いきなり「女性ギタリスト」と書くと「ジェンダー」の発想からすると逆行してしまいそうですが、正直な話、当欄の評価も若干甘くなってしまいます。何か、文句でもありますか?(笑)大阪出身の安達久美さんは11歳で兄の影響を受けてギターを手にし、高校卒業後にScott Hendersonが教鞭をとるギタリストの虎の穴「Musicians Institute」(MI)のギター科に留学します。そこでスコヘン先生に変てこりんなフレーズを叩き込まれたとか。帰国後は「花花」などJポップのバックなどを務めていたそうですが、2004年に自身のバンド「安達久美 Club PANGAEA」を結成し、ソロ活動を始めます。そんな安達さんの念願の初音源がこれです。
#2 I Wish Stevie Wonderのカバー曲。西洋音楽と北アフリカ民族音楽の融合「ライ音楽」の典型的リズムが印象的。ベースが狂おしくのたうち回るのが特徴的です。途中から変拍子と目まぐるしいリズムチェンジが始まり、Nguyen Leのギターが自由奔放に飛びまくります。
#3 Ben Zeppelin こちらはイスラム現代音楽の帝王Dhafer Youssefとの共作です。曲というよりコーランのような感じです。実は次の「Black Dog」への橋渡し的な役割を担っています。
#4 Black Dog 言うまでもなくLed Zeppelinの「Ⅳ」の冒頭を飾った名曲。Dhafer Youssefのイスラム風雄叫びが厳かに響きわたったと思いきや、あのお馴染みの変則リズムとギターリフが絡んできます。誰がHRとイスラムの融合などを考えつくでのしょう。でも、それが破綻なく奇妙にマッチしてしまうから不思議です。
#9 Move Over Janis Joplinの代表曲です。オリジナルはタイトなドラムとギターが印象的でしたが、ここではあえてジャズ風な出だしでアレンジ。しかし、David Binneyのサックスを合図にお得意の狂乱のリズムへと大胆なシフトチェンジ。最後はベトナム民族音楽風でクールダウン。
#10 Whole Lotta Love Led Zeppelinの代表曲で邦題は「胸いっぱいの愛を」。女性ボーカルの力強い歌唱とマリンバの連打に心を奪われていると、フレットレスベースの超絶技巧が。中盤からはインド音楽風の高速チャットとNguyen Leの凄まじいソロの応酬が。おまけにリズムは目まぐるしいほどの変拍子の連打。ふさわしい言葉が見つかりません。
#12 Sunshine Of Your Love The Creamの代表曲。ライ音楽特有の饒舌なリズムで始まったと思いきや、ほどなくお馴染みのテーマが始まります。ジャズ風アレンジなのですが、バックにはイスラム風マリンバが連打されるという何とも不思議な感じのアレンジ。Nguyen Leのソロは中盤からスタートしますが、同時にライ音楽風に曲調もチェンジします。それでいてバックにはインド音楽風チャットの嵐。こういうのが本物のワールドミュージックと言うのではないでしょうか。
#15 Come Together 最後はレノン&マッカートニーの代表曲。終始ライのリズムに合わせた狂乱のリズムが凄まじい迫力です。オリジナルなんてどうでもよくなってしまいます。
●Numbers 1. Eleanor Rigby 2. I Wish 3. Ben Zeppelin 4. Black Dog 5. Pasttime Paradise 6. Uncle Ho's Benz 7. Mercedes Benz 8. Over The Rainforest 9. Move Over 10. Whole Lotta Love 11. Redemption Song 12. Sunshine Of Your Love 13. In A Gadda Da Vida 14. Topkapi 15, Come Together
テクニカル系ギタリストの登竜門「シュラプネルレコード」は多くの優れたギタリストを発掘し世に送り出しましたが、なかでも無名ギタリストを集めたうえで活躍のチャンスを与えてきました。ただ、無名ミュージシャンをピンで売り出すのはやはりリスキーな行為ではあります。そんなわけで考案されたのが「コンピレーションアルバム商法」。簡単にいえば若手無名ミュージシャンに1曲ずつの「枠」が与えられて無名ミュージシャンの十把一絡げ的なアルバムに仕立て上げるのです。そんなコンピ物ですが、マニア筋で高い評価を得ているのが「Hottest Unknown Guitarists」や「Ominous Guitarists From Unknown」というアルバム群。何だか褒めているのか貶しているのかよくわからないタイトルですが、知られざるミュージシャンを発掘するうえでは実にありがたい音源です。これらのコンピ物に関しては機会をあらためてレビューしたいと思いますが、これらに参加していたのが今回ご紹介するJoy Basu(ジョイ・バス)です。
米ペンシルヴァニア州出身のJoy Basuは1970年生まれ。幼少期はお決まりのようにEddie Van Halenから大きな影響を受けたそうです。16歳の時にはすでにギター講師を務めていたということですからRon Thalも真っ青の早熟ということになります。基本的にはテクニカル系ギタリストの基本形である速弾き、タッピング、スウィープなどのを駆使したトリッキーなプレイヤーということになりますが、ほかのギタリストとちょっと毛色が違うなと思わせるのが、「ブルースオリエンティッド」という点です。
