2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

最近のトラックバック

« Abercrombie & Johnson & Erskineの傑作ライブ | トップページ | Pat Martino12弦ギターの破壊力「Desperado」 »

2011年2月14日 (月)

遅すぎた巨星「UK」

R0010474
Musician●UK
Title●same(1978年)
■ディスクユニオンで購入

1970年代前半、King CrimsonやYESが中心になって牽引した「プログレブーム」も70年代中盤を境にして急速に失速していきます。これは1974年にRobert FrippがKCを活動停止にしたことが発端になっているのですが、行き場を無くしたプログレ系ミュージシャンが離合集散を繰り返し、雨後の竹の子のごとく多くのバンドが現れては消えという一種の混乱状態を作り出すことに。これは百花繚乱というよりも、70年代プログレの断末魔と表現したほうが適切でしょう。

プログレブームに代わって英国ではパンクロックが勃興し、一方、アメリカではベトナム戦争後の一種厭戦的な雰囲気から立ち直りを見せはじめ、1978年のVan Halenの登場によって全世界をマーケットとする大メジャー戦略へと変貌を遂げます。米国による大資本をバックにした「音楽覇権主義」のスタートです。この音楽覇権主義は当時の国際政治の状況やハリウッド映画の変貌と重ね合わせて考えてみると面白いのですが、別の機会にあらためます。

このように1978年という年はいわば80年代へ向けての大きな転換期にさしかかっていたわけです。そんな折り、満を持して登場したのが今回紹介する「UK」。デビューアルバムでは「憂国の四士」などと物騒な邦題がついてましたが、何に対して憂えているかは別にして、いかにもタイミングが悪いというか時期が遅すぎました。パンクに象徴されるように楽曲自体がシンプルかつコンパクトになりつつある状況で、1曲が10分を超えるような本格的バンドが受け入れられるとは思えません。やたらネガティブな感じで書いていますが、鳴りモノ入りで登場した「UK」もメンバー交代の末、わずか2年間の活動期間、3枚の作品しか残せなかったことは紛れもない事実です。

前置きが長いのはこのバンドに対する思い入れが強いからなのですが、鳴りモノ入りで登場しただけにメンバーが凄い!John Wetton、Eddie Jobson、Allan Holdsworth、Bill Brufordという綺羅星のごとく目映いメンツです。そもそもはKing Crimson解体後にユーライア・ヒープに加入したWettonがBill Brufordと一緒にグループを組むことを画策。元「YES」のリック・ウエイクマンを誘ってトリオバンドを結成しようとしたらしいのですが、ウエイクマンの契約上の問題があって頓挫。そこでWettonはロキシー・ミュージックで行動を共にした若き鍵盤楽器奏者Eddie Jobsonを誘い、ここにトリオが完成します。しかし、この時点になってギタリストの必要性が感じられたので、Bill Brufordが自身のプロジェクト「BRUFORD」(アルバム「Feels Good To Me」)で共演したAllan Holdsworthを誘い込む形で4人が揃ったわけです。ここら辺の人事交流の動きは複雑怪奇でわかりづらいのですが、冷静に見ると結構狭い範囲での動きだったりします。

「UK」はこのアルバムを発表後、全英、全米で大々的なツアーを組み多くのライブ音源を残しています。地下音源まで手を伸ばすと結構な数のライブ音源を聴くことができます。正規盤としては「Live In Boston」が有名ですね。しかし、個性派集団だっただけに4人体制は1年と持たずに崩壊します。BrufordとHoldsworthは再度「BRUFORD」に戻り、アルバム「One Of A Kind」(1979年)をリリースします。残された2人はJobsonが「マザーズ・オブ・インヴェンション」在籍時の同僚だったテリー・ボジオを紹介する形でトリオ構成に戻ります。そこでリリースされたのが「Danger Money」ですが、先に述べたように折りしのパンク/ニューウェーヴブームの中ではこうした本格的なバンドが受け入れられる状況になく、バンドは自然消滅してしまいます。

とまあ、世が世であればCrimson級のビッグネームになるはずでしたが、いかんせん出現するタイミングが悪すぎたという典型的なバンドです。とは言えアルバムの完成度はすこぶる高く、特にオープニング「In The Dead Of Night」は後にさまざまなミュージシャンによってカバーされた名曲。以前、ご紹介したように「元貴公子」イングヴェイ・マルムスティーンもカバーしています。8分の7拍子という書くだけで頭が混乱しそうな複雑なポリリズムの中で、各メンバーが鬼神のごとくあらん限りのテクニックを披露しています。実は若かかりし頃、プログレのプの字どころか洋楽初心者の女子にこのアルバムを強制的に聴かせ、一番印象的だった曲を挙げよという宿題を出したところ、イの一番にこの曲を挙げました。当然、でかした!と褒めちぎったことは言うまでもありません。

ところで4月にEddie JobsonとJohn Wettonが中心になりAlex Machacek(guitar)とMarco Minnemann(ds)で再結成された「新生UK」が4月に来日とか!情報はこちらです。Brufordはすでに引退しているので仕方がありませんが、ギターはHoldsworthが…と思わないでもありませんが、どうやらスタジオに引き籠り中。Alex Machacekなら役者に不足はないでしょう!

●Musicians
John Wetton / bass,vocals
Allan Holdsworth / guitar
Bill Bruford / drums
Eddie Jobson / violin,keyboards

●Numbers
1.  In The Dead Of Night
2.  By The Light Of Day
3.  Presto Vivace And Reprise
4.  Thirty Years
5.  Alaska
6.  Time To Kill
7.  Nevermore
8.  Mental Medication

R0010475

« Abercrombie & Johnson & Erskineの傑作ライブ | トップページ | Pat Martino12弦ギターの破壊力「Desperado」 »

アラン・ホールズワース関連」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1303686/38851034

この記事へのトラックバック一覧です: 遅すぎた巨星「UK」:

« Abercrombie & Johnson & Erskineの傑作ライブ | トップページ | Pat Martino12弦ギターの破壊力「Desperado」 »

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

いろいろ検索

  • Tower Records検索
  • HMV検索
    HMV検索
    検索する
  • iTunes検索
  • Amazon検索
無料ブログはココログ