北欧の暗黒神「OPETH」の8th「Ghost Reveries」
Musician●Opeth
Title●Ghost Reveries(2005年)
■Amazonより購入
またまた「OPETH」ネタで恐縮です。一時期、かなり聴き込んでいたデス系バンドですが、またぞろヘヴィーローテで聴いています。「Ghost Reveries」は2005年のリリースで通算8枚目のアルバムです。遡って白状しますが、「OPETH」初体験になった個人的には記念すべき盤でもあります。中年オヤジがいい歳して何でメタル?とお思いでしょうけれど、単なるデス系メタルに終わらない彼らの多面性に籠絡された一番の理由は、「楽曲が素晴らしい!」の一語に尽きます。具体的にはデスメタルを基本にしながらも、そこにプログレ的な様式美を持ち込むことによって、暴力性と叙情性を見事に融合してしまうというほかに類型をみないスタイルを確立しているのです。
デスが放つ醜悪な世界とプログレッシヴなアプローチをクロスさせる手法は、極限にまでで歪み切った流れをアコースティカルな世界へと急展開させるというジェットコースター的な楽曲作りを成功させました。そして澄み切った叙情性にしばし身を委ねていると、突如巻き起こるデスの暗黒世界。この二律背反の世界を行き来しているうちに次第にOPETHが仕掛けた罠にハマってしまうのです。おまけにバンドを特徴づけるハモンドオルガンが作り出す独特のブルータルな雰囲気とデス特有のブラストビート。それらが絶妙なバランスで絡み合い、最後まで緊張感を持続させる唯一無比のワザと優れたセンスは、ほかに類例を思いつきません。
往々にしてデスメタルバンドはボーカルに難があったり、楽曲が冗漫だったり、ギターがへっぽこだったりと、何かしら欠点があるものですが、すべてが完璧すぎるのが唯一の欠点らしい欠点と言えるかも。そこら辺が口うるさいプログレファンをも巻き込んでいる最大の理由でしょう。最高傑作と言われた「Blackwater Park」や「Deliverance」をまたしても凌駕してしまったOPETH。彼らにとっての「最長不倒距離」はどこにあるのでしょうね。
ちなみに当欄が入手したのは、DVD付きの「スペシャル・エディション」。約40分の映像にはリハーサルやツアー風景、インタビューなどが収録されています。5.1CHのオーディオトラックも入っています。また日本盤限定ボートラとして#9「Soldier Of Fortune」が入っていますが、言うまでもなくこれはDeep Purpleのカバー曲。OPETHの来歴を語るうえでも重要なヒントになります。
●Musicians
Michael Akerfeldt / voice,guitar
Peter Lindgren / guitar
Martin Lopez / drums
Martin Mendez / bass
●Numbers
1. Ghost Of Perdition
2. The Baying Of The Hounds
3. Beneath The Mire
4. Atonement
5. Reverie/Harlequin Forest
6. Hours Of Wealth
7. The Grand Conjuration
8. Isolation Years
9. Soldier Of Fortune
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