#1 2nd Soul リフがジミヘンを彷彿とさせるヘビーなナンバー。めまぐるしく展開するリフですが、ジミヘンに慣れ親しんだ世代としては何てことはありません。曲後半になると複雑怪奇なタッピングの嵐に。 #2 Junior's Awake ややファンキーな楽曲ながらどこかメロウな感じというのがBasuの得意技のようです。この曲んどはその典型でしょう。ミディアムテンポでギターを歌わせながら、途中かmらスウィープでテクニカル系ギタリストとしての本領発揮。それでいてなぜか懐かしさのような親近感を覚えるのはブルースオリエンティッドだからでしょう。 #3 Dr. Funhouse これまたジミヘンを感じさせるファンク&ブルージーな曲。2度、3度と昇りつめていくリフに大興奮です。途中からテクニックの大お披露目大会に移るのですが、決してテクニックのひけらかしと感じられないのは楽曲が優れているからでしょう。もっともそれは私なりの受け止め方で、演奏自体はかなり変態度高しです。 #4 Post Depression ジミヘンの「Manic Depression」を意識した曲タイトルだなと思いきや、かなりメロウな感じのバラードナンバー。やけに分かりやすくて取っつきやすいナンバーですが、分かりやすいのは曲テーマであって、ギターそのものは凄まじいの一語です。ギターを少しばかりカジった方ならご理解いただけると思いますが、実はスローな曲に乗せる超絶技巧というのが大変なんです。いとも簡単にこなしてしまうBasuの力量にあらためて驚き。 #7 Goodberville かなり乗りがよろしい感じのファンキーなナンバー。ハーモニー・プレイが土台になっているので一見爽やかな印象を受けますが、裏テーマで行われているプレイはかなりのエグさです。
ところでStanley ClarkeとAllan Holdsworthの繋がりがよくわからないのですが、同年1988年に「Jazz Explosion Superband」という期間限定ユニットでステージ共演しています。この時はSteve SmithやRandy Breckerがいて実に素晴らしいプレイを聴かせています。このアルバムもこのメンツで作ったら良かったのにと思います。 ●Musicians Stanley Clarke / bass,guitar,synthesizer Allan Holdsworth / guitar Stewart Copeland / drums Wayne Shoter / soprano sax Freddie Hubbard / trumpet Steve Hunt / synthesizer George Duke / piano etc,
●Numbers 1. If This Bass Could Only Talk 2. Goodbye Pork Pie Hat 3. I Want To Play For Ya 4. Stories To Tell 5. Funny How Time Flies (When You're Having Fun) 6. Workin' Man 7. Tradition 8. Come Take My Hand 9. Bassically Taps
Michael Schenkerのギターも時折「彼らしさ」の片鱗を見せますが、どう贔屓目に見ても「卵状態」の感は否めません。彼がグループを離れて「UFO」で武者修行を積んだことは結果論としても大正解だったと思います。 ●Musicians Michael Schenker / lead gutar Rudlf Schenker / rythm guitar Klaus Meine / vocal Wolfgang Dziony / drums Lothar Heimberg / bass
●Numbers 1. I'm Going Mad 2. It All Depends 3. Leave Me 4. In Search Of The Peace Of Mind 5. Inheritance 6. Action 7. Lonesome Crow
いきなり重厚ながら奇妙なリズム感覚で迫ってくる#1「And The Devil Cried」をはじめ、メタルとプログレの双方のエッセンスを取り入れた独自のサウンドは、他をいっさい寄せつけない異彩さを放っています。Dream Theaterがもつ明快さやメジャー感とは違って、かなりアンダーグラウンドで陰花植物のような存在感がマニア筋を引き寄せます。北欧系デスメタルのような救いようもない陰鬱さとはまた違う独自のポジショニングは、捻りに捻りまくった複雑怪奇な楽曲とあいまって「変態系」の分類するに足りる怪しさです。
聞けばボーカルのBuddy Lackey(バディ・ラキー)はジェスロ・タルの影響を強く受けているとともに、グランジ系やアシッドにも強いシンパシーをもっているとか。そこら辺のバランス感覚が、この奇妙なサウンドに表れているのではないかと思います。Watchtowerあたりが好きな人にはお勧めだと思います。 ●Musicians Ward Evans / bass Norm Leggio / drums Brian McAlpin / guitar Dan Rock / guitar Buddy Lackey / vocal
●Numbers 1. And The Devil Cried 2. Halo Of Thorns 3. Another Prophet Song 4. Succesor 5. In This Place 6. I Remember 7. Sleeping Dogs 8. I Of Storm 9. A Psychotic Waltz 10. Only In A Dream 11. Spiral Tower 12. Strange 13. Nothing
