スイス発のHoldsworthy-Laszlo Spiroのソロ
Musician●Laszlo Spiro(guitar)
Title●Synergetics(2005年)
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スイス出身のギタリストLaszlo Spiro(ラスズロ・スパイロ)によるソロアルバムです。Laszlo Spiroに関しては恐らくご存じの方も少ないと思いますので、ライナーを頼りに若干のご紹介を。ハンガリー人を両親にもつLaszlo Spiroは1962年生まれ。お決まりのようにDeep Purpleなどにはまってギターを手にしますが、やがてジャズに傾倒していきます。地元のジャズギタースクールで基礎を身につけた彼は、87年に渡米し、名門バークリー音楽院へ進学します。当校ギター科で師事したのがあのMick Goodrick先生。そうです、Pat MetheneyやBill Frisellのお師匠さんです。バークリー卒業後はクラシックの素養を身につけて、2002年には初ソロアルバムを発表しています。
このアルバムは2ndにあたると思われますが、基本的にはコンテンポラリー系ジャズの系譜を汲みながら、ロック、テクノ、東洋的な民族音楽などの要素をふんだんに取り入れた意欲的なギターインストアルバムに仕上がっています。特筆すべきは、そのギターソロで、明らかに「Holdsworthy」の臭いがプンプンと漂ってきます。特に冒頭の「Omnitopology」で聴かれるソロは、テクニカル系の大御所Allan Holdsworthを彷彿とさせるもの。デジタルを多用した未来派ジャスという感じで、流れるようなレガート奏法、浮遊感あふれるヴォイシング、そして時折聴かせる超絶技巧と、確かにLaszlo Spiroのプレイは本家に通じるものを感じます。
本家が唯我独尊に弾き倒すのに対して、全体の調和を重んじるアンサンブル重視型のプレイヤーです。その意味では同じHoldsworthy、Nico Stufanoに似ています。作曲能力も本家よりバラエティーに富むという点でも共通していますね(笑)。
作品前半はなかなか緊張感あふれるプレイが続きますが、後半はギターシンセとサンプリングの比重が高まり、ギタリストとしての側面が後退してしまっているのが残念と言えば残念。ともあれ、久しぶりの個性派登場ということで次作に期待したいところです。
●Musicians
Laszlo Spiro / guitar,guitar-synthesizers
John Volrol / sax
Dietmar Ritehner / bass
Hubert Hungebner / keyboards
Reto Giacopuzzi / drums
●Numbers
1. Omnitopology
2. Triangular Geodesics
3. Transformational Projection
4. Absolute Space Growth
5. Dymaxion Comprehensive
6. Tube Convergence
7. Tetrahelix
8. Energy Event
9. Frame Of Reference
10. Nonsimultaneous
11. Overlapping Experiences
12. The Aggregate
13. Stella By Starlight
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