スコヘンの愛弟子、安達久美の1st「Little Wing」
Musician●安達久美(guitar)
Title●Little Wing(2007年)
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いきなり「女性ギタリスト」と書くと「ジェンダー」の発想からすると逆行してしまいそうですが、正直な話、当欄の評価も若干甘くなってしまいます。何か、文句でもありますか?(笑)大阪出身の安達久美さんは11歳で兄の影響を受けてギターを手にし、高校卒業後にScott Hendersonが教鞭をとるギタリストの虎の穴「Musicians Institute」(MI)のギター科に留学します。そこでスコヘン先生に変てこりんなフレーズを叩き込まれたとか。帰国後は「花花」などJポップのバックなどを務めていたそうですが、2004年に自身のバンド「安達久美 Club PANGAEA」を結成し、ソロ活動を始めます。そんな安達さんの念願の初音源がこれです。
アルバムタイトルは言うまでもなくJimi Hendrixの名曲です。この曲を選択するあたりが実に渋いというか、自分の存在証明としては明快ですね。聴いているうちにわかったのですが、基本はロック、ブルース系のミュージシャンなのですが、フュージョン、ジャズ、ファンクなどの要素を意欲的に取り混ぜながら独自な世界を築いています。
#1 リトル・ウィング
言うまでもなくJimi Hendrixによる名曲。ボーカル無しでどうするのかと思いきや、情感たっぷりなブルースギターで最後まで押し通してしまいます。途中からハモンドオルガン風なキーボードが盛り立ててくるにしたがい、今度はSRV風に。原曲イメージを大切にしつつ、自分なりのカラーを出しているあたりが好感度大。
#2 ダンジリファンク
安達さんが生まれた大阪泉州は勇壮さで知られる「だんじり祭り」の本場だそうです。余談ですが大阪岸和田出身の清原和博選手は「だんじりファイター」などというあだ名を付けられていましたね。安達さん19歳の時の作曲。典型的なファンクなのですが、途中からブレークインしてくるギターソロが、師匠のスコヘン風というかそっくりのキレキレぶりです。安達さんが高校生のときにスコヘンにはまったのがきっかけで、ギター留学を果たしたというエピソードも納得のプレイ内容。ちなみにスコヘン先生の指導の厳しさはMIでも一、二を争うとか。世界中からプロを目指して入学してくるわけですから、それは凄まじい競争関係だったのでしょうね。個人的にはアルバム中いちばんのキラーチューンです。
全体を通して聴くとアルバム後半がやや冗長に感じられますが、それはキャリアがカバーしてくれるのではないでしょうか。2作目、3作目は未聴ですが近々に入手する予定ですので、レビューはあらためて。実は最近「Facebook」を始めたのですが、ダメ元で安達さんのFacebookへ「お友達申請」を送ったところ、即決で「お友達関係」を了承していただきました。そんなわけで、安達久美さんと「お友達」の当欄としては熱い視線で応援していく所存です。
ちなみに当欄のFacebookアドレスはFacebook.com/takashi.nishino1です。「本当の名前」で出ています。基本姿勢は「来る者拒まず」です。よしなに♪ただしFBアカウントがない方は入れないようです。
●Musicians
安達久美 / guitar
則竹裕之 / drums
清水興 / bass
河野啓三 / keyboard
大儀見元 / percussion
一丸聡子 / marimba
●Numbers
1. リトル・ウィング
2. ダンジリファンク
3. 狐の嫁入り
4. ジャンク
5. エアーポケット
6. ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ
7. パンゲア
8. バースデーカード
9. クッキーモンキー
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