Borogoves
5.  Elephants

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