Jason BeckerとMike Verneyのギターが聴けるのは#9「Party Favors」という曲。1stソロがHowe、2ndがMike Verney、3rdがJason Beckerの順。かなりヒヤヒヤものですが僅かな時間で終わってしまうので安心するやら何とやら。Jason Beckerはさすがですね。
以前、某巨大通販サイトのレビュー記事にこのアルバムについて酷評に近い記事を投稿しましたが、いまあらためて聴き直してみるとそんなに悪い感じはしません。もちろんGreg Howeありきの音源であることは変わりないのですが。 ●Musicians Greg Howe / guitar Al Howe / vocal Vern Parsons / bass Joe Nevolo / drums Jason Becker / guitar on Party Favors Mike Verney / guitar on Party Favors
●Numbers 1. High Gear 2. Carry The Torch 3. Stat-O-Various 4. Discover Conduct 5. THinking Of You 6. Standing On Line 7. Ferocious 8. Don't Let The Sloe Gin 9. Party Favors 10. Social Fever
実はこのセッションでは3人とも乗りに乗って予定された収録時間を大幅に超えてしまい、1枚のCDには収まり切れないほどの熱演だったとか。この作品で未収録の音源は以前ご紹介した「Purple Haze Tribute to Jimi Hendrix」という作品としてリリースされています。本来ならばプロデュース的には失敗なわけですが、ファンにとっては思わぬ「おまけ」が手に入ったような気持ちです。興味のある人はそちらも聴いてみることをお勧めします。 ●Musicians John Abecrombie / guitar Ronnie Smith / organ Marvin Smitty Smith / drums
●Numbers 1. Foxy Lady 2. Castle Made Of Sand / Star Spangled Banner 3. Third Stone From The Sun 4. Jimi Meets Miles
さて、ユニット唯一の音源、しかもシュラプネル系ということで例によって入手が困難ですが輸入盤だと驚くほどの捨て値で売られていたりします。超絶ギター好きの方、変態系プログメタルが好きな方にお勧めです♪ ●Musicians Derek Taylor / guitar,vocal Scott Stine / guitar Brett Stine / keyboard David Perry / bass Rob Stankiewicz / drums
●Numbers 1. Prelude 2. Amulet of the Sun 3. Wyrm 4. Endless Cosmos 5. Shadows Fall 6. Lost in the Void 7. Sad Clowns in Europe 8. The Slow Prisoners 9. Nemesis 10. Darkness Planet Earth 11. Guenhwyvar 12. Empire of Dolls 13. Finale
6曲目からは2ndの音源に移りますが、作風が一変。シンセとギターを中心にした実験音楽という感じで、ジャズロックというより完全にアヴァンギャルドの世界へと聴く者を誘います。どうやら「生活音」がこのアルバムでのテーマだったようで、トイレの音、人の話し声、食事の音などを再現した「演奏」が延々と続きます。1stでの鮮烈なイメージを期待した人は、かなり拍子抜けしたのではないでしょうか。実は当欄も退屈してしまい、あまりお勧めできません。この2ndに未収録だった音源(音源そのものは1976年の録音とのこと)をボーナストラックとして追加した作品が再発売されたそうですが、いまなお未確認です。ちなみにネット情報によると、2ndは「Materiale Per Tre Esecutori E Nastro Magnetico」というタイトルで、ボーナストラックを加えた再発売盤は「Materiale Per Tre Esecutori E Nastro Magnetico」というタイトルだそうです。
バンドの作風は時間とともに変わっていくことは当然としても、1stと2ndがまるで別物になってしまうケースも珍しいですね。 ●Musicians Fiorenzo Bonansone / cello,piano,synthesizer Marco Di Castri / guitar,tenor sax,percussion Furio Di Castri / bass,percussion Enrico Grosso / drums,percussion Rene Montegna / african percussion
●Numbers 1. Santiago 2. Leda 3. Conn 4. CT 6 5. Brilla 6. Rumore Bianco Nastro Magnetico 7. Emergenze 8. Discorso Su Due Piani 9. Spazio Di Sei Note 10. Esserci 11. La Bergera Da Un Canto Popolae Anonimo 12. Con Piu Frequenza 13. Accordanza 14. Improvvisazione Per Violoncello Sassofono Tenore Batteria
それぞれの魅力についてはほとんど語り尽くしてしまった感があるので過去記事をご覧いただければ幸いです。今回の「キモ」といえば、なんと言っても未発表音源です。未発表音源といってもシングルバージョンだったり、シングル盤のB面曲だったり(シングルを持っていない人間にとって実質的には未発表音源とも言えますが)、アウトテイクだったりするわけですが、全国5万人のTrowerファンにとってはそれでもありがたいのです。 CD1 #10「Take A Fast Train」 「Man Of The World」のB面曲。変化が激しいリフが印象的なアップテンポなロックナンバー。これは初聴です。いかにもジミヘンフォロワーという感じですが、後半ソロの素晴らしさは目を見張るものがあります。B面にしておくのはもったいない熱演です。 CD2 #5「Day Of The Eagle」 シングル用に編集された音源。シングル用にあらためてプレイしたのものではありません。曲後半が不自然にフェードアウトしてしまいます。不自然と書きましたが、それは原曲を知っているからなのでしょう。 CD3 #14「Long Misty Days」 シングル盤用に編集された音源です。当然、オリジナルより演奏時間が短めです。 CD3 #15「Let Me Be The One」 「Long Misty Days」のB面曲です。これも初出音源と言えましょう。ソウルフルなDewerのボーカルに合わせて、やたらとエフェクターが効いたTrowerのギターがむせび泣きます。まさに慟哭のソロですね。ただ、いかんせんシングル用だけに尺が短い。もっと聴きたいのに…と思わせておいて終わってしまいます。 ●Musicians Robin Trower / guitar James Dewer / vocal,bass Reg Isidore / drums Bill Lordan / drums
●Numbers [CD 1] 1. I Can't Wait Much Longer 2. Daydream 3. Hannah 4. Man Of The World 5. I Can't Stand It 6. Rock Me Baby 7. Twice Removed From Yesterday 8. Sinner's Song 9. Ballerina 10. Take A Fast Train (B-side of 'Man Of The World') 11. Day Of The Eagle 12. Bridge Of Sighs 13. In This Place 14. The Fool And Me
[CD 2] 1. Too Rolling Stoned 2. About To Begin 3. Lady Love 4. Little Bit Of Sympathy 5. Day Of The Eagle (Single Edit) 6. Shame The Devil 7. It's Only Money 8. Confessin' Midnight 9. Fine Day 10. Alethea 11. A Tale Untold 12. Gonna Be More Suspicious 13. For Earth Below 14. Too Rolling Stoned (Live) 15. Daydream (Live) 16. Rock Me Baby (Live)
[CD 3] 1. Lady Love (Live) 2. I Can't Wait Much Longer (Live) 3. Alethea (Live) 4. Little Bit Of Sympathy (Live) 5. Same Rain Falls 6. Long Misty Days 7. Hold Me 8. Caledonia 9. Pride 10. Sailing 11. S.M.O. 12. I Can't Live Without You 13. Messin' The Blues 14. Long Misty Days (7" Edit) 15. Let Me Be The One (Outtake/B-side to 'Long Misty Days')
さて、この盤の魅力は何といっても、未発表音源が、しかもグループの変遷とともに辿れるという、当時としては画期的な編集方針にあります。収録全6曲のうち、やはり希少価値といえば1969年9月24日に行われた第2期DPによるロイヤル・フィルハーモニー・オーケストラとの共演音源です。当日はDPのみのライブが第1部、オーケストラとの共演が第2部という2部構成でした。曲としては第1期のレパートリー「Hush」と「Wring That Neck」、そして第2期の名曲「Child In Time」の計3曲。Blackmoreの「Hush」でのプレイは何となく投げやりな感じを受けますが、第2期DPの底力が発揮されるのは、「Wring That Neck」と「Child In Time」の2曲。火の出るようなBlackmoreのプレイはいま聴き直しても鳥肌が立ってきます。DPマニアならご存じのように当日はギブソンのES335を弾いています。気のせいでしょうか。60年代後半のBlackmoreのギタープレイは実に丁寧できめ細やかな印象を受けます。オーケストラとの共演音源は映像作品も出回っていますね。
特に「Child In Time」は当日、客前で初めて披露されたとのこと。いままでのイメージを完全に打破する前代未聞の演奏が終わったあと、いったん観衆が静まり返り、割れんばかりの拍手をもって熱演が賞賛されるという実に生々しい光景が手にとるように分かります。この日以降、あの第2期DPの快進撃が始まったという歴史的瞬間が聴けるという貴重なアルバムなのです。
缶コーヒーのCFで有名な#5「Black Night」はDP初来日、1972年8月14日、大阪フェスティバル・ホールでのライブ音源。あまりに素晴らしい演奏にも関わらず本編「Live In Japan」に収録されなかったのですが、別の編集盤「24 Carat Purple」に収められていたものと同一です。 ●Musicians Ritchie Blackmore / guitar Jon Lord / organ Ian Gillan / vocal Roger Glover / bass
●Numbers 1. Painted Horse 2. Hush 3. Wring That Neck 4. Child In Time 5. Black Night 6. Cry Free
Musician●Leger de Main Title●The Concept Of Our Reality(1995年) ■Amazon USAより購入
米ペンシルバニア出身のプログメタルバンド「Leger de Main」による驚異の1stです。1995年リリース。例によって日本ではあまり知られていないようなので、簡単な紹介を。Chiris Rodler(guitar,bass,keys)とBrett Rodler(drums)という「Rodler兄弟」が中心になって結成されたユニットで、Melissa Blairという女性ボーカルが加わったトリオ構成です。どうもメジャーレーベルからのデビューが叶わなかったようで自主制作盤の扱いです。
いきなりシンセと変拍子でスタートする#1「To Live The Truth」がキラーチューンで、ボーカルのMelissa Blairさんの歌唱力もなかなかの出来映え。アメリカのバンドにしては珍しく大作趣向で特に#4「Enter Quietly」は19分にも及ぶ壮大な組曲です。気が遠くなるような変拍子と転調の嵐、緩急がつきまくった複雑な楽曲…と書いた時点で彼らが「RUSH」のフォロワーであることに気がつきました。ただChiris Rodlerのギターはかなり変態チックなので、ちょっと不気味でさらにテクニカルなRUSHフォロワーという感じでしょうか。かなりのお勧め案件です♪
なお、Disc2の#5以降「BBC In Concert」は同名のライブアルバムと同じ音源です。 ●Musicians Robin Trower / guitar James Dewar / bass,vocal Reg Isidore / drums Bill Lordan / drums
●Numbers [CD 1] 1. Twice Removed From Yesterday (John Peel Session) 2. Man Of The World (John Peel Session) 3. Daydream (John Peel Session) 4. Sinner's Song (John Peel Session) 5. Day Of The Eagle (Bob Harris Session) 6. Little Bit Of Sympathy (Bob Harris Session) 7. Lady Love (Bob Harris Session) 8. Daydream (Bob Harris Session) 9. The Fool And Me (Bob Harris Session) 10. Alethea (Bob Harris Session) 11. Too Rolling Stoned (Bob Harris Session) 12. I Can't Wait Much Longer (Bob Harris Session) 13. Bridge Of Sighs (John Peel Session) 14. In This Place (John Peel Session) 15. Alethea (John Peel Session) 16. Little Bit Of Sympathy (John Peel Session)
[CD 2] 1. Fine Day (John Peel Session) 2. Confessing Midnight (John Peel Session) 3. It's Only Money (John Peel Session) 4. Gonna Be More Suspicious (John Peel Session) 5. Day Of The Eagle (BBC In Concert) 6. Bridge Of Sighs (BBC In Concert) 7. Gonna Be More Suspicious (BBC In Concert) 8. Fine Day (BBC In Concert) 9. Lady Love (BBC In Concert) 10. Daydream (BBC In Concert) 11. Too Rolling Stoned (BBC In Concert) 12. I Can't Wait Much Longer (BBC In Concert) 13. Alethea (BBC In Concert) 14. A Little Bit Of Sympathy (BBC In Concert)
今回ご紹介するのは、その一例です。HRの雄Deep Purpleの音源はやれ「結成○周年記念」などとさまざまな理由をつけられて何度もリマスター化されていますが、どさくさに紛れるように「発掘音源」として紙ジャケット盤が多数出回っています。この音源のタイトルを見て「ピン」と来た人はかなりの「鉄人級のDPマニア」だと思います。そうです。1987年に初ビデオ化された「Machine Head Live」の音源そのものなのです。1972年3月1日にコペンハーゲンにある「KB-HALLEN」でのライブ音源です。ライナーを頼りに見ていくと、初期DPは何回もデンマークでライブを行った実績があり、1969年、1970年、1971年と毎年のように当地を訪れています。私の中では「Machine Head Live」がデンマークのライブということは認識できていましたが、タイトルが異なるだけに同じライブでも別日の音源に違いないと勝手に解釈してしまった次第です。とは、言ってもネットで買うならまだしも、店頭では収録日までチェックすることは大変難しいことですよね。
というわけで、そんな「トホホ案件」ですが、冷静に耳を傾けると内容もやや低調なライブであることに気がつきました。いまなおDPの、いやHR史上最強のライブ音源と信じて疑わない「Live In Japan」を「10」とすると、この音源での演奏内容・ポテンシャルはどう贔屓目に見積もってもせいぜい「5」か「6」止まりです。「Machine Head Live」の映像を初めて見たときは、「希少な動く第2期DP」ということもあって演奏内容自体はあまり気にしていなかったのですが、やはり映像によって目が曇らされていたのでしょうね。音源だけを真剣に聴くと、どうしても「アラ」ばかりが耳についてしまいます。音質もけっして良好とは言いがたく、はっきり言って普通ならCD化は見送るべきでしょう。とは言っても、商魂逞しい人たちは容赦なく商品化してしまいますし、私のようにうっかり手を出してしまう人間もいるのです。
しかし、せめてCD帯に「これはMachine Head Liveと同じ音源です」くらい明記してほしいですね。もちろん、そんな馬鹿正直な売り方をしたら、売り上げはガクンと落ちてしまいますが。 ●Musicians Ritchie Blackmore / guitar Jon Lord / organ Ian Gillan / vocal Roger Glover / bass
●Numbers [CD 1] 1. Highway Star 2. Strange Kind Of Woman 3. Child In Time 4. The Mule [CD 2] 1. Lazy 2. Space Truckin' 3. Fireball 4. Lucille 5. Black Night
Musician●John Abercrombie(guitar) Title●Purple Haze Tribute To Jimi Hendrix(1994年) ■ディスクユニオンで購入
ECMを代表する知性派ギタリストJohn Abercrombie(ジョン・アバークロンビー)はオルガン奏者との共演が多いことで知られています。初ソロ「Timeless」はJan Hammerとの変則トリオ構成でしたし、1993年にリリースした「While We Are Young」ではやはりオルガン奏者のDan Wallと組んで印象的なプレイを聴かせてくれました。1990年代前半はアバクロにとってオルガンに再度覚醒した時期だったようです。1994年にリリースされたこの作品は先行して発売された「Foxy Lady Tribute To Jimi Hendrix」の続編のように思われていますが、実際は興に乗った3人が予定時間を大幅に超えた音源を残してしまったので、レコード会社が「もったいない」ということで2枚のCDに分けたというのが真相です。
アバクロとジミヘンの接点ですが、かつて一度も彼の口からジミヘンの名前が語られたことはないと思います。しかし、ECMに身を置く前はBilly Cobhamなどのアルバムでかなりロックタッチなプレイを聴かせていたことは事実です。どこかしら親和性があったうえでのセッションなのでしょうね。このアルバムの音源がみつからないので「Foxy Lady」の音源を貼りつけておきます♪ ●Musicians John Abercrombie / guitar Lonnie Smith / organ Marvin Smitty Smith / drums
●Numbers 1. Voodoo Chile 2. Up From The Sky 3. Gypsy Eyes 4. Purple Haze~Star Spangled Banner
David Ormonde Thomas氏の作風はアコースティックギターを駆使した牧歌的なフュージョンサウンドで、こう言ってしまっては申し訳ないのですが、カフェで流れる人畜無害なBGMという感じです。ふだんの当欄ならあっさりとスルーしてしまう領域ですが、我がShawn Laneが参加となれば話は別です。Laneは全11曲中4曲に参加。ギターではなく鍵盤楽器とベースギター、そして何とパーカッションで臨んでいます。で、ギターを弾かないLaneとはどんなプレイを聴かせるかが興味の的なわけですが、えらく神経を研ぎすませて聴いてもそこに「Laneらしさ」を求めることはやはり無理がありすぎました。主役のDavid Ormonde Thomas氏を盛り立てるべく、徹底的に個性を殺しているわけで、このアルバムからギターモンスターの面影を見いだすことは無理筋というものでした。
というわけで、いくらShawn Laneが好きだといっても、お勧めするにはかなり辛い作品です♪ ●Musicians David Ormonde Thomas / acoustic guitar Shawn Lane / keyboards,bass,percussions on ※
●Numbers 1. Twistaround 2. Largo Swell ※ 3. Feels In Motion 4. On The Way Home 5. Sleight Of Hand ※ 6. Guiherme ※ 7. Change For The Better 8. The Acrobat 9. Slow Rising ※ 10. The Pledge 11. Uncommon Occurrence
Jeff Kollmanは日本での知名度があまり高くないようですが、米オハイオ州出身のHMバンド「EDWIN DARE」でメジャーデビュー、その後はシュラプネル・レコードから2枚のソロを発表しています。またマイケル・シェンカーが脱退した「UFO」のレコーディングにも参加した経歴をもっているとか。ベース奏者のBarry Sparks(バリー・スパークス)はやはりマイケル・シェンカー・グループで活躍していたそうです。ドラム奏者のShane Gaalaas(シェーン・ガラーズ)はイングヴェイ・マルムスティーンやマイケル・シェンカー・グループで活動。ということはメンバー全員がHM出身ということになるのですね。
ところであらためて聴き直してみると、 Kollmanは先達への尊敬の念をあからさまに表現するプレイヤーで、RUSHの「YYZ」のリフをこっそりと混ぜ込んだり、他人の曲名をこっそりとパクったりと、結構好き放題やっています。時にHM調、時に派手なウラメロ、そしてなぜか演歌を思わせるクサメロとバラエティに富んでいるのでそれなりに楽しめますが、器用貧乏という言葉があるように、この人の本当の個性がいまひとつ伝わってきません。本当はHM路線がもっとも合っているように思えるのですが。 ●Musicians Jeff Kollman / guitar Barry Sparks / bass Shane GaaLaas / drums
●Numbers 1. Sheer Drama 2. Fat, Mean & Nasty 3. El Perro Vaila 4. I.N.S. Conspiracy 5. Road to Tanzania 6. Chinese Eyes 7. My Guitar Gently Screams 8. Creepy Spider Pt.2 9. Jam For Jason See 10. In Loving Memory 11. Journey Through Life 12. Creepy Spider 13. Funkn' Eh 14. Red Eye Romp
11分を超えるラスト「Prince Of The Sea」はRTF時代の盟友Al DiMeolaがゲスト参加していますが、何とLarry Coryellまでが一緒に参加しています。曲冒頭はなぜかカモメの鳴き声が聴こえる静かな感じで始まります。Tom Harrelのホルンがいかにもという感じで盛り立ててくれています。様相が一変するのは曲3分の1を過ぎたあたりから。極度にエフェクターを効かせたDiMeolaのスパニッシュテイストソロがドラマティックに展開をもたらせます。ピアノとの絡みも実に素晴らしい! 曲後半になるとLarry Coryellが右、DiMeolaが左から凄まじいソロの応酬を繰り広げます。この2人のソロの掛け合いってなかなか珍しいですね。というわけで、この曲を聴けただけでも十分満足できる作品です。 ●Musicians Lenny White / drums Raymond Gomez / guitar Jimmy Smith / organ Tom Harrel / mini-moog,flugelhorn David Sancious / syntesizers Larry Young / organ Larry Coryell / guitar Al DiMeola / guitar etc
●Numbers 1. Chicken Fried Steak 2. Away Go Troubles Down The Drain 3. The Venusian Summer Suite 4. Prelede To Rainbow Delta 5. Mating Drive 6. Prince Of The Sea
内容はというとタイトル通りの「コルトレーンカバー」ですが、オルガントリオというのがポイントなのでしょう。数多く出回っているコルトレーンカバーアルバムとは一線を画した味わいに仕上がっています。どう違うのかというと、Ronnie Smithの泥臭いオルガンに乗せて、アバクロの例の浮遊感あふれるウネウネギターが響きわたり、そしてどちらかというとフリーに近いMarvin Smitty Smithの連打が絶妙に絡み合うことで、前代未聞のバトルが展開されているからです。コルトレーンの楽曲はあくまでも3人のために用意された「素材の一部」にしか過ぎず、緊張感みなぎる3者のインタープレイの連続を息を潜めて見守っていると、これがコルトレーンのカバーアルバムだということを忘れてしまうほどです。#4「Traces Of Trane」のみLonnie Smithによるものです。
1990年代前半はアバクロ自身もDan Wallと組んだオルガンジャズに覚醒していた時期であり、またECMの呪縛から逃れレーベルの枠を越えた夥しい数のセッション活動をこなしていました。「Venus」というレーベルからリリースされたこのアルバムもふだんの知性派ギタリストとはまた違った一面を見せています。このトリオはよほど「馬が合った」のでしょう。1年後には同じメンバーによって今度は「ジミヘンカバー」にチャレンジしています。こちらもお勧めの作品です♪ ●Musicians John Abercrombie / guitar Lonnie Smith / organ Marvin Smitty Smith / drums
●Numbers 1. Afro Blue 2. Impressions 3. Naima 4. Traces Of Trane 5. Lonnie's Lament 6. Bessie's Blues
その後のバンドの行方ですがメンバーがそれぞれソロ活動を始めたこともあって自然消滅してしまったようです。しかし、2000年と2004年にライプ活動が確認されていて、さらに「Mathematics」というタイトルの新作が出ることもアナウンスされていますが、いまだにリリースされる気配すら感じられません。まあ、気長に待つとしましょう。 ●Musicians Alan Tecchio / vocal Ron Jarzombek / guitar Doug Keyser / bass Rick Colaluca / drums
●Numbers 1. Instruments Of Random Murder 2. The Eldritch 3. Mayday In Kiev 4. The Fall Of Reason 5. Control And Resistance 6. Hidden Instincts 7. Life Cycles 8. Dangerous Toy
●Numbers 1. Winds Of Creation 2. Blessed 3. The First Damned 4. Way To Salvation 5. The Eye Of Horus 6. Human's Dust 7. Nine Steps 8. Dance Macabre 9. Madatory Suicide
#5 Lady Ballad ライナーではスコヘンさんが参加することになっていますが、待てど暮らせど登場しません(笑)。Rブレッカーのハートウォーミングなホルンがあまりに美しいバラードナンバー。Balleriniのリリカルなピアノも素敵な小品です。
#6 Freedom Funk Blues 曲タイトルのごとくかなりファンキーなナンバー。もう一人のゲストギタリストIrio De Paulaがクラシックギターでブルースフレーズを弾いています。不勉強でIrio De Paulaというミュージシャンを知らなかったのですが、この人もかなりのテクニシャンです。小気味いいキーボードに酔いしれていると、曲最後になってMiles Davisの「So What」のお馴染みのフレーズが。何だかとても嬉しくなってしまいました。パクリと言うなかれ。
#7 Spunky Springlet Balleriniによるリリカルなピアノでスタートする比較的正当派っぽいジャズナンバー。やはり途中からスコヘンさんのギターが入ってきますが、彼にしては珍しくジャジーなソロ回しを弾いています。とはいってもそこはスコヘンさん。相変わらず風変わりなフレーズを繋げながら、とてつもなく速いパッセージで軽やかに弾きこなしてしまっています。曲後半にはもう一人のギタリストIrio De Paulaのクラシックギターとスコヘンさんとの掛け合いが展開されます。実に愉快な曲です。ところでライナーではこの曲でのギターはスコヘンさん1人ということなんですが。いい加減さがラテン仕様ということなのでしょうか。
●Musicians Riccardo A. Ballerini / piano,keyboard Randy Brecker / trumpet,flugehorn Scott Henderson / guitar Irio De Paula / guitar Sandro Satta / alto sax Toni Armetta / bass Massimo Moriconi / bass Claudio Mestracci / drums
●Numbers 1. Canzonetta 2. Puffin' 3. Blue Mesa 4. Karroo Dance 5. Lady Ballad 6. Freedom Funk Blues 7. Spunky Springlet 8. House Sweet Home 9. Restless 10. Hi Five 11. Karroo Reprise
ナショナル・ヘルスの来歴に関しては、こちらのサイトで詳細にわたって解説されています。ご参考まで。 ●Musicians Phil Miller / guitar Dave Stewart / keyboards Neil Murray / bass Pip Pyle / drums Alan Gowen / piano,synthsizers Amanda Parsons / vocal Jimmy Hastings / flute,clarinet John Mitchell / percussion